少々、機嫌が悪い。
そんな時、「ハルトくんと私が本気モードでフルパワーの喧嘩をしたら、どちらに軍配が上がることになるのだろう?」などと物騒なことを考えた。
日常的に繰り返されるたわいない言い争い程度であれば、客観的に私の方が優勢には見えるだろう。
実際、私の方がよく文句を言うし、それをなだめるハルトくんの図が完璧に出来上がっている。
喧嘩というレベルに達していることもナイくらいだ。
考えたのは、もっと物騒なこと。
すなわち「手も足も出る力任せの喧嘩」。
ふざけて取っ組み合いになることはある。
もちろん怪我をするようなことはナイし、当然ハルトくんの方が力も強い。
しかし私も小柄な割りに腕力はあるため、ハルトくんも楽勝とはいかない。
多分本気になった時、私は躊躇も容赦もなければ、手段も選ばない。
だけどハルトくんは、多分最後の部分で理性を保つだろう。
決定打はナイはずだ。
こう書くと私が勝ってしまうようにも思えるが、私には瞬発力はあっても持久力がナイ。
つまり、最初の攻撃数回をかわせば後が続かず、自動的にハルトくんの勝ちとなる。
どちらにしても、双方ただでは済まないだろうけどな。
おお怖っ。
そんなことにならないことを切に願う。
物騒なことを考えていた割りには、最後に行き着いた考えの怖さに、いつの間にか機嫌は直っていた。
うん、そんな物騒なことになるくらいなら、ちょっと機嫌が悪いくらい、どうってことナイさ。