日本の児童文学の歴史は、描写と物語性のバランスの変遷とも言えます。
もともとは大人が子どもに物語るところから出発した児童文学は、自然主義文学の影響を受けて作品の中に情景描写や心理描写が取り入れられるようになります。
その後、小川未明たちの近代童話では、物語性よりも詩的な描写が優先されるようになります。
1950年代にスタートした現代児童文学においては、近代童話などが批判されて、散文性の獲得や面白さの追求のために、今度は物語性が前面に現れてきます。
その場合には、アクション(主人公の行動)とダイアローグ(会話)で物語が進められて、情景描写や心理描写は最小限にとどめた作品が主流になってきます。
しかし、1980年代ごろから児童文学の多様化が進み、一般文学のような描写を主体とした小説的な作品が登場します。
現在の児童文学の世界では面白さの追求に偏ったエンターテインメントが主流になっていますが、一方で多様化がますます進み描写だけで勝負する幻想的で雰囲気のある作品(未明たちの近代童話へ先祖返りしているともいえます)も出現するようになりました。
もともとは大人が子どもに物語るところから出発した児童文学は、自然主義文学の影響を受けて作品の中に情景描写や心理描写が取り入れられるようになります。
その後、小川未明たちの近代童話では、物語性よりも詩的な描写が優先されるようになります。
1950年代にスタートした現代児童文学においては、近代童話などが批判されて、散文性の獲得や面白さの追求のために、今度は物語性が前面に現れてきます。
その場合には、アクション(主人公の行動)とダイアローグ(会話)で物語が進められて、情景描写や心理描写は最小限にとどめた作品が主流になってきます。
しかし、1980年代ごろから児童文学の多様化が進み、一般文学のような描写を主体とした小説的な作品が登場します。
現在の児童文学の世界では面白さの追求に偏ったエンターテインメントが主流になっていますが、一方で多様化がますます進み描写だけで勝負する幻想的で雰囲気のある作品(未明たちの近代童話へ先祖返りしているともいえます)も出現するようになりました。
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