ドキュメンタリー・タッチの、国際事件を扱ったエンターテインメントの巨匠である作者が、1974年に発表した作品です。
アフリカの小国で偶然発見された膨大なプラチナの利権を独占するために、イギリスのコングロマリットのオーナーが傭兵を使ってクーデターを起こすという、奇想天外のストーリーを、作者独特の緻密な取材をもとにリアリティを持って描いています。
また、傭兵たちがコングロマリットを裏切って、クーデターで独裁者を打倒した国を、アフリカの難民たちを中心にした国家にしようとするラストも、エンターテインメントらしくスカッとします。
実際の戦闘シーンは最後に少し描かれているだけで、周到な準備(傭兵たちの戦闘準備だけでなく、コングロマリット側による周囲に知られずに利権を独り占めするための姑息な準備の様子も詳しく描かれています)に、文庫本で上下二冊に渡る長編の大半の紙数を割いているので、こうしたマニアックな話が好きではない読者には退屈かもしれません。
しかし、ろくに取材もせずに書き飛ばしている日本のエンターテインメントに辟易している目で見ると、やはり取材による裏付けはこうした作品では重要だなと改めて考えさせてくれます。
また、この作品には、とんでもない裏話があります。
このストーリーとほぼ同じプランで、フォーサイスがスポンサーになって、当時の赤道ギニア共和国という西アフリカの国で、実際に傭兵が中心になったクーデターで政府を転覆させ、当時世界的に問題になっていたビアフラの難民を中心とした国を建設しようとしていた(途中で挫折しますが)という噂があったのです。
フォーサイス自身は否定しているようですが、彼には「ビアフラ物語」というノンフィクションの作品もあり、まんざら可能性がなかったわけではないようです。
アフリカの小国で偶然発見された膨大なプラチナの利権を独占するために、イギリスのコングロマリットのオーナーが傭兵を使ってクーデターを起こすという、奇想天外のストーリーを、作者独特の緻密な取材をもとにリアリティを持って描いています。
また、傭兵たちがコングロマリットを裏切って、クーデターで独裁者を打倒した国を、アフリカの難民たちを中心にした国家にしようとするラストも、エンターテインメントらしくスカッとします。
実際の戦闘シーンは最後に少し描かれているだけで、周到な準備(傭兵たちの戦闘準備だけでなく、コングロマリット側による周囲に知られずに利権を独り占めするための姑息な準備の様子も詳しく描かれています)に、文庫本で上下二冊に渡る長編の大半の紙数を割いているので、こうしたマニアックな話が好きではない読者には退屈かもしれません。
しかし、ろくに取材もせずに書き飛ばしている日本のエンターテインメントに辟易している目で見ると、やはり取材による裏付けはこうした作品では重要だなと改めて考えさせてくれます。
また、この作品には、とんでもない裏話があります。
このストーリーとほぼ同じプランで、フォーサイスがスポンサーになって、当時の赤道ギニア共和国という西アフリカの国で、実際に傭兵が中心になったクーデターで政府を転覆させ、当時世界的に問題になっていたビアフラの難民を中心とした国を建設しようとしていた(途中で挫折しますが)という噂があったのです。
フォーサイス自身は否定しているようですが、彼には「ビアフラ物語」というノンフィクションの作品もあり、まんざら可能性がなかったわけではないようです。
戦争の犬たち (上) (角川文庫) | |
篠原 慎 | |
角川書店 |