豊後ピートのブログ

元北アルプス槍ヶ岳の小屋番&白馬岳周辺の夏山パトロールを13シーズン。今はただのおっさん

遠隔予防医療はうまくいくのかね

2008年12月11日 | 山ネタ そのほか
今回は強引に山ネタにカテゴライズしてみました。


慶應大、東京都奥多摩町で遠隔予防医療相談システムの実証実験
INTERNET Watch  2008/12/08 18:04


奥多摩の山間部にある集会所や公民館などに機器を設置して、都心にいる医師と直接医療相談ができるというシステムです。



なるほど


別記事見てみますと・・・・・・


ネットで「診察」実験開始
読売新聞  2008年12月5日

引用
この日は、同町の住民2人が、約80キロ離れた東京・日本橋の診療所医師、栗原毅さんを“受診”。糖尿病患者の男性(77)は、血液検査の結果から「いわゆるドロドロ血になっています。塩分は控えめに、漬物にしょうゆをかけたらダメですよ」などと指導を受けた。
引用おわり


他の記事も見てみましたが、診断に使用している機器は「血液サラサラ」を測定するためのものですね。で、「血液サラサラ」とか「血液ドロドロ」というと、コレとかコレとかコレなんかが参考になると思いますけど、個人的にはややアレな印象が否めません。

ていうか、普通に血圧とか体温とかはチェックしないのですかねえ。MC-FANという「血液サラサラ」測定装置ばかりが目立つんで、素人には疑問です。



で、なんでこんなに遠隔医療にカラみついているのかと言いますと、今を去ること十数年前、私が槍岳山荘にいた当時ですが、山小屋に衛星通信を用いた「遠隔医療」システムがありまして、様々な思いでがあるわけですね。

このシステムは、東京の某大学医学部の救急救命の部署に直接通信ができるというシロモノで、テレビカメラもついているわけです。東京から遠隔操作で山小屋内診療所のカメラを動かして患者の容態を診るとか、傍目には凄い機能がついています。

実際、医学生や看護師さんしかいない時には、コレがけっこう役に立つのです。東京にいるドクターから指導を受けられるので、少々腕が未熟でも何とかなります。

問題は、医学生も看護師もいない時です。

頭が痛いとか腹痛の時に無人の診療所へ行って、東京にいるドクターを呼び出してみるわけですが、大したことができないわけです。勝手に小屋番が自分で薬を投与したり、注射するわけにいかないですからね。東京にいるドクターも直接機器を使って診察するわけではありませんから、「安静にしてゆっくり休んでください」か「山を下りろ」ぐらいしか言えないことが多いです。

遭難者を運び込んできたとしても、結局小屋番しかいないとやれることは非常に少なくて、それなら「ドクターに相談してもしなくても同じ」という事態が多いのです。歩けない状態の人を数日の看護で復活できるならヘリコプターを呼ばずに済みますし、人力搬送もしなくて済みますから助かりますけどね。


結局、遠隔医療システムとはいえ、現地にはそれなりの人がいないとあまり役に立たないのではないかと、当時の経験から思っています。サラ金の無人契約機みたいにうまくいくかどうかは、何とも微妙というか、細かい工夫が必要な気がしますね。



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