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始まりに向かって

ホピ・インディアンの思想を中心に、宗教・心理・超心理・民俗・精神世界あれこれ探索しています。ご訪問ありがとうございます。

持続可能な社会と太陽エネルギー・・脱原発の展望とニューエイジ(3・終)

2011-11-23 | 環境(ガイア)
1982年に上梓され、1995年に改定版が出されたフリッチョフ・カプラの「新ターニングポイント」のご紹介をさせていただいています。

リンクは張っておりませんが、アマゾンなどでご購入になれます。

ここに書かれていることがすべて実現すれば、理想的な社会が出来るに違いないと思います。

出来そうで、なかなか出来ないことですが、理念としての歴史は数十年ある、というのも、事実だと思います。


        *****

           (引用ここから)


有機システム論は社会科学、とりわけ経済学にもうってつけの基盤である。

今ほど経済のプロセスや活動を説明するのにシステム概念を適用することが求められている時はない。

なぜなら現代のほぼあらゆる経済的問題が全体系的な問題であり、デカルト的科学によってはもはや理解しえないからである。

システム論的視点からすれば、経済とは絶え間なく相互作用する人間と社会組織からなる生きたシステムであり、組織や人間はまたわれわれの生命を支える周囲の生態系とも相互に作用しあっている。

個々の生物同様、生態系とは自己組織化する自律したシステムである。

そのシステムの中では動物、植物、微生物、不活性物質が休みない周期で物質とエネルギーを交換する複雑な相互依存の織物を通して繋がれている。

これらの生態系では、線型的な因果関係はめったに見られない。

従って、そこに包括される社会システムや経済システム、およびテクノロジーの機能的な相互依存性を説明するのに、線型的なモデルを使ってもほとんど役に立たない。

あらゆるシステム・ダイナミクスの非線型的な性質を認識することが生態学的自覚の本質であり、全体系的な智慧の核心なのである。

こういった智慧は伝統的な無文字文化には特徴的に見られるが、悲しいことに、合理性偏重の機械化されたわれわれの社会ではないがしろにされてきた。

「全体系的な智慧」は、現代の生態学の見解と完全に一致する「自然の智慧」に対する深い畏敬の念に根差している。

われわれの自然環境は無数の生物が住む生態系からなっている。

これらの生物は同じ土、水、空気の分子を果てしなく活用しながら何十億年も共に進化してきた。

これら生態系の組織原理は短期間の線型的な企てに基づく、最近の発明に依拠した人間のテクノロジーの組織原理より優れたものとみなさなければならない。

さらに、生態系における自己組織化のダイナミクスが、基本的に人体におけるそれと同一だということを考えると、自然の智慧に対する畏敬の念はますます深くなる。


生きたシステムの非線型な相互関連性は、社会・経済システムの運営に二つの重要な法則があることを暗示する。

第一に、すべての構造、組織、制度にはそれに適した大きさというものがあり、いずれかひとつの変数――たとえば利潤、組織、GNPなどーーの極大化は必然的に、より大きなシステムの破壊を招くということである。

第二に、経済活動が自然資源のリサイクルに依拠すればするほど、それは周囲の環境と調和するようになるということだ。

我々の惑星は今や隙間なく人間に埋め尽くされているので、ほぼすべての経済システムは複雑に絡み合い、相互に依存し合っている。


今日のもっとも重要な諸問題は地球的な問題である。

人類全体の生存に関わる自己組織化の原理――中央集権化と脱中央集権化、資本集約型と労働集約型、ハードテクノロジーとソフトテクノロジーーーに関する選択なのである。


原子力を除き、われわれの使っているエネルギーのすべてのエネルギーはある種の蓄積された太陽エネルギーを表わしている。

木、石炭、石油、ガス、いずれを燃やすにせよ我々は太陽から地上に降り注ぎ、光合成によって化学的形態を変えられたエネルギーを使っているのだ。

こういった形の太陽エネルギーの大半は古来からのテクノロジーを使っていつの時代にも人間社会に利用されてきた。

太陽エネルギーの変換はいかなる大がかりな技術革新も必要としない。

古くから知られている農業や技術のプロセスを現代社会の活動にうまく統合していくだけでいいのだ。

太陽から来るエネルギーは地球全体に拡散しているので、中央集権的な太陽発電所などというものは無意味である。
実のところそういったものは、そもそも不経済である。

もっとも効果的なソーラーテクノロジーとは地域の共同体が使う小規模な装置であり、多種多様な仕事を産み出す上に、環境に及ぼす効果は穏やかである。


この歴史的な転換に乗ずるのに、いかなる技術的飛躍も待つ必要はない。

われわれにもっとも必要なのは、太陽エネルギーの可能性についての正確な情報と、太陽の時代への道を切り開くことを可能にする社会・経済政策である。

太陽エネルギーへの転換の主な障害は、技術的なものというより政治的なものである。

再生できない資源から再生できる資源への転換は、石油会社を世界経済における主導的な立場からひきずり下ろすし、彼らの機能の根本的変化を迫る。

「太陽の時代」への滞りない移行は、我々が社会の一員として目先の個人的利益より、長い眼でみた社会的利益を優先できる場合にのみ可能となるだろう。


「太陽の時代」への道とは、持続可能な社会への移行である。

持続可能な経済は化石燃料によってではなく、ソーラーヒーティング、太陽光発電、風力、水力、バイオマスなど、直接、間接さまざまな形の太陽エネルギーによって推し進められることになろう。

原子力は経済社会環境が抱え込む大きな負担ゆえに、徐徐に姿を消す。

太陽光発電によって、世界中の家主が電力の消費者であると同時に電力の生産者にもなる。

中央集権的なエネルギー生産は少なくなり、それゆえ混乱も少なくなる。
それは民主的な政治制度ともなじみがよい。

地域自立をより重視する新しい持続可能型産業の中央離れが進むにつれ、大都市志向が逆転する。

物質的富の蓄積が最重要ではなくなると、富者と貧者の格差が狭まり、それにより多くの社会的緊張が消えるだろう。

こういった予測はいかにも理想的に聞こえるかもしれない。

しかし新たなる1000年に向かう今、ますますはっきりしつつあることは、未来はーーいやしくもそれがあるべきだとするならーー全地球が相互に結ばれた、エコロジー的に思慮深い、持続可能なコミュニティーの世界であるということだ。


      (引用ここまで・終)


         *****

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原子力の暴走とエコロジーの智恵・・脱原発の展望とニューエイジ(2)

2011-11-20 | 環境(ガイア)
1982年に書かれ、1995年に改訂版が出されたニューサイエンスの旗手フリッチョフ・カプラの「新ターニングポイント」をご紹介させていただいています。

リンクは張っておりませんが、アマゾンなどでご購入になれます。

明快な論旨で、たいへんわかりやすいと思います。

こういった勢いのある思想がほとばしっていた、すがすがしい時代の息吹を懐かしく思い出します。

長い時が流れ、今この時代の新たなるものとは何なのかを、改めて考えてみたいと思っています。


        *****

        (引用ここから)



では、なぜ原子力テクノロジーがこれほど強力に推進されているのだろうか?

