明日を信じられる時代になって欲しい。日常の活動日記

時事ネタ 京都 散策 歳時記 花見頃など

“思いやり予算”は日本だけー金額、負担率もダントツ一位

2010年04月30日 08時19分30秒 | Weblog
“思いやり予算”は日本だけー金額、負担率もダントツ一位(坂井定雄)より

‹さかいただお:龍谷大学名誉教授›

必要があって、“思いやり予算”について改めて調べてみた。大手メディアが報道していない、重要なことがある。
もしかしたら、いつか、どこかで報道しているかもしれないが、最近、報道量が増えた、在日米軍基地と日本の負担についての報道でも、触れられていないか、意図的に触れられていない事実がいくつもある。故江畑謙介氏も厳しく批判した。

(1)“思いやり予算”が支払われているのは、日本だけだ。
メディアの報道では、「ドイツも支払っている」とか「といわれる」と伝えられてきた。
私は怪しいと思い、ドイツ政府当局に問い合わせたところ、回答は明確だったー
「ドイツには、日本の“思いやり予算”のような米軍駐留経費負担の制度はない。
NATO加盟国として、他の加盟国同様、NATO規定に基づいて、駐留米軍の住宅(家賃)補助や税優遇措置をしているだけです」

(2)米軍駐留経費負担額も、負担率も、ダントツで世界一だ。
米国防総省が、同盟国の米軍駐留経費負担に関する報告書を発表したのは2004年まで。
計算根拠も詳細に説明してある。
その後はなぜか発表されなくなったが、総額も負担率も、順位は変わっていないと思う。
金額の大きい順に転載する。

同盟国の米軍駐留経費負担(2002年)
国名   金額(億ドル) 負担率
日本   44.1    74.5%
ドイツ  15.6    32.6%
韓国    8.4    40.4%
イタリア  3.6    41.0%

(3)“思いやり予算は”1978年、円高ドル安に配慮して、金丸防衛長官のイニシアチブで、在日米軍基地で働く日本人従業員の給与の一部負担(62億円)を日本政府が決めたのが始まり。その後、米国側の要求で、基地内の光熱費、水道費、施設建設費、さらには米兵のリクリエーション施設の経費などの厚生費まで範囲が広がり、金額も上昇。
78年から2010年までの32年間で、総額5兆5千億円(NHK、2010年4月10日)。しかし防衛省の公表数字を加算すると3兆1千億円余。
この違いは“思いやり予算”が予算費目として計上してないため、まとめ方で少額にみせることができるためだ。

4.“思いやり予算”は米軍駐留経費負担の一部にしか過ぎない。しかし、日米政府の公式用語は「Host Nation Support」で、世界的に通用する「受け入れ国経費負担」に一括されてしまう。
最近では英字紙などで「Omoiyari yosan」というローマ字表記もあるが、米国でもほとんど通じないだろう。
“思いやり予算”は廃止するか、ドイツ並みの駐留経費負担率に引き下げるべきだ。
 
豊富な知識、虚偽、偏向を排した正確な分析で、どのような政治的・職業的立場の人、メディアからも尊敬された軍事評論家、江畑謙介さんが昨年10月死去した。
彼の名著「米軍再編」(ビジネス社、2005年)を改めで読みなおした。
同書の中で、江畑さんは、在日米軍基地が米国の世界戦略の中で、どれほど重要な役割を担っているか、米軍再編で米軍の世界態勢と同盟国の役割をどう変えようとしているのか、なにが変わらないかを詳述している。
普天間移設についても、米国は海兵隊全面撤退をしないとの立場から、国内移設のさまざまな案を検討している。
それから5年経過したが、彼の分析は的確だったといえる。

同書のなかで“思いやり予算”について、江畑さんは次のように記述しているー
「日本に米軍部隊を置いていても、施設の維持経費はもとより、部隊の運用に要する経費の多く(例えば日本人従業員の給与や、隊員とその家族の光熱費)まで日本が負担してくれるので、米軍の経費は他の国に置くよりもずっと少なくて済んでいる。
それならば、何も無理してまで在日米軍部隊を削減する必要はない」
「公平客観的に見て合理性を欠くと考えられる米側の要求に対しては、それを拒絶したり、すでに実施されているものに関しては是正を求めたりしていくべきだろう。
すでに述べたが、在日米軍兵士とその家族の光熱費まで日本側が負担するというのは、どう考えても理屈に合わない」

そして、江畑さんは同書を次のように締めくくっているー
「(日米安保条約に基づく地位協定は)独立主権国家としてはどうみてもどう見ても『不平等協定』としか思えないような内容が少なくない。
占領軍としての在日米軍時代から慣習的に引き継がれてきたためであろうが、先に述べたように、今こそ日本と米国が本当の意味で対等の立場で、21世紀の世界の安定に互いに手を携えてどう協力していくかを見直す絶好の機会である。
この機会を逃せば、あとすくなくとも20-30年は再びこのような機会は訪れないだろう。

後世に悔いを残さないようにしなければならない」

最新の画像もっと見る

コメントを投稿