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標的治療の期待ーハーセプチンはHER2陰性にも有効

2009-01-22 | 乳癌
患者が標的治療の候補となるのはどのような場合か。HER2タンパクを過剰に産生する乳癌をHER2陽性との定義することが制限しすぎである可能性を示唆したいくつか研究成果が2007年に複数発表され、一部の乳癌研究者らは答えを追究している。これらのレトロスペクティブ研究が示したのは、HER2陰性の女性患者でさえHER2標的薬トラスツズマブ(ハーセプチン)の恩恵を受けているということである。(略)「一般にHER2を標的とするのは正しいことが証明されています..ただし、それは完璧なものではなく、まだ改良の余地があります。」

奏効率と精度の問題は、IHCとFISHという2種の検査法によって判断される(関連記事・表参照)ことの多いHER2陽性の定義に対する疑問と重なっている。(略)

ASCOの2007年度年次総会でのPaik氏らの研究で、腫瘍標本の再検査後、10%の患者が、真にはHER2-陰性であること (その女性患者らは本試験に登録すべきではなかったという意味)を発見した。それでもなお、トラスツズマブ治療を受けたHER2-陰性患者は転帰が改善するという統計的に有意な傾向があった。事実、HER2-陰性のすべてのグループで患者にベネフィットがあったことを認めた(一部には統計学的な有意差を示せなかった)。

CALBG 9840試験では、一部の女性患者の腫瘍はFISH 法によればHER2-陰性だが、染色体17のポリソミー— HER2 遺伝子が存在する染色体17の過剰コピー—があり、そのような人は、化学療法単独と比較してトラスツズマブと化学療法併用治療は、高い奏効率が得られた。(略)

今後の方向
分子生物学的に、HER2陰性とHER2陽性の中間に属する腫瘍を持つ一部の女性患者に、HER2標的治療による効果があるかを検証する大規模臨床試験が必要であるとLively氏は語った。(略)

「これらの検査方法が必ずしも間違っているということではありません」と彼女は言った。「おそらく、測定するのにもっと良い方法があるということです。」

例えば、Esserman氏はI-SPYと呼ばれる早期乳癌女性患者に対するネオアジュバント化学療法を行う臨床試験の責任医師の一人である。本試験は、定期的な生検の分子生物学的分析および、MRIスキャンにて、治療に対する反応マーカーを同定することを試みている。このような可能性がある部位として彼女があげたのは、HER2タンパクのリン酸化レベル(タンパクへのリン酸基付加であり、タンパク活性を制御している)であり、他のHER2発現やトラスツズマブへの反応と相関しているという。

検査方法の領域での進歩は、サンフランシスコ拠点のモノグラムバイオサイエンス社によって開発されている、HERmarkと呼ばれるものである。開発元によれば、この方法では、HER2レベルならびに、癌細胞表面に存在するHER2 タンパクによって形成される複合体(二量体と呼ばれる)の範囲をより正確に測定できる。国内会議で発表された小規模研究では、本検査法でHER2-陽性患者を含む女性患者がトラスツズマブに反応することをさらに正確に予測できるということが予想された。
(NCIキャンサーブレティン2009年1月13日号全文


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