それでもやりようはあるのでは
私はこれを踏まえた上での電子マネー推進派です。
ただ、日常の買い物に限定すべきで、基礎的な部分は現金を使用しての取引をすべき、と。
ただ、今回の件は電子マネーをいかに推進するか、と言う側面ではなく、電子マネーが使用できなくなった時にバーターが起きたと言う事例なので、そのネタをストックする意味でのニュース引用。
<
サイバー先進国・中国で「キャッシュレス」「スマート社会」が終わった日
突然、インターネットにつながらなくなり…
2021/08/24
https://bunshun.jp/articles/-/48097
スマートフォンひとつで何でもできるネット先進国中国。その中国で、もしもインターネットがつながらなくなったらどうなるのか。ものすごい有事にでもならない限り起きえないと思ってましたが、オリンピックの直前にひっそりと起きていました。
内陸の河南省に、前例がないほどの豪雨
世界的に報じられる東京オリンピック開催直前、中国でもこれからメダルラッシュで国威発揚というタイミングで大災害に見舞われました。内陸の河南省を前例がないほどの豪雨が襲ったのです。
日本でも豪雨、カナダでも気温が50度近くとなるなど、世界各地で記録的な異常気象がおきましたが、河南省でも想定外の治水能力を越えた雨が降り、川は氾濫して道路の多くが冠水。トンネルや地下鉄車両にも命を奪いかねない大量の水が流れ込むなど、インターネットに投稿された動画は中国中で反響を呼びました。
河南省省都・鄭州市は、中国の他の省都と同様の大都市です。全体的に30~40階建てかそれ以上の高層建築が立ち並び、新しく区画整理したエリアは未来都市のような景観となっていて、都市内を幅広の幹線道路と地下鉄数路線が走っています。その街の雰囲気や便利さは、他の都市と同じで金太郎飴のようでもあります。路上でも地下鉄車内でも人々は歩きスマホ上等ですし、ましてや今アフターコロナの中国ではスマホアプリの移動記録が健康証明を兼ねていて、ますますスマートフォンは欠かせなくなっています。
その鄭州やその周辺の都市で記録的豪雨が降りました。新郷という都市が、鄭州以上に大変な状態だったとか。当時の中国のTwitterのような短文投稿サービス「微博(Weibo)」を見ると、道路の水深が2mを越えているというつぶやきも確認できます。
現地住民が「これまでに経験したことのない大災害」というほどの大雨の結果、河南省全体で死者302人、行方不明者50人、家屋被害3万戸、水没車両はEV(電気自動車)を含め41万台に。中国全体で見ても近年例のない大水害となってしまいました。もっともこうした中で、水没車両を安く買い取り、動ける状態に修理して、中古車として販売しようと中国全土から買い注文があるそうです。
さて気になった報道がありました。この豪雨の結果、ネットが利用できなくなった、という話題を見たのです。調べてみると微博で現地住民が口をそろえて「水道もない、電気もない、ネットもない」という状態とのこと。ネットが水害で使えなくなったのです。ただ、どうもガスだけは使えたようで、床上浸水した家でガスを使って調理する動画も見られました。
現金を持たず、スマートシティを活用するサイバー社会の中国
中国といえば日本を超えたサイバー社会であることは知られているところです。
キャッシュレス決済サービスが広く普及し、現金を一切持たなくても買い物はできるし、バスも地下鉄もシェアサイクルも乗れる。ショッピングサイトでの買い物も有料動画視聴もクレジットカードなしでできるし、公共料金も支払える。さらに街中の道路やバスや駅などにカメラが設置され、スマートシティによって人や車の流れが把握されています。救急車を誘導するのもパトカーを誘導するのも要注意車両を把握するのも、コントロールルームから簡単にできるようになりました。
そんな積み重なったサイバーインフラが豪雨で使えなくなったのです。気になりますよね?
現地在住者の微博からのつぶやきによると、豪雨からしばらく、インターネットの信号がほぼなくなり、5Gでも4Gでもなく2Gが生命線になったとのこと。ゼロではないが限りなくゼロに近く、回線速度でいうと2kb/sという表示があるかないかくらいだそうです。たまにうまくいってメッセージングアプリの微信(WeChat)からテキストだけのメッセージが送れたといいます。
大型緊急災害救助型無人機「翼龍-2H」を出動させるも……
建物の低層階はちょっと電波状況がいいそうで、「今は下は電波がありましたか?」が挨拶になっていたという人もいました。とはいえ高層マンションですから家から移動するにも夏の停電中のビルの階段を上り下りしなければならないわけで、繋がるかもしれないネットを求め運動をしたという人は見つからず。しんどいですからね。停電しているので充電できず、スマートフォンのバッテリーが尽きてしまうのも困る。
中国は大型緊急災害救助型無人機「翼龍-2H」を基地局として出動させて、電波がつながるよう努力はしましたが、「中国は翼龍-2Hを出した、素晴らしい!」というメディア論調に対し、急に接続がよくなったという被災者の絶賛ツイートは確認できず、単なるアピールにとどまったようです。
ショートメールに助けられた人たちも
高層マンションに老人と大人と子供の大家族で住むというのは珍しくなく、老いた人は同じフロアの人々と困ってる中で話をして暇をつぶすというのは、中国生活をしていた身、想像ができます。毎日同じマンションで知らない人同士が麻雀や太極拳をしますからね。一方で集合住宅に住んでいながら、緊急時に同じ建物のフロアの人々と会話をすることもなく、電波が届くまでろうそくに火を灯し、ネットで会話できない孤独の中で復旧を待つネットユーザーもまたいました。他国のこととは思えません。
ただデータ通信はダメでも、ショートメールだけはつながりがマシだったそうです。だから知り合いにショートメールで連絡して、その知り合いが代理で微博や微信にて安否情報を伝える手法が見られました。またショートメールを受けたら、それを微博でツイートする有志も登場、多くの人が助けられたといいます。
ネットが復旧するまでの移動や地図サービス
豪雨の後に空は晴れ、水は引き、外を自由に歩けるようになり、電気が回復した後も、ネットの復旧はしばらく時間がかかりました。
ショートメールに助けられた人たちも
高層マンションに老人と大人と子供の大家族で住むというのは珍しくなく、老いた人は同じフロアの人々と困ってる中で話をして暇をつぶすというのは、中国生活をしていた身、想像ができます。毎日同じマンションで知らない人同士が麻雀や太極拳をしますからね。一方で集合住宅に住んでいながら、緊急時に同じ建物のフロアの人々と会話をすることもなく、電波が届くまでろうそくに火を灯し、ネットで会話できない孤独の中で復旧を待つネットユーザーもまたいました。他国のこととは思えません。
「豪雨から8日経っても電気と水がまだ来なくて狂いそう」というつぶやき(出典:微博)
「豪雨から8日経っても電気と水がまだ来なくて狂いそう」というつぶやき(出典:微博)
ただデータ通信はダメでも、ショートメールだけはつながりがマシだったそうです。だから知り合いにショートメールで連絡して、その知り合いが代理で微博や微信にて安否情報を伝える手法が見られました。またショートメールを受けたら、それを微博でツイートする有志も登場、多くの人が助けられたといいます。
ネットが復旧するまでの移動や地図サービス
豪雨の後に空は晴れ、水は引き、外を自由に歩けるようになり、電気が回復した後も、ネットの復旧はしばらく時間がかかりました。
移動についてはネットがつながらない場所ではシェアサイクルが使えず、配車サービスも使えず、代わりに白タクを捕まえます。トラックに声かけても乗せてもらうことができたとの声も。「乗せてもらっていいですか?」「いいよ! 自分で料金を決めて払ってくれ。地図は全体マップしか出ないから場所も金額もわからないんだ」――こんなやりとりがよくあったようです。
