ぶつぶつ地蔵

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大槻能楽堂自主公演特別追加公演70周年記念特別企画

2006-12-11 13:07:18 | 舞台関係
久々に泣きました。
やっぱり道成寺はイイ!!!

12月9日に、大槻能楽堂 自主公演70周年記念公演 追加公演を観に行った。
70周年記念は本来11月に上演したのだが、好評に付きこの度、追加公演を行う運びとなったのだ。
ここんトコロ大槻能楽堂と疎遠になってたので、11月公演が道成寺と知らなかったオイラは激しく後悔してたところだったので、12月の追加公演は渡りに船!ってことで、チケットを即ゲットしてたのである。

道成寺は、2年ほど前に武富さんのシテで観た事があった。
シュッシュッとすり足で動くシテの動きがものすごく面白かった。お能に明るくないオイラだけれど、大好きな演目になったのだ。
なので、大槻先生の道成寺も非常に楽しみにしてたのである。

先ずは、狂言 『鳴子遣子』
最近は七五三さんがお気に入りだったんだけど、久々にあきらさんを見ると、やっぱエエなぁ・・・と見入ってしまった。あきらさんのちょっとした声の調子や仕種が好きなんだろうなぁと思う。
狂言が好きな理由の一つとして、「イヤミな人がいない」ってのがある。喧嘩をしようとも、人をおとしめようとしようとも、絶対に「人の良さ」を垣間見る事が出来るから。
やっぱり狂言好きやわ~と再確認。早く年会費を払っておかねば・・・^^;

一調 『景清』
福王パパと山本パパのWパパ共演!個人的に大盛り上がり(笑)
盛り上がってた割には、景清の内容はとんと覚えていないのは、未だ謡いを聞き取れないでいるからである。

能 『道成寺』
シテ:大槻文藏
ワキ:福王知登、永留浩史、喜多雅人
アイ:茂山千之丞、茂山童司
舞台が始まる前に狂言方の後見4人が鐘を運んでくる。千五郎さんだけちょっと背が低いので本当に鐘を支えてる?って突っ込みを入れたくなったのはご愛嬌って事で(笑)
この鐘を設置するのは狂言方のお仕事。竹でできた道具で天井の金具に綱を引っ掛ける。このお仕事は力もいるので薫さんと茂君が担当。茂君の真剣な眼差しがカッコ良かったぁ
無事、金具に綱を通し終え、後は鐘後見に委ねる。
4人いる鐘後見の筆頭は赤松さん。シテと息を合わせる大切な役が鐘後見なのである。
鐘を吊り上げいよいよ舞台は整った。
ワキが出てきて状況を告げる。今回のワキは知さん。和さんの弟にして福王パパのご次男である。(この説明って、知ってる人にしかわからんな ワキ方福王流宗家(福王パパ)の次男が知さん。和さんはご長男である。余談であるがサッカー選手の福王忠世さんはご三男である)
能の道成寺は「安珍清姫」の道成寺縁起をベースに作られたお話である。
道成寺の鐘の再興するところから話は始まる。
住職は故あってこの鐘の周りは女人禁制であると能力に触れ回る様に言いつける。そこへ1人の白拍子がやって来て鐘を拝みたいと願い出る。能力は一端は断るが、舞を見せるという白拍子に鐘を拝む事を許してしまう。
喜び鐘を拝む白拍子であったが、能力がうたた寝をしてしまった隙に鐘を引き落としその中へと消えてしまう。
雷が落ちたかと思う程の地響きに、住職が駆けつける。
能力から事情を聞いた住職は、鐘にまつわる山伏と娘の恋の話を語る。娘は山伏に恋をしたが、山伏はこの寺に逃げ込み鐘の中に隠れてしまう。裏切られたと思った娘は蛇となり、鐘に巻きつき炎となって焼き殺してしまう。
白拍子は娘の怨霊であろうと、住職と僧侶は鐘に向かって祈祷を始める。蛇となった女が鐘の中から出てくるが、最後に祈りに伏せられてしまう。

このお能の一番の見所は、なんと言っても白拍子が鐘の回りを歩き回るところ。
シュッシュッと鐘の回りを歩くさまは、静であり動である。一つ一つの動きは止まっているように静なのに、そこに溜められている情念は激しい。そして、まさしく蛇を思わせる動き。徐々に鐘に近づき、嬉しそうに鐘を眺める。
大槻先生の舞われている白拍子が、鐘を見た瞬間の嬉しそうなでも悲しそうな複雑な感じにぐっと来た。揺さぶられるような女の情念が感じられたのである。ただ立っているだけなのに、悲しみと憎しみと喜びとがない交ぜの感情が感じられたのだ。白拍子が鐘の回りを舞っている間、ずっと涙が止まらなかった。
そして最大の見せ場、鐘の引き落とし。
鐘の中に入ったシテと鐘後見が息を合わせて鐘を引き落とす。シテがシュッと飛んだ瞬間に鐘がグワンと落ちるのだ。
この後の間狂言も大好きである。普通の間狂言よりも狂言に近い感じ。住職に「鐘には女人を近づけてはいけない」と言われていたにも拘らず、白拍子を近づけてしまった事を報告しなければいけない。それをアイツレに頼み込んだり断られたり・・・そのやり取りがかなり笑える。千之丞さんだからなおさら面白い。
この間狂言の間にシテは鐘の中で後シテの衣装と面とに着替える。
白蛇となって現れた後シテは、なんだか悲しい。
般若の面はただ怖いだけの妖怪じみた形相ではなく、やり場の無い想いが鬼となって表れているのだと思う。般若には沢山の愛もこもっていると思うのだ。
殺してしまうほど好きで、死んでも尚、山伏を想う娘の悲しい想いを、祈りは鎮める事が出来たのかな・・・なんて思いつつ。


来年はもう少しお能を観に行こうと思う。
やっぱ、翁に行きたいなぁ。。。
あ、ちなみに、写真に載せたポストカードは70周年記念ポストカードなのだ。欲しい方は、大槻能楽堂のHPに詳細が載っておりますので、どじょ。