財布

　パチンコ帰りのお客さんが来た。

　客K「パチンコの途中、トイレに行ったら後ろポケットに入れてた財布が無かってん」
　私 「へえ、それでどないしたん？」
　客K「慌てて席に戻ったら、あってん」
　客M「周りの人、パチンコに熱中してて気ぃ付けへんかってんやなあ」
　私 「中身、空っぽやったからと違うか」
　客M「5万円、入ってたわ」
　私 「ええっ、5万円も？K君の1カ月分の給料やんか」
　客K「なんでちゃんとした会社に勤めてるのに1か月の給料が5万円やの。25万はあるで」
　私 「ああ、そうかいな」
　客M「俺、映画館で財布を落とした事があるわ」
　私 「俺もあるわ。2時間も座ってたら身体をモゾモゾさせるから、それで落としたんや。映画が終わって、出口の手前で気が付いてん」
　客K「それであったんかいな」
　私 「映画館の椅子は立つと座面が上がるやろ。それで誰も気ぃつけへんかってん」
　客M「ほんで何ぼ入ってたん？」
　私 「5万円みたいなケチな金額と違うで。100万円や」
　客M「ホンマかいな」
　私 「みんな同じ番号やけどな」
　客M「なんや、偽札か。嘘ばっかりついて」
　私 「ホンマは3万円ぐらい入っててん」
　客K「なんや、俺の方が多いやん」
　私 「落としたと思た5万円があったんやろ。そういうケチがついたお金はこういうとこで使わなアカンで」
　客K「売上しよ思て。その手にはのれへんで」

　一句：生活苦　財布もつほど　金は無し　
　謎かけ：財布とかけて、彼女が出来ましたと解く。どちらも(円・縁)がありました