地図アプリもネットが普通に使えた際にダウンロードしたキャッシュが残るのみで、行った場所だけが運が良ければある程度細かく表示されるくらいです。当たり前にあった地図が使えなくなり、カーナビも使えなくなりました。中国全土のどこに新型コロナウイルス感染者がいて、ウイルス感染リスクがあるかという「健康コード」が運用されていますが、これも使えなくなりました(後日、全市民にPCR検査を実施したようです)。
では地図サービスはネットが使えない地域でまったく役立たないかというとそうでもなく、中国の有力地図サービスの「高徳地図」は、どこに救助が必要な人がいて、どういう状況で何が必要なのかを付記し地図上にピン留めする機能を追加しました。これを外部から救援を行う際に活用するというもので、なかなか役立ちそうな試みです。
キャッシュレス決済ができず、物々交換やツケ払い
ネットがつながらなくなると、乗り物も買い物もスマートフォンを活用したキャッシュレス決済が利用できなくなりました。フードデリバリーだって使えません。中国はキャッシュレス社会となって久しく、「現金を最近使っていない」「財布を持ってきてない」という人は珍しくなかったのですが、現金社会に逆戻りするわけです。……なんだけど、手持ちの現金がほとんどないし、ATMが水没して壊れている。さらに物不足の中でミネラルウォーターなどの値段が10倍にも跳ね上がってる。詰みです。
そうはいっても、家に老人がいるとキャッシュレス社会にフィットしてなかったので現金を抱えていることからある程度はなんとかなるものの、若者だけの家庭だとほとんどなにも支払えなくなります。そこで個人がバケツひとつもって物々交換をしていました。「家にストックしている冷凍餃子をはじめとした冷凍食品は停電で溶けてしまうので、ダメになる前に売ってしまおう」という人が売り、「生鮮は希少で何倍もの価格に跳ね上がっているから、むしろ冷凍食品を狙え」という人がマッチング。現金払いや物々交換がそこでおきたといいます。
また「ネットが繋がってから連絡するから後で払って貰えればいいよ。とりあえず名前と電話番号をメモして商品を持っていきな」と、キャッシュレスのツケ払いをする人や商店は多かったようです。知らない地元民同士が、後で払ってくれるという信用のもとに取引してるんですね。
2週間以上ネット遮断が続いた地域も
こうしたネットから遮断された生活は、地域により2週間以上あったとのこと。ネットが繋がるや、アリペイやウィーチャットペイには知人からの投げ銭入金記録が書き込まれ涙する人もいたとか。
中国メディアがどれだけ多くの人が寄付をし、政府は無人機を飛ばし、救援を行い、通信会社は復旧に努めたかを絶賛する記事を掲載し、フォロワーを増やしたいネットユーザーは心のこもっていない写真や薄い応援ポエムを送る一方、ネットがつながらない世界を生き抜いた現地の人々は、持てる限りの道具を活用してなんとか生き抜いていました。なんというか、インターネットが深く生活に根ざした今、災害に対してネットインフラはときに弱く、ネットインフラ被災者とそうでない人の災害に対する感覚は中国でもまったく別モノなのだなあと思ったのでした。
鄭州は大都市なので多くの人が発信していて状況を把握できますが、新郷や他の地方都市の情報は限られています。街中の買い物動画でまるで見ることのなかったフードデリバリーの出稼ぎ労働者は、電動二輪車が水没して壊れ、デリバリーの受注もなくて大丈夫なのでしょうか。何事もないことを願うばかりです。
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私はこれを踏まえた上での電子マネー推進派です。
ただ、日常の買い物に限定すべきで、基礎的な部分は現金を使用しての取引をすべき、と。
ただ、今回の件は電子マネーをいかに推進するか、と言う側面ではなく、電子マネーが使用できなくなった時にバーターが起きたと言う事例なので、そのネタをストックする意味でのニュース引用。
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サイバー先進国・中国で「キャッシュレス」「スマート社会」が終わった日
突然、インターネットにつながらなくなり…
2021/08/24
https://bunshun.jp/articles/-/48097
スマートフォンひとつで何でもできるネット先進国中国。その中国で、もしもインターネットがつながらなくなったらどうなるのか。ものすごい有事にでもならない限り起きえないと思ってましたが、オリンピックの直前にひっそりと起きていました。
内陸の河南省に、前例がないほどの豪雨
世界的に報じられる東京オリンピック開催直前、中国でもこれからメダルラッシュで国威発揚というタイミングで大災害に見舞われました。内陸の河南省を前例がないほどの豪雨が襲ったのです。
日本でも豪雨、カナダでも気温が50度近くとなるなど、世界各地で記録的な異常気象がおきましたが、河南省でも想定外の治水能力を越えた雨が降り、川は氾濫して道路の多くが冠水。トンネルや地下鉄車両にも命を奪いかねない大量の水が流れ込むなど、インターネットに投稿された動画は中国中で反響を呼びました。
河南省省都・鄭州市は、中国の他の省都と同様の大都市です。全体的に30~40階建てかそれ以上の高層建築が立ち並び、新しく区画整理したエリアは未来都市のような景観となっていて、都市内を幅広の幹線道路と地下鉄数路線が走っています。その街の雰囲気や便利さは、他の都市と同じで金太郎飴のようでもあります。路上でも地下鉄車内でも人々は歩きスマホ上等ですし、ましてや今アフターコロナの中国ではスマホアプリの移動記録が健康証明を兼ねていて、ますますスマートフォンは欠かせなくなっています。
その鄭州やその周辺の都市で記録的豪雨が降りました。新郷という都市が、鄭州以上に大変な状態だったとか。当時の中国のTwitterのような短文投稿サービス「微博(Weibo)」を見ると、道路の水深が2mを越えているというつぶやきも確認できます。
現地住民が「これまでに経験したことのない大災害」というほどの大雨の結果、河南省全体で死者302人、行方不明者50人、家屋被害3万戸、水没車両はEV(電気自動車)を含め41万台に。中国全体で見ても近年例のない大水害となってしまいました。もっともこうした中で、水没車両を安く買い取り、動ける状態に修理して、中古車として販売しようと中国全土から買い注文があるそうです。
さて気になった報道がありました。この豪雨の結果、ネットが利用できなくなった、という話題を見たのです。調べてみると微博で現地住民が口をそろえて「水道もない、電気もない、ネットもない」という状態とのこと。ネットが水害で使えなくなったのです。ただ、どうもガスだけは使えたようで、床上浸水した家でガスを使って調理する動画も見られました。
現金を持たず、スマートシティを活用するサイバー社会の中国
中国といえば日本を超えたサイバー社会であることは知られているところです。
キャッシュレス決済サービスが広く普及し、現金を一切持たなくても買い物はできるし、バスも地下鉄もシェアサイクルも乗れる。ショッピングサイトでの買い物も有料動画視聴もクレジットカードなしでできるし、公共料金も支払える。さらに街中の道路やバスや駅などにカメラが設置され、スマートシティによって人や車の流れが把握されています。救急車を誘導するのもパトカーを誘導するのも要注意車両を把握するのも、コントロールルームから簡単にできるようになりました。
そんな積み重なったサイバーインフラが豪雨で使えなくなったのです。気になりますよね?
