本当だよ。戦前に比べても現代の働きっぷりは行きすぎだよ。
官僚も教師もサラリーマンも。
昔なんてあれだよ、24時間で仕事する人なんて上田ハーローの人くらいで、その代わり給料はめちゃくちゃよかった。
でもいまの2000年代は、給料が月20万でも深夜でも叩き起こされるからね。みんな本当文字どおりフラフラになって働いている。雇用側はどういう了見してんだという。
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フランス人が日本人の働き方に感じる「恐怖」
「忙しいこと」がなぜステータスなのか
2017年04月13日
http://toyokeizai.net/articles/-/167286
日本に住み始めた当初、「日本で仕事するために知っておきたいこと」というゼミを受けたことがある。いちばん記憶に残っているのは「ほうれんそう」といった上下関係の重要さや「お先に失礼します」といったあいさつの使い分けだ。また、日本人は自分の仕事をどれだけ頑張っているかを人に見せるのが好きだという話もあった。社長が帰る前に社員が職場を去るのに抵抗があることや、暇なときに形だけパソコンをカタカタと打つフリをするといった話を聞いた。
私の国、フランスでは、社長よりも先に職場を出るのに誰も抵抗を感じないし、仕事が暇になったとき、わざわざ何かしているフリをする必要を感じないから、自分にとって、日本人の「働き方」や「職場文化」は、とても新鮮で関心深いものだった。
思い返せば、確かに、日本の公立高校で働いていたとき、ある先生が顔をしかめて苦しそうな表情をしながら、職員室をドタドタと小走りで回っている、というちょっと滑稽なシーンを何度か見掛けた。本当に忙しければもっと一生懸命に走るだろうから、そうやって活発そうに見せることに満足感を感じているのだろうと推察した。
「頑張る」という言葉は、フランス語にない
一般的に、フランスで知られる日本人のイメージは、「働き者」「規律を守る」「礼儀正しい」「グループ精神で動く」などである。しかし、このポジティブな言葉の裏には、日本人が服従的で、進んで無理をし、マゾヒストのような人種といった否定的なイメージもある。
「harakiri ハラキリ」や「kamikaze カミカゼ」という言葉はヨーロッパでは誰もが1度は聞いたことがあるが、最近では「karoushi カロウシ」という単語をニュース記事などで目にすることがある。そのため、日本をよく知らないフランス人からすると、日本人は死に至るまで無理をする人たちという思い込みがある。
死という悲劇まで至らなくても、「頑張る」という言葉は、フランス語や英語、スペイン語ではぴったり当てはまる言葉が存在しない。仕方なく「ベストを尽くす」とか「努力をする」などと無理やり訳しているが、「頑張る」という概念は、良くも悪くも、日本独自の精神を表す言葉だと思う。
日本人とは逆に、フランス人は「仕事が嫌いで、バカンスばかりしている」というイメージがある。仕事が嫌いかはさておき、バカンス好きということは、真冬の時から夏休みをワクワクしながら計画し始めるので否定できない。友達と飲みに行っても、「次の休みはどこへ行くの? 海外旅行の予定は?」という話をよくする。どうしてフランス人と日本人はこうも正反対なのだろうか。
さて、日本語を勉強するフランス人が必ず覚えなければならないのが、「ご苦労さまです」「お疲れさまです」などの仕事にかかわる言葉だ。これらの表現は、「頑張る」と同様にフランス語には存在しない。「苦労」をすることがなんとなく強調かつ尊敬されているというのが伝わる。
また「一生懸命」という、日常的によく聞く日本語の初級レベルのこの四字熟語は、仕事などを達成したいことに命を懸けることをよく表している。私が日本に住んでいたときに、公立高校の室内や、外を歩いているとたまに工場の外壁にでかでかとその4文字が貼られていることにビックリした。フランスではとてもありえない風景だからだ。
日本人が驚くフランス人店員の愚痴
一方、フランス語で「仕事」「働くこと」「努力」を表す単語は「travail トラバーユ」という。日本の求人情報誌と同じ名前なので、聞いたことがある人も多いと思う。あまり知られてないが、多くの言語学者によると、言葉の由来はラテン語の「tripalium トリパリウム」からきていて「拷問」という意味があるとされている(実は、出産直前の強い陣痛も同じ「travail トラバーユ」という言葉だ)。
大気汚染で曇りっぱなしのパリの灰色の風景を、渋滞で動かない車の窓から眺めながら、1人で愚痴言いながら職場に向かうフランス人には、このいかにも苦しそうな「トラバーユ」というイメージはぴったり当てはまる。
しかも、フランス人の場合、単に仕事が嫌いというよりも、「仕事がどれだけ嫌いか」を話のネタにするのが好き、という国民性がある。週末に友人と集まってはお酒を注ぎながら1週間のストレスを忘れるかのように、職場の愚痴大会を開催するのはよくあること。初対面の店員さんと雑談しているとき、その店員が「今日は忙しくてすっごく大変だったよ! もうぐったりだから早くも帰りたい!」というのも珍しくない。これには、フランスに住み始めたばかりの日本人も驚くようだ。
逆に、私が日本で働いていたときに気がついたのは、「忙しい」という言葉に日本人がどれだけ価値を見いだしているかということだ。
日本に来た当時、20代の日本人の友達に「最近どう?」と聞くと、「仕事忙しい!」もしくは「忙しい」というワンパターンの返答が多かった。東京の通勤時間や、都会のハイペースな生活のせいなのか。実際、なぜ忙しいのかわからなかったが、この言葉を聞くたびに、「このままでは大変だ。どうにか友達の『忙しい』を解決してあげる方法はないか」と頭をフル回転させて、必死に考えた。
