がんの情報Tips

海外のがん情報を紹介。『海外癌医療情報リファレンス』https://www.cancerit.jp/関連ブログ。

薬剤×食物の相互作用-ラパチニブと高脂肪食

2007-07-20 | 癌全般
 2007年米国臨床薬理・治療学会総会で発表された薬剤の食物との相互作用についての所見によると、経口ラパチニブ(タイカーブ〔Tycurb〕)は、食物、高脂肪食によって大きくバイオアベイラビリティー(体が薬剤を吸収、利用できる割合)が増加することがわかった。ラパチニブは薬剤添付書の記載に反して、空腹時よりもむしろ食事とともに服用することで投与量を激減可能である。臨床試験では、ラパチニブ+低脂肪食で濃度曲線は167%、高脂肪食では325%に著しく増加する。この結果は驚くに及ばない。食物はしばしば薬剤のバイオアベイラビリティーを増加させるのである。 
しかし添付所によると、『タイカーブは、食前食後1時間空けて空腹時に250mgを5錠(1250mg)服用』となっている。経口カペシタビンとの併用となるとさらに複雑である。このことは製造元がこの食物との相互作用を把握せずに、第3相臨床試験を行ったためであるが、この経済効率に与える影響は殊に明らかで、現在の月$2,900の値段は60%削減可能で$1,740の節約となるだろう。さらに削減したいと思えば、グレープフルーツジュースのような強いCYP3A阻害物質を含む食品を一緒に摂取すれば80%節約でき、ラパチニブ250mg1錠で、空腹時1度に250mg5錠と同等の血中濃度が得られる計算になる。
ラパチニブのラベルには、1日の服用量を分けることで、薬剤暴露時間が倍になると記載されているため、このことも別の意味で投与量の減少に役立つ可能性もある。
ラパチニブの主な副作用である下痢は未吸収の薬剤の作用であることが示唆されており、それは血中濃度よりも投与量が関与しており、上記のような食物摂取を併用することで顕著に減少させることも可能であるかもしれない。
近年、経口薬剤の開発が盛んに行われているが、薬剤の臨床薬理学の知識がさらに必要である。ラパマイシンとグレープフルーツジュースの第1相試験を行っている。Journal of Clinical Oncology誌2007年8月10日号、HealthDay記事
過去Tips「グレープフルーツの相互作用」


6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お薬出すとき気をつけてますよ~ (くぅたろう)
2007-07-20 18:52:48
他には、胆汁が出てるか出てないか。
胃の排出能はどのくらいか。
あとは、CYPの兼ね合いとか。

体内での動態が良く分かってるお薬は使いやすいです。

高いお薬は影響が大きいですから、そういう意味で研究が進みそうですね。
返信する
そのような影響もですか ()
2007-07-20 21:33:33
あらゆるものがバイオアベイラビリティーに影響しそうですね~

ラパチニブを服用したあと、高脂肪のとグレープフルーツジュースを食べた場合、80%増加と倍近い血中濃度になるわけです。

↑ありそうです・・患者に知らせていただかないと。
返信する
φ(..)メモメモ (neko)
2007-07-31 01:38:15
患者として将来使うかもしれない薬
「服用時に必ずケーキを1個食べること」
とか書いてあると超うれしいかもしれないです
返信する
nekoさん、こんにちは~ ()
2007-07-31 20:45:13
かわいいコメント、ありがとうございます。
患者さんにはようく認識してもらうことが必要ですから、口コミお願いしますー局長!

ダンス、続けられているようで何よりです~

返信する
リンク (ガーネット)
2008-09-21 12:38:38
はじめまして。
ラパチニブで検索していたところ、こちらの記事にヒットしました。
私のブログの記事でリンクさせていただきました。
問題があれば削除致しますので、よろしくお願い致します。
返信する
どうぞよろしく ()
2008-09-21 20:39:56
ガーネットさん

はじめまして。
ブログ拝見しました。今後とも、サイトともども参考になりますといいです。


返信する

コメントを投稿