現地在住者の微博からのつぶやきによると、豪雨からしばらく、インターネットの信号がほぼなくなり、5Gでも4Gでもなく2Gが生命線になったとのこと。ゼロではないが限りなくゼロに近く、回線速度でいうと2kb/sという表示があるかないかくらいだそうです。たまにうまくいってメッセージングアプリの微信(WeChat)からテキストだけのメッセージが送れたといいます。
大型緊急災害救助型無人機「翼龍-2H」を出動させるも……
建物の低層階はちょっと電波状況がいいそうで、「今は下は電波がありましたか?」が挨拶になっていたという人もいました。とはいえ高層マンションですから家から移動するにも夏の停電中のビルの階段を上り下りしなければならないわけで、繋がるかもしれないネットを求め運動をしたという人は見つからず。しんどいですからね。停電しているので充電できず、スマートフォンのバッテリーが尽きてしまうのも困る。
中国は大型緊急災害救助型無人機「翼龍-2H」を基地局として出動させて、電波がつながるよう努力はしましたが、「中国は翼龍-2Hを出した、素晴らしい!」というメディア論調に対し、急に接続がよくなったという被災者の絶賛ツイートは確認できず、単なるアピールにとどまったようです。
ショートメールに助けられた人たちも
高層マンションに老人と大人と子供の大家族で住むというのは珍しくなく、老いた人は同じフロアの人々と困ってる中で話をして暇をつぶすというのは、中国生活をしていた身、想像ができます。毎日同じマンションで知らない人同士が麻雀や太極拳をしますからね。一方で集合住宅に住んでいながら、緊急時に同じ建物のフロアの人々と会話をすることもなく、電波が届くまでろうそくに火を灯し、ネットで会話できない孤独の中で復旧を待つネットユーザーもまたいました。他国のこととは思えません。
ただデータ通信はダメでも、ショートメールだけはつながりがマシだったそうです。だから知り合いにショートメールで連絡して、その知り合いが代理で微博や微信にて安否情報を伝える手法が見られました。またショートメールを受けたら、それを微博でツイートする有志も登場、多くの人が助けられたといいます。
ネットが復旧するまでの移動や地図サービス
豪雨の後に空は晴れ、水は引き、外を自由に歩けるようになり、電気が回復した後も、ネットの復旧はしばらく時間がかかりました。
ショートメールに助けられた人たちも
高層マンションに老人と大人と子供の大家族で住むというのは珍しくなく、老いた人は同じフロアの人々と困ってる中で話をして暇をつぶすというのは、中国生活をしていた身、想像ができます。毎日同じマンションで知らない人同士が麻雀や太極拳をしますからね。一方で集合住宅に住んでいながら、緊急時に同じ建物のフロアの人々と会話をすることもなく、電波が届くまでろうそくに火を灯し、ネットで会話できない孤独の中で復旧を待つネットユーザーもまたいました。他国のこととは思えません。
「豪雨から8日経っても電気と水がまだ来なくて狂いそう」というつぶやき(出典:微博)
「豪雨から8日経っても電気と水がまだ来なくて狂いそう」というつぶやき(出典:微博)
ただデータ通信はダメでも、ショートメールだけはつながりがマシだったそうです。だから知り合いにショートメールで連絡して、その知り合いが代理で微博や微信にて安否情報を伝える手法が見られました。またショートメールを受けたら、それを微博でツイートする有志も登場、多くの人が助けられたといいます。
ネットが復旧するまでの移動や地図サービス
豪雨の後に空は晴れ、水は引き、外を自由に歩けるようになり、電気が回復した後も、ネットの復旧はしばらく時間がかかりました。
移動についてはネットがつながらない場所ではシェアサイクルが使えず、配車サービスも使えず、代わりに白タクを捕まえます。トラックに声かけても乗せてもらうことができたとの声も。「乗せてもらっていいですか?」「いいよ! 自分で料金を決めて払ってくれ。地図は全体マップしか出ないから場所も金額もわからないんだ」――こんなやりとりがよくあったようです。
地図アプリもネットが普通に使えた際にダウンロードしたキャッシュが残るのみで、行った場所だけが運が良ければある程度細かく表示されるくらいです。当たり前にあった地図が使えなくなり、カーナビも使えなくなりました。中国全土のどこに新型コロナウイルス感染者がいて、ウイルス感染リスクがあるかという「健康コード」が運用されていますが、これも使えなくなりました(後日、全市民にPCR検査を実施したようです)。
では地図サービスはネットが使えない地域でまったく役立たないかというとそうでもなく、中国の有力地図サービスの「高徳地図」は、どこに救助が必要な人がいて、どういう状況で何が必要なのかを付記し地図上にピン留めする機能を追加しました。これを外部から救援を行う際に活用するというもので、なかなか役立ちそうな試みです。
キャッシュレス決済ができず、物々交換やツケ払い
ネットがつながらなくなると、乗り物も買い物もスマートフォンを活用したキャッシュレス決済が利用できなくなりました。フードデリバリーだって使えません。中国はキャッシュレス社会となって久しく、「現金を最近使っていない」「財布を持ってきてない」という人は珍しくなかったのですが、現金社会に逆戻りするわけです。……なんだけど、手持ちの現金がほとんどないし、ATMが水没して壊れている。さらに物不足の中でミネラルウォーターなどの値段が10倍にも跳ね上がってる。詰みです。
そうはいっても、家に老人がいるとキャッシュレス社会にフィットしてなかったので現金を抱えていることからある程度はなんとかなるものの、若者だけの家庭だとほとんどなにも支払えなくなります。そこで個人がバケツひとつもって物々交換をしていました。「家にストックしている冷凍餃子をはじめとした冷凍食品は停電で溶けてしまうので、ダメになる前に売ってしまおう」という人が売り、「生鮮は希少で何倍もの価格に跳ね上がっているから、むしろ冷凍食品を狙え」という人がマッチング。現金払いや物々交換がそこでおきたといいます。
また「ネットが繋がってから連絡するから後で払って貰えればいいよ。とりあえず名前と電話番号をメモして商品を持っていきな」と、キャッシュレスのツケ払いをする人や商店は多かったようです。知らない地元民同士が、後で払ってくれるという信用のもとに取引してるんですね。
2週間以上ネット遮断が続いた地域も
こうしたネットから遮断された生活は、地域により2週間以上あったとのこと。ネットが繋がるや、アリペイやウィーチャットペイには知人からの投げ銭入金記録が書き込まれ涙する人もいたとか。