最大の理由は、「力に対する強迫観念的執着」である。

利用できるあらゆるエネルギー源の中で、原子力は政治的・経済的権力を少数のエリートの手に最高度に集中させることのできるエネルギー源だ。

そのテクノロジーの複雑さゆえに高度の中央集権的制度を必要とし、その軍事的性格のゆえに必要以上の秘密主義と警察権力の拡大をもたらす。

原子力経済のさまざまな提唱者たちはすべて、高度に資本集約的で中央集権的なエネルギー源から利益を得ている。

彼らは着実に顕在化しつつある問題や危険性を顧みることなく、原発テクノロジーに何十億ドルもの投資をして、強力に推進し続ける。

たとえ多額の税補助金に頼り、自衛のための強大な警察権力の行使を与儀なくされても、彼らにはそのテクノロジーを放棄する意志はない。

原子力は多くの意味で、アメリカにおける「テクノロジーのベトナム」になってしまったのだ。



これまでわたしはリアリティの新しい見かたをホリスティックな世界観と呼んできたのは、そこでは世界が“分離された部分の集合体”としてではなく、“統合された全体”と看做されているからだ。

もしエコロジーという言葉を通常よりずっと広く深い意味で使うなら、それを「エコロジカルな世界観」とよぶこともできよう。

「深いエコロジカルな意識」は、すべての現象が基本的に相互に依存しており、それゆえ我々は個人も社会もみな自然の循環的なプロセスの中にあって、究極的にはそれに依存している、という事実に気づいている。

この「深いエコロジカルな意識」は「ディープエコロジー」として知られる最近急速に注目を集めている地球規模の草の根運動とも関係している。

「ディープエコロジー」は人間を自然環境から切り離さないばかりか、他のいかなるものとも切り離すことはしない。

世界を分離した対象の集合体とは見なさず、根本において相互に結びつき、依存しあう現象のネットワークであると見る。

「ディープエコロジー」は全生物の本質的な価値を認識し、人間は生命の網の中の一つの結び糸にすぎないと見る。

究極的に「ディープエコロジー」の意識は霊的ないしは宗教的意識である。

人間の魂を、人間一人ひとりが宇宙全体と結びついていると感じる意識のモードとして理解するのだから。

したがって、「ディープエコロジー」の新しい世界観が、いわゆる「永遠の哲学」という精神的伝統(キリスト教の神秘家や仏教徒の精神性、あるいはアメリカインディアンの伝統の根源にある思想や宇宙観)ともなじみが深いのもそう驚くことではない。


生命システムは統合された全体であって、その資質はそれを構成する小さな部分の性質に還元して説明することはできない。

すべての生物―動物・植物・微生物―あるいは人間は,
一個の統一された全体であり、一つの生命システムである。

木の葉や細胞のような生物の部分もまた、生命システムだ。

生命システムには有機体のコミュニティも入る。

たとえば家族や村のような社会的システム、あるいは相互に作用しあうさまざまな有機物、無機物からなるエコシステムなどがそれだ。

これらすべての自然のシステムはそれぞれが一個の全体であり、その重要な性質は宇分の相互作用と相互依存から生まれている。

だから一個のシステムが物理的にであれ、理論的にであれ、孤立した要素に分解されればこうした性質は破壊される。

いかなるシステムにも個々の部分を認めることはできても、全体の本質は部分の単なる総和とは常に異なる。

したがってシステムアプローチにおいては、構成要素にではなく、組織化の基本原理に注目の目が向いている。



すべての生命システムの著しい特性は、システムの中のシステムという、マルチレベルの構造を形成することだ。

それらのシステムひとつ一つは、その部分に対しては全体を形成しているが、より大きな全体に対しては、一つの部分になっている。

たとえば、細胞は結合して組織を形成し、組織は器官を、器官は生物を形成している。

こうしたことは社会システムやエコシステムにもある。

生ける世界全体にわたって、生命システムが“入れ子状”になっている。

システムアプローチの大きな利点の一つは、同一の概念が異なったシステムレベルで適用できるという事実であり、そのことがしばしば重要な知見をもたらしてくれる。

在る程度正確に我々が理解している最大の生命システムは、この惑星、つまり地球である。

約25年前、宇宙飛行士が人類史上はじめて外宇宙からこの惑星を眺めた。

このうえなく美しい地球という認識。

宇宙飛行士がこの惑星とその美を眺める中、地球は科学的なセンサーにより外宇宙から調査された。

そしてその調査結果から、科学者はまったく新しい結論を引き出した。

それは、この惑星は豊かな生命を宿しているだけではなく、それ自体が一個の生命のシステム、一つの生き物である、というものだった。

われわれがこれまでずっと生命の「環境」とみなしてきた地球表面が、じつは生命の一部なのだ。

われわれを包んでいる大気は言ってみれば、人体内部の血液のような循環システムだが、その循環システムは生命によりもたらされ、維持されている、というのだ。

ジェイムス・ラブロックとリン・マーギュリスは、この仮説を力強い古典的な神話の復活と考え、ギリシア神話の地球の女神になぞらえ、それを「ガイア仮説」と呼んだ。


           (引用ここまで)


           *****



 wikipedia「ガイア理論」には、以下のような記載があります。

               ・・・

ガイア理論(ガイアりろん)とは、地球と生物が相互に関係し合い環境を作り上げていることを、ある種の「巨大な生命体」と見なす仮説である。ガイア仮説ともいう。

ガイア理論では、地球があたかもひとつの生命体のように自己調節システムを備えている、としている。

そのような観点に立つと、地球環境に対して人為的な介入を行うことについては、現代の科学技術による近視眼的・部分的・単細胞的な措置を計画したりするのではなく、もっと、地球の大きな生命の流れ(とでも呼んだほうがよいような、全体的な何か)に配慮したうえで判断をすべきだ、との見解・説も生まれている。

ガイア理論の、このような全体論的な地球の把握方法は、(エコロジーを人間の利益中心の視点で捉えるのではなく)生態系がそれ自体で固有の価値を有しているからエコロジーを行うのだ、とするディープエコロジーにも大きな影響を与えている。

ガイア理論から生態学への継承

多くの初期の批評の後、改訂され、理論面でも強化されたガイア理論は、現在、基礎生態学上の研究の究極の目的である地球化学と同一の生態学のひとつとして論議されている。

一般に、生態学者は、生物圏=(生態系+ガイア理論)であるとみなしているが、そのオリジナルの簡素化と、生物圏と生物多様性の概念を継承して、グローバルな現代生態学のビジョンと一致しているように提案した。

ガイア説は、生物相と、海洋と、地圏と、大気との相互作用を考慮に入れた上で、地球生理学あるいは地球システム科学と呼ばれている。

                ・・・


wikipedia「ディープエコロジー」には、以下のような記載があります。


                ・・・

ディープエコロジー(Deep ecology)は、1973年にノルウェーの哲学者アルネ・ネスが提唱したエコロジーの概念である。

ネスはそれまでに存在した環境保護の活動を「シャローエコロジー」(Shallow ecology)とし、欠けている分野を深めたものを「ディープエコロジー」と名づけた。

ネスによると、すべての生命存在は、人間と同等の価値を持つため人間が生命の固有価値を侵害することは許されない。

従来の環境保護運動では、環境保護は人間の利益のためでもあると理由づけされていたが、ディープエコロジーにおいては環境保護それ自体が目的であり、人間の利益は結果にすぎない。

1970年代は公害反対運動など産業面での環境対策活動が主体であり、生活者個人の生き方にまで目を向けることは少なかった。

ディープエコロジーは、環境保護は究極的には個人の自覚と覚醒が重要であることを示し、1990年代以降の全地球規模の環境保護運動に直接・間接に大きな影響を与えている。

                ・・・



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脱原発の展望とニューエイジ(1)・・原子力は人類を滅亡させる

2011-11-17 | 環境(ガイア)

中沢新一氏の「日本の大転換」の図書館の予約の順番がやっと回ってきたので、読んでみました。

読んでいて、エコロジー思想は革命的思想である、という思いを新たにしました。

そういう思想の歴史は、ずいぶん長いものであるとも思いました。

1982年に初版が出され、1995年に改定版が出されたフリッチョフ・カプラの「新ターニング・ポイント」を見ると、そこにも原子炉という孤独な炉の運命を見据えた人がいることに思い至ります。

少し引用してみたいと思います。

リンクは張っておりませんが、アマゾンなどでご購入になれます。



              *****


           (引用ここから)


1970年代に世界は、地球上の化石燃料が不足し、どうみても在来エネルギー源の減少は避けられないことに気づいて慌て始めた。

先進工業国は代替エネルギー源としての原子力発電に対する活発なキャンペーンに乗り出した。

「エネルギー危機をいかに解決するか?」という議論は普通、「石油、石炭、石油によるエネルギー生産に比べて原子力のコストと危険性はどうなのか?」という問題に絞られる。

しかしエネルギー危機に関する現実的な議論は、もっと広い視野、つまり現在のエネルギー不足の遠因と、それが今日直面している他の重大な諸問題とどう関わっているのかを考慮に入れた立場から出発しなければならない。

