多少は書かないとアレかな、と思ったので書いてみます。
万里の長城遭難、安全管理行政も検証…観光庁
読売新聞 2012年11月9日18時22分
引用
処分の理由は、〈1〉天候悪化などに伴う危険回避の判断基準を設定していなかった〈2〉携帯電話の電波状況を確認するなど通信手段の確保を怠った〈3〉定時連絡によって気象情報を提供するなど現地に的確な指導をするための仕組みを作っていなかった――ことだった。
今回の事故でも、添乗員は通信範囲の広い衛星電話ではなく、通常の携帯電話しか所持していなかった点や、ツアー決行を現地の判断に任せていた点、遭難時に定時連絡が行われていなかった点など、処分時の指摘が生かされていなかった疑いが強い。
引用おわり
アミューズトラベルが真摯に反省していなかったのはもちろんなのですが、一方で指摘されてきた問題点も的外れなのが結構多いんですよね。ひとつだけ例を挙げてみると、山を知らない会社の人間が現場のガイドにあれこれ指示したところでどんだけ有益なの?って思います。ちゃんとしたガイドなら入山前に気象情報を充分検討した上で行動するか否かを決定するでしょうし、ツアー中もラジオや携帯からのネットなどで情報収集します。通常はそれで充分です。普通のガイドならね。だって、普通の登山者は自宅から電話で天候の情報をもらいながら山に登るなんてこと、しないでしょ?それでもちゃんとしたベテラン登山者はフツーの山で気象遭難なぞまずしません。
トムラウシの大量遭難の問題点はいろいろあれど、一番のポイントは山岳ガイドがあれほどの風雨と低温状態の中にノータイムで特攻したことです。ツアーのスケジュールとか客からのクレームが怖いとか「遠くからわざわざ来たんだから」とか、様々な事情があっても、「この天候で行動したら確実に死ぬ」と思ったら、避難小屋から出発できるわけないですよ。要するに、目の前の天候を見て危険か否かを判断できる力が無かったのでしょう。だから通信手段の確保を怠ったとか、定時連絡をしてなかったとか、そういうのはどうでもいいことです。通信手段が確保できていても、山奥のさらに奥で遭難していたら無意味ですよ。
ツアーを主催する会社のほとんどはアミューズトラベルと同様、山を知らない人ばかりであり、別に珍しいことでも何でもありません。それでも他社がそんな大量遭難を起こさないのは、まともなガイドを外部から雇っているからです。ところがアミューズトラベルの場合、自社で適当な山好きをスカウトし、研修を受けさせてガイドに仕立てている、ということは何度も書きました。山を知らない人が山岳ガイドをスカウトしてきて、おまけに研修までさせているわけですから、ガイドの能力は全員ダメとまでは言わないものの、限度があるでしょう。
今回の事故を受けて旅行業界が海外ツアーにもガイドラインを作るとか、いろいろ動きが出始めていますけど、社員による下見だとか、衛星電話の携帯もたせろとか、マジでどうでもいいです。そんなことを検討する時間があるのなら、ちゃんとした山岳ガイドを選ぶ方法とか、育てる方法とか、テキトーなガイドを排除する方法をじっくり検討して欲しいものです。
それにしても、このニュースを見て、アミューズトラベルってつくづく無敵な会社だな、と思いました。
遭難後、登山ツアー強行 旅行社、中止要請聞かず
朝日新聞 2012年11月10日9時48分
引用
観光庁が中止を要請したが、「ベテランガイドもいるから大丈夫」と説明し、8日に出発した。
引用おわり
ここまでイケイケだと凄いですね。それに行ってしまうお客さんも・・・
で、こういう会社の存続を許してしまうのは、多くの登山者というか、日本人全体と言ってもいいと思いますけど、山での遭難死に対する認識がほとんど無いことの裏返しなのでしょう。
例えば○○産の果物から放射能が検出された、なんてニュースが流れれば、それが問題無い量であってもみんな過剰に反応します。食物は常に口にしているものですから、安全性については敏感になるのも無理はありません。が、それに比べると山の遭難事故ってのは、あまりにも日常から離れていて想像しにくいものなのでしょうね。
万里の長城遭難、安全管理行政も検証…観光庁
読売新聞 2012年11月9日18時22分
引用
処分の理由は、〈1〉天候悪化などに伴う危険回避の判断基準を設定していなかった〈2〉携帯電話の電波状況を確認するなど通信手段の確保を怠った〈3〉定時連絡によって気象情報を提供するなど現地に的確な指導をするための仕組みを作っていなかった――ことだった。
今回の事故でも、添乗員は通信範囲の広い衛星電話ではなく、通常の携帯電話しか所持していなかった点や、ツアー決行を現地の判断に任せていた点、遭難時に定時連絡が行われていなかった点など、処分時の指摘が生かされていなかった疑いが強い。
引用おわり
アミューズトラベルが真摯に反省していなかったのはもちろんなのですが、一方で指摘されてきた問題点も的外れなのが結構多いんですよね。ひとつだけ例を挙げてみると、山を知らない会社の人間が現場のガイドにあれこれ指示したところでどんだけ有益なの?って思います。ちゃんとしたガイドなら入山前に気象情報を充分検討した上で行動するか否かを決定するでしょうし、ツアー中もラジオや携帯からのネットなどで情報収集します。通常はそれで充分です。普通のガイドならね。だって、普通の登山者は自宅から電話で天候の情報をもらいながら山に登るなんてこと、しないでしょ?それでもちゃんとしたベテラン登山者はフツーの山で気象遭難なぞまずしません。
