豊後ピートのブログ

元北アルプス槍ヶ岳の小屋番&白馬岳周辺の夏山パトロールを13シーズン。今はただのおっさん

未だ出て来ぬ人々

2008年07月02日 | 遭難と救助について考える
日頃、遭難関係のニュースをチェックしていますと、行方不明から生還したニュースは大々的に報道されますが、行方不明になったまま見つからない場合には最初の一報だけで後はまったく報道されない、というケースがほとんどです。

鶴岡のタケノコ採り男性不明:遭難歯科医、捜索9年 関係者3人、今年も /山形
◇「あきらめきれぬ」遺族の思い背に 月山山開き、入山者次々
毎日新聞 2008年7月2日


行方不明事故が発生したのは今から9年前であり、その後県警によって5日間捜索されたものの見つからず、本人は失踪宣告されて死亡扱いとなっています。それでも遺族は諦めきれず捜索を続けているという話です。



北アルプスでの仕事に絡むようになってから十数年が経過していますが、その間に何人もの登山者について行方不明になったという話を聞き、その大半が見つからないまま忘れ去られています。北アルプスで森林限界を超えているところならヘリコプターによる捜索で簡単に見つかりそうな気がするのですが、意外に出て来ないものです。

とある著名なクライマーが北鎌で行方不明になった時は、半年以上にわたって毎週のように仲間が入山し、あちこち捜索しているのを見かけたものですが、大抵の遭難者は長くて10日ほど捜索されて、あとは偶然、通りがかりの誰かが見つけない限り、行方不明のままになります。



行方不明になったままで、今でも気になる人が2名ほどいます。一人は冬の北アルプス槍ヶ岳・硫黄尾根に単独で入山した若い男性で、遺留品をまったく残さないまま行方不明になりました。山小屋を辞めてからも県警山岳救助隊のサイトには彼の名前と顔写真が掲載されていましたが、いつしかそれも消えてしまいました。夏に入山者があるコースではないので、たまたま通りかかった人が見つけるというケースが考えにくいところです。おそらく見つからないままなのでしょう。

またちょうど2年前に白馬岳周辺の鑓温泉から下山中に行方不明になった人も、まだ出てきたという話を聞きません。行方不明になった人は鑓温泉の小屋建てに参加した職人さんで、関係者の間では知られた人でした。地元の遭対協関係者が、下山中に山菜を採りに行ったのかもしれないという可能性も含めてあちこちを長期間にわたって探したのですが見つかりません。



山登りを続けている限り、道迷いなどのトラブルに巻き込まれるのは絶対に避けられるというものではありませんが、それにしても遺体さえ見つからないというのは切ないものです。


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2 コメント

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Unknown (カメの歩み)
2008-07-06 22:37:57
心が痛みます。。。

発見されると、「死んだ」ということを目の当たりにされ
すごくつらくはありますが、でも、体が出てこないのは
本当につらく、暗く悲しい日々が続きます。。。
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Unknown (bongo-pete)
2008-07-07 01:23:17
私の場合、隣の山小屋で働いていたスタッフが雪崩にやられて行方不明になった経験があります。さんざんお世話になった人達だったので、事故の一報を聞いた時はショックを受けたものです。10ヶ月後に残雪の下から発見されましたけど、結婚したばかりの奥さんや生まれたばかりの子供がいることを思うと何とも言えない気分になったものです。
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