すなわちエネルギー危機の克服に必要なものは、エネルギーの増産ではなく、削減である。

高まる一方のエネルギー需要は、我々の経済総体の拡張とテクノロジー体系の反映なのだ。


エネルギー需要は、我々の「個人的・社会的病理」の多様な徴候を作りだすことに大きく寄与し、天然資源を枯渇させる「無制限な成長」という社会様式から生まれたものである。

とすれば、エネルギーとは、社会的、生態的バランスを測定する重要なパラメーターだと言うことができる。

現在のように高度にアンバランスな状態の下では、エネルギーの増大は問題解決より、むしろ悪化の方に傾く。

それは鉱物や金属、森林や魚を枯渇させるばかりか、公害の増大、化学毒物の増大、社会悪の増大、癌の増大、犯罪の増大をも意味する。

この多面的な危機の克服に必要なのは、より多くのエネルギーではなく、価値基準、心の持ち方、生活様式における深部からの変革なのである。

この基本的な事実さえ分かれば、エネルギー源としての原子力利用が愚の骨頂であることは明らかだ。

原子力はすでに限界にきている石炭による大規模なエネルギー生産の生態学的影響を何桁も上回る大きさでしのぎ、何千年にもわたって我々の自然環境を汚染し続ける恐れがあるのみならず、人類という「種」を絶滅させる恐れさえあるのである。

原子力は、明らかに病理学的水準にまで達している「自己主張」および「支配」という強迫観念が推進力となって辿り着いた、もはや手に負えないテクノロジーの最も極端な事例を代表するものである。


原子力を以上のような言葉で述べながら、わたしは核兵器と原子炉の両方に言及しているつもりだ。

この二つの用途が不即不離の関係にあるということは、核テクノロジーに固有の属性である。

原子力という言葉そのものに、二つの結合した意味がある。

「力」には単に「エネルギー源」という専門的な意味ばかりでなく、「支配の所有あるいは他への影響」という、より一般的な意味もある。

原子力の場合、この二つの意味は分かちがたく結びつき、今日、その両方がともに我々の生存と安心に対する最大の脅威になっているのだ。


核テクノロジーは現在特に第三世界で開発が推進されている。

その推進の目的は、第三世界諸国のエネルギー需要を満たすことではなく、それぞれの国で天然資源を採掘している多国籍企業ができるだけ速やかにエネルギー需要を満たすことにある。

それでも第三世界の政治家たちは核テクノロジーを歓迎することは多い。

それは核兵器の開発に応用する機会が与えられるからだ。

それらの国々がアメリカ式のテクノロジーを求め、アメリカ的な行動様式を模倣し、攻撃的な恫喝のために自国の原子力を行使することは予測に難くない。


           (引用ここまで・続く)
 

        *****


wikipedia「フリッチョフ・カプラ」より

フリッチョフ・カプラ(1939年2月1日 -)は、オーストリア出身のアメリカの物理学者である。

現代物理学と東洋思想との相同性、相補性を指摘した1975年の『タオ自然学』が世界的なベストセラーとなり、その名が広く知られるようになった。


ウィーン生まれ。1966年、ウィーン大学で理論物理学の博士号を取得。

専門は、素粒子物理学とシステム理論。

現代物理学と東洋思想との相同性、相補性を指摘する一連の書籍は、世界中で幅広い読者層を得ている。

とりわけ1975年の『タオ自然学』は、当時のディープエコロジー、ニューエイジ・ムーブメントの流れにあって、一大ベストセラーとなった。

エコ・リテラシー

エコ・リテラシーとは、自然の原理を理解し、それに則って生きるための教養。

この自然の原理は、「ネットワーク」、「入れ子システム」、「サイクル」、「フロー」、「発展」、「動的平衡」の6つの概念にまとめられている。

近年は、これらの概念を社会学的に展開しているマニュエル・カステルやジョン・アーリらとの交流もみられる。



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「人類の時代」、寒冷化と共に80万年さかのぼる・・温暖化と寒冷化は地球の定めなのか?

2010-09-25 | 環境(ガイア)
去年の新聞記事ですが、

「国際地質科学連合で、地球史の現代にあたる「第四期」が、今までより80万年古く、260万年前に再定義された。」

という記事がありました。

気候変動をとらえることが、人類の営みをつかむ上でかかせないということと、現在の世界の課題である「温暖化」とは何かを考える手がかりにしよう、ということのようです。


朝日新聞2009年10月21日の記事です。


          *****


http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY200910210306.html
「気候変動繰り返した「第四紀」、再定義で80万年古く・・温暖化後の手がかりに」


 地質学上の地球の歴史区分である「第四紀」が新しく定義された。

「地球史の現代」とも呼ばれ現在も含む第四紀。

始まりは180万年前とされてきたが、80万年古い260万年前に変更することが国際地質科学連合(IUGS)の執行委員会で先ごろ正式に決定した。

また、意味も「人類の時代」から「人類が世界に広がった時代」に見直された。


背景には気候変動への関心の高まりが見える。


地質学は、地層の重なりを地球史の物差しとする。

「第四紀」の始まりは、人類最古の化石が発見された年代などから180万年前とされてきた。

寒流に生息する生物が増えるのも特徴とされていた。

 ところが、人類の誕生は600万年前とも500万年前ともされるようになり、寒冷化が始まった時期が「第四紀」の基底とされる地層と一致しないことなどが判明。

時代区分を見直し、名前も変えるべきだなど、10年以上前から議論になっていた。


 IUGSは開始をさかのぼらせたうえで、第四紀の名前は残すことを選択した。

 260万年前は、南極圏に加え北極圏で大陸氷床、グリーンランドでも氷床が発達。

南北アメリカ大陸がつながって海流のルートが変わり、雨が増え、日射量が減って雪が増えたらしい。

寒冷化とともに中央アジアで乾燥が進んで砂漠が広がり、土砂が吹き飛ばされ、中国では黄土高原の堆積(たいせき)が始まる。

ヒマラヤ山脈が形成され、北から南へ冷たい空気が抜けなくなったと考えられる。


 また、アフリカで誕生した人類が世界各地へと拡散する「出アフリカ」の第一波も、この時期とされる。

気候・環境の変動に対応して、食料の豊かな新たな生活の場を求めて歩き出したのだろうという。


「第四紀」の意味は、単なる「人類の時代」から、「人類が繁栄した時代」「人類が世界へと広がった時代」に変わった。

260万年前を画期とすることは、今日にまで続く地球環境の変化で「第四紀」を区切り直すことだ。


その背景について、日本第四紀学会長の遠藤邦彦日本大教授は

「氷期と間氷期を行き来し、気候変動を繰り返した「第四紀」の研究は、将来を見通すために重要だとの考えが根底にある」と解説する。

温暖化が進んだ先にあるのはどのような環境なのかを知る手がかりは、「第四紀」の歴史のなかにあるはずだという発想だ。

 遠藤教授は

「はるか古い時代の歴史が、さらに古くなった。
それがどんな意味を持つのか、専門家以外には分かりにくいでしょう。

しかし、私たちは今、地球のどんな時代を生きているのだろうか。
その定義が新しくなったと考えて下さい」

と今回の決定の意味を説明する。


 縄文時代も弥生時代も、古墳時代も、近年の研究で、始まりが更新された。

そして今回の「第四紀」。


単に数字だけではなく、どのような時代なのかという定義が問われたことも共通している。

環境の変化に敏感にならざるをえない時代状況のなか、歴史を見る新たな視点が求められていることの表れなのだろう。

        
            *****


写真は同記事のもの。

「中国の黄土高原。
土砂の堆積が始まったのは、約260万年前で、寒冷化による第4期の始まりと一致する」という説明あり。


260万年前の風景を見ているのかと思うと、一人で感動しています。。



wikipedia「第四期」より

第四紀は地質時代の一つで、258万8000年前から現在までの期間。

他の地質時代が生物相の大幅な変化(特に大量絶滅)を境界として定められたのに対し、第四紀は人類の時代という意味で決められた。

したがって、古人類学の進展に伴い次々に古い原人が発見されるとともに第四紀の始まる年代も変化していった。

現在ではヒト属の出現を基準とし、地質層序や気候変動を併用して決定している。



特徴

生物
• 人類の進化と繁栄の時代。
• 更新世末に、大規模な絶滅が起こった。
マンモスなど。
その他北米ではウマ、ラクダ、チーターなども絶滅している。

気候
• 高緯度の地域に、大陸並の規模の氷河が分布している。
• 氷期と間氷期を繰り返している。


wikipedia「古人類学」より

古人類学は形質人類学(自然人類学)から派生した学問領域で、特に霊長目内からヒト(ホモ・サピエンス)への進化の系譜の過程の解明を中心に、その過程にあったと思われるヒト科の生態を研究する学問。