しかし、時間が経てば経つほど、日本人はみんな自分の生活の慌ただしさとは関係なく、「元気にしているよ」と言う代わりに「忙しい」と言っているのかもしれないことに気づいた。そもそも日本では、仕事や生活が忙しいというのが、社会的によいことだと見なされているから、そうやってアピールするのは、ある意味で「今人生は充実している」と同じことなのではないかと。
「忙しい」にはバリエーションがあって、「残業が終わらない」「職場で徹夜することが多い」「昨日は終電だった」「最近4時間しか寝てない」「昼ご飯を食べる時間なんてないよ」というようなことを、日本の学校で働いている頃はしょっちゅう聞いた。そのときは言わなかったが、実は、心の中で私はいつもゾッとしていた。
日本人にあこがれるときもある
何がそんなにショッキングかというと、知り合いが仕事で苦労をしていること自体ではなく、彼らが苦労話をまるで当然のように、しかも半分笑いながら語っていたことだ。この国の人たちは、どうやら苦しい状況を受け入れているだけでなく、忙しいことにプライドまで持っているようだった。そんな日本人たちに囲まれていると、自分も負けずに頑張るべきだという気持ちになったが、いくら私が日本好きで日本文化になじもうとしても、やっぱりそこはフランス人。日本人と競うのには限界があった。
もしそこまで仕事に時間を費やしていたら、人生におけるほかのこと(趣味、友達関係、家族)を楽しめなくなり、精神的に潰れてしまうだろう。職場で徹夜したら家族やフランスの友人にとても心配されるはずだ。4時間しか寝なかったら確実に倒れるし、そしてご飯をちゃんと食べなかったらヘルシーでいられない。運よく「外国人」というステータスのおかげで、そこまで頑張らなくても許されることも多く、けっこう助かった。
でも結局、日本人の友人とそういう話をしたとき、仕事も努力も嫌いではない私は、日本人と比べると体力的にも精神的にも弱虫で、こんな自分に比べると日本人はタフな人種なんだと、うっとうしい思いをしたことが何度もあった。
実をいうと、日本人の我慢強いところに少しあこがれるときもある。寝不足は電車や会議での仮眠という、フランス人が上手にまねできない特技でカバーしているようだし、毎日の風呂や温泉、マッサージなど超効率的な疲労回復法のおかげで長時間労働に耐えている。ひょっとしたらご飯に秘密の食材が入っているから、疲れてもあんなに元気でいられるのかもしれない。体力競争で勝ち目のない私は、こんなふうに考えることもある。
実際に、日本には他国にはない、リフレッシュ法があり、フランス人も真似すべきだと考えている。個人的には、温泉と和食の大ファンだ。これらは元気な日常生活を送るのに欠かせない「エネルギー」になると思っている。
とはいえ、日本人の「頑張り」について、正直なところ、みんなどこまで本当のことを言っているのか、本気でそんなに頑張りたいと思っているのか、それ以外に選択肢がないのか、疑問がある。実際のところ日本で働いていたとき、そしてフランスで日本人と仕事をしている今でも、私より遅くまで職場に残っている日本人は多い。
日本人と仕事をしたことがあるフランス人のビジネスマンからよく聞くのは、「日本人はまじめでやる気もあるし、丁寧でよく働くが、効率が悪い」という指摘だ。フランス人から見ると、日本人は形や細かいことにこだわりすぎて、重要な点にまで気がまわっていないように見える。フランスでは、「日本人はアリのような働き者」という表現がある。たくましく働くという意味もあるが、あまり考えずに働くというネガティブな意味で使うこともある。これはあくまでも、イメージなので悪くとらえないでほしい。
フランス人に欠けているものは
一方、フランス人に足りないのは「仕事にプライドを持つ」ということだ。フランスでは残念ながら、社会階級と同様で、仕事階級というようなものが存在する。いい大学を卒業し、大手企業でいい肩書を持って働く人と、学歴の低いパン職人では、社会的には別のレベルと見なされてしまう。フランスに住んでいた日本人の美容師が、「日本だったら美容師は経験を積めば給料も上がるし、キャリアアップできるが、フランスでは職人は一生給料がほとんど変わらないし、社会的にあまり認められてないから苦しい」と話していた。
日本では、どんな職に就いている人でも(自分の地位にひそかに苦しんでいるかもしれないが)、フランス人の私から見ればプライドを持って仕事をこなしているように見える。たとえば、日本ではトイレの清掃員も笑顔で、感じがものすごくいい。実は、これにはフランスから来た観光客も驚いている。
一方、フランスはどうか。フランスでは、清掃員や大工、工場ラインの作業員など、必ずしも学歴を必要としない仕事は、フランスでは移民、もしくは移民の子孫がほとんどという状況になっている。社会的地位が低く見られていることもあって、プライドを持ってこうした仕事をしている人に会うことはそんなにない。
まとめると、日本人には「プライドを持ったいい頑張り」と「人目を気にする悪い頑張り」の2種類があるような気がする。同僚や会社、社会からよく思われるためだけに努力をしても、いずれつまずくことがあるのではないだろうか。逆に、自分のやっていることが好きで、誇りを持てるのであれば、疲れずに頑張れるのだろう。
あなたの働き方はどちらだろうか?
もし、後者なら、フランス流にさっさと仕事を切り上げて家に帰って、家族と一緒にゆっくりとバカンスのことを計画しながら、人生をゆったり過ごすのもひとつの方法かもしれない。
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