まだ世の中に物資が乏しい、昭和30年代に子供だった私達は、
肘や膝に継ぎ当てた衣服と、アメゴム底ズック靴が定番でした。
希に光る革靴を履いた、特別上等な家庭の子弟もいましたが、
ほとんどの子供は、土色に汚れた一足を大事に履き続けました。
そして履き潰したり、著しくサイズが合わなくなったりしたとき、
始めて親にせがみ、真新しい少し大きめの靴を買って貰いました。
その新規の靴を履いた初日は、友達の羨望の眼差しに照れくさく、
泥汚れを気にしながら、一日中靴のことばかりが頭にありました。
そんな少年時代を送った私も大人になり、ズックが革靴になっても、
相変わらず新しい靴には照れくさく、一足を履き潰すまで愛用し、
朽ちても棄て難いことなど、その習性が今もずっと継続しています。
The number of yesterday is 52.