豊後ピートのブログ

元北アルプス槍ヶ岳の小屋番&白馬岳周辺の夏山パトロールを13シーズン。今はただのおっさん

ガイドレシオ

2007年09月05日 | ツアー登山、ガイド山行
ある日、山小屋の受付の前でウロウロしていると、「旅行業ツアー登山協議会ってご存じですか?」というチラシが目に付きました。

何気なく手に取ってみます。表には「ガイドライン」と「ガイドレシオ」という言葉があり、裏にはこの協議会に加盟しているツアー会社の一覧表がありました。

細かい内容は覚えていませんが、ようするに当協議会に加盟している各社はガイドラインとガイドレシオを定めて安全登山に尽力しています、ということのようです。


ちなみに「ガイドレシオ」とは、お客さんとガイドの比率です。ガイド1名で20人のお客さんを引っ張っていたら、ガイドレシオが1:20、というわけです。


東京に戻ってから、ネットで検索してみました。社団法人日本旅行業協会の中にある組織のようです。

旅行業ツアー登山協議会


で、このサイトの中に「ガイドライン」「ガイドレシオ」に関する記事があり、PDFファイルで読めるようになっていました。




最近「ガイドレシオ」が厳しくなった、という話をチラっと聞いていたのですが、実際に大雪渓やその他のコースでツアー登山を観察する限り、「どこが厳しくなったのだろう?」と疑問を抱かざるを得ませんでした。で、今回、この資料およびネット上にある情報からわかったのは、私が考えるガイドレシオとツアー会社が考えるガイドレシオが違う、ってことです。


前述のPDFファイルを見ますと、難易度1のコースでガイドレシオが最大1:15になっています。ではお客さんが30人いるとき、ガイドは2名必要なのか?と言えば、そうではないようです。ガイド1名と添乗員1名でOKです。

ガイドレシオとは言いますが、資料ではガイドも添乗員もすべて「引率者」となっています。旅行業ツアー登山協議会におけるガイドレシオは、お客さんとガイドの比率ではなくて、お客さんと引率者の比率なんですね。



正直、紛らわしいです。




私がガイドしていた頃、お客さんは最大で26名でした。これをガイド1名添乗員1名で引っ張ります。これを旅行業ツアー登山協議会のガイドレシオで考えると1:13となるわけですが、気分的には1:27です。

26名のうち半分をガイドである私が引っ張り、残りのお客さんは添乗員に任せてもいいのなら問題ありません。しかし実際にはガイドは添乗員を含めた全員の安全を確保する必要があります。山行中の安全は、ガイドが責任を負うのですから・・・・・

私が知る限り、山の添乗員には経験を積んだ人が多く、下手なガイドより頼りになることが多いのですが、それはまた別の話です。



そしてもうひとつ、このガイドレシオは加盟各社が守らなければならない基準というわけではありません。PDFファイルにも記載されていますが、あくまで参考資料であり、加盟各社はこれを参考にして独自の基準を作りなさい、というわけです。実際、ツアー会社各社のサイトを見てみますと「ガイドレシオを守っています」とは書いてありますが、その内容まで書いている会社はごく少数です。この理由は、その辺にあるのかもしれませんね。



このガイドレシオは、どちらかというと現状を追認したものであり、「基準を厳しく定めました」というほどのものではないと思います。

まぁ、ガイドレシオをもっと厳しくするとガイドの数が必要になり、ツアー料金が跳ね上がるでしょうけどね・・・



旅行業ツアー登山協議会に加盟しているツアー会社の一覧には、マジメにやっている会社もあれば、アレな会社も載っています。まあ、玉石混淆ですね。遅い時間に白馬尻を出発して、山小屋に午後6時過ぎに到着するような予定を組み、毎年山小屋の人をヤキモキさせるようなツアー会社の名前も載っています。もうちょっと何とかならないものでしょうか。



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