投資教育論批判はいつか遡上に乗せるべきと思っていたが、10月27日の日経にまた投資教育論が載っていたのでそろそろ批判第一回を始めようと思う。
17面の「一目均衡」で、編集委員の前田昌孝氏は「投資教育が必要な理由」と題して前半で投資教育の国際セミナーのことを報じ、後半で投資教育の現状を嘆く。
「個人が株式の役割を十分に理解していないから、「会社は株主だけのものではない」といって、低収益経営を続ける経営者も見られる。夢の実現にまい進する新しい企業はあまり育たないし、市場の健全な育成を忘れて不正に走る金融機関も後を絶たない。
だから日経平均に採用されている225銘柄に20歳になってから毎月1万円ずつ投資するという、投資の教科書が理想とするような中長期投資を続けたと仮定しても、配当を別にして、現在56歳以下の人は含み損状態だ。
こんな悪循環を放置していくら株式投資をしようと訴えても個人のお金が大きく動くはずがない。下手をすれば外国株投資の薦めになってしまう。投資教育の前にはまずはどうしたら経済が持続的に成長し、豊かになれるのかという「成長メカニズム」を教えることからの再出発が必要だ」
まあこれは暴論であることは読むだけで明らかであろう。個人株主に経済教育と投資教育をしっかりしさえすれば、そして個人投資家が増えさえすれば、ガバナンスがしっかりしてベンチャーを受け入れ成長を可能にする、不正のない市場が生まれるという夢のような話のようだ。じゃあその教育をするのは誰なのだ?筆者は、この論に入る前に、1996年に個人金融資産の5.6%を占めた日本株が最近は4.6%にまで低下した、と嘆いている。つまりこの間の大株主は法人であり外人であった。その人たちはちゃんとした市場育成ができなかったようだ。しかし教育された個人ならできるらしい。じゃあどういう人が教育する? 市場育成に失敗した法人外人には個人に教える資格があるはずがない。じゃあ誰が?いったいどういう成長教育であり投資教育を?
と、論旨を追うだけで矛盾だらけだ。こんなヤケになったような論議するのは反則である。まずは自ら想定する経済・成長教育であり投資教育を提示して、それを世に問うてほしいものだ。市場にとっての顧客である投資家を「教育する」という傲慢の問題はとりあえずはさておくとしても。
なお、そのあと著者が挙げている英国の「金銭教育」はいいことみたいだね。響きからすると、投資信託の手数料ぼったくりも含め、「投資教育」と称した高手数料商品や(隠れた)ハイリスク商品のプロモーションには気をつけよう、というのも含まれているんだろう。それはいいことだ。
17面の「一目均衡」で、編集委員の前田昌孝氏は「投資教育が必要な理由」と題して前半で投資教育の国際セミナーのことを報じ、後半で投資教育の現状を嘆く。
「個人が株式の役割を十分に理解していないから、「会社は株主だけのものではない」といって、低収益経営を続ける経営者も見られる。夢の実現にまい進する新しい企業はあまり育たないし、市場の健全な育成を忘れて不正に走る金融機関も後を絶たない。
だから日経平均に採用されている225銘柄に20歳になってから毎月1万円ずつ投資するという、投資の教科書が理想とするような中長期投資を続けたと仮定しても、配当を別にして、現在56歳以下の人は含み損状態だ。
こんな悪循環を放置していくら株式投資をしようと訴えても個人のお金が大きく動くはずがない。下手をすれば外国株投資の薦めになってしまう。投資教育の前にはまずはどうしたら経済が持続的に成長し、豊かになれるのかという「成長メカニズム」を教えることからの再出発が必要だ」
まあこれは暴論であることは読むだけで明らかであろう。個人株主に経済教育と投資教育をしっかりしさえすれば、そして個人投資家が増えさえすれば、ガバナンスがしっかりしてベンチャーを受け入れ成長を可能にする、不正のない市場が生まれるという夢のような話のようだ。じゃあその教育をするのは誰なのだ?筆者は、この論に入る前に、1996年に個人金融資産の5.6%を占めた日本株が最近は4.6%にまで低下した、と嘆いている。つまりこの間の大株主は法人であり外人であった。その人たちはちゃんとした市場育成ができなかったようだ。しかし教育された個人ならできるらしい。じゃあどういう人が教育する? 市場育成に失敗した法人外人には個人に教える資格があるはずがない。じゃあ誰が?いったいどういう成長教育であり投資教育を?
と、論旨を追うだけで矛盾だらけだ。こんなヤケになったような論議するのは反則である。まずは自ら想定する経済・成長教育であり投資教育を提示して、それを世に問うてほしいものだ。市場にとっての顧客である投資家を「教育する」という傲慢の問題はとりあえずはさておくとしても。
なお、そのあと著者が挙げている英国の「金銭教育」はいいことみたいだね。響きからすると、投資信託の手数料ぼったくりも含め、「投資教育」と称した高手数料商品や(隠れた)ハイリスク商品のプロモーションには気をつけよう、というのも含まれているんだろう。それはいいことだ。