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ミトコンドリアの役割

2008-05-12 | 癌の経路・因子
PLoS Geneticsに発表された新たな研究で、細胞の中のミトコンドリア(またはWiki英語版の方が詳しい)が細胞分裂を促すドライバーの役割をしていることが示された。細胞のエネルギーの90%を生産するエネルギープラントの役割だけでなく、分裂速度まで指令しているとみられる。「この発見は、「宿主のエネルギー貯蔵庫」としての機能から「細胞分裂の司令塔へ」と、ミトコンドリアに対するこれまでの見解を変えるものです。」
生物化学者らは、ヒトの細胞とプロセスがほぼ同じであることから通常研究には酵母を用いる。細胞の仕事は分裂と増殖であり、代謝作用によって食物を燃料に代え、DNA複製と遺伝子発現のための構成要素を作る。
細胞内のミトコンドリアがシグナル(メッセージ)を送る決定を下し、細胞核がそれを受け止め、細胞分裂が開始することが今回の実験で判明した。

疾病とは、このプロセスが失敗したときに起こりうる結果である。癌細胞の大半は細胞分裂が異常に頻回、そして急速に起こる。反対に、ミトコンドリア機能が欠如すると代謝作用が落ち、脳、心臓、骨筋肉、肝臓などにダメージを促しうる。世界で4000人に1人はミトコンドリアの欠陥による疾患で苦しんでいる。
「もし、細胞分裂を制御する基礎経路が解明されれば、これらの疾患の治療開発に役立つだろう。
原文記事

     

癌においても益々注目されるミトコンドリア。
その機能はまだあまり解明されていない。
主な働き
・細胞のエネルギー工場である(ATP生産:私たちの食べたものはほとんどが最終的にエネルギーであるATPになる。CoQ10が関与)
・活性酸素と闘う(活性酸素無毒化酵素がミトコンドリア内にある)
・アポトーシスを司る

他、熱生産、カルシウム貯蔵など。
DCA(ジクロロ酢酸)クロミプラミン(参考)、ウィルス治療などなどもミトコンドリアに作用するらしい。
参考:ミトコンドリアが腫瘍増殖に関与(原文2005)
PubMedCentral(2002)


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