アンデス地方のミイラについては、増田義郎・友枝啓泰氏共著「世界の聖域(18)神々のアンデス」という本に、次のような記述もありました。
リンクは張っておりませんが、アマゾンなどでご購入になれます。
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(引用ここから)
遺体を処理してミイラにする慣習は非常に古くからアンデスにあり、紀元前にさかのぼるパラカス海岸の墓地からも見事な刺繍を施したマントにくるまったミイラが発見されている。
遺物の保存条件のよい海岸砂漠からは様々な時代に作られた多数のミイラがこれまでに見つかっている。
インカの時代にも死者をミイラにして保存することは各地で行われた。
なかでもインカ皇帝のミイラは非常に重要なワカの一つであった。
この皇帝ミイラについて、次のような記録がある。
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クスコのある宮殿にスペイン人たちが押し入った時、大きな家の中にはたくさんの大きくて重い土製の壺があり、それには金の薄片のふたがしてあった。
壺を割ったりしないよう気を付け、中へ進むと、奥には大勢の女がおり、2体のミイラが安置されていた。
その脇には金の仮面をつけた女が、うちわを使ってほこりやハエを追い払っていた。
女が履物を脱ぐように言ったので、スペイン人たちは言われた通りにして、見事な黄金の杖を手にした遺体に近づき、身につけていたたくさんの財宝をはぎ取ったが、あまりに多くて全部は取りきれないほどだった。
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重要な人物がクスコの皇帝に会いにきた時は、まずこうしたミイラへの礼拝を済ませてから、皇帝のもとへ挨拶にまかり出る習わしであった。
インカ11代王のワイナ・カパックは自分の妹を妻にしたいと望んだが、妹はどうしても承知しようとしなかった。
最後の手段として、ワイナ・カパックは自分の父の遺体に捧げものをしたあとで、妹を妻として与えてくれるように頼んだが、答えはなかった。
そのあとで空に恐ろしい兆候が現れたり、サクサイワマンの城壁に雷が落ちたりしたので、ワイナ・カパックはこのもくろみをあきらめるよりなかったという。
ミイラは生前の人物を記念し遺体を長く保存するという目的だけで作られたのではなかったわけで、インカのミイラたちは現実の世界に参与し、そこでの重要な決定にまで加わっていた。
スペイン人たちが目撃したようにインカのミイラは生前の宮殿にそのまま住み続け、多くの使用人たちの世話を受けていた。
ミイラを維持するために必要な土地や家畜が割り当てられていたと言われ、また死んだ皇帝の残した財産のすべてがミイラの維持に充てられたので、新しい皇帝は自分の力で財産を築かねばならなかった。
皇帝ミイラのために莫大な負担がかかるので、ワスカルは「皇国の良いものは全部死者が我が物にする。」として腹を立て、「遺体をすべて土の中に埋めてしまいたい」と思ったほどである。
宮殿で多くの使用人にかしずかれたミイラは、望む時に美しい羽根飾りの輿に乗って互いに訪問しあい、盛大な宴を張って歌や踊りを楽しんでいた。
ときには生者の家を訪ねて行くこともあった。
クスコで催される大祭の時には、すべての皇帝ミイラが古い順に並んで広場に安置され、その前で様々な儀式が行われ、ミイラのために犠牲が捧げられた。
(引用ここまで)
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死んでもなお、生者の世界に参与するということは、死んでも意識は生きているということなのでしょう。
わたしたちの生死観とは異なる、死者と生者の交錯する世界が、現実のものとして存在していたということなのだと思います。
高野山には空海の霊廟があり、そこでは今でも空海が生きていると言われています。
生きていない、と証明することはできないのだと思います。
文中に「サクサイワマンの城壁に雷が落ちた」という箇所がありますが、サクサイワマンについてはwikipediaに以下のような説明がありました。
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wikipedia「サクサイワマン」より
サクサイワマン(ケチュア語で満腹のハヤブサの意味)はインカの遺跡である。
目的は城砦、宗教施設、その双方を兼ねた建造物など諸説あるが、確定していない。
1983年、クスコの市街としてユネスコの世界遺産に登録された。
ペルーの南東部に位置するインカ帝国の古都クスコ市の北に立地する。
同市はインカにおける聖なる動物ピューマをかたどって建設されたとする説があるが、この説に従えばサクサイワマンはピューマの頭に相当する。
巨石を惜しみなく用いたインカ文明特有の堅固な石組みが階段状に3段ずつ、幅数百mの平地を挟んだ南北の丘に築かれている。
インカの天上・地上・地下の3つを意識した独特の世界観が反映された結果、3段という段数が選択された。
格段は石で作られた階段で結ばれている。
遺跡を構成する石組みは巧みにデザインされており、リャマやヘビ、カモ、魚等の動物をかたどった箇所がある。
これらはそれぞれ数メートルから十数メートルの規模を持つ。
かつては東西に並ぶ3つの巨大な塔が建っていたがスペイン人によってことごとく破壊され、現在はその基礎のみが残っている。
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この文章を読むだけでも、目まいがしてきます。
インカは奥深い、、と思わずにいられません。。
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などあります。(重複しています)