NCIは、本日進行癌患者の治療に用いられる抗癌剤パクリタキセルとシスプラチンを静脈投与(IV)と腹腔内直接投与(IP)の両方を組み合わせて施行することで、全生存期間を16ヶ月以上延長することを特例のClinical Announcement(臨床報告)をもって発表した。
この試験は429人のステージⅢの患者を対象に、IVパクリタキセル後IVシスプラチンの群と、IVパクリタキセル後IPシスプラチンに続きIPパクリタキセルの群とで比較した。
IV群の生存期間中央値は49.7ヶ月、IP群は65.6ヶ月、この時点で半数の被験者が生存していたので、その差は15.9ヶ月以上となる。
どの癌の治療においても、1年もの生存期間の延長は稀であり、NCIの特例の臨床報告の発行は1999年以来である。
NCI臨床試験結果日本語訳
この試験は429人のステージⅢの患者を対象に、IVパクリタキセル後IVシスプラチンの群と、IVパクリタキセル後IPシスプラチンに続きIPパクリタキセルの群とで比較した。
IV群の生存期間中央値は49.7ヶ月、IP群は65.6ヶ月、この時点で半数の被験者が生存していたので、その差は15.9ヶ月以上となる。
どの癌の治療においても、1年もの生存期間の延長は稀であり、NCIの特例の臨床報告の発行は1999年以来である。
NCI臨床試験結果日本語訳
手術で可能な限り腫瘍を取り除いてから腫瘍を抗癌剤で浸し、IVで全身をということのようです。IPは副作用がきついようですけど。
IPの手法は手間も時間もかかるので抗癌剤は大抵IVで投与されてきたけれど、患者にも医師にもIP投与を考えるように推奨しています。
IP投与は現在他の癌(乳癌の腹部転移)にも研究中とのこと。
本当に素晴らしい結果ですよね。
実は、過去卵巣がんにおいて、CDDP iv+CPA iv vs. CDDP ip vs. CPA ivの比較試験において、CDDP ip群が良好であるとの報告に基づき、その後2-3本のipとivの無作為比較試験の結果が出ています。全ての試験で、ip positiveです。
毎年、ASCOなどでも話題になっていたのですが、なぜここに来て、このようなNCIのアナウンスが出たかというと、生存の延長がここまでconfirmされていなかったことと、米国の医療従事者の間で随分抵抗があったようです。特に看護師の反対があったようです。というのも、管理や患者さん教育が煩雑であるからとの理由のようです。
いずれにしろ、今後の患者さんにとってはoptionが増えた事に間違いありません。しかし、これが普及(特に日本で)するにはいくつかの障害があります。
この件は、NOZOMIさんの記事を引用し、私のブログで記事にさせて頂いてよろしいですか?nyu_gyoさんの質問にも触れたいと思います。
>というのも、管理や患者さん教育が煩雑であるからとの理由のようです。
投与の煩雑さも1年数ヶ月の延命に代えられるものではないですよね。抗癌剤も従来のものなので製薬会社の関与もなく、患者は医師に相談するようにとのことですが、日本では可能なのでしょうか。是非記事にしてください。
Ps Clinical Announcement(臨床報告)の訳語があるのかどうかわからなかったです。
『海外癌医療情報リファレンス』NCI臨床試験結果の全文翻訳ももう少ししたら上がります。