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天に大きな白い輪が現れるであろう・・マヤの予言「チラム・バラムの書」(6・終)

2011-03-10 | マヤ・アステカ・オルメカ

マヤの文化とは何かを考えたく、マヤの予言「チラム・バラムの書」(望月芳郎訳)を紹介しています。

続きです。
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      *****


     (引用ここから)



汝らの客たちを、

髭の生えた男達を

神の御しるしの伝達者たちを迎えよ。


汝らの兄たち、タントゥンの人々が最後にやって来る。

彼らは汝らに、神への供物を共にしようと申し出るだろう。

彼らの太陽の神官の名はアー・ミスニラクベ。

今訪れんとする「時」、汝らを連れ去ろうとする「時」の顔は“ピューマ”、反キリストである。


ああ、わが息子たちよ。

多くの不幸がやって来る。


我らの殿の予言は次の通りだ。

「訪れるこのカトゥンの間、地は燃え、天には大きな白い輪が現れるだろう。」


それは父なる神の御口から出る真実の言葉である。


ああ、キリスト教の布教を見るカトゥンの荷物はまことに重い。

その荷物がやってくるとき、その予言は「奴隷の身」という予言であろうし、

すべての人間は奴隷となるだろう。


その予言がやって来る時、汝らは分かるだろう。

「二日間の玉座の主」たち、「二日間のマットの主」たち(訳注・すぐに退く者たち)が、年の終わりの不吉な5日、贖罪の日々の間にやって来るだろう。

まことにそれは神の予言の終わりとなるだろう。


カトゥンの殿の杯の数は、11だろう。

汝らは多分死ぬか、生きていても「生きている書物」(訳注・さまざまなしるし、教え、予言)の言葉が分からないだろう。


マヤパン(マヤの都の一つ)の男がただ一人のその息子、法管だった。

彼は牢につながれ、大道を引き回され、縛られ、鞭打たれた。

座らせられ、耳を打たれた。

彼は頭に帽子をかぶり、足にサンダルをはいていた。

彼が着いた時、体は網で縛られていた。



白い肌の若い男はやってきた。

彼は天から降ってきた。

人の言うところの若い処女は、七つの赤い星の母であった。


おお、準備せよ、イツァの民よ。

汝らの息子たちはカトゥンの喜びを、カトゥンの戯れを知るだろう。

それが席につくためにやってくるとき、ケツァル鳥(訳注・ケツァルコアトル)の終わりと破滅となり、三角の山々〈訳注・ピラミッドのこと)の崩壊となるだろう。

カトゥンの荷物の中には、多くの絞首刑がはいっている。

おだやかに汝らの客を迎え入れよ。



カトゥン5アハウは4番目のカトゥンである。

このカトゥンの治世の間、そのまなざしは厳しく、その合図は険しい。

それが訪れる時、人間の息子たちにとって、おおきな災難が起こるだろう。

この世で悪魔の争いが始まり、神の顔、“神の実体”の顔は覆いを被せられるだろう。


大地では絞首刑がはじまるだろう。


流星の尾がやってくるとき、この世の父が作られる時、男たち、女たちはあまり息子を持たないだろう。


それから人々は予言者の踊りを見るだろう。


カトゥン3アハウは第五のカトゥンである。

その治世の間、偉大な賢人の時代は、「星=神」がその顔である。


その治世のあいだ、その顔は反キリストの顔である。

イチカンシホでは、牡鹿の角笛から炎がほとばしるだろう。

赤いジャガーの皮が、広場に広げられるだろう。

不毛の雨、天の兎の雨、天のやけどの雨、天のキツツキの雨、天の最も深いところからの雨、それから三本のシュロが天降るだろう。

戦いが始まるだろう。

いなごの年が来るだろう。


生き残った者たちは、遠くに追い払われるだろう。

彼らは戦いに敗れたのだ。

山のような屍が積まれ、天然痘が荒れ狂うだろう。

住民は悲しみ、四つ辻では蝿の群れが悲しげに唸るだろう。


カトゥンの殿達が来ている。

開かれた真っ赤なイツァ族の住居では、たましいが叫ぶだろう。


わたし、カトゥン3アハウはここにいる。

わたしのイチカンホシの町は建設された。


わたし、カエサル・アウグストゥスはここにいる。

わたしは供物を、森の奥で受ける。




     (引用ここまで・終わり)

   
       *****


>マヤパン(マヤの都の一つ)の男がただ一人のその息子、法管だった。
>彼は牢につながれ、大道を引き回され、縛られ、鞭打たれた。


この“男”の姿は、キリストに似ているように思われますが、この男は、マヤ族の者だと言われています。
二つの印象が、重ね合わされているようです。


>人の言うところの若い処女は、七つの赤い星の母であった。


“人の言うところの若い処女”とは、聖母マリアのことかと思われますが、訳注には、以下のように説明がありました。

マヤの天体図における「赤い星」は金星を意味する。
だがここの「七つの赤い星」は、金星のほか、太陽、月、水星、火星、木星、土星を意味すると思われる。



>わたしカエサル・アウグストゥスはここにいる。

この西洋人のような名前の人物については、訳注には、以下のようにありました。

この名の由緒は不明だが、ティミシン文庫では“狩猟の神「アー・ウウク・ヨル・シブ」”となっている。


>我らの殿の予言は次の通りだ。

>「訪れるこのカトゥンの間、地は燃え、天には大きな白い輪が現れるだろう。」

>それは父なる神の御口から出る真実の言葉である。


全編に、さまざまの表象が現われていますが、これは彼らの救いと勝利を意味する「しるし」と見てよいように思えます。



全体にわたって見られるように、これらの文章は、わざとマヤ文化とキリスト教文化を混同した書き方をしています。
おそらく、そのような書き方をしなければ、発行禁止、どころが、命も危うかったのだと思います。



>わたしは供物を、森の奥で受ける。

最終的に、マヤ族の人々が供物をささげるのは、森の奥の、彼らの神なのですから。








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