始まりに向かって

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ホピの祭り・・・生命の夜明けを待ちのぞむ(ウウチム祭その1)

2009-10-09 | ホピの宇宙神話・伝承・祭

前回の記事では、ホピ族の日常を形作っている独特の精神風土に思いをはせましたが、この独特の精神風土を最もはっきり示しているのが、おそらくホピの年中行事としての祭りであろうと思われます。

今まで何度も触れてきた、前の世界の滅亡の記憶の伝承や、地球の南北の地軸を伝わる波動、星の世界と先祖の世界のかさなり、といったホピ独特の世界観が、祭りの中には非常にはっきりと示されています。

フランク・ウォーターズの「ホピ・宇宙からの聖書(Book of the Hopi)」から、抜粋して引用します。


*****

(引用ここから)

暁には三段階ある。

始めに、人が最初にかたどられる、紫色の朝もや。
次は、人の息吹を啓示する黄色の光。
最後に、赤い日の出の輝き。

ここにおいて、人は創造の完全さの中で雄々しく立つ。

毎日の夜明けと一年の夜明けは、人の進化の旅路の始まりであり、生命の夜明けでもある。
これら創造の三段階は、絶えず再現されるものである。


ウチムとは、「発芽」を意味する「ウ」と、「現れ」を意味するチムが語源。

ウウチムは、創造の三段階を再現することによって宗教年を開始する冬の三大祭の、最初に執り行われる。

地上の全生物・・植物、動物、人間・・を発現させる創造最初の夜明けに行われる。

それは時が短くなり、地上の生命が衰える11月に始まる。

村の呼び掛け役がウウチムの開始を告げると、二角宗団の長が最初の8日の準備と清めの儀式のために、各々のキバに入る。

ウウチム祭全体を導くのは、二角宗団である。
彼らは、創造についての大元の概念をもつ唯一の教団であるため、全宗団の中で最も重要な存在である。

二角宗団の二本角は、これまでの4つの世界についての知識と経験を現している。


最初の重要な儀式は「新火祭」である。

生命は火によって始まる。

そこで、ウウチムによって演出される創造の暁においては、火打石と綿で新しい火を起こす。

火は近くにある無数の鉱床から採掘してきた石炭で燃え続け、このとき石炭を産出する地底世界ナディルの主神マサウへの祈りが唱えられる。

マサウは太陽から力を得て、地底世界の火を燃やし続けており、この火は火山の噴火活動において現れる。

新しい火は、太陽からマサウに向けられる宇宙的力を象徴する。


火起こしの儀式は、日の出前に行われる。

それは象徴的に地球の外殻のみを温める。

そして太陽が昇ると、その後の儀式は、種の芽生え、植物の繁茂、穀物の実りを一つ一つ現してゆく。

この新火から採られた燃え木は、次に別の3つのキバに運ばれて、そこで火を灯す。


似たような新火祭が、メキシコのアステカでも行われていた。

アステカでは52年目ごとの年の始めに中心祭壇で新しい火が灯され、そこから他の各神殿へ、そして家々へと火が運ばれた。

(引用ここまで・続く)

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