poco a bocco

自然の素材がもつぬくもりやパワーに助けられての作品づくり
poco a poco のペースで進みます~♪

首里城の石垣

2006-07-30 20:51:21 | あれこれ
梅雨が明けた・・・んだそうですが、今日はさわやかなお天気になりました。
初夏のような、秋口のような・・・微妙なさわやかさにほっとしたり、少々心配になったりしています。

グンとそびえ立つのは、首里城の石垣です。
夏の大空に向かって優美に描き出された弧の美しさ。
ヤマトのお城とは異質の力強さです。

9月半ばというのに猛烈な暑さの日のことでした。
昔、首里城に上る人々たちが通ったという金城町の石畳道を散策していたとき、脇道にそれたところに大木が立っていました。
その瞬間、すべてを見透かされているような気がして、思わず立ち止まり、総毛立つような感覚に襲われました。
おそらく、人間を超える存在の、目に見えない力に対する畏怖の念だったのでしょう。
あとで地図を調べてみると、そこは御嶽(うたき)と呼ばれる聖地だったことがわかり、納得でした。

沖縄に惹かれる一番の理由は、神聖なスポット・・・つまり数々の御嶽に出合えるからではないかと思っています。
そういうものも含めて、近年の私はプリミティブな世界への関心が年々強くなっているようです。
年齢を重ねてきた証拠でもあるのでしょうが、何百年、何千年も前の時代には当たり前のことだった人間と自然との関わり方に強くあこがれます。

先日、ふらりと立ち寄った古本屋さんでこんな本に出合いました。



ネイティブ・カナディアンの伝統的な手仕事をする人たちを紹介した写真集で、表紙のこの女性は何かの草か、あるいは杉の皮を裂いたものでバスケットを編んでいます。
このほかに、金や銀の細工物、大小さまざまの木の彫り物、羊毛の織物や編み物、鹿のなめし革にビーズ刺繍を施した靴や手袋、白樺の皮で作ったバスケット等々が紹介されています。
30余年前のカナダで撮影されたものですから、今となっては貴重な資料。
それよりも何よりも、ここに登場する一人ひとりの表情が魅力的です。
今年の夏は彼らにいろんなものをもらえそうな気がしています。

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ぼっことワイア

2006-07-23 14:54:28 | あれこれ
エドゥアルド・チリーダ展を観たくて、鎌倉に行ってきました。
ある雑誌に紹介されているのを見て、どうしても彼の作品に会いたくなってしまったのです。
巨大な鉄のオブジェ・・・インスタレーション作品で知られるスペインの彫刻家だということですが、小作品も残しており、紙とインクを使ったコラージュやエッチング、テラコッタのオブジェなどは、私にもいくぶん身近なものに感じられました。
観念的だけれど、昨年末に観た李兎煥のような饒舌さのない作風。
“知覚する”ということを重視するこの作家のメッセージが、力強く静かに伝わってくるような印象を受けました。

さて、チリーダの鉄と木を使った作品からはるか遠い世界の、ちんまりとした私の作品です。
2004年の野草展に出品した"Four Images On My Mind"・・・なんだか妙に気取ったタイトルになっていますね
本番までにあと1か月もないという時、いろいろとあがいた末に、ふっとこの古い角材にワイアを組み込んでみたい!!・・・という思いが生まれました。
その思いをたどたどしく形にしたのがこの作品。
木工とかそんなことはしたこともなく、試行錯誤の末の偶然の力に支えられたものになりました。
この写真はポストカードにもなっています。

期待以上だったチリーダの世界にふれて、それだけでも鎌倉に出向いた甲斐が十分にあったのですが、せっかくの機会なので、以前からとても気になっていた nui-nui 1st. にもおじゃましました。
シンプルでやさしくておしゃれな縫いもの作品を売っているお店です。
作り手兼オーナーの藤井さんのお人柄・・・といっても私はまったくの初対面 ・・・そのままのお店の雰囲気と手縫いの品々がとても心地よく感じられました。
あんなふうに気張らず自然な感じでものが作れたらいいなぁ~と、とてもいいお手本を見せていただきました。



あれからまたタイサンボクの実を拾って、今年の収穫は103個。
今日もこんなふうに湿った風に揺られています。
右の大きな木は、毎年3月になると桃色の花が満開になる“すもも”。
左手に少し見えているのは、ネズミモチ。
紫がかった黒い実を食べ尽くす冬まで、ヒヨドリがにぎやかに集まってきます。
コメント (4)
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Bocco の原点

2006-07-17 20:38:43 | 日々録
去年の秋から壁を飾っていたドングリの枝を片づけ、たまたま手に入った “煙の木” に変えました。
野草展に初めて出品したときの作品の一つに、その枝からとった殻斗…カクト…の部分を合わせて記念撮影です。