広い意味では古生物学に属するが、古生物学と考古学の隙間を埋める学問ともいえる。


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太陽が、「冬眠」準備に入ったという。

2010-09-20 | 環境(ガイア)

先日乗った電車の車内広告に、「太陽が冬眠の準備に入りました。」という文字があり、思わず見入ってしまいました。

今年3月、朝日新聞が国立天文台の観測結果を掲載したようで、その新聞記事を載せた朝日新聞の意見広告のようでした。



朝日新聞の「アスパラクラブ」というサイトに、元記事がありました。


この夏、あれほどの暑さにも関わらず、今までいつも言われていた
「地球の温暖化が進み、例年にない暑さだ。」という言葉が、メディアからまったく聞かれなかったのは、実際に「寒冷化する」という予測がある程度、考慮されているからなのかもしれないと思いました。

温暖化なのか、寒冷化なのか?
人間の自然破壊が原因なのか?
どの程度の気象の変化になるのか?

なにもかも分からないままですが、一週間先の降水確率まで分かって暮らしている今の私たちにとっては、天気予報の通用しない世界は、とても恐ろしいものに感じられます。

なお、記事を書いた記者は、「寒冷化は起きるが、一時的で、温暖化による変動の方が大きいであろう。」と最後に追記しています。(論拠はよくわかりませんが。)


今後も温暖化・寒冷化問題は、世界全体にかかわる大きな問題として、さまざまな研究が続くのではないかと思います。



朝日新聞・アスパラクラブ 3月19日版より 
https://aspara.asahi.com/blog/science/entry/S74pFzYAGC

       
           *****

「太陽、まもなく「冬眠」」
                             

太陽が「冬眠」準備に入ったらしい。

国立天文台などの観測から、約11年で繰り返してきた太陽活動の周期
が2割ほど長くなり、表面の磁場も観測史上最低レベルを記録したことがわかった。

こうした現象は活動が弱まる直前の特徴として知られる。

実際、太陽はこの数世紀、11年周期以外に、ほぼ100年ごとに活動の増減を繰り返している。

ただ、そのしくみや、地球の気候への影響などはよくわかっていない。


昨年末から今年にかけて、太陽に久しぶりに現れた黒点に研究者らの話題は持ちきりになった。

表面の爆発現象「フレア」も観測され始めた。

この数年、100~200年ぶりの弱さを記録した太陽活動は、ひとまず回復の兆しを見せている。


この活動再開によって、直近の太陽の活動周期が確定した。

ベルギーの太陽黒点数データセンターのまとめでは、約12年7カ月。

普段より1年半長い。

周期が延びるのは、太陽が冬眠の時期に入る前の特徴とされる。

太陽活動はおよそ11年ごとの周期に加え、ほぼ100年ごとに活動が弱まる大きな波がある。

特に1700年前後の冬眠はマウンダー極小期と呼ばれ、ほぼ70年間にわたってほとんど黒点が現れなかった。


11年周期は、太陽のN極とS極が周期的に逆転するために起きる現象と解釈されているが、100年の大きな波が起きるしくみは分かっていない。

ただ、近年、宇宙航空研究開発機構の人工衛星「ひので」のように高い解像度での観察が可能になり、解明が期待されている。

国立天文台の常田佐久教授は「次の周期の活動は、極めて弱いものになるのではないか。

衛星で太陽を観測できるようになって初めて起きる極小期だけに、どんな現象が見えるか楽しみだ」と話す。


地球の気候へはどのように影響するか。

過去には、マウンダー極小期に英国のテムズ川が凍るなど寒冷化の現象が起きた。

過去1千年に起きた主な太陽活動の極小期でもおおむね、地球は寒冷化したとされている。

ただ、その相関がどのようなしくみで起きたかはよくわかっていない。

次に予想される極小期がどの程度の規模か、再びミニ氷河期が来るかどうかは、はっきりしないという。


地球の気候への影響で考えられる要因に日射量がある。

だが、太陽活動が弱まっても日射量は0・1%ほどしか変化せず、影響は小さいと見られている。


放射線(宇宙線)量の変化もある。

太陽の磁場は、太陽系外から降り注ぐ宇宙線から地球を守っている。

活動低下に伴って太陽の磁場が弱まると、宇宙線量は15%ほど増えるらしい。


宇宙線には雲をつくる効果があり、宇宙線が増えると太陽光が反射されて地球が冷えるとする研究がある一方、雲をつくる効果はわずかだとの主張や、雲ができると逆に地球の熱が逃げにくくなって温暖化する説もあり、専門家の間でも意見は分かれている。


米国では今冬、東海岸のワシントンが100年ぶりの大雪に見舞われた。

東京大宇宙線研究所の宮原ひろ子特任助教によると、太陽活動の弱さや宇宙線の多さも100年ぶりのレベルだった。

宮原さんは「太陽活動と気候変動のつながりをさらに詳しく調べたい」と話す。


◇木の年輪に太陽活動の痕跡

太陽活動の指標となる黒点を初めて観測したのは400年前、望遠鏡を初めて宇宙に向けたガリレオとされる。

だが、それ以前の太陽活動はどうやって調べられるのか。

答えは木の年輪にある。


太陽活動が低下して磁場が弱まると、太陽系外から降り注ぐ宇宙線の量が増える。

放射線は、窒素にぶつかって同位体の炭素14を生む。

だから、木の年輪に含まれる炭素14の量を調べれば、原理的にはその年の太陽活動の強弱が分かる。


米国の科学者が樹齢8千年の松や、化石の年輪を10年ごとに調べ、1万2千年前までさかのぼった結果、11年の短い周期以外に、90~100年の長い波が見つかった。

ほかに、さらに長い200~300年の波や、2400年くらいの大きな波も認められたという。

宮原さんは、最近1千年の間に5回あった太陽活動の低下に注目し、屋久杉の年輪を1年単位で調べた。

すると、活動が低下した時期には11年のはずの短い周期が最大13~14年まで延び、逆に活発な時期は9~10年だった。

周期が延びると太陽が冬眠へ向かう傾向が確認できたという。

       
      *****




wikipedia「地球寒冷化」より

最近の学説

2006年、カビブロ・アブドサマトフKhabibullo Abdusamatovは、地球寒冷化は小氷期に似たものであり、それが2012~2015年に始まり2055~2060年 にピークを迎えることを予言した。

地球は銀河宇宙線の照射を受け、それが大気中で消滅するときに雲の発生に必要な凝縮核を作る。

太陽活動が盛んなときは太陽風によって銀河宇宙線が散乱されるために雲が発生しにくく地球は温暖化する。

太陽活動が低下すると銀河宇宙線はまともに地球に降り注ぐため、雲が多量に発生し地球は寒冷化する。

銀河宇宙線の量が一定と仮定すると、太陽活動の変化により地球の温度が変化する。

これは太陽光線の強度の変化による直接的な影響ではなく、銀河宇宙線と雲の発生を経た間接的なものである。

太陽活動は黒点の数の変化によって測定できるが、世界各地の天文台の記録を照合すると過去四百年のデータが利用可能である。

それによると十一年周期が明瞭であるが、約二百年ごとに十一年周期の起こらない時期が五十年間ほどあるようである。

その時期には太陽黒点がほとんどなく、地球には小氷期がおこった。

この仮説が正しい場合地球の寒冷化は2012年からその兆候を現し2017年には顕著に現れるはずである。

過去の歴史によると、地球寒冷化の時期には温度の低下による冷害だけでなく、雨量の低下による大陸奥地の乾燥化によって作物の顕著な収穫減少がおこり、飢饉は社会変革や戦争の原因となった。

