poco a bocco

自然の素材がもつぬくもりやパワーに助けられての作品づくり
poco a poco のペースで進みます~♪

いたしい

2021-10-24 21:51:13 | あれこれ
休日ルーティンの一つは
ミルクティ色の大きなマグカップで味わうほっこりのミルクティ
何十年ぶりかで見つけた醤油味のビスケットをカリカリしながら
すでに半分飲んでしまったけれど


突然の寒さにあわてて湯たんぽを取り出してきました。
本格的に暖房機を使うのはもう少し先にしようと、意味のない抵抗をしつつ。。。

“いたしい”…山陰地方の谷間にあるかつての宿場町に住んでいた祖父母たちが使っていた方言です。
この冷え込みで肩や背中がガチガチに固まり、頭痛も始まってすっかり元気を失っていた火曜夜のこと、この言葉がふわっと降りてきました。
記憶の引き出しのどこかにひっそりと残っていたのでしょう。
苦しい、つらいといった身体的な苦痛を表す場面で使われていました。
身体的不調を表す “しんどい” とか “えらい” に相当する表現です。
いたしいと[si:] にアクセントがあるのではなく、イントネーションはあくまでも平坦。
いかにもつらくて悲しそうなそうな響きです。
広島方言にこの「いたしい」と同じものがあるようですから、地理的に広島県に極めて近い祖父母が住んでいた町の周辺で同じように使われているのも不自然なことではありません。

イントネーションのことでもう一つ。
昔の朝ドラで知られるようになった出雲や伯耆の方言 “だんだん(=ありがとう)” もだんだんではなく、抑揚のない “だんだん” です。
だんだんとアクセントがつくと、実は激しく違和感を覚えます。

私は、少なくとも物心ついて以来一度も “いたしい” も “だんだん” も自分の言葉として発したことはありません。
それなのに、今ごろになって何か温かく、ほっと心が安らぐような穏やかな感覚と共にこんな言葉たちが記憶として蘇ります。
明らかに自分が老いてきた証拠…そんな自分の変化を淡々と受け容れるステージに到達したということなのでしょう。
次はどんなことを思い出したりするんだろう…と、興味津々といったところ。

さて、身体を温めてぐっすり眠り、その翌日には久々の歌舞伎とその後のおしゃべりをJちゃんと楽しんだおかげで、“いたしい” 状態からは脱しました。
明日は内田光子さんのピアノ・リサイタル…自分の心と身体の機嫌を取るために必要な時間を過ごします。
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