ぶつぶつ地蔵

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神埼与五郎 東下り  感想編

2010-06-02 17:13:02 | 舞台関係
さてさて。本編の神埼与五郎 東下り ネタばれ感想行っちゃいます。
注意:頑張って感想書こうと思ったんですが、考えが途中で空中分解しちゃってます^^;それでもいいよと思った方のみお読みください。

人情噺と銘打ってるだけあって、ラストは涙なしでは観られません。

このお話、話の主軸は、ある居酒屋の常連さんの今の人生。飲んだくれで、喧嘩っ早くって、どーしょーもないおっさん。
そこに絡んでくるのが、華やかな大衆演劇の裏の世界とそこに生きた役者の人生。
そしてかの忠臣蔵の物語の一段「神埼与五郎 東下り」の丑五郎の人生。
この3つの物語が、少しづつ掛け違えるかのように、織り込むように絡んでいくのであります。
縦横だけでなく、厚みのある三重構造のお話となっておりました。

ワタクシ無知で知らなかったのですが、「神埼与五郎 東下り」と言うのは、忠臣蔵の話の一段で、四十七士の一人神埼与五郎が内蔵助の命により東に下る途中に、丑五郎というならずものに絡まれるというお話。大事を前に小さくとも問題を起こしては主君の仇を討つ事が出来ぬようになってしまうかもしれず、丑五郎の言うなりに頭を下げ謝り状をしたため、屈辱をぐっと抑え東下りを続行するのです。
丑五郎はそうとは知らないので、少し絡んで小銭をせしめようともくろんでいた。小銭は手に入らなかったが、侍に謝り状を書かせたことで得意満面。しかい後に、この侍が義士の一人と知って、激しく後悔をし菩提を弔うのである。

この演目、与五郎の主君への忠義と丑五郎の不条理という対比が面白いのだと思う。そしてその不条理に丑五郎が気付き、丑五郎に芽生えた懺悔の念が物語を浄化するのである。(とオイラは認識した。)

本筋の飲んだくれの主人公・宇佐さんはその昔、大衆演劇の花形役者であった。その十八番が丑五郎役だった。数々の問題を起こしたあげく、最後には座長ともめて破門となり役者を諦めることになってしまった。今となっては飲んだくれのタクシードライバーに身を落としている。荒れた生き方に宇佐さんの演劇界への未練が表れている。

一瞬の役者復帰の光の後、自分が昔に巻いた種によってその夢は夢のまま消えることとなる。しかし、それは自分で選んだ悪役丑五郎を演じ抜くという事。
丑五郎が悪ければ悪いほど、与五郎の忠義が光る。
花房兎の最期の舞台は、自分を引き上げようとしてくれた高塚旭の舞台を光に導く事だった。


一番印象に残っているシーンが二つある。
一つは、笑也さん演じる高塚旭が宇佐さんに手を合わせるトコロ。
宇佐さんの心を知りながら騙されたふりをする。
宇佐さんの・・いや、花房兎の一世一代の大芝居に対して、自然と掌が組み合わさったというの感じが何ともいい。単に合わせるのではなく、組むという力強さが個人的にすっごくHITした。

もう一つは、本当だったら演じるハズだった東下りを、兄弟子亀吉と演じる下り。岡森さんの講釈から溢れ出すように演技に移って行く様。あの迫力は鳥肌モノです。全てが集約されているシーン。
物語の中の丑五郎の心も、役者としての兎の心も、人間としての宇佐さんも。全部全部があの東下りのラストシーンに凝縮されていた気がする。


宇佐さんは、花房兎という役者であり、丑五郎の様に取り返しのつかない過ちを犯した人であり、でも与五郎のように一つのものに忠義を尽くし通す人だったのだと思った。
宇佐さん(うささん)と丑さん(うしさん)の発音が似ていて、丑と言う字と与という字はぱっと見が似ている。与五郎は志の為に心を押さえて東に下り、宇佐さんは兎の心を押さえて悪役を演じた。
似て異なる三人。でもどこかで繋がっている、そんな気がした。

このお芝居を観た後に思ったことは、誰でも心の中に仏様の種を持っていてそれに水をやりながら生きているって事。
なかなか芽を出さない種でも、その時が来ればちゃんと芽を出すって事。
丑五郎がそうだったように。兎がそうしたように。宇佐さんが全てを受け入れたように。


ココだけかい摘まむと重い重いお話。
でもそこをふんわり軽く見せてくれるのが散りばめられた綺羅(笑い)のシーン♪
それは笑也さんの歌舞伎の技(って言うのかな?)だったり、常連三人組の面白すぎる間だったり、どぎつい迫力の二人だったり。
物語にそっと挟み込んだ起爆剤は、ピリッと効いててそれでいて物語の邪魔をしない。いい塩梅だった。
劇的で遠い世界の夢物語ではなく、居酒屋で偶然聞けるかもしれない・・ちょっと身近に感じられるお話にしてくれる。そこがまたいいね。(本当はあり得ないけど^^)


毎度のことながら、帰りはえらく泣きはらした目で帰らさせていただきました。
素敵な時間を有難うございました。次回も楽しみにしております♪



ちなみに個人的に一番気になったメニューは、いか納豆。
イカは生なのか、塩辛なのか、するめなのか・・・うーむ、気になる。。。





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