この意見に広い支持は得られていないが、2008年以後の太陽の黒点のほとんどない時代に入っており、二百年周期の時期に一致する。

現在は太陽活動の低い時期にすでに入っており、それによって寒冷化が予想される時期はごく近未来であるので、近い将来この仮説の成否の結論が出る。



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生命は宇宙から飛来した・・国立天文台の発表

2010-05-30 | 環境(ガイア)
この間、新聞に、生命の起源のことが書いてありました。

小さい頃、いとこのお兄さんに、「最初の生命はどうやって生まれたの?」とたずねたことがあったのですが、「それはねー、ある時、地球に雷が落ちたからだよ。」と言われて、「?」と思ったことを憶えています。

今調べてみると、この「落雷起源説」はたいぶ古い生命起源説のようで、最近は生命の起源は「地上発生説」より、この記事のような「宇宙飛来説」の方が有力なようです。


2010年4月6日 読売新聞より
http://www.yomiuri.co.jp/space/news/20100406-OYT1T00958.htm

*****

「生命の起源、宇宙から飛来か…国立天文台など」


 国立天文台などの国際研究チームは6日、地球上の生命の素材となるアミノ酸が宇宙から飛来したとする説を裏付ける有力な証拠を発見したと発表した。

 アミノ酸には「右型」と「左型」があるが、人類を含む地球の生物は左型のアミノ酸でできている。

しかし、通常の化学反応では左右ほぼ等量ずつできるため、なぜ地球の生物にアミノ酸の偏りがあるのかは大きな謎となっていた。

 研究チームは、南アフリカにある近赤外線望遠鏡を使って、地球から1500光年離れたオリオン大星雲の中心部を観測。

アミノ酸をどちらか一方に偏らせてしまう「円偏光(えんへんこう)」という特殊な光が、太陽系の400倍という広大な範囲を照らしていることを初めて突き止めた。

 この領域には、右型のアミノ酸を壊して地球のように左型ばかりにする円偏光と、右型ばかりにする円偏光の2種類があることも分かった。

アミノ酸は地球上で落雷などによって作られたとする説もあるが、これでは両方の型が作られる可能性がある。

 国立天文台の福江翼研究員は、「太陽系はごく初期に円偏光に照らされた結果、左型のアミノ酸ばかりが残り、隕石(いんせき)に付着して地球に飛来したのではないか」と話している。


*****


「アミノ酸の偏りはなぜできるのか」、ということについて、wikipediaには以下のような説明がありました。


*****


wikipedia「生命の起源」より


生物が作り出し利用しているアミノ酸の光学異性体の型は、ほぼすべてが左手型であることが知られている(ホモキラリティー)。

これは、その理由が昔から問題提起されていたことである。

最近、宇宙には多数のアミノ酸分子があることと、宇宙放射線を浴びたアミノ酸は右手型のアミノ酸が破壊されることから、地球の生命の元になったアミノ酸は宇宙から降り注いだのではないかとする説が有力になっている。

アミノ酸などの有機物が、隕石が海に衝突する際の化学反応で合成できるという発表もある。

生命は、進化と多様化を繰り返しており、これは生物進化をさかのぼることで、生命の起源を探るアプローチの有効性を示唆しているともされる。

このことから、最初の生命は単純であり、またあらゆる生命は、共通の祖先をもつということが示唆され、現在の自然科学では最初の生命は単純な共通祖先であったという前提で研究が行われている。

現在、古細菌を含めた好熱菌や極限環境微生物の研究から、生命の起源に近いとされる生物群の傾向が明らかになってきている、ともされる。


*****


このような「生命の起源を宇宙とする説」を、「パンスペルミア説」と言うそうです。
SFのような科学の将来が、楽しみになってきました。

*****


wikipedia「生命の起源」・パンスペルミア仮説 より


パンスペルミア仮説は、「生命の起源」について人々が知らぬ間に前提条件としてしまっていることについて注意を喚起するもので、「地球上の最初の生命は宇宙からやってきた」とする仮説である。

「胚種広布説」あるいは「宇宙播種説」と訳されている。

一見、判らないものは宇宙に由来させよう、という消極的な考えに見えるが、「地球上で無機物から生命は生まれた」ということを否定しているのみで、また化学進化は否定していない。

アレニウスによる、より具体的なパンスペルミア仮説の主張として、以下の文章をあげたい。

「生命の起源は地球本来のものではなく、他の天体で発生した微生物の芽胞が宇宙空間を飛来して地球に到達したものである。」



このパンスペルミア仮説を支持する点は以下の通りであるという。


•38億年前の地層から真正細菌らしきものの化石が発見されている。

地球誕生から数億年でこのようなあらゆる生理活性、自己複製能力、膜構造らしきものを有する生命体が発生したとは考えにくい。

パンスペルミア説では有機物から生命体に至るまでの期間に猶予が持てる。


•宇宙から飛来する隕石の中には多くの有機物が含まれており、アミノ酸、糖など生命を構成するものも多く見られる。


•分析技術の発達により、これらの隕石中のアミノ酸がホモキラリティーを持つことも確認された。


•彗星中のチリにもアミノ酸が存在すること確認されている。


•地球の原始大気は酸化的なものであり、グリシンなどのアミノ酸が合成されにくい。

•地球外にはユーリー-ミラーの実験に相当する還元的な環境があったかもしれない。


他にも多くの主張が見られるが、多くはSFと科学の境界領域に属するため、割愛する。

特に、「地球誕生後数億年で生命体が発生した」と言う点で、パンスペルミア仮説が支持されることが多いが、この数億年は生命の発生にとって短いのか、長いのか、その辺りの論証がなされない以上、パンスペルミア仮説の妥当性を判断するのは難しいと言える。

なお、この説の支持者としてはDNA二重螺旋で有名なフランシス・クリックほか、物理学者・SF作家のフレッド・ホイルがいる。


パンスペルミア仮説について注意すべきこと

近年NASAによる隕石、彗星中のアミノ酸の存在確認、および隕石中のアミノ酸のホモキラリティー確認(とそれらの発見は宇宙からの飛来仮説を支持するという発表)により、「初期アミノ酸合成は宇宙空間に由来する」という考えは、今だ本流には遠いものの支持を広げつつある。

このタイプの学説もパンスペルミア仮説と呼ばれることがあるが、オリジナルとは異なり、このタイプの説は「アミノ酸の合成は宇宙起源」としているにすぎず、「別の惑星から生物が来た」としているわけではない。


*****
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大洪水が起きる前、恐竜と人類は共に生きていた・・・木内鶴彦さんの証言

2010-04-07 | 環境(ガイア)
「恐竜が隕石によって滅びた」という説が、科学的に証明されたという話を、前回書きました。

この、はるか太古のできごとを、自分の目で目撃してきた、というのが、彗星探索家・木内鶴彦という方です。

この方は心肺停止の死亡状態が30分医学的に確認されているのですが、その後生き返り、30分間に体験した地球の過去のすがたと、あるべき人類の使命について研究しておられます。


以下に、木内鶴彦さんの「生き方は星空が教えてくれる」から、少し抜粋して引用します。


            *****


                  (引用ここから)


月はわたしたちにとって大変身近な存在ですが、まだ分かっていないことの多い謎に満ちた天体でもあります。

いつどのようにして月が誕生したのかということについても、まだ定説はありません。

地球の一部がちぎれてできたという説もあれば、太陽系を漂っていた小惑星が地球の引力圏に取り込まれたという説もあります。

(略)

私が「第二次臨死体験」の中で見た歴史では、誕生したばかりの地球に月はありませんでした。

月は地球がちぎれて出来たものでも、他の惑星を取り込んで出来たものでもありませんでした。


月は巨大彗星だったのです。

巨大彗星が太陽に近づいた際、太陽の熱によってガス化した水分が地球に吸い取られ、質量が少なくなった軽石のような核の部分だけが残り、地球の周りを回る衛星になったのです。

