ぶつぶつ地蔵

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オペラ遣唐使 ~阿倍仲麻呂~  後編

2010-06-17 11:20:48 | 舞台関係
若草山に別れを告げ、向かった先は・・・薬師寺(笑)

大池(勝間池)からの眺めでございます。
いやいや、笑うでない!ただぶらりと行った訳ではありませんよ。
昨年前篇を観劇した遣唐使の後編が、時の記念日6月10日に玄奘三蔵院にて行われたからであります。


オペラは19:00からですが、原作者でいらっしゃる上野誠先生のプレトークが18:00からあるのです。

上野先生のお話はとっても面白いので、楽しみ♪
しかも、先生自体がめっちゃ可愛いんですよ(笑)奈良大学の先生なのですが、授業絶対面白いと思う。
講演の前に、山田管主のお経とお話がありました。
今回のオペラの経緯など、いろいろ面白く話して下さる山田管主。。。んが。。。上野先生にバトンタッチした時点で、上野先生の持ち時間がちょっぴりに!!!
山田管主~~~上野先生の時間までしゃべっちゃったのでは???(笑)
初めは李白と仲麻呂についていろいろ語ろうと思ってらっしゃった上野先生。時間の都合上、オペラを十倍楽しむ方法!に変更。ピックアップ形式です。
先ずオペラの出だし、「ヤオ!」「プヤオ!」という言葉があります。これは「要(いる)」「不要(いらない)」と言う意味で、市場の喧騒の中で飛び交う言葉。売っているものをいるのかいらないのか聞いている言葉なんですね。この活気が長安の都を表しているのです。
そして、李白が仲麻呂の死を悼んで作った歌の上野先生訳詩を朗読して下さいました。
上野先生が訳した言葉を上野先生が朗読し、その言葉を李白のアリアで聴くという贅沢な演出でございます。
最後に、前編の簡単な紹介をして終了。
時間が無くなったのが良かったんだか悪かったんだか(笑)

この日は薮内先生(せんとくんの作者)もいらしてて、少しだけお話することが出来、めっちゃラッキーでございました。

そーして迎えたオペラ遣唐使。
昨年の遣唐使は、「遣唐使とその家族」にスポットを当てて描かれていおりました。
第三幕
前編の平群広成を日本に帰してから10数年後、長安の都を歩く仲麻呂。玄宗皇帝の寵愛を受け彼の地で出世した仲麻呂に対し、町の人々は「日本と唐の二つの国の君主に仕える裏切り者」と罵り石を投げつけようとします。
それを李白が仲裁し、仲麻呂は難を逃れるのです。
この時仲裁する時に李白が歌う歌がちょっと笑えます。
「天下の詩人、李白さまをお前たちは敵に回すか?」と脅す様な感じ。しかも、何度も何度も「天下の李白」と繰り返すんですよ。どんだけ自信家~(笑)

上野先生が描いた李白は、酒好きのデレンとしたオヤジです。瓢を常に持ち歩いて赤ら顔です。それに対し仲麻呂は、前編の凛々しさがいずこへ?ってくらい、ウジウジ~っと凹んで暗いのです。すっごく対照的な二人で、お互いを引き立て合ってるんですよね。
やはり才能を評価され寵愛を受けていても、異国で暮らすというのは大変な事なんだろうなぁ。。。と仲麻呂を見ていて思ったのでありました。


第四幕
玄宗皇帝より、帰国を許可する許しを得た仲麻呂。19歳で入唐して以来30年以上の月日が流れています。ようやく懐かしい故郷へ帰れると、仲麻呂は心を躍らせます。李白の侍女を娶り、船に乗り込むのでありました。
しかし、ご存知のように舟は難破。安南(現在のベトナム)に漂着します。10数年前に助けた平群広成が難破した時と奇しくも同じルートです。
難破の知らせは長安にも届き、李白は友である仲麻呂の訃報を聞き悲しみ、歌を読みます。
しかしこれは誤報で、平群広成とコレマタ同じルートで仲麻呂は長安へと戻って来るのです。
友が生きていた事を喜んだのもつかの間。仲麻呂は戻ることが出来なかった自分は「不要の人」と生きる気力を失っていたのでした。
李白は仲麻呂に言います。
おまえは何をしているのだ。この李白さまがお前を悼んで歌まで作った、そんな素晴らしいお前なのに。生きてるうちに、俺様の追悼歌が聞けるなんてお前くらいのもんだぞ。聞くがいい!(といった意味ね。実際の歌詞はもっと違いますよ^^;)

李白が仲麻呂の死(誤報)を悼みて作った歌。
晁卿衡哭
日本晁卿辭帝都
征帆一片繞蓬壺
明月不歸沈碧海
白雲愁色滿蒼梧
   
晁卿衡(ちょうけいこう)を哭(こく)す
日本の晁卿(ちょうけい)は帝都を辭し
征帆一片 蓬壺(ほうこう)を繞(めぐ)る
明月は帰らず 碧海に沈み
白雲愁色 蒼梧(そうご)に滿つ

この歌がアリアになります。
そのままでは歌えませんので、上野先生が歌に仕立てました。(プレトークで朗読して下さった歌)

仲麻呂は去った
長安を去った
東の海に友は去りぬ

汝こそ明月(めいげつ)
月は白く 海は青し
白き月が 青き海に入る時に・・・

悲しみはおおう
山をおおう
雲となりて
山をおおう


李白のアリアは仲麻呂を打ちます。
故郷に帰ることは出来なかったけれど、長安で友を得、能力を認められその生涯を彼の地で終えた仲麻呂。
鳴り響く梵鐘の音に、仲麻呂が詠んだ御蓋山の歌と般若心経の重奏でラスト。
唐で学んだ遣唐使達の思いも、故郷で息子の無事を祈る親の思いも、彼の地で得た愛しい者たちの思いも、全部がこの部分に集約されているのだと思う厚みのあるラストでした。


前編の時にはオケと日本の楽器(尺八とか)との音の重なりに違和感を感じた箇所がちらほらあり、大部分はそれぞれに演奏してたと思うんですが、後編はいい感じに混ざり合ってたと思いました。(←偉そう^^;)
三幕のラストだったかな、般若心経とオケのコラボは一聴の価値あり!ですよ。以外に合うんです。


1300年の時を戻る、回廊のように灯された燈籠。
これも含めてオペラ遣唐使なんですって。

ちょっぴり安田長老が写り込んでます(笑)
夜に見るとこの看板も、ちょっと趣があるような気も。

玄奘塔に掲げられている額にある「不東」の文字。玄奘三蔵が西(インド)へ向けて旅立つ時に残した、経典を持ち帰るまでは東(都)に戻らないという決意を込めた言葉であります。
その玄奘三蔵の想いに仲麻呂・李白・遣唐使達の想いが重なって、なんだか本当に不思議空間&時間を感じる舞台でありました。
劇場で見るのとは、全然雰囲気が異なると思います。

茂みの向こうにライトアップされた東塔の水煙をみつつ帰路に着く。
大遣唐使展に始まり、御蓋山に登り、オペラ遣唐使を聴いた一日。
仲麻呂縁の一日を思い起こしながら、足元を薬師の光で照らされながら。





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