中国メディアがどれだけ多くの人が寄付をし、政府は無人機を飛ばし、救援を行い、通信会社は復旧に努めたかを絶賛する記事を掲載し、フォロワーを増やしたいネットユーザーは心のこもっていない写真や薄い応援ポエムを送る一方、ネットがつながらない世界を生き抜いた現地の人々は、持てる限りの道具を活用してなんとか生き抜いていました。なんというか、インターネットが深く生活に根ざした今、災害に対してネットインフラはときに弱く、ネットインフラ被災者とそうでない人の災害に対する感覚は中国でもまったく別モノなのだなあと思ったのでした。
鄭州は大都市なので多くの人が発信していて状況を把握できますが、新郷や他の地方都市の情報は限られています。街中の買い物動画でまるで見ることのなかったフードデリバリーの出稼ぎ労働者は、電動二輪車が水没して壊れ、デリバリーの受注もなくて大丈夫なのでしょうか。何事もないことを願うばかりです。
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今、私個人で経済社会そのものを見直す点検をしているが、既存における経済社会体制の崩壊と新しい経済社会体制の創出は何かを研究している。
一つの集塵的に得られる結果としての答えがここで出るかもしれない。
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人類史、迫る初の人口減少 繁栄の方程式問い直す
人口と世界 成長神話の先に(1)
2021年8月22日 11:00
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA021H00S1A600C2000000/?n_cid=SNSTW005
人類の爆発的な膨張が終わり、人口が初めて下り坂に入る。経済発展や女性の社会進出で、世界が低出生社会に転換しつつある。産業革命を経て、人口増を追い風に経済を伸ばし続けた黄金期は過ぎた。人類は新たな繁栄の方程式を模索する。
2064年にピーク
世界人口は2064年の97億人をピークに減少する――。米ワシントン大は20年7月、衝撃的な予測を発表した。
50年までに世界195カ国・地域のうち151が人口を...
>
一つの集塵的に得られる結果としての答えがここで出るかもしれない。
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人類史、迫る初の人口減少 繁栄の方程式問い直す
人口と世界 成長神話の先に(1)
2021年8月22日 11:00
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA021H00S1A600C2000000/?n_cid=SNSTW005
人類の爆発的な膨張が終わり、人口が初めて下り坂に入る。経済発展や女性の社会進出で、世界が低出生社会に転換しつつある。産業革命を経て、人口増を追い風に経済を伸ばし続けた黄金期は過ぎた。人類は新たな繁栄の方程式を模索する。
2064年にピーク
世界人口は2064年の97億人をピークに減少する――。米ワシントン大は20年7月、衝撃的な予測を発表した。
50年までに世界195カ国・地域のうち151が人口を...
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ヘゲモニー:
・基軸通貨を有する
・世界商品を有する
・金融や物流を支配する
ちなみにオランダは
・農業漁業商業造船業軍事力
これらを全て持っていたと言う解説をしています。
・基軸通貨を有する
・世界商品を有する
・金融や物流を支配する
ちなみにオランダは
・農業漁業商業造船業軍事力
これらを全て持っていたと言う解説をしています。
メモ。
このマルクスの「貨幣形態のゲネシスを解明する」はもっと簡素に、シンプルに、そして強力かつ別方向からの理解ができないかというのが私の目論見である。
また現在の世界商品はクラウドだろう。特にその主力がAWSになる。
そして世界商品に共通する根源の要素は何か。
それは、
・人の生活に必需である。
・ビジネスの発展に必需である。
・人の営為、欲望、欠落の穴埋め、欲望の増進のために必要なもの
となる。通信、映像産業、インフラ、コンピューティング、半導体、海運だろう。
今数カ年のスポットで興隆を極めているのは、コンテナ、フードデリバリー、製薬(ワクチン)など。
現在の停滞部分は、農業、漁業、造船など。
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世界市場・世界商品・世界労働(I
https://dlisv03.media.osaka-cu.ac.jp/contents/osakacu/kiyo/DB00010469.pdf
IV世界商品と「価値の世界的開展」
世界商品と世界貨幣,この二つが相対するのは,世界市場においてである.世界商品論を経済学批判体系のなかに位置づけようとするならば,まずこうした試みに有力な示唆をあたえる世界貨幣論を取りあげなければならない.そこで,テキストとして世界貨幣論のエセンスが凍縮されている『資本論』世界貨幣論の冒頭の一節を取りあげ見ていくことにしよう.
「国内流通部面から外に出るときには,貨幣は価格の度量標準や鋳貨や補助貨や価値章標という国内流通部面でできあがる局地的な形態をふたたび脱ぎすてて,貴金属のもとの地金形態に逆戻りする.世界貿易では諸商品はそれらの価値を世界的に開展する(ImWelthandelent-faltendieWarenihrenWertuniversell).したがってまた.ここでは諸商品にたいしてそれらの独立の価値姿態(selbstandigeWertgestalt)も世界貨幣(Weltgeld)して相称する.世界市場でははじめて貨幣は,十分な範囲にわたって,その現物形態(Naturalform)が同時に抽象的人間労働の直接に社会的な実現形態(gesellschaftlicheVerwirklichungs一・formdermenschlichenArbeitinabstracto)である商品として,機能する.貨幣の定在様式(Daseinsweise)はその概念(Begriff)に適合したものになる」70)(強調は引用者).
本節のキイポイントは,「世界貿易では諸商品はそれらの価値を世界的に開展する」という一文である.本節のテーマ,世界商品と「価値の世界的開展(universelleEntfaltung)」も,この一文からヒントをえた.世界商品の考察は世界貨幣のそれとともに後回しにして,さらにこの「価値の世界的開展」について見ると,ここではつぎの二つの問題が浮かびあがってくる.