月が持っていた氷状の水分が地球に降り注いだと考えれば、月の質量が地球より少ない理由も納得できます。


巨大彗星が持っていた水が地球に降り注いだことによって、地球上の水分量は急増しました。

旧約聖書の「ノアの箱舟」の物語をはじめ、世界各地には大洪水の伝承が広く残っています。

7日7晩降り続けた大雨によって、高い山までが水の下に沈んだ、という伝承のすべてが想像の産物だとは、わたしには思えません。

これらの伝承は、月が誕生した時に地球に起きた大異変を伝えるものなのかもしれません。

(略)

臨死体験の中でわたしの意識は、その当時天体観測をしていた人の体に入り込むことによって星空を観察しました。

星というのは動かないように見えますが、それぞれに固有運動をもっています。
ですから過去と現在の星図を比べてみると、同じ星座でも少し形が異なっているものなのです。

この星の固有運動を逆算していけば、過去の星座の形を手掛かりに、その時代を割り出すことができます。

(略)


そうしてわたしが導きだした月誕生の年代は、15000年前というものでした。

巨大彗星が地球に接近し、地球の環境を大きく変化させたのは、意外にもそれほど古い時代のことではありませんでした。


当時すでに人類は誕生し、文化的な生活を営んでいたのです。

(略)


わたしが臨死体験で見てきた地球の歴史は常識では考えられないものでした。


月が誕生する前、地球では高度な文明が築かれていました。

その社会は今の歴史学の常識からすれば、信じられないような光景だと思います。


この古代文明の都市は、当初地下に造られました。


人間が自分たちの生活空間を地下に求めた理由は、実にシンプルなものでした。

地上に町をつくると、自然を破壊しなければならないからです。


当時の文明は、「地球の生態系の主役は植物だ」という認識に立脚していたのです。

都市と同じ理由から、道路や線路も作られませんでした。


かれらは空中を移動する乗り物を開発しました。

それは今で言えば、飛行機と言うよりUFOに近いものでした。


緑に覆われた大地、そこには数々の動物が自然を維持するための循環を繰り返していました。


その循環の輪の中には、地下に住む人間も、巨大な恐竜も含まれていました。


そうです。

月が誕生する前まで、人間と恐竜は一つの生態系の中で生きていたのです。


人間は文明の進化とともに、その生息圏を広げていきました。

当時の科学力はある意味では今より進んでいたのかもしれません。

価値観が今と異なるので、比べるのが難しいところもあります。


残念なことに、この超古代文明は、月が地球にもたらした大洪水によって失われました。


生き残ったのは、高い山の頂に避難できた、ごくわずかの人だけでした。


わたしはよみがえった時のためにと、臨死体験の中で訪れた様々な時代の様々な場所に、いくつか証拠になるようなものを残して来ていました。

自分だけに分かるメッセージを、今も残る有名な神社や世界各地の古代遺跡に刻みつけてきたのです。


どんな時代の、どんな場所でも一瞬で移動できるのですから、エジプトのピラミッド、インカのマチュピチュなど、あちこちに行きました。

検証しやすいように日本国内でも、何か所か印をつけました。

まだすべてを検証したわけではありませんが、これまでに調べた場所にはすべてそれらのメッセージを確認することができました。


それは、臨死体験の中で見てきたものは事実だと告げていたのです。

(引用ここまで)


*****


wikipedia「木内鶴彦」より


彗星探索家。

小学5年生の時に池谷・関彗星を見て以来、彗星に興味を持つ。

学生時代には天文同好会に所属。卒業後も長野県臼田町(現佐久市)にて天体観測を続ける。

臨死体験者としても有名。

航空自衛隊にて運航管理者として勤務していた22歳のとき、当時としては大変珍しい上腸間膜動脈性十二指腸閉塞で一度死亡を確認されるも30分後蘇生した。

死後蘇生したことが医師のカルテに記録されている例としては国内で唯一である。

その経過は学会で報告され、本人側の記録も木内の著書として刊行されている。

回復後は、航空自衛隊を退官、彗星捜索を再開する。

コンピュータによる軌道計算と写真乾板による彗星探査が普通である中で、木内は電卓と大型双眼鏡での眼視によって、当時行方不明になっていたスウィフト・タットル彗星を再発見するほか、3つの彗星を発見するなどして、全世界から一躍注目をあびた。

木内の当時の彗星捜索のスタイルは、毎日、大型双眼鏡を八ヶ岳の山中にかつぎ上げ、眼視で観測することが特徴であった。

2008年現在、全国で講演会・観望会を行い、天文や環境問題を説いて回っている。

特に光害と、そこから派生する自然環境破壊を強く訴える。



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恐竜は隕石で絶滅・・6500万年まえのできごとが解明された。

2010-04-03 | 環境(ガイア)
新聞に興味深い記事が載っていました。


メキシコのユカタン半島に、6550万年前に、隕石が落下し、それが、地球に大変化をもたらし、地球が「恐竜の時代」から「哺乳類と鳥類の時代」になったことが、判明したとのこと。

この記事を読んで、木内鶴彦さんのことを思い出したので、次回は、木内さんの「太古の記憶」を載せます。


       ・・・・・・・・

「恐竜は隕石で絶滅、12か国のチームが結論」
(2010年3月5日04時56分 読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20100304-OYT1T01304.htm



 約6550万年前の白亜紀末に恐竜などが大量絶滅したのは、メキシコ・ユカタン半島に巨大な隕石(いんせき)が衝突したことが原因と結論づける報告を、東北大など12か国の研究機関による研究チームがまとめ、5日の科学誌サイエンスに発表した。

 これまでも隕石衝突説が有力視されていたが、異論もあり、論争になっていた。

 いろいろな分野の研究者が集まり、世界350か所の白亜紀末の地層や隕石の衝突痕(クレーター)などを詳細に分析。

絶滅が起きた時期と、隕石に多く含まれるイリジウムの急増や、衝撃による岩石異常などがみられる時期が、厳密に一致することを確認した。

 一部研究者が唱える火山噴火原因説については、絶滅が起きた時期に火山活動が弱かったことなどから、影響は小さいと退けた。

 チームの計算によると、直径約10~15キロ・メートルの隕石が秒速20キロ・メートルで当時浅海だった地表に衝突。

エネルギーは広島型原爆の約10億倍に相当し、大気中に拡散した大量のちりが太陽光を遮断した。

光合成を行う植物などが死滅した結果、食物が減少し、恐竜も絶滅に追い込まれたと考えられる。

 研究チームの後藤和久・東北大助教(惑星科学)は「地質学や古生物学などに細分化していた議論を集約させた意義は大きく、恐竜絶滅の原因論争に決着をつける成果」と話している。

   ・・・・・・・



wikipedia「K-T境界」より

(引用ここから)

K-T境界(ケイ・ティーきょうかい)とは地質年代区分の用語で、約6500万年前の中生代と新生代の境目に相当する。

生命誕生以来何度か発生した大量絶滅のうち最新の事件(恐竜を代表とする大型爬虫類やアンモナイトが絶滅した)が起きたことで有名。

K-T境界では、直径約10kmの巨大隕石がユカタン半島付近に落下したことが判明している。

この隕石落下は生物相変化をいっそう促進したと考えられるが、その影響の大きさについては諸説ある。

●大量絶滅

中生代は大型爬虫類の時代であった。

地上では恐竜が、空中では翼竜が海中では首長竜や魚竜が繁栄していた。

K-T境界を境にして、これらの大型爬虫類の全てが絶滅した。

生き残ったのは、爬虫類の系統では比較的小型のカメ、ヘビ、トカゲ及びワニなどに限られた。

恐竜直系の子孫である鳥類も絶滅を免れている。

海中ではアンモナイト類をはじめとする海生生物の4割(有孔虫では種の97%以上と属の92%以上)が姿を消した。

この時期に絶滅した生物種は、全体の70%ほどと見積もられている。

これらの生物がいなくなった後、それらの生物が占めていたニッチは哺乳類と鳥類によって置き換わり、現在の生態系が形成された。

陸上の植物相は、白亜紀中頃には既にジュラ紀末まで隆盛を誇ったソテツ類などの裸子植物に代わって、被子植物を主体とするものに変わっていた。

K-T境界以後も被子植物主体の植物相であることは変わらないものの、花粉分析の結果、K-T境界直後のシダ植物の一時的進出を挟んで、構成を大きく変化させていることが明らかになった。


