猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

私生活のない女

2022-06-23 22:39:26 | 日記
1984年のフランス映画「私生活のない女」。

20歳のエテル(ヴァレリー・カプリスキー)は女優志願の魅力的な女性。オー
デイションを受け続けているが、なかなか芽が出ず、生活のためにヌードモデ
ルをしている。あるオーディションの際に新人監督のリュカ・ケスリング(フ
ランシス・ユステール)に注目され、ドストエフスキーの「悪霊」を脚色した
新作のリーザ役に抜擢される。才能はあるが、エキセントリックでナルシステ
ィックなケスリングは、異常な情熱を持ってこの映画に取り組んでいる。そん
な彼に惹かれていくエテル。その後テレビのニュースで身元不明の金色のハイ
ヒールを履いた女性の死体が発見されたことが報じられた。ある理由からケス
リングに疑惑を抱いたエテルは、ホテルの調理場で働くミラン(ランベール・
ウィルソン)という男を訪ねる。彼はチェコからの亡命者で、ケスリングに匿
われていた。エテルは何度も会ううちにミランにも惹かれていく。

アンジェイ・ズラウスキー監督によるちょっと変わった恋愛映画。ズラウスキ
ーらしくこってりとしている。女優志望のエテルはオーディションを受け続け
る日々だが、役に恵まれず、ヌードモデルの仕事をして生活費を稼いでいる。
ところがある日ケスリングという新人監督の映画の主役に抜擢される。ケスリ
ングは情熱的だが傲慢で癖の強い男だった。そんなケスリングにエテルは惹か
れていく。ある朝ケスリングの部屋で目覚めたエテルは、別の部屋で女の声が
するのを耳にした。姿はわからなかったが、金色のハイヒールを履いているの
が見えた。そして戸棚にあったバッグからチェコ人女性のパスポートを見つけ
る。
その後テレビのニュースで金色のハイヒールを履いた女性の遺体が発見された
ことを知ったエテルは、ケスリングが殺したのではないかと思う。エテルはチ
ェコからの亡命者でケスリングに匿われているミランという若い男を訪ねる。
パスポートのチェコ人女性は彼の恋人であり、ケスリングとも関係の深かった
エレナという女優であることをエテルは知る。ミランはエレナのことが忘れら
れないでいた。エテルはやがてエレナの身代わりを引き受けるように愛し合う
ようになる。
冒頭からエテルの服装に驚く。ミニワンピースを着ているのだが、横に大きく
スリットが入っているだけではなく、生地もペラペラで、下着みたい。その服
で大股で闊歩していく(歩幅が広い)。あんな服装でパリの街を歩いていたらさ
ぞ目立つだろうなあと思う。しかも彼女はその服しか持っていないのかと思う
ように、いつも同じワンピースなのだ。そしてヌードモデルの仕事も変。カメ
ラマンの趣味なのか、いつもガンガン音楽をかけてエテルに激しく躍らせる。
これ何というダンス?と思うような変なダンスだ。カメラマンは1度興奮のあ
まりなのか心臓発作を起こして倒れるのだが、死んだと思ってたら生きてるし。
奇妙なシーンが多い。
そしてケスリングが映画を撮っている(彼は主演も兼ねている)シーンがとても
多い。映画を撮る時はそうなのだろうが、同じシーンを繰り返し繰り返し演じ、
エテルはケスリングに才能がないとまで言われてショックを受ける。やがてエ
テルはケスリングよりミランと一緒にいる方が多くなるが、ミランにとってエ
テルはエレナの身代わりのような存在だった。エテルはそれでもいいと彼を受
け入れる。エテルも若いからとはいえ、ケスリングに行ったりミランに行った
り優柔不断な女だなあと思った。ケスリングとミランはまるで違うタイプの魅
力があるから仕方ないのだろうか。
終盤でケスリングはエテルにエレナを殺したことを打ち明けるが、エテルがそ
れを聞いて警察に行かないのも変である。とにかく変なシーンが多く、ズラウ
スキーの映画だから仕方ないか、と思って観るしかないようだ。エテル役のヴ
ァレリー・カプリスキーはヌードシーンが多く、そんなにスタイルがいいとは
思わなかったが、若いし健康美という感じ。エテルはミランへの愛を通して、
本物の女優として目覚めていく。ラストも妙な終わり方である。ケスリングが
髪型やメイクや衣装のせいでドラキュラ伯爵に見えた。




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コメント (2)
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