コンピュータ・システムを構築する世界では、よく人月、という言葉が使われる。
これはプロジェクトでコンピュータ・システムを構築完了するのには、述べ何人必要である、というのを月単位に換算したものだ。例えば、120人月かかるというプロジェクトがあったとする。これは大抵1年間の12ヶ月で完了し、10人の人間を投入すると120人月になる。ここで工期を短縮したりしたい場合、ごくごく極めて単純に考えればある月を一ヶ月だけ20人投入すれば11ヶ月で終了することになる。
やっていることは土方とあまり変わらない。
ただここに誤りがある。
この人月換算は熟練度を無視している。
コンピュータの言語的、システム的、ネットワーク的スキルがあるかどうかというのは、一応スキルマッチを考慮しているが、大抵はゲタを履かせている。
この人員の熟練度に関する教育や修練はそれぞれ自社の投資の中で行うべきだが、現場で憶えることが多い。
現状のプロジェクトは駆け足で走りながら、人員を習熟させるものが多い。
だが成長時間を見込まなければ長期的に組織として勝利を収めることができない。
企業はそれらを無視しがちで、なおかつ社会はそれらを許容しているのが、許せざる実態なのである。