●地球気候の変化

中生代を通じて地球の気候は温暖であった。

当時の爬虫類の分布から想定して、平均気温は現在より10~15℃程度高かったと考えられる。

原因として大気中の二酸化炭素の濃度が現在よりも高く、温室効果が大きかった事があげられる。

中生代は火山活動が比較的活発で、火山ガスによって二酸化炭素が大量に大気中へ供給された。

中生代の二酸化炭素濃度は現在(0.03%)の10倍以上あったと推定されている。

中生代に繁栄した恐竜を代表とする生物種は、この高温に適応した生物であった。

しかし白亜紀末期には気温が徐々に低下し始めていたため、隕石落下前の地層から発見される化石では、大型恐竜やアンモナイト類の種の数が減少していた。


●隕石説と火山説


1980年、地質学者のウォルター・アルヴァレズとその父でノーベル賞受賞者でもある物理学者ルイス・アルヴァレズ(Luis Alvarez)は、K-T境界における大量絶滅の主原因を隕石とする論文を発表した。

アルヴァレズ父子はイタリアのグビオに産するK-T境界の薄い粘土層を分析し、他の地層と比べきわめて高濃度のイリジウムを検出した。

イリジウムは、地表では極めて希少な元素である反面、隕石には多く含まれること、デンマークに産出する同様の粘土層からも同じ結果を得たことで、イリジウムの濃集は局地的な現象ではなく地球規模の現象の結果であると予測されることから、彼らはその起源を隕石に求めた。

この論文は、地質学者の激しい抵抗で迎えられた。

反論のなかで最も有力だったものが、イリジウムの起源を火山活動に求めた火山説である。

地表では希少なイリジウムも、地下深部には多く存在する。

それが当時起こっていた活発な火山活動(デカントラップ)により地表に放出されたとするのが火山説であり、隕石説に反対する多くの地質学者がこの説を支持した。

以来、およそ10年にわたって、隕石説と火山説の間で展開された論争は、1991年に、ユカタン半島において白亜期末に形成されたと見られるクレーター跡が発見されるに至って、隕石説に軍配が上がる形で決着した。

白亜紀と第三紀を境する、イリジウムに富む薄い粘土層はイタリアやデンマークだけでなく、アメリカや日本等世界各地に分布している。

特に北アメリカでは、イリジウム濃縮層とそれよりやや厚い粘土層の2層が観察され、衝突の結果形成されたクレーターが付近に存在すると考えられてきた。

粘土層中には、高熱で地表の岩石が融解して飛び散ったことを示すガラス質の岩石テクタイトやスフェルール、高温高圧下で変成した衝撃変成石英(Shocked Quartz)、ダイヤモンドも発見されており、これらはすべて、衝突時の衝撃により形成されたと考えられている。

また粘土中には多量のすすが含まれ、これは衝突時の高熱により地上の植生等が大規模な火災を起こした証拠と考えられている。

1980年の論文の時点で、落下したと考えられる隕石の大きさ(直径10km程度)は計算されていたが、落下したことの最も確実な証拠であるクレーターの場所については、先述の通り北アメリカ近辺にあるらしい、という以外明らかではなかった。

1991年、ユカタン半島北部に存在する円形の磁気異常と重力異常構造が再発見され、その後の調査の結果、求めるクレーター跡であると認められた。

K-T境界では、上記のように直径約10kmの巨大隕石が落下した。

落下地点は現在のメキシコユカタン半島の北西端チクシュルーブで、落下により直径100km以上、深さ15~25kmのチクシュルーブ・クレーターが形成されたことが確認された。

また、落下地点は当時浅海域だったと推定され、キューバでは隕石落下による巨大津波を示す堆積物も見つかっている。


●想定されるシナリオ

大量絶滅の主原因は、巨大隕石の落下による環境急変とする説が広く知られているが、その他に大陸の移動による気候変動、植物相の変化による動物の餌の不足、などいくつかの説があり、まだ結論は出ていない。

大量絶滅の原因が巨大隕石の落下であった場合に想定されるシナリオは次のようなものである。

1•隕石本体は衝撃による発熱で気化蒸発し、塵となって大気中に広がった。

2•落下海域では巨大津波が発生し、津波は全世界の海岸を襲った。

3•落下地点の岩盤は高熱により融解し周囲に飛び散った。
落下の衝撃により周辺の岩盤が破壊され巨大なクレーターが生成した。クレーターの形成時に大量の岩屑が空中に舞い上がった。

4•大気は塵によって不透明となり日光が地表に届かなくなって、地表が寒冷化した。

5•大気中に舞い上がった岩石中に含まれていた硫黄分が酸性雨を降らせた。

6•環境の激変に適応できなかった多数の生物が死滅した。

(引用ここまで)

      ・・・・・
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“日の丸原発”がすごい勢いで進んでいる・・・温暖化対策の名のもとに。。

2009-07-21 | 環境(ガイア)



先日の新聞に、なにげない風情で、原発の技術輸出の記事がありました。

“地球温暖化の対策には原発を、”という合意が世界中でしずしずと進められていることに驚きを禁じえません。

太陽光発電とか風力発電とか、エコカーとか、いろいろ言いながら、世界は全然違う思惑のもとに全然違う方向に向かって進んでいるようで、不安を感じます。

以下、2009年7月10日付け朝日新聞より。

    
     *****


“海外原発 人材育成で協力
      導入目指す新興国にアプローチ、研修など産官学で連携”

                                   

アジアを中心に原子力発電の新規導入を目指す動きが広がっている。

ただ、ほとんどの国で法律もなく、技術も人材も足りない。

この潜在的な大市場を、欧米や韓国など原発先進国が狙う。

日本も産官学が連携し、幅広い分野で新参国の人材育成に力を入れ始めた。


◇ライバル国は除外

(中略)このプログラムは文部科学省と経済産業省が始めた「アジア人財資金構想」の一環。
日本の原子力産業に役立つ人材育成が目標で、メーカーや電力各社、商社など13社が参加、講師を派遣したり、職場研修をしたりしている。現在は8人のアジア人留学生を受け入れている。

留学生8人の国籍はタイ、ベトナム、インドネシア、カザフスタン、モンゴル。原発の新規導入国かウラン資源国に絞り、日本の競争相手になりそうな中国、韓国からは受け入れないことにした。

「これまでにも原子力の海外人材育成は行われていたが、外務省や原子力委員会、原子力安全・保安院と各機関がバラバラ。
戦略がなかった」。

日本原子力研究開発機構の杉本純・原子力研修センター長は話す。

今年6月、経産省が中心となって国際原子力協力協議会を作った。

産学官連携の原発の国際協力を目指す組織は日本で初めて。

内閣府の原子力委員会も今月、国際専門部会を設置、原子力平和利用の国際対応の検討を始めた。


◇新規導入国20以上


「原発を商機に、」というのには訳がある。

現在、建設・計画中の原発は約30カ国で150基前後。

50年に世界の原発は最大だと1400基に上ると経済協力開発機構(OECD)原子力機関は予測する。

中でも20カ国以上あるとみられる新規導入国は、日本に期待を寄せる。

技術はもちろん、規制や法律、行政組織や人材も一から作らなければならない。

核不拡散や安全面でも国際原子力機関(IAEA)の査察受け入れや核物質の管理の徹底が求められる。

「日本は安全規制や核不拡散の取り組み、ものづくりが評価されている」と経産省資源エネルギー庁の高橋泰三・原子力政策課長。

人材育成や専門家の派遣を通じてノウハウを伝え、関係強化を図りたいという思いがにじむ。

日本のライバルたちは、一歩先んじている。

フランスは、08年5月に原子力庁の下に国際原子力支援機構を設立。すでにアルジェリアやヨルダン、リビアなどと政府間協定を結んでいる。

韓国も08年、世界初の原子力安全学校を開設。IAEAのアジア地区訓練センターと位置づけられた。前身組織時に3年間で11カ国の132人に安全規制を教えている。


◇「日の丸原発」目標

ベトナムでは20年に100万キロワット級の原子炉4基の運転開始を予定、導入に向け予備調査の実施が今年中に国会で決まる可能性がある。

日本のメーカーや電力などで作る原子力産業協会は00年にベトナム原子力委員会と覚書を交わし、専門家の派遣や現地でセミナーを開いてきた。

原産協会の小林雅治・国際部マネジャーは「予備調査を受注した国が、原子炉も受注する可能性が高い」と意気込む。

ベトナムの原子力委員長は日本で研修経験があり、原産協会が何度も視察に招く知日派だ。

小林さんは「苦労して支援してきたのだから、日の丸原発を作りたい」と話す。

      *****
          

次の記事は、産経新聞2009・06・19の関連記事です。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/environment/268127/

