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バイオマーカー

2006-04-01 | 癌の経路・因子
科学誌ネイチャーにバイオマーカーについての詳しい記事が掲載されました。FDA、NCI含む国立衛生研究所NIHは2月にバイオマーカーへの取り組み方針を発表しました。FDA翻訳ファイル記事 
2010年までにバイオマーカーの展開クリティカルパスFDA原文3/16クリティカルパス(クリティカルパスとは、FDAがその重要性、緊急性を認めた医療製品を最優先に開発するためのイニシアチブ)

    
Biomarkers in Cancer Staging, Prognosis and Treatment Selection(癌のステージング、予測、治療選択におけるバイオマーカー)ネイチャー誌2005年11月より抜粋

ゲノミクス、プロテオミクス、分子病理学の進歩により多くの臨床利用の可能性のあるバイオマーカーが発見されている。診断時の癌のステージングや治療の個別化が可能になれば患者のケアは向上するだろう。
AJCCによって頒布された現在のTNM分類は1958年以来ステージングの統一された解剖学的基準となっている。Tは腫瘍サイズと深さ、Nはリンパ節転移、Mは転移の有無を示しており、患者の生存、初回治療選択、臨床試験における患者の層別化、医療提供者間の正確な情報通達、転帰報告の統一などに用いられる。ステージ分類、既往症、年齢をTNM分類に加えることで生存予後、治療への反応予測に大きく貢献する。これらは特に局所療法に有用である。しかし、今、次の理由により新たな要素バイオマーカーの臨床応用が期待される。
1.個々の分子マーカーとマーカーの型によりこれまでの分類をさらに細分化が可能
2.化学療法薬、生物学的薬がさらに有効性をまし、幅広く使用されるようになった。
3.これまでの薬剤のほか、新たな標的治療薬(グリベック、イレッサ、エルビタックス。乳癌治療ではER)は個々の分子マーカーの変異や発現によって有効性が決まる。
TNM分類にバイオマーカーの組み入れは議論がなされてきたが、いまだ正式なコンセンサスに至っていない。現在臨床研究において多くのバイオマーカーが実用化の可能性があるにもかかわらず、臨床応用されているものはほとんどない。2003年の生物学的検査のFDA承認は過去十年で最も少なく、血漿蛋白検査のFDA承認については、近年のバイオマーカーについての公表率の増加に反してむしろ減少している。


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