第1に,「普遍的」とも「世界的」とも訳される≪universell≫,≪universal≫の意である.すぐあとに,「世界貨幣は,一般的支払手段,一般的購買手段,富一般(universalwealth)の絶対的社会的物質化として機能する」71)とあって,金銀など「富一般」(Reichtum肋erhaupt)の「富」を修飾する≪universal≫を「普遍的」,したがって≪universalwealth≫を「普遍的富」とする訳語が定着しているにもかかわらず,あえてこれを「世界的」と訳す意味はなにかという問題である。
第2に,≪entfalten≫(開展する),≪Enfatltung≫(開展)の経済学的含意はなにかという問題である.実は,この≪entfalten≫,≪Entfaltung≫ほ,価値形態論,とりわけ第I形態,すなわち「全体的または開展された価値形態(totaleorderentfalteteWertform)」74)に関連している.
この二つの問題は,一つの明確な方向を指向している.それは,価値形態論の世界的展開という方向である.もう20年もまえに筆者は,この方向の一つを,国際間における貨幣の相対的価値の差異の問題(注)のなかに見た.以下では,この世界的展開という方向をめざすための前提,マルクスによる価値形態論の展開を見ておくことにしたい.
(注)貨幣の価値と貨幣の相対的価値とは,明確に区別してかからなければならない.「貨幣の相対的価値は貨幣価値の諸商品の量による相対的表現であり,これは諸商品の貨幣形態または価格を転倒することによって得られる」75)
この貨幣の相対的価値においては,明らかに貨幣が相対的価値形態に立ち,諸商品が等価形態に立っている.したがって,貨幣および各商品の価値変動は,ともに貨幣の相対的価値の変動をひき起こすであろう.貨幣の相対的価値の変動は,一方の側の貨幣の価値変動および他方の側の各商品の価値変動の2要因のつぎのような組合せによって決定される・
第1に,貨幣の相対的価値は,他の各商品の価値が一定であれば,貨幣の価値変動に正比例して変動する.第2に,貨幣の相対的価値は,貨幣の価値が一定であれば,他の各商品の価値変動に逆比例して変動する.第3に,貨幣の相対的価値は,貨幣および他の各商品の価値が同時に変動するならば,その間の差等だけ変動することになるが,結局,これは第1または第2の場合に帰着する.国内において貨幣の相対的価値のこのような変動の組合せとして現われるものが,国際間では貨幣の相対的価値の国民的差異となって現われる76).筆者は,価値形態論の世的展開の一つを方向を,この国際間における貨幣の相対的価値の差異の問題のなかに見た.
「5台の寝台-1軒の家」というのは,「5台の寝台-これこれの額の貨幣」というのと「違わない」といったのは,アリストテレス77)である.価値形態の分析に最初に手をつけ,探究したこの天才が,ギリシアの奴隷制社会に生存していたがために,この寝台の価値表現において家が寝台のために表わしている共通の実体すなわち人間労働を発見するのに失敗した話は有名である.しかしそれにもかかわらず,マルクスは,「アリストテレスの天才は,彼が諸商品の価値表現のうちに一つの同等性関係(einGleichheitsverhaltniss)を発見しているという点で,まさに光り輝いている」78)(強調は引用老)と述べた.この短評の一節のなかに,価値形態論の本質が劉扶されている.ここでは,世界史上はじめて貨幣形態のゲネシスを解明するという大業をなしとげた,マルクスの『資本論』第1巻初版の価値形態論について見ることにする.
マルクスは,価値形態の分析をはじめるにあたって,「これまでは価値実体(Werthsubs・tanz)と価値量(Werthgr6sse)を規定しただけであるから」79)(強調は引用者),これの分析に向うといっている.ここで注意すべきは,価値形態が価値実体および価値量の規定によってはじめてその分析が可能となったということであり,価値形態が価値実体および価値量との内的で必然的な関係をもっているということである.
周知の通り,『資本論』第1巻初版本文の価値形態論の特徴のひとつは,現行版『資本論』第1巻にはない,第IV形態というものを展開していることである.第Iから第IIIまでの形態は,i「相対的価値の第1形態あるいは単純な形態」80),I「相対的価値の第2形態あるいは開展された(entfaltete)形態」81),III「相対的価値の第3形態あるいは第2形態を倒置しあるいは逆の関係に置いた形態」82)として,つぎのようになっている.
まず形態 I, これが国際価値論にたいしてもっている経済学的含意は,世界商品の相対的価値の量的規定性である.世界商品 リンネルの20エレが 1着の世界商品上着で表現されている.
I
20エレのリンネル-1着の上衣(X量の商品A-y量の商品B)
つぎに形態I,これの含意は,国際間における貨幣の相対的価値の差異である83).ただし,相対的価値形態に立つ20-レのリンネルの位置がなにがしかの額の世界貨幣に変わっていなければならない.そして,この世界貨幣の価値が何着かの上着,またはu量のコーヒー,またはV量の茶等々の国民商品の使用価値によって表現される場合の国民的差異,商品の量的差異が,問題の国際間における貨幣の相対的価値の差異にはかならない.
II
20エレのリンネル-1着の上着,または-u量のコーヒー,またはV量の茶,または-X量の鉄,
または-y量の小麦,または-等々(Z量の商品A-u量の商品B,または-V量の商品C,ま
たは-W量の商品D,または-X量の商品E,または-y量の商品F,または-等々)
さらに形態IIIは,つぎの通りである.
III
1着の上着-20エレのリンネル
u量のコーヒー-20エレのリンネル
V量の茶-20エレのリンネル
X量の鉄-20エレのリンネル
y量の小麦-20エレのリンネル
等々-20エレのリンネル
この形態IIIは,一見,形態I,すなわち1着の上着-20-レのリンネルにたち帰っているように見える.しかしこの形態Iは,もとの形態Iではなく,いまではさらに発展している.形態IIIにおいてほ,すべての商品は量的な差異があるにすぎず,1着の上着,u量のコーヒー,x量の鉄等々は,まず第1に,すべて20-レのリンネルに価値量としてイコールであり,第2に,価値実体としての対象化された人間労働の同じ量に等しい.この形態IIIからいいうることは,価値形態と価値量ばかりか価値実体との内的で必然的な関係を発見することにつきる.したがって,国際価値形態論を構成しようとすれば,その理論構成は,国際価値形態と国際価値量ばかりか国際価値実体との関係,すなわち量的に比較されるばかりか質的にも等置される関係を探究しなければならない.
