豊後ピートのブログ

元北アルプス槍ヶ岳の小屋番&白馬岳周辺の夏山パトロールを13シーズン。今はただのおっさん

「登山」と「トレッキング」

2007年05月30日 | 白馬岳など北アルプス北部ネタ
信濃毎日新聞 2007/05/30
「登山」と「トレッキング」 明確に分け安全に

昨年の8月に白馬大雪渓で落石による死亡事故が発生しました。この時のツアーが「観光ツアー」なのに大雪渓を200m以上も登っていることを問題視した地元が、「登山」と「トレッキング」を区分することで山に関する知識が不十分な観光客による事故を防ごうと動き出したわけです。


白馬大雪渓では白馬尻にあるケルンを境界にして、それより上は「登山」であるとされ、猿倉に注意書きを書いた看板を出すとのこと。また八方尾根では八方池を境界にして、そこから唐松岳までを「登山」の区域とするようです。他にパンフレットを全国の旅行代理店などに配布して注意を呼びかけるといったことも行うようです。


従来「安全」なイメージばかりを強調していていた村としては、けっこう大きな方向転換だと思います。実際の評価は登山口に出される看板を見てからということにしておきますが、願うことなら「なるべく過激に」書いて欲しいものです。


個人的には白馬尻から上を「登山の世界」と定めることで、アレな登山者(観光客?)を注意しやすくなると思います。

なんせ大雪渓を登ってくる人の中には、すごい人達がいますからねえ。手提げバッグとか空身で葱平まで来るとかザラです。ハイヒールで大雪渓を登ってきたとか、九官鳥を入れたカゴをぶら下げて来たとか、理解不能な人々の伝説がパトロール隊員の間に残っています。


一方、「トレッキング」の区域と定めた場所については、事故の時に村の責任を問われる可能性が出てきます。「トレッキング」と定めた区域は観光客でもOKと村が太鼓判を押してしまったのと同様です。となると奥入瀬渓流の遊歩道と同様に管理責任があると見なされます。

八方尾根のコースでは木道が連続していますけど、しっかり固定されていないものがあります。またあのあたりの石は元々滑りやすい上に、多くの観光客が歩くことで磨かれています。石で滑った事故の責任まで、下手すると取らされる可能性が出てきますね。「トレッキング」コースの整備は、厳重にやっておかないといけません。また登山口に看板を出す場合、「トレッキング」の区域に関しても注意を呼びかけないとリスキーでしょうね。


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2 コメント

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同感です (makky)
2007-06-02 08:17:53
常々、「ハイキング」とか「トレッキング」という言葉には強い不快感を抱いております。

カタカナ言葉だと軽く見られてしまうんでしょうね。「登山」とは違う、「安全な山登り」であると。
そんなもの、あるわけないのに。

昔も今も、山が厳しい世界であることに変わりはないと思うんですが。
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トレッキングの語源 (bongo-pete)
2007-06-02 09:36:01
いつもコメントありがとうございます。

コメントを読んでいて、ふとトレッキングという言葉の語源を思い出しました。オランダ語が元なんですよね。

昔はは「重い荷物を引っ張りながら苦労して旅をする」というのが語源だと聞いていたのですが、今検索してみると、

「のんびり馬車で旅をする」

にすり替わっています。最初の意味ではイメージが悪すぎるので、広告屋が内容を変えてしまったのでしょう。そんな気がします。
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