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タバコによる癌抑制遺伝子変化は30年後も

2006-01-31 | 喫煙、他
少し古いですが、ショッキングな報告。
喫煙者は気道の上皮細胞の遺伝子、特に癌抑制遺伝子が変化し、しかもその変化は予想以上に長期にわたることがBoston University Medical Schoolで発見された。彼らは気道の上皮細胞の遺伝子を同定し、喫煙によってどのように遺伝子発現が変化するか、またタバコをやめることで修復するかを観察したところ、喫煙者では遺伝子の発現が97%変化していた。そのうち癌抑制遺伝子である13個の遺伝子は、タバコをやめてから30年経過後も戻らなかった。癌抑制遺伝子は永続的に減少したまま、癌遺伝子(癌を引き起こす遺伝子)は永続的に増加したままであった。National Academy of Sciencesで閲覧可能。Medical News Today2004/6
NCI翻訳文書「喫煙と癌」「間接喫煙」「ライトタバコの真実:Q&A


4 コメント

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遺伝子の傷 (ku_md_phd)
2006-02-03 18:41:44
いつもありがとうございます。

被爆をした方々が、癌を発症するのも、遺伝子についた傷が非可逆的で、それが50-60年経った現在発病してくるのだ、と伺っています。

タバコについても同様のことが言えると思います。親から子、公共の場所での受動喫煙がどんな悪影響を子供達に与えることか!
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こちらこそありがとうございます ()
2006-02-03 22:55:22
被曝の話もこのニュースを裏付けるようですね。DNAの傷、怖いです・・

タバコはイカンですね。

日本ではまだまだ意識や教育が足りないと思います。

ただ、話によると肺癌は男性のほとんどが喫煙歴があるのに対し、女性肺腺癌では30%が非喫煙者だそうです。なにかありそうです。
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Unknown (nyu_gyo)
2006-02-03 23:31:19
k-ras mutationは肺癌のcarcinogenesisに重要な役割を果たしていますが、このmutationは過去の喫煙歴と多いに関係があります。

一方、最近発見されたEGFRのmutationは非喫煙者、女性に多く、krasとEGFRのmutationの両方を持つものはない(極少数)ため、この二つのmutationは別経路のcarcinogenesisだと考えられています。

要するに、おおざっぱに物をいうと、喫煙者の肺癌はk-ras mutationが関係していて、非喫煙者の肺癌はEGFR mutationが関係しているということです。(もちろん例外はありますので、すべてではありません。)
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納得! ()
2006-02-04 00:27:53
従ってEGFR変異の肺癌である女性(喫煙歴のない)にイレッサの類が効きやすいというわけですね。大雑把に言っていただいたほうが、とってもわかりやすいです^▽^

一部肺癌にエストロゲンが関わっているようなのでそんなことも関係あるのかなと・・

経路は数多くて難しいです。
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