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国際商品
https://kotobank.jp/word/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%95%86%E5%93%81-264668
広義には、国際的に大量の取引が行われる商品をさすが、狭義には、品質が規格化・標準化されていて、同一銘柄の商品は原産国がどこであろうと均一の品質をもつ商品をいう。したがって、国際商品は、統一化・組織化された国際市場で取引され、国際的な需給関係をもつものである。そして、現在から将来にかけての需給関係に関する情報に対して市場が反応し、それによって国際相場が形成され、それが国際商品相場として全世界に報道される。
このような性格をもつ商品には一次産品が多く、金がその典型的な例である。これに対して、加工度の高い工業製品の場合には、品質や細部の設計に相違が生じるから、規格化・標準化がむずかしく、国際商品のような統一化・組織化された国際市場はみいだせない。したがって、工業製品の大半は準国際商品といわれる。こういった国際商品は自由競争市場で取引されているために、需給関係の変化が価格に鋭敏に反映される。しかも国際商品の多くは一次産品であり、その需要・供給の価格弾力性は概して低く、そのために市場メカニズムが十分に機能しない。こうして、国際商品相場は激しく変動し、世界各国に直接間接の影響を及ぼすことになる。これに対処して、国際的に需給の調整を図り、価格を安定化させようとする一施策が国際商品協定である。
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こくさい‐しょうひん
https://kotobank.jp/word/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%95%86%E5%93%81-264668
世界市場で取引の対象となる商品。国際的な単一価格で成立する傾向をもつもの。金、銀、小麦、石油、羊毛、綿花、砂糖など。
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こくさいしょうひん【国際商品】
https://kotobank.jp/word/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%95%86%E5%93%81-264668
国際的に大量かつ自由に取引され,相場が需給関係に敏感で,しかも特定市場の形成価格が国際的に取引の指標とされる商品をいう。こうした条件を満たす商品はまず一次産品(〈一次産品問題〉の項参照)が中心である。一次産品国ということばがあるように,おおまかには国際商品の供給国は発展途上国であり,その輸入国は先進国という色分けができる。そしてこの間に,特定産品の大手供給者であり,同時にある商品では大口輸入国であるアメリカと,ソ連,中国を中心とする共産圏諸国が売手,買手の二つの顔をもって介在する構造が近年まで続いてきた。
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【商品価格指数】より
https://kotobank.jp/word/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%95%86%E5%93%81-264668
…日経商品指数は景気指標として作成されたため,その採用品目は需給の変化をすばやく相場に織り込み,しかも国内での重要な工業原材料に絞られている。また採用品目中,非鉄金属,天然ゴム,アメリカ産大豆などの国際商品,それに綿糸,毛糸,砂糖など原料を輸入に仰いでいるため海外原料相場の影響を強く受ける準国際商品が含まれている結果,海外要因も反映し,国際商品価格指数の性格も併せもつ。採用している価格は,それぞれの商品の各取引段階のうち最も需給の変化に敏感な段階のものに限っているうえ,全国の指標とされている地域のものを選んでいるのが特徴である。…
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世界初の「グローバル商品」は何だったのか?
【連載】ビジネスに効く! 世界史最前線(第8回)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54441
「世界が一体化する」というのは、どういう事象を指すのでしょうか? 1つの捉え方としては、世界中のすみずみに同じ商品が行き渡るようになる、ということだと言えます。ある商品を介して「世界が一体化する」わけです。
現在では、世界中のどこにいても、インターネットによって目的の商品を購入することが可能です。さまざまなグローバル商品によって世界中の地域が一体化しています。これこそグローバリゼーションの究極の姿とも言えるでしょう。ア
マゾンでボタンをクリックすれば、世界中の商品が手に入ります。インターネット登場前の時代には想像できなかった世界が実現されているのです。
では史上初の「グローバル商品」とは一体何だったのでしょうか? それは、「綿製品」でした。綿こそが、世界を一体化させた最初の商品だったのです。
18世紀後半のイギリス産業革命は、一般的に綿織物工業によって始まったとされます。このとき、イギリスの綿製品が世界中を席巻し、「グローバル商品」になっていったのです。
では、綿はどういう過程をたどってグローバル商品になっていったのか。これから3回にわたって、その経過を見ていきたいと思います。
熱帯から寒冷地に至るまで人々に欲された「綿」
綿は、多年生のワタ植物(ワタ属アルボレウム)に属します。
綿栽培の最古の遺跡はメキシコで発見されており、すでに約8000年前には栽培されていたことが明らかになっています。
旧大陸では、現在のインドで約7000年前に木綿が栽培されていたことが分かっています。
また前2500~前1500年ごろのインダス川流域にあるモヘンジョダロの遺跡からは、綿織物を生産していた痕跡が見つかっています。
インドは現在でも、中国に次ぐ世界第2の綿花の生産量を誇っていますが、その源流はこれほどはるか昔にあるのです。
ただし世界的に見れば、このころの人類の衣服の素材として綿はそれほどメジャーなものではありませんでした。というのも、綿花は熱帯から亜熱帯にかけて生育する植物なので、比較的寒冷なヨーロッパなどでは栽培が難しかったからです。当初、その生産と流通は、ほぼインドに限られていました。
現代の分類では、主要な天然繊維として、羊毛、麻、綿、絹を「4大天然繊維」と呼んでいます。絹織物は昔も今の高級品で、庶民が手を出せるようなものではありませんでした。綿織物が庶民に行き渡るようになるのも、ずっと後の時代のことです。綿花栽培が盛んだったインダス川流域などを除けば、人々は麻やウールの衣類を身にまとっていたのでした。通気性に優れる麻は熱帯、亜熱帯の人々には好まれますが、保温性や柔軟性という点では難があります。ウールを使った毛織物は、保温性に優れ寒冷地の人には適していますが、逆に熱帯や亜熱帯の人には好まれません。
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このマルクスの「貨幣形態のゲネシスを解明する」はもっと簡素に、シンプルに、そして強力かつ別方向からの理解ができないかというのが私の目論見である。
また現在の世界商品はクラウドだろう。特にその主力がAWSになる。
そして世界商品に共通する根源の要素は何か。
それは、
・人の生活に必需である。
・ビジネスの発展に必需である。
・人の営為、欲望、欠落の穴埋め、欲望の増進のために必要なもの
となる。通信、映像産業、インフラ、コンピューティング、半導体、海運だろう。
今数カ年のスポットで興隆を極めているのは、コンテナ、フードデリバリー、製薬(ワクチン)など。
現在の停滞部分は、農業、漁業、造船など。
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世界市場・世界商品・世界労働(I
https://dlisv03.media.osaka-cu.ac.jp/contents/osakacu/kiyo/DB00010469.pdf
IV世界商品と「価値の世界的開展」
世界商品と世界貨幣,この二つが相対するのは,世界市場においてである.世界商品論を経済学批判体系のなかに位置づけようとするならば,まずこうした試みに有力な示唆をあたえる世界貨幣論を取りあげなければならない.そこで,テキストとして世界貨幣論のエセンスが凍縮されている『資本論』世界貨幣論の冒頭の一節を取りあげ見ていくことにしよう.
