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電力会社が「危ない原発」を強引に稼働しようとするカラクリ

2012年07月04日 07時26分17秒 | Weblog
電力会社が「危ない原発」を強引に稼働しようとするカラクリ

[金子勝の天下の逆襲]

(日刊ゲンダイ)より

資源エネルギー庁の資料によると、今すべての原発を廃炉にしようとすると、廃炉に必要な費用の積立不足額が1兆2312億円、減価償却不足による原発施設の残存簿価2兆8000億円がいきなり赤字になるという。

つまり即時原発廃止は、4兆円あまりの損失を出して電力会社が潰れてしまうというのだ。

資源エネルギー庁は、即時の「脱原発」は無理だということを言いたいのだろう。


この資料からは、恐ろしい現実が見えてくる。

廃炉費用のための積立額(引当金)は、原発稼働率76%で40年動かすことを前提にしている。

事故やトラブルによって原発が止まっている時は、積み立てができない。

事故やトラブルが多く、稼働率が低い原発ほど、引当不足額も大きくなるのである。


また動かしていないと、減価償却できないので残存簿価も大きくなる。電力会社からすると、事故やトラブルを起こした危ない原発ほど、動かさないと赤字を解消できない。

要するに電力会社は危ない老朽原発ほど動かしたくなるということなのだ。


問題は、積み立て不足を解消するためには、40年を超えて稼働させなければならない原発が、現在50基ある原発のうち、ざっと35基もあるということだ。

なんと7割が引き当て不足なのだ。


とくに、中越沖地震で重大事故を引き起こした東京電力の柏崎刈羽の2~4号機、中部電力の浜岡5号機、関西電力の美浜1、2号機、北陸電力の志賀2号機の積み立て不足が大きい。


東京電力が「経営計画」で、中越沖地震の打撃が大きかった柏崎刈羽原発を動かそうとしたり、原子力安全・保安院が美浜2号機の稼働40年を10年延長しようとしたりする理由は、ここにある。

これらは原発ゼロの会が出した「即時廃炉リスト」に含まれている。


原発が「安い」理由は簡単である。

できるだけ安全投資を抑え、減価償却の少ない危険な老朽原発を動かすからである。


原発問題はエネルギー不足の問題ではなく、あくまでも電力会社の経営問題なのである。

こうして見ると、野田政権は、国民の命と安全を犠牲にしても電力会社の経営を守ろうとしていることが透けて見えてくる。

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