現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

動物児童文学の分類

2021-06-14 14:04:02 | 考察

 児童文学において、動物文学は一つのジャンルを形成しています。
 それらにはいろいろなタイプがあって、以下のように分類できます。

1.ノンフィクション
 フィクションの部分はなく、動物の生態をそのまま描いています(ファーブル「昆虫記」、伊谷純一郎「高崎山のサル」など)。

2.ノンフィクション風物語
 一見、ノンフィクションのようですが、そこにフィクションを加えています(シートン「動物記」、椋鳩十や戸川幸雄の作品など)

3.動物主人公物語
 動物の生態はそのままですが、動物の視点で描かれています(ジャック・ロンドン「野生の呼び声」、シートンや椋鳩十や戸川幸雄の作品にもあります)。

4.動物の世界をファンタジーで描いた物語
 動物の生態はいかされていますが、様々なレベルの擬人化がなされています(アダムス「ウォーターシップダウンのうさぎたち」、マージェリー・シャープ「ミス・ビアンカ・シリーズ」、斉藤敦夫「冒険者たち」、宮沢賢治「よだかの星」、キップリング「ジャングルブック」、ポッター「ピーター・ラビット」シリーズ、ホワイト「シャーロットの贈り物」、いぬいとみこ「ながいながいペンギンの話」など)

5.動物が主人公のファンタジー
 動物を主人公にしていますが、まるで人間のように生活しています(ケネス・グレアム「たのしい川辺」、ミルン「くまのプーさん」(ぬいぐるみですが)、ボンド「くまのパディントン・シリーズ」、神沢利子「くまの子ウーフ」、ジョージ・オーウェル「動物農場」など)

 以上はかなり大雑把な分類ですが、擬人化度や動物の生態の厳密さなどにより、4や5はさらに細かく分けられます。
 新たに動物児童文学を創作する場合には、以上の先行作品を参考にして、自分の作品の世界観を構築するといいでしょう。


たのしい川べ (岩波少年文庫 (099))
クリエーター情報なし
岩波書店

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 今野勉「宮沢賢治の真実」 | トップ | インターステラー »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

考察」カテゴリの最新記事