「国内流通部面から外に出るときには,貨幣は価格の度量標準や鋳貨や補助貨や価値章標という国内流通部面でできあがる局地的な形態をふたたび脱ぎすてて,貴金属のもとの地金形態に逆戻りする.世界貿易では諸商品はそれらの価値を世界的に開展する(ImWelthandelent-faltendieWarenihrenWertuniversell).したがってまた.ここでは諸商品にたいしてそれらの独立の価値姿態(selbstandigeWertgestalt)も世界貨幣(Weltgeld)して相称する.世界市場でははじめて貨幣は,十分な範囲にわたって,その現物形態(Naturalform)が同時に抽象的人間労働の直接に社会的な実現形態(gesellschaftlicheVerwirklichungs一・formdermenschlichenArbeitinabstracto)である商品として,機能する.貨幣の定在様式(Daseinsweise)はその概念(Begriff)に適合したものになる」70)(強調は引用者).
本節のキイポイントは,「世界貿易では諸商品はそれらの価値を世界的に開展する」という一文である.本節のテーマ,世界商品と「価値の世界的開展(universelleEntfaltung)」も,この一文からヒントをえた.世界商品の考察は世界貨幣のそれとともに後回しにして,さらにこの「価値の世界的開展」について見ると,ここではつぎの二つの問題が浮かびあがってくる.
第1に,「普遍的」とも「世界的」とも訳される≪universell≫,≪universal≫の意である.すぐあとに,「世界貨幣は,一般的支払手段,一般的購買手段,富一般(universalwealth)の絶対的社会的物質化として機能する」71)とあって,金銀など「富一般」(Reichtum肋erhaupt)の「富」を修飾する≪universal≫を「普遍的」,したがって≪universalwealth≫を「普遍的富」とする訳語が定着しているにもかかわらず,あえてこれを「世界的」と訳す意味はなにかという問題である。
第2に,≪entfalten≫(開展する),≪Enfatltung≫(開展)の経済学的含意はなにかという問題である.実は,この≪entfalten≫,≪Entfaltung≫ほ,価値形態論,とりわけ第I形態,すなわち「全体的または開展された価値形態(totaleorderentfalteteWertform)」74)に関連している.
この二つの問題は,一つの明確な方向を指向している.それは,価値形態論の世界的展開という方向である.もう20年もまえに筆者は,この方向の一つを,国際間における貨幣の相対的価値の差異の問題(注)のなかに見た.以下では,この世界的展開という方向をめざすための前提,マルクスによる価値形態論の展開を見ておくことにしたい.
(注)貨幣の価値と貨幣の相対的価値とは,明確に区別してかからなければならない.「貨幣の相対的価値は貨幣価値の諸商品の量による相対的表現であり,これは諸商品の貨幣形態または価格を転倒することによって得られる」75)
この貨幣の相対的価値においては,明らかに貨幣が相対的価値形態に立ち,諸商品が等価形態に立っている.したがって,貨幣および各商品の価値変動は,ともに貨幣の相対的価値の変動をひき起こすであろう.貨幣の相対的価値の変動は,一方の側の貨幣の価値変動および他方の側の各商品の価値変動の2要因のつぎのような組合せによって決定される・
第1に,貨幣の相対的価値は,他の各商品の価値が一定であれば,貨幣の価値変動に正比例して変動する.第2に,貨幣の相対的価値は,貨幣の価値が一定であれば,他の各商品の価値変動に逆比例して変動する.第3に,貨幣の相対的価値は,貨幣および他の各商品の価値が同時に変動するならば,その間の差等だけ変動することになるが,結局,これは第1または第2の場合に帰着する.国内において貨幣の相対的価値のこのような変動の組合せとして現われるものが,国際間では貨幣の相対的価値の国民的差異となって現われる76).筆者は,価値形態論の世的展開の一つを方向を,この国際間における貨幣の相対的価値の差異の問題のなかに見た.
「5台の寝台-1軒の家」というのは,「5台の寝台-これこれの額の貨幣」というのと「違わない」といったのは,アリストテレス77)である.価値形態の分析に最初に手をつけ,探究したこの天才が,ギリシアの奴隷制社会に生存していたがために,この寝台の価値表現において家が寝台のために表わしている共通の実体すなわち人間労働を発見するのに失敗した話は有名である.しかしそれにもかかわらず,マルクスは,「アリストテレスの天才は,彼が諸商品の価値表現のうちに一つの同等性関係(einGleichheitsverhaltniss)を発見しているという点で,まさに光り輝いている」78)(強調は引用老)と述べた.この短評の一節のなかに,価値形態論の本質が劉扶されている.ここでは,世界史上はじめて貨幣形態のゲネシスを解明するという大業をなしとげた,マルクスの『資本論』第1巻初版の価値形態論について見ることにする.
マルクスは,価値形態の分析をはじめるにあたって,「これまでは価値実体(Werthsubs・tanz)と価値量(Werthgr6sse)を規定しただけであるから」79)(強調は引用者),これの分析に向うといっている.ここで注意すべきは,価値形態が価値実体および価値量の規定によってはじめてその分析が可能となったということであり,価値形態が価値実体および価値量との内的で必然的な関係をもっているということである.
周知の通り,『資本論』第1巻初版本文の価値形態論の特徴のひとつは,現行版『資本論』第1巻にはない,第IV形態というものを展開していることである.第Iから第IIIまでの形態は,i「相対的価値の第1形態あるいは単純な形態」80),I「相対的価値の第2形態あるいは開展された(entfaltete)形態」81),III「相対的価値の第3形態あるいは第2形態を倒置しあるいは逆の関係に置いた形態」82)として,つぎのようになっている.
まず形態 I, これが国際価値論にたいしてもっている経済学的含意は,世界商品の相対的価値の量的規定性である.世界商品 リンネルの20エレが 1着の世界商品上着で表現されている.
I
20エレのリンネル-1着の上衣(X量の商品A-y量の商品B)
つぎに形態I,これの含意は,国際間における貨幣の相対的価値の差異である83).ただし,相対的価値形態に立つ20-レのリンネルの位置がなにがしかの額の世界貨幣に変わっていなければならない.そして,この世界貨幣の価値が何着かの上着,またはu量のコーヒー,またはV量の茶等々の国民商品の使用価値によって表現される場合の国民的差異,商品の量的差異が,問題の国際間における貨幣の相対的価値の差異にはかならない.
II
20エレのリンネル-1着の上着,または-u量のコーヒー,またはV量の茶,または-X量の鉄,
または-y量の小麦,または-等々(Z量の商品A-u量の商品B,または-V量の商品C,ま
たは-W量の商品D,または-X量の商品E,または-y量の商品F,または-等々)
さらに形態IIIは,つぎの通りである.
