始まりに向かって

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アフラ・マズダーは、バターの箴言を創り出したもうたぞ・・聖典「アヴェスター」(2)

2013-03-27 | マニ・ゾロアスター



引き続き、伊藤義教氏訳ゾロアスター教聖典「アヴェスター」をご紹介させていただきます。

リンクは張っておりませんが、アマゾンなどでご購入になれます。



           *****



          (引用ここから)


ヤスナ第29章

御身どもに、牛の魂はこう訴えた。

「誰のために、わたしを御身どもは創造したのですか?
誰が、わたしを造成したのですか?

わたしを飢えと暴虐、残虐、それに虐待と暴行がしめつけています。
しかもわたしには、御身どもより他に,牧養者がありません。
ですから、わたしにとって、牧養者がよきものと見えますように。」


そこで牛の造成者はアシャ(正義)にこうたずねた。


「御身はいったい牛のための裁き人をおもちですか?

その牛の支配者たる御身たちが、牧地とともに、牛飼いの熱意をも創り出されるためにです。

不義者共と共に、アエーシュマをも追い払うべき主として、誰を、御身たちは牛のために望んでいるのですか?」



牛にアシャ(正義)を通して、「牛には抜苦的援助者なし」と御身さまは返答したもうた。


身分の高い者達が低い者達に、どのように対処すべきか、彼らにはわかっていないからであるが

生ある者どものうちで最強なる者といえば、われ、アフラ・マズダーがその叫び声に応じ、助けをさしのべて赴くところのものである。」


ツァラツストラいわく。


「アフラ・マズダーは企てを最もよく銘記し給う者。

まことに、諸天と諸人によってなされたことを、御心に留めてくださるよう。

そしてまた、諸天と諸人によってなされるであろうことをも御心に記してくださるよう。

その判決者におわすアフラ・マズダーその方が望み給うとおりに、我らにしてくださるよう。」


牛魂いわく。


「アフラ・マズダーを裁きに加わり下さるよう、促しまいらせるために、わが魂と乳牛(牛の妻)の魂となる我ら二人は、まことに手を伸ばし、アフラ・マズダーの大前に、こうして参進しているところです。

不義者どもにとりまかれては、正しい生活者にも行きゆく道がなく、牧畜者にもそれがありません。」


そこで、霊感のなかに秘儀を知ってましますアフラ・マズダーは、こうおおせられた。

「まことに天則によってのことであるが、全く、教え人もなければ裁き人もない。

というのは、汝=牛を牧畜者と牧養者のために、造成者は創造したからである。」



ツァラツストラいわく。


「牛に水飼場を、そして飢渇せる者たちにも。。教えを下して、聖アフラ・マズダーはアシャ(正義)と心をあわせて、このバターの箴言を創り出したもうたぞ。」


牛魂いわく。


「ヴォフ・マナフ(聖霊)と相たずさえて、我ら二人を、人間のために大切にしてくれる何者を、ツァラツストラはお持ちですか?」



ヴォフ・マナフ(聖霊)いわく。


「この者はただ一人、我らの教えに傾聴した者として、ここで私によって認められたる者、ツァラツストラ・スピマータです。

彼は、アフラ・マズダーよ、我らと天則とに、頌歌を献詠しようと望んでいるのです。

どうか彼にことばの華を頒与したまわんことを。」



すると牛の魂は嘆いて言った。


「無力なる飼育者に満足しなければならぬとは。

非力なる人の声に満足しなければならぬとは。

強権をもって支配する者を望んでいるこのわたしなのに。

手を貸して彼に助けを差し伸べる者は、いつの時に現れるのでしょう。」



ツァラツストラいわく。


「この信者たちに、アフラ・マズダーよ、御身たちはお授けください。

力をば、天則を通して、また、かの王国をば、ヴォフ・マナフ(聖霊)を通して、御身さまがそれによって、牛に楽園と平安とを創り出し給わんがためです。

このわたくしは、アフラ・マズダーよ、御身を王国の始元の建設者と認め奉っているのです。


どこにおわすのですか、天則とヴォフ・マナフ(聖霊)と王国とは?

御身たちは、アフラ・マズダーよ、それらを知るために偉大なるマガ(ゾロアスター教の神官)に参徹させてください。」



牛魂いわく。


「アフラ・マズダーよ、いざ我らの下へ降臨をしてください。

御身たち様への、我らが供物にめでて。」


              (引用ここまで)


                *****


牛の魂が、涙を流して悲しんでいる様子が、目に浮かびます。

ゾロアスターは、「神の子羊」ならぬ、「神の子牛」の神学を述べているようです。

そして、神は「バターの箴言」を与えてくださる、という。

日本人なら、稲の神様といったところでしょうか?

稲穂を供え、米を餅にして供え、穀霊に祈るありさまと心は同じなのかもしれません。

そして、日本でも、中国の長江文明でも、古代には、穀霊への供え物として、鹿の頭や、生血が供えられていたことを知ると、牧畜民族、農耕民族の別なく、動物と植物と人間と神々が交感しあう、生々しくダイナミックな世界を垣間見ることができるように思います。



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