子宮癌のほとんどが、癌がまだ子宮体部に限局している初期段階で診断される。子宮および卵巣の摘出手術に加え、局所再発の予防策として、リンパ節郭清(リンパ節の摘出)や外部照射(EBRT)もしくはその両方を施行する医師もいる。しかし、2008年12月13日付けのオンライン版 Lancet誌に発表された大規模ランダム化試験でリンパ節郭清または外部照射を追加しても生存期間に改善はみられなかったと報告された。
ASTEC国際臨床試験では、女性患者1408人を手術群または手術+骨盤内リンパ節郭清群に無作為に割り付けた。さらに、両群の再発リスクが中等度~高い女性をEBRT群と非EBRT群に無作為に割り付けた。
リンパ節郭清群では、標準手術を受けた女性より、中等度または重度の治療関連副作用を報告する女性が多かった。5年生存率は、標準手術群が81%、リンパ節郭清群が80%であった。
5年無再発生存率は、標準手術群が79%で、リンパ節郭清群は73%であった。両群とも同程度の割合の女性が術後放射線治療を受けていた。これらの研究結果から、「早期子宮体癌女性に対する骨盤内リンパ節郭清は、全生存率または無再発生存率において有効性を示すエビデンスは認められなかった。臨床試験以外の場で、治療を目的とする通常の手法として骨盤内リンパ節郭清は推奨されない」と本試験の執筆者らは結論付けた。
EBRTの有効性を判断するために、ASTECの第2ランダム化試験の結果とカナダで行われた臨床試験(EN.5)の結果(合計905例)を統合した。EBRT群も非EBRT群も同程度の割合の女性が小線源治療を受けていた。同治療法は、いくつかの試験参加施設では標準的治療法の1つとして行われていた。
急性毒性および遅発性毒性のいずれもがEBRT群で多く報告された。全生存率に関しては両群間に差異は認められなかった。5年無再発生存率は、EBRT群が84.7%、対照群が85.3%だった。EBRTは局所再発の防止効果はなかったが、局所のみ再発は全体のわずか35%であった。「中等度または高リスクの早期子宮体癌の女性に対して、生存率の改善を目的とする標準的治療法の一つとして、術後EBRTは推奨されない」と著者らは結論づけている。
NCIキャンサーブレティン12月16日号ハイライト
ASTEC国際臨床試験では、女性患者1408人を手術群または手術+骨盤内リンパ節郭清群に無作為に割り付けた。さらに、両群の再発リスクが中等度~高い女性をEBRT群と非EBRT群に無作為に割り付けた。
リンパ節郭清群では、標準手術を受けた女性より、中等度または重度の治療関連副作用を報告する女性が多かった。5年生存率は、標準手術群が81%、リンパ節郭清群が80%であった。
5年無再発生存率は、標準手術群が79%で、リンパ節郭清群は73%であった。両群とも同程度の割合の女性が術後放射線治療を受けていた。これらの研究結果から、「早期子宮体癌女性に対する骨盤内リンパ節郭清は、全生存率または無再発生存率において有効性を示すエビデンスは認められなかった。臨床試験以外の場で、治療を目的とする通常の手法として骨盤内リンパ節郭清は推奨されない」と本試験の執筆者らは結論付けた。
EBRTの有効性を判断するために、ASTECの第2ランダム化試験の結果とカナダで行われた臨床試験(EN.5)の結果(合計905例)を統合した。EBRT群も非EBRT群も同程度の割合の女性が小線源治療を受けていた。同治療法は、いくつかの試験参加施設では標準的治療法の1つとして行われていた。
急性毒性および遅発性毒性のいずれもがEBRT群で多く報告された。全生存率に関しては両群間に差異は認められなかった。5年無再発生存率は、EBRT群が84.7%、対照群が85.3%だった。EBRTは局所再発の防止効果はなかったが、局所のみ再発は全体のわずか35%であった。「中等度または高リスクの早期子宮体癌の女性に対して、生存率の改善を目的とする標準的治療法の一つとして、術後EBRTは推奨されない」と著者らは結論づけている。
NCIキャンサーブレティン12月16日号ハイライト
そこまでわかっているならいいのですが、
患者サイドからみますと、
医療者から説明なく治療を提示された場合に
ちょっと考えてみたい、
そういうときの参考になるのではないかと思います。
http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0050/1/0050_G0000135_0031.html
最終的にこの件に関して日本婦人科腫瘍学会が断定的な結論を出すようには思えず、現状提示するだけにとどまるように私は思いますが、それでも、こういう意見もあることを御承知ください。
Scholten AN, van Putten WL, Beerman H, et al. Postoperative radiotherapy for Stage 1 endometrial carcinoma: long-term outcome of the randomized PORTEC trial with central pathology review. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2005 Nov 1;63(3):834-8.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15927414
原論文を読んでも、全生存率では放射線治療をしようがしまいがほとんど変わりません。しかし、グラフ上では放射線治療群のほうが補助療法なしの群よりも下にきています。それでもなお、結論としては術後照射を推奨しています。
他領域でもしばしばあることですが、現状での選択肢の得失についての患者さんへの説明のうえで、個々の症例の状況ででの判断をあわせて考えるしかないように思います。
ちゃしば先生がいつも指摘されてるIMRTの分布の空白部分などと同様に。
大変詳しい資料を示していただき、わかりやすかったです。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19070891
間違いないならば、骨盤照射の線量は40-46Gyの通常分割となっています。これは小腸の耐容線量の縛りのため仕方がないのですが、生存率はともかく制御率で有用性が示されなかった原因のひとつかもしれません。一応、現状の標準的な考え方は放射線治療ガイドラインをご覧ください。
http://web.sapmed.ac.jp/radiol/guideline/uterine_body.html
組織型は違いますが、頭頚部癌でのエビデンスでは抗癌剤同時併用でもリンパ節の制御には50Gyは必要だとなってきています。それを考えれば、抗腫瘍効果、もしくは予防照射としては、今回の臨床試験では線量が足りなかったという考え方もあります。
現在、世界的には小腸の線量を落とした放射線治療が試みられはじめています。私のところでも、照射中の消化器系有害事象なし、もしくはせいぜいgrade 1までで50Gyの照射を行っていますが(術後照射は高リスク症例のみ)、本当はそういった治療での成績でランダム化されないと、治療成績の改善は得られなくなるような気がします。理論的にも有害事象だけとなりそうな古典的な組み合わせですからね・・・