ぶつぶつ地蔵

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1006字

2008-11-27 11:55:46 | 思考の森
1006字。
何の文字数かご存知でしょうか?


これはある学校の盲目の女の子が、卒業までに覚えた漢字の数である。


テレビの特集を途中から見たので、その女の子がなぜ全盲になったのか、また、その学校がどこにあるのかはわからないんだけど。
とある教室。点字を読みながら、点で表現された漢字を読んでいる場面に出くわした。

先生が漢字の成り立ちの説明をする。
すると生徒たちは点字でその言葉を読み、次に漢字の形を手でなぞるのである。
たとえば『馬』という漢字であれば、「縦のまっすぐの線は馬の首を表し、横に伸びる線はタテガミを表し、4っつの点は馬の足を表し、首からつながるぐるっと回り込むラインは馬の胴と尻尾を表している。」と。
子供たちは、見たこともない馬を想像しながら漢字をなぞる。
先生が「馬の尻尾は解る?」と聞くと、ほとんどの子供たちは知らないと答える。
クラスの女の子の一人がポニーテールをしていた。
本人はその髪型の姿を知らない。
でも先生が、「ちょうどいい髪形をしている。みんな触ってごらん。これがポニーテール、馬の尻尾だよ」

こうやって低中学年から一つ一つ漢字を覚えて行き、卒業するころには1006文字の漢字を覚えるのだそうだ。
今まで自分が触ってきた感触を総動員して、想像しながら覚える。

この番組は、卒業を控えた女の子の語りで学校を振返っているような構成で、今、苦労して漢字を覚えている後輩たちに自分の苦労を重ね合わせていた。
彼女は1006文字、大変だったけれど覚えてよかったと言う。

点字という目の見えない人のための文字は、いわば全部ひらがなで書かれているようなもの。意味と言葉とはつながっているけれど、日本語の持つ漢字独特の意味合いまでは伝わらない。
1006文字を覚えることによって、その世界は広がる。

朗読をすることが大好きな彼女は言う。
「心のつく漢字はたくさんある。羽根が離れ離れになって飛べない心が『悲しい』と言う漢字。手で触れれない心の中まで、漢字は教えてくれます。」

目の見える私たちは、漢字の伝えてくれる心の中を忘れて生活している。
それを感じなくても、もちろん生きていくことは出来るんだけど。

更に彼女は言う。
「言葉は伝わってこそ言葉です。相手に伝わらなければ意味を持ちません。」

彼女は自分の心を伝えるために漢字を覚え、特別なパソコンで漢字変換しながら自分の想いを綴っている。
彼女の朗読は、漢字の心を拾いとっているせいかとても生き生きとしていて、聞いている私に彼女の思いを伝えてくれたように感じた。


せっかく日本人として生まれ、漢字を使う文化なんだもの。
彼女のように、漢字の中にある心を忘れないようにできたらな、って思う。

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