豊後ピートのブログ

元北アルプス槍ヶ岳の小屋番&白馬岳周辺の夏山パトロールを13シーズン。今はただのおっさん

吹っ飛んだ避難小屋

2007年09月21日 | 白馬岳など北アルプス北部ネタ
以前に大雪渓コースを登山した経験をお持ちの方なら、小雪渓の少し上に三角屋根の素敵なログハウスがあったことを覚えているでしょう。少々傾いていましたが。

この建物は避難小屋なのですが、他の山域の避難小屋と違っていつでも無料で宿泊できるわけではありません。一応、「緊急時のみ利用可能」となっています。白馬岳~朝日岳間にある雪倉の小屋も同様ですね。

そんなわけで、私が最終パトロールでここを通過する時には、必ず中を覗いて誰かいないか確認しています。で、宿泊目的の人が住んでたら、撤収をお願いするわけです。



その避難小屋ですが・・・・・・



冬の間に吹っ飛んでしまいました・・・・



参考記事/NPO法人ACT
2007年6月30日の記事
2007年7月9日の記事



ほぼ基礎から上が無くなっています。



夏山に入山した当初は小屋の周辺にバラバラとログ材が落ちているのを見つける程度でしたが、大雪渓の雪解けが進むに連れてログ材がとんでもないところまで流されているのを目にしました。最終的には、白馬尻の近くまで落ちているログ材を見つけています。

これだけ遠くまでログ材が飛んでいるってことは、春先の全層雪崩によるものではなく、冬の早い時期にホウ雪崩でやられたのかもしれません。

参考
Wikipedia 泡雪崩

実際、大雪渓上部で雪渓がズタズタになった部分を観察すると、下から1mほどの雪の中からログ材が見つかります。

避難小屋は大きな岩の陰にあり、少々の雪崩では大丈夫、だと思っていましたが、今年になってからよくよく観察すると、岩に隠れているのは小屋の半分程度ですね。これでは鉄筋コンクリートのビルを吹っ飛ばす破壊力を持ったホウ雪崩を喰らったら、一発でおしまいです。



元々、この避難小屋は緊急時の利用よりもトイレとして十数年前に建設されたものです。このトイレを作動させるために村営頂上宿舎から電線まで引いてあるのですが、トイレ利用者の見積もりが甘過ぎたために数日で満タンになり、使用不能になってしまったというシロモノです。

その後はトイレとしては使われなくなりました。噂では建設に2000万円使ったらしいのですが、もったいない話です。



今後、避難小屋をどうするのかについては、あちこちで話し合いがなされているようです。

大雪渓コースって、人気があって登山者が集中する割りには途中にトイレがないのが問題点です。しかも長時間雪の上を登りますから、冷えておなかの具合が悪くなるのも当然です。

避難小屋の跡に工事現場で使う移動式のトイレを持ってきて、シーズン終わったらヘリコプターで回収すればいい、なんて話も出ていますが、これに対しては環境省がウンと言わないようです。なんでも美観を損ねるから、だとか。

あちこちにウ○コとトイレットペーパーをバラ撒かれるよりは、いいと思うのですがね・・・・

ちなみに大雪渓では、用を足すために登山道をはずれた登山者が落石を起こし、下にいた登山者に当たって死んだ事故が以前発生しています。トイレのために登山道をはずれるのは得てして転落などの危険もありますので、どんなに緊急事態でも慎重にしたほうがいいですね。


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