III
1着の上着-20エレのリンネル
u量のコーヒー-20エレのリンネル
V量の茶-20エレのリンネル
X量の鉄-20エレのリンネル
y量の小麦-20エレのリンネル
等々-20エレのリンネル
この形態IIIは,一見,形態I,すなわち1着の上着-20-レのリンネルにたち帰っているように見える.しかしこの形態Iは,もとの形態Iではなく,いまではさらに発展している.形態IIIにおいてほ,すべての商品は量的な差異があるにすぎず,1着の上着,u量のコーヒー,x量の鉄等々は,まず第1に,すべて20-レのリンネルに価値量としてイコールであり,第2に,価値実体としての対象化された人間労働の同じ量に等しい.この形態IIIからいいうることは,価値形態と価値量ばかりか価値実体との内的で必然的な関係を発見することにつきる.したがって,国際価値形態論を構成しようとすれば,その理論構成は,国際価値形態と国際価値量ばかりか国際価値実体との関係,すなわち量的に比較されるばかりか質的にも等置される関係を探究しなければならない.
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国際商品
https://kotobank.jp/word/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%95%86%E5%93%81-264668
広義には、国際的に大量の取引が行われる商品をさすが、狭義には、品質が規格化・標準化されていて、同一銘柄の商品は原産国がどこであろうと均一の品質をもつ商品をいう。したがって、国際商品は、統一化・組織化された国際市場で取引され、国際的な需給関係をもつものである。そして、現在から将来にかけての需給関係に関する情報に対して市場が反応し、それによって国際相場が形成され、それが国際商品相場として全世界に報道される。
このような性格をもつ商品には一次産品が多く、金がその典型的な例である。これに対して、加工度の高い工業製品の場合には、品質や細部の設計に相違が生じるから、規格化・標準化がむずかしく、国際商品のような統一化・組織化された国際市場はみいだせない。したがって、工業製品の大半は準国際商品といわれる。こういった国際商品は自由競争市場で取引されているために、需給関係の変化が価格に鋭敏に反映される。しかも国際商品の多くは一次産品であり、その需要・供給の価格弾力性は概して低く、そのために市場メカニズムが十分に機能しない。こうして、国際商品相場は激しく変動し、世界各国に直接間接の影響を及ぼすことになる。これに対処して、国際的に需給の調整を図り、価格を安定化させようとする一施策が国際商品協定である。
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こくさい‐しょうひん
https://kotobank.jp/word/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%95%86%E5%93%81-264668
世界市場で取引の対象となる商品。国際的な単一価格で成立する傾向をもつもの。金、銀、小麦、石油、羊毛、綿花、砂糖など。
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こくさいしょうひん【国際商品】
https://kotobank.jp/word/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%95%86%E5%93%81-264668
国際的に大量かつ自由に取引され,相場が需給関係に敏感で,しかも特定市場の形成価格が国際的に取引の指標とされる商品をいう。こうした条件を満たす商品はまず一次産品(〈一次産品問題〉の項参照)が中心である。一次産品国ということばがあるように,おおまかには国際商品の供給国は発展途上国であり,その輸入国は先進国という色分けができる。そしてこの間に,特定産品の大手供給者であり,同時にある商品では大口輸入国であるアメリカと,ソ連,中国を中心とする共産圏諸国が売手,買手の二つの顔をもって介在する構造が近年まで続いてきた。
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【商品価格指数】より
https://kotobank.jp/word/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%95%86%E5%93%81-264668
…日経商品指数は景気指標として作成されたため,その採用品目は需給の変化をすばやく相場に織り込み,しかも国内での重要な工業原材料に絞られている。また採用品目中,非鉄金属,天然ゴム,アメリカ産大豆などの国際商品,それに綿糸,毛糸,砂糖など原料を輸入に仰いでいるため海外原料相場の影響を強く受ける準国際商品が含まれている結果,海外要因も反映し,国際商品価格指数の性格も併せもつ。採用している価格は,それぞれの商品の各取引段階のうち最も需給の変化に敏感な段階のものに限っているうえ,全国の指標とされている地域のものを選んでいるのが特徴である。…
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世界初の「グローバル商品」は何だったのか?
【連載】ビジネスに効く! 世界史最前線(第8回)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54441
「世界が一体化する」というのは、どういう事象を指すのでしょうか? 1つの捉え方としては、世界中のすみずみに同じ商品が行き渡るようになる、ということだと言えます。ある商品を介して「世界が一体化する」わけです。
現在では、世界中のどこにいても、インターネットによって目的の商品を購入することが可能です。さまざまなグローバル商品によって世界中の地域が一体化しています。これこそグローバリゼーションの究極の姿とも言えるでしょう。ア
マゾンでボタンをクリックすれば、世界中の商品が手に入ります。インターネット登場前の時代には想像できなかった世界が実現されているのです。
では史上初の「グローバル商品」とは一体何だったのでしょうか? それは、「綿製品」でした。綿こそが、世界を一体化させた最初の商品だったのです。
18世紀後半のイギリス産業革命は、一般的に綿織物工業によって始まったとされます。このとき、イギリスの綿製品が世界中を席巻し、「グローバル商品」になっていったのです。
では、綿はどういう過程をたどってグローバル商品になっていったのか。これから3回にわたって、その経過を見ていきたいと思います。
熱帯から寒冷地に至るまで人々に欲された「綿」
綿は、多年生のワタ植物(ワタ属アルボレウム)に属します。
綿栽培の最古の遺跡はメキシコで発見されており、すでに約8000年前には栽培されていたことが明らかになっています。
旧大陸では、現在のインドで約7000年前に木綿が栽培されていたことが分かっています。
また前2500~前1500年ごろのインダス川流域にあるモヘンジョダロの遺跡からは、綿織物を生産していた痕跡が見つかっています。
インドは現在でも、中国に次ぐ世界第2の綿花の生産量を誇っていますが、その源流はこれほどはるか昔にあるのです。
ただし世界的に見れば、このころの人類の衣服の素材として綿はそれほどメジャーなものではありませんでした。というのも、綿花は熱帯から亜熱帯にかけて生育する植物なので、比較的寒冷なヨーロッパなどでは栽培が難しかったからです。当初、その生産と流通は、ほぼインドに限られていました。
現代の分類では、主要な天然繊維として、羊毛、麻、綿、絹を「4大天然繊維」と呼んでいます。絹織物は昔も今の高級品で、庶民が手を出せるようなものではありませんでした。綿織物が庶民に行き渡るようになるのも、ずっと後の時代のことです。綿花栽培が盛んだったインダス川流域などを除けば、人々は麻やウールの衣類を身にまとっていたのでした。通気性に優れる麻は熱帯、亜熱帯の人々には好まれますが、保温性や柔軟性という点では難があります。ウールを使った毛織物は、保温性に優れ寒冷地の人には適していますが、逆に熱帯や亜熱帯の人には好まれません。
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