トムラウシの大量遭難の問題点はいろいろあれど、一番のポイントは山岳ガイドがあれほどの風雨と低温状態の中にノータイムで特攻したことです。ツアーのスケジュールとか客からのクレームが怖いとか「遠くからわざわざ来たんだから」とか、様々な事情があっても、「この天候で行動したら確実に死ぬ」と思ったら、避難小屋から出発できるわけないですよ。要するに、目の前の天候を見て危険か否かを判断できる力が無かったのでしょう。だから通信手段の確保を怠ったとか、定時連絡をしてなかったとか、そういうのはどうでもいいことです。通信手段が確保できていても、山奥のさらに奥で遭難していたら無意味ですよ。
ツアーを主催する会社のほとんどはアミューズトラベルと同様、山を知らない人ばかりであり、別に珍しいことでも何でもありません。それでも他社がそんな大量遭難を起こさないのは、まともなガイドを外部から雇っているからです。ところがアミューズトラベルの場合、自社で適当な山好きをスカウトし、研修を受けさせてガイドに仕立てている、ということは何度も書きました。山を知らない人が山岳ガイドをスカウトしてきて、おまけに研修までさせているわけですから、ガイドの能力は全員ダメとまでは言わないものの、限度があるでしょう。
今回の事故を受けて旅行業界が海外ツアーにもガイドラインを作るとか、いろいろ動きが出始めていますけど、社員による下見だとか、衛星電話の携帯もたせろとか、マジでどうでもいいです。そんなことを検討する時間があるのなら、ちゃんとした山岳ガイドを選ぶ方法とか、育てる方法とか、テキトーなガイドを排除する方法をじっくり検討して欲しいものです。
それにしても、このニュースを見て、アミューズトラベルってつくづく無敵な会社だな、と思いました。
遭難後、登山ツアー強行 旅行社、中止要請聞かず
朝日新聞 2012年11月10日9時48分
引用
観光庁が中止を要請したが、「ベテランガイドもいるから大丈夫」と説明し、8日に出発した。
引用おわり
ここまでイケイケだと凄いですね。それに行ってしまうお客さんも・・・
で、こういう会社の存続を許してしまうのは、多くの登山者というか、日本人全体と言ってもいいと思いますけど、山での遭難死に対する認識がほとんど無いことの裏返しなのでしょう。
例えば○○産の果物から放射能が検出された、なんてニュースが流れれば、それが問題無い量であってもみんな過剰に反応します。食物は常に口にしているものですから、安全性については敏感になるのも無理はありません。が、それに比べると山の遭難事故ってのは、あまりにも日常から離れていて想像しにくいものなのでしょうね。
それにしてもこれだけやらかしてるのに客が離れていかなっていうのは本当にすごい。私は団体ツアーの類は登山に限らず絶対行かないので、どういう気持ちで参加してるのか想像できませんが・・・。
または過去に登山をされていて体力の衰えを自覚されていない方。
一方十分に体力等あっても仕事等で時間が制約されている方、などなど。
ツアーに参加されている方はいろいろでツアー会社に同情してしまうこともあります。
実際、出発時に午後は雪になる予想をしていたみたいですし?予想より早く、激しい天候になったみたいですが?
問題なのは、行動不能に陥る前に撤退する判断をしなかった事ですね。
1つは、トムラウシで、出発段階で出発出来ないほど悪天候だったのか。
個人的には出発したことは自体は問題なくて、引き返さなかったこと、まともにビバーク出来なっかったことなんかが問題ありという認識でしたので。
もう一つは観光庁の中止要請。
これはどういう理由での要請なんでしょうかねぇ。
お役所的なパフォーマンスとしか思えませんけど。
しかし、トムラのときも思ったのですが、どうしてそういう会社に客が群がるのでしょう。自分の身が大事だと思えば、普通は参加しないですよね。安いからとか、参加のための審査が甘いからとかいう理由なのだとしたら、参加する客の意識も問題なんじゃないかなぁと思ってしまいます。
引率者責任(安全配慮義務違反)を問われて損害賠償請求される事案が増えている中で、保険に加入できないとなれば、お客が寄り付かなくなって業務継続に支障が出るでしょう。
トムラウシ以後もアミューズトラベルが集客できていた理由は、元アミューズ様が語る通りです。それに、お客さんはリピーターが多いですから添乗員やガイドと顔なじみなわけであり、彼らから直接聞く情報のほうが耳に入りやすいわけです。
774RR様
現地のガイドがどれだけのレベルなのかがまったく想像つかないのですが、おそらくは万里の長城に詳しいだけで、ガイディングについてはあまり評価できないような人だったのではないでしょうか。報道どおりだとすると行動時間のわりに下山時間が遅いですから、出発もなんか遅そうですし、そういうガイドでは早めの撤退とかできそうな気がしません。
「南半球はこれから夏。トレッキングは険しい道ではなく、晴れていれば半袖のTシャツでもできる」
トムラウシで大量死した時の季節は『夏』だったのに…、この説明は説得力0ですね。
悪天候時の判断が出来ないのに好天時の事だけ言われても…。
そもそも人は自分に都合の良い情報を信じる傾向があるからアミューズの説明にコロッと騙されちゃうんでしょうね。
催眠商法を彷彿させる位に講習会の説明は上手でしたよ~。