猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

リトリート・アイランド

2022-06-19 22:10:22 | 日記
2011年のイギリス映画「リトリート・アイランド」。

マーティン(キリアン・マーフィー)とケイト(タンディ・ニュートン)の夫婦は、
休暇で、スコットランド西海岸沖の孤島に向かう。彼らは夫婦関係を修復する
ためにそこのコテージでしばらくの期間を過ごす予定だった。そこへケガを負
った男が漂着してくる。夫婦はコテージに運び入れて事情を聞くが、男はジャ
ック・コールマン二等兵(ジェイミー・ベル)という軍人で、ボートが難破した
のだという。ジャックによると、外の世界では死の伝染病が蔓延しており、パ
ニックに陥っているという。無線も壊れて外界との連絡もつかず、夫婦はジャ
ックの話を信じるか信じないか決断を迫られる。

割とありがちなサスペンス映画だが、おもしろかった。マーティンとケイトの
夫婦の間には亀裂が生じており、夫婦の絆を取り戻すために以前も訪れたこと
があるこの孤島のコテージを訪れていた。不仲になったきっかけはケイトが流
産したのだが、マーティンはケイトが退院するとすぐ仕事に行っており、ケイ
トにはそれが許せなかったことだった。マーティンはずっと謝り続けてきたが
ケイトの態度は変わらず、マーティンは少しうんざりしていた。そんな2人の
前にボートが難破しケガを負った軍人のジャックが現れる。
ジャックは外の世界では悪性のインフルエンザが流行しており、感染したら命
を落とすと言う。いつもは無線でコテージの家主と連絡を取っているのだが、
無線は通じなくなっており、夫婦にはジャックの言っていることが本当なのか
どうかわからない。ジャックは絶対に外に出るなと言い、木材を使って窓など
を密封し始めた。マーティンは疑心暗鬼だったがジャックを手伝う。ケイトは
ジャックが取り仕切っていることに不快感を露わにする。このジャックという
男、見るからにうさん臭いのだが、とにかく無線が使えない以上、夫婦には確
かめようがなく、閉鎖された空間での3人のやり取りがとてもスリリング。
登場人物はほぼ5人で、そのうち3人をメインに物語は進行していく。シチュエ
ーション・スリラーというのだろうか、息詰まる感じでおもしろい。ジャック
は夫婦が不仲で夫がうんざりしていることも見抜いている。命令ばかりするジ
ャックに夫婦は嫌気がさし、マーティンは思い切って浴室の窓から外に出る。
すると外で家主とその妻が死んでいるのを見つけ、愕然とする。ジャックが殺
したのではないかと思ったマーティンは、ケイトと話し合って反撃に出るが、
相手は軍人なので敵うはずもない。そのうちマーティンは血の混じった咳をし
出し、ジャックは「外に出たから感染したんだ」と言う。
時間も90分と観やすく、終盤のどんでん返しもおもしろかった。こういう真相
だったとは。登場人物が少ないサスペンスというのは言っていることが本当な
のか嘘なのかなかなかわからなくて、興味深い。それにしてもケイトの短気ぶ
りには私も観ていて不快さを感じた。私は怒りっぽい人が苦手なので、マーテ
ィンの気持ちはわからなくもない。ケイトも傷ついたのかもしれないが。キリ
アン・マーフィー目当てで観た映画だが、救われないラストも結構良かった。




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コメント (2)
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