下方に横たわるボッコ作品は、清里の川で拾った流木に螺旋状の彫りを入れてねじれた形にしたもの。
当時、スー・アリスンの “アリューシャン黙示録” を読んだばかりだった私は、そこに登場する “誰” と呼ばれる女性に自分の姿を…ただ勝手に…重ね合わせていました。
ちょうどそのころテレビでみたネイティブ・カナディアン?の伝統的な木彫作品のイメージをたどって、ただ心の赴くままに彫っていった作品(全長84cm、直径3.5~5cmの一部)です。
この作品には、迷わず “誰” というタイトルをつけました。

ドングリの枝をハサミでチョンチョンと切っていく作業中、干し草のようなすっきりと甘い香りがあたり一面に漂い、とても気持ちが落ち着きました。
すっかり乾ききったとはいえ、枝葉にはまだエキスが残っているのですね。
生命の力なのでしょう・・・そのしたたかさに圧倒されるばかりです。

背景になっているのは、インドのカディ。
草木染めの木綿を手つむぎ・手織りにしたものです。
自然の力から生まれたもの同士・・・とても相性がいいように思います。

“煙の木” は、今、こんな状態。
お気に入りのカレンダーを隠してしまいましたが、ピッタリの色合いです。


師匠のところに通い始めて間もない15年前のこの季節、私はある小さな出発の時を迎えていました。
一人自分の中でそれを祝う気持ちで、その時も “煙の木” を飾りました。
そんな思いと“誰”を作ったころの自分の心を、今、改めて反芻しています。

はからずもBocco の原点に立ち戻るような週末になりました。


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ふたたび道草…回り道

2006-07-09 18:47:24 | あれこれ
天気予報の通り、夕方から雨になりました。
すっきりしない空模様とすっきりと片づかない我が家の惨状にめげそうな私の頭の中を巡っていたのは 、Simple Life という曲。
America(というグループ)の曲で、70年代半ばにレナウンの同名ブランドのCFで流れていたものです。

無駄に費やされる日々、わけもなくただその日を過ごすような毎日。
 そんな暮らしと引き替えに、風を感じたりたき火のそばで過ごしたり。。。
 シンプルライフ…そんな暮らしをしたいんだ。

かいつまんでいうと、こんな内容の詞がつづられている(と思うのだけど)この歌。
それが彼らの曲だと知ったのは2年くらい前のことでした。
画面に登場していたのは America の3人ではなく、船上でのんびりと風を受けるピーター・フォンダ。
当時、私は学生で、テレビのない生活でした…そして今も、ふたたびテレビのない生活に入って丸3年。
それでもぼんやりと記憶が残っているのは、映画館でこのCFを見たことがあるからです。

あれから30年経ってしまった今、シンプルライフへのあこがれはいくらか切実なものになっているのかもしれません。
あのころの私、相当に脳天気な日々を過ごしていたんだなぁ~と、今さらながら、がっくりです。

昨日もタイサンボクのある場所に立ち寄りました。
収穫は17個、先週の半分にもならないけど、落ちたばかりの新鮮な実が手に入って大満足でした。
本当は気高く咲き誇る純白の花をお見せしたかったのですが、盛りを過ぎて崩れ落ちそうなものが一つと、つぼみが一つ…というより、私の身長では目が届かなかったのかもしれません。
これが開くと直径20cmを超える大輪になります。







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泰山木とパイカジ

2006-07-02 15:34:55 | 日々録
散歩ついでに立ち寄ったA大学のキャンパスで、今年も泰山木の実に出会いました。
10日ほど前に代々木で花が咲いているのを発見して、わくわくしていたところです。
そこに泰山木があるのを知ったのは去年の7月半ば……すでにほとんどの実が落ちてしまった後のことでした。
それでも20個くらいは拾ったでしょうか。
思わぬ収穫に大喜びした梅雨明けの午後でした。

泰山木の花を美しいと思ったのは十数年前の上野公園でのこと。
雨に煙る上野の森を博物館のテラスからぼんやりと眺める私の目に、いきなり飛び込んできたのがマットな白の大輪の花。
少し深さを増した緑の中で、その白さがひっそりと……しかも気高く輝いているようでした。
花が終わった後の実もまた、私には魅力的な素材です。
柄の部分にペイントを入れたものをお正月飾りに使ったり、師匠に譲ってもらった巨大な実に短くカットした毛糸を埋め込んでオブジェ風の作品にしたり……と、この数年間、ずいぶんと楽しむことができました。

今年の収穫は、ほんの数分間で42個!
今までに拾い集めたものを合わせるとかなりの数になります。
それを何とかすてきに変身させたいと思っているのですが。。。

その練習というわけではありませんが、パイカジ……沖縄・八重山地方の言葉で 南から吹く風という意味……というお店で見つけたシャツの上に並べてみました。
南から吹く風……梅雨明けをじっと待つ思いが天に届きますように。。。


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