不適切な表現に該当する恐れがある内容を一部非表示にしています

現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

白土三平「山盗りの巻」カムイ伝所収

2019-11-07 16:29:06 | コミックス
 ついに日置藩は幕府に取り潰され、領主も、城代家老も、江戸家老も、目付も殺されました。
 しかし、それは正義が行われたのではなく、さらに大きな権力(幕府)のため(家康がの出であることを隠ぺいする)のものでした。
 主な登場人物も、それぞれの夢に行き詰まり、窮地に立たされていきます。
 カムイ(元の忍者)は抜け忍となり、追手に追い詰められていきます。
 正助(百姓)は、夢屋七兵衛(商人)の裏切りにより、隠し銀山に閉じ込められます。
 夢屋自身も、夢、夢と大きなことを言っていますが、単なる金の亡者である本心が明らかになっていきます。
 赤目(カムイの忍者としての師で抜け忍)も、夢屋の正体を知って袂を分かちます。
 草加竜之進(武士)は念願の日置藩滅亡は果たしますが、それは単に権力者の交代にすぎないことを悟ります。
 カムイ伝(第一部)の連載は1964年から1971年ですが、この漫画の人気と作品自身の魅力の背景には、60年代後半の革新勢力の隆盛と高揚がありました。
 これらは、70年安保の革新側の敗退を境に衰退していくのですが、それと時を同じくするように、「カムイ伝」の主人公たちの未来も行き詰まりを見せています。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 板垣巴留「BEASTARS4」 | トップ | 「シャルル=フランソワ・ドー... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

コミックス」カテゴリの最新記事