始まりに向かって

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裁判員制度のスピード判決・・わたしは4日ぽっちでわたしの人生を裁いてほしくない。

2009-08-08 | 野生の思考・社会・脱原発

先日、はじめての「裁判員制度」による裁判がありましたが、わたしは、判決までに4日というのは、どうしても短すぎるのではないか?、という感想をもちました。

事件には、その人の全人生の重みがかかっていると思います。
ことばが巧みな人もいれば、うまく言えない人もいると思います。

それをたった3,4日でスピード判決を行うのでは、弁護側が機能しないのではないか?、と思いました。

8月6日付の朝日新聞によると、被告は2日目に初めて、「相手が先に手を出した。」と語って、法廷内を驚かせています。

そういうことが積もりに積もって、事件がおきたとも言えるのに、そういう事実が出そろう前に、判決を出すのは、法の精神に反しているのではないでしょうか?

以下に8月6日付朝日新聞より転載します。


*****

「3日間の審理をふりかえって」裁判員法廷@東京

2日目

“被告、新事実を語る”

被告人質問
証人尋問のあとに始まった被告人質問では、「新事実」を被告人が語りはじめた。

「被告女性にあごや肩を押され、のけぞりながら刺した」
被害女性が先に攻撃したという話は、捜査段階の供述にもなかった。

検察官の追及がはじまる。
「なぜ自分に有利な話なのに話さなかったのか」
被告「被害者遺族に死刑にしてくれと言われているから、言わなければならないと思った」

3日目

“弁護側の最終弁論”
弁護側は「被害者の侮辱的な言葉が被告の我慢を爆発させた」と強調。

4日目

“判決”


        *****

新聞には、抽選にはずれて傍聴していた裁判員候補者の感想も載っていました。
(3日目に取材)

        *****


「候補者は見た」裁判員法廷@東京

「はじめての傍聴はとてもいい勉強になりましたが、嫌な思いや「不完全燃焼」という感じの方が多く残りました。

たとえば、肝心な、殺害の引き金となった被告と被害者の口論の内容が、被告の言葉からしかわからなかったこと。

被告は、「被害者に挑発され、生活保護の受給を馬鹿にされた」と主張しました。

でも被害者の声は聞けず、一方的な言い分しか分かりません。
十分な判断材料が得られないまま結審してしまったように思います。

被告はどんな人物なのか。
被害者はどんな方だったのか。
事件の状況は?

市民に参加を求めるには、まだまだ情報が足りない印象です。

検察は懲役16年を求刑しました。
なぜ15年でも17年でもなく、16年なのか。

「この手の事件はこのくらいだから」では、わたしたちが参加する意味がない。
考えすぎかもしれませんが、考えないわけにはいきませんよね。

このまま評議に参加して量刑が決まっても、たぶんすっきりしません。

被告や検察が控訴したら、「あの日々は何だったんだろう」とも、「わたしも納得していないのだから仕方ない」とも思うでしょう。

被告は殺害後、「自分の口座から四万円を下ろした」と言っていました。
「警察に行くのにあたって金が必要だから。勾留先にものを差し入れてくれる人がいないから」
と説明しました。

そんな孤独な状態のまま、刑務所で老いていくのでしょうか。

罪は罪ですが、なんだかやりきれない思いもしました。

この事件自体は大きく報道されるようなものではなく、単純な事件と思っていました。
でもぜんぜん単純じゃなかったなあと感じています。」

*****

関連記事
47news
http://www.47news.jp/CN/200908/CN2009080701000364.html
「裁判員制度反対グループが声明 「刑事裁判ショーだ」」

 全国初の裁判員裁判の判決から一夜明けた7日、実施を批判する弁護士や文化人らでつくるグループ「裁判員制度はいらない!大運動」が、東京・霞が関の弁護士会館で会見。

「『市民参加』という名の刑事裁判ショーだ」とする声明を発表した。

 声明は「被告は検察官に加え『9人の裁判官』から追及され、遺族の被害感情もぶつけられた。

判決は事実認定や量刑も検察官の主張に沿い、明らかに重罰化を推し進めるもの」と批判した。

 今後は、10日から裁判員裁判第2号が行われるさいたま地裁など、各地の裁判所周辺で抗議デモをする予定という。

 2009/08/07 12:20 【共同通信】


産経news 2009.8.6
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090806/trl0908061516009-n1.htm
【裁判員 判決】「重くなること予想できた」安冨潔・慶応大教授


 全国初の裁判員裁判の判決を受けて、弁護士で慶応大の安冨潔教授(刑事訴訟法)は次のように判決を分析した。

 「懲役15年という結論はこれまでの刑事裁判に比べれば重いというイメージがあるが、裁判員裁判としてはこれくらいかなという予想もできた。

一般人である裁判員は、どうしても被害者の側に心情が傾きがちだ。

今回、検察側は、遺族を前面に押し出して、被害感情を裁判員に訴えていた。

そういう意味では検察側の戦略は功を奏している。

今回は被告が犯行を認めている。被告が犯行に至った理由をどう述べようが、殺人という事実は変わらないため、被告が裁判員の同情を引くことは難しい。

そういう意味では、弁護戦略は難しくなるのかもしれない」


産経NEWS 2009・8・3
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090803/trl0908031616022-n1.htm
弁護側陳述 “被害者が誘発”
・・・・事件にいたる経緯が書いてあります。・・・・

「量刑上考慮すべき事情」

 本件は、もともと被害者側に主に原因がある紛争が発端であり、被害者が近隣に迷惑をかけないような生活をしていれば起きなかった犯罪である。

 また、被告が注意したことに対し、被害者は謝罪することなく、逆に怒鳴り返したことも原因となっている。

 確かに被告はナイフを取り出し脅したが、被害者は「おぉ、やるのか、やるならやってみろ」と逆につかみかかろうとするなど、犯行を誘発する言動をした。

 被告の犯行は、突発的なものであり、計画的ではなかった。

 また、被告は被害者が死ぬことを意欲しておらず、執拗(しつよう)にとどめをさすような行為もしていない。

 被告は警察に任意出頭しようとした。逮捕後は、素直に事実を認めている。


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