     
      *****

「原発回帰 オールジャパン 官民で国際協力協議会設立」

                2009/06/19

 政府は18日、原発プラントメーカー、研究機関などからなる「国際原子力協力協議会」を設立した。

地球温暖化対策として原子力発電所の導入を進める「原発ルネサンス」の動きが世界で広がる中、原発計画を進める各国の要望に応じて法整備や運転ノウハウ、人材育成面で協力すると同時に、日本の関連業界の海外進出を後押しするのが狙いだ。

◆ワンストップ窓口

 協議会には、電気事業連合会や日本電機工業会、日本原子力産業協会といった業界団体のほか国際協力機構(JICA)、日本原子力学会も参加。

政府側からは経済産業省を中心に、文部科学省、外務省などが加わった。

 この日の会議では、核不拡散や安全確保を前提に国際協力を進めることで合意。

二階俊博経産相は「オールジャパンの態勢で臨むことが重要だ。

(原発計画を進める)諸外国の要望にこたえたい」と語った。

 「原発ルネサンス」の流れは欧米はもちろん、アジアや中東地域に広がっており、技術や運転ノウハウへの需要が高まっている。

 スウェーデンやイタリアは「脱原発」の方針を転換したほか、米国は原発建設に関する規制を緩和。

中国は今後、毎年2~4基を建設する計画で、ベトナムやアラブ首長国連邦も原発推進策を採っている。

 このため、日本に対し「国を挙げて支援やアドバイスを求める」(経産省)ケースも多く、官民一体で各国との協調を進める「ワンストップの窓口」への期待が高まっていた。

 具体的には、事務局を務める経産省が協力依頼を受けて関係団体や機関の調整役を担い、プログラムを提案していく。

すでにフランスが原子力庁のもとに国際協力を目的とした官民組織を設立しており、競いあうことにもなりそうだ。


 ◆建設・運転に実績

 世界の原発プラント業界では、仏アレバ、米ウエスチングハウス・エレクトリック(WH)、ゼネラル・エレクトリック(GE)が高いシェアを誇っている。

ただ、日本勢も三菱重工がアレバと合弁会社を設けたほか、東芝はWHを買収。

日立製作所はGEと原子力分野で新会社を設立するなど、「原発ルネサンス」の追い風を利用するための態勢を整えている。

 日本の強みは、米スリーマイル島原発事故(1979年)、旧ソ連のチェルノブイリ事故(86年)以来、世界で原発建設が停滞する中でも建設・運転の実績を重ねてきた点にある。

 中小企業を含めて、層の厚い「ものづくり」技術を持っていることも各国の信頼を集める要因になっているという。

 高い技術力の輸出を通じ、関連産業の活性化や、地球温暖化対策への貢献にいかにつなげていくか。協議会の成果が問われる。


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こうした動向に対して異議を申し立てている2008・10・28付け「グリーンピース」のメルマガを転載します。

http://archive.mag2.com/0000003561/20081027170339000.html

        
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「「日の丸」原発を日本国民の税金で輸出?!」

               

日本政府は国内原子力産業の国際競争力向上をめざし、海外原子力市場の開拓・拡大と、日本企業による原発輸出を後押ししています。

しかし、原発は放射能汚染や事故、核拡散など、きわめて大きなリスクを抱えているうえ、その建設には多額の資金が必要です。

そこで日本政府は「地球温暖化対策」を口実に、政府系金融機関や貿易保険制度に原発輸出を後押しするしかけを新たに組み込みました。

さらに原子力事故の可能性を想定し、事故がもたらす損失をカバーする国際的な賠償制度への加入も検討しています。

最初の支援対象国として名前があがっているのが米国です。

米国の金融界は、過去30年間も受注がなかった原発への投資には消極的で、米国民も新規建設に税金を補助金として投入することに強く反対しています。

昨今の金融危機もあって、米国では原発建設への資金調達がますます困難になっています。

米国の原発建設を、私たち日本国民の税金を直接・間接に使ってまで支援するのは、危険でまちがった政策ではないでしょうか。

グリーンピースは、米国だけでなく世界のどの国へも「日の丸」原発が輸出されないよう活動を続けていきます。


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ビジネス用語辞典wisdomより「ワンストップ」

ワンストップとは「一カ所、一度に」という意味で、ワンストップサービスとは、必要な調達やサービス、手続きなどを1つの事業者などが提供するもの。

コンビニやスーパーのように、1つの店舗で複数の需要を満たすサービスの形態も該当するが、一般的には、システムベンダーやインテグレーターなどが複数の異なる製品や部品を組み合わせて、単独の窓口としてサービスを提供する場合に用いられることが多い。

マーケティング的には、消費者への利便性を提供すると同時に、企業側では顧客の囲い込みができる点で有利とされている。
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“エコロジー”とは、“国民の御負担”で、原発を作ることなのでしょうか?

2009-06-14 | 環境(ガイア)

昨日の新聞に、小さく、こんな記事がありました。
政府の言う“エコ”とは、いったい何のことなのでしょう?

マイ箸だ、自転車通勤だ、風力発電の工事が始まった、、と毎日メディアはエコ、エコと連呼しているけれど、なにか違うような。。



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「原子力40パーセント超え検討・・経産省、中期目標達成へ」
     2009年6月12日 朝日新聞


2020年までに温室効果ガス排出量を「2005年比で15パーセント減」と定めた政府の中期目標達成のため、経済産業省は11日、総発電電力量に占める原子力の割合を40パーセントに引き上げる方向で検討を始めた。

近くまとめる原子力発電推進強化策に、既定炉の稼働率向上や出力向上、原子炉の新増設を盛り込む。

原発による発電比率を上げるには、既設原発の定期検査の間隔を延長したり、運転中のメンテナンスを増やしたりして、6割に低迷している稼働率を先進国並みの8割程度に引き上げる。

また18年度までに予定されている原発9基の新増設に向けて後押しする。

05年度の原子力発電比率は31パーセント。
中越沖地震で柏刈羽原発が停止した07年度は25パーセントだった。

40パーセント以上という目標は、これよりかなり高いものになる。

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先日、麻生総理が会見で発表した「温暖化対策の国家プロジェクト」からは、上記の記事にある「経済産業省が、原子力発電を大きく増大させようとしている」という事実は、微妙に見えないようにされているように思います。

会見の質問に答えて、総理は次のように述べています。

「原発の稼働率が下がったためにCO2は目標どおり下げられなかったが、そのかわりに太陽光発電や水力発電の開発に力を注ぎたい。」

つまり原発についてはなにも述べていません。
ただ詳しいことは経済産業省がやってくれるだろうと言っています。

しかし次の記事などを見ると、経済産業省は、太陽光発電については懐疑的に考えているように思われます。


そして昨日の記事のように、原子力発電を40パーセントに増大するという計画を持っているわけです。

国民には、新しい自動車や家電を買うよう、要請し、新しいエネルギー開発のために、光熱費料金を高くして、太陽光では間に合わないから原子力発電所に力を入れる、というのは、二枚舌の発言であり、「エコロジー」という言葉で国民を翻弄しているように思われますが、違うでしょうか?

以下に会見の一部と、産経新聞の関連記事を転載します。



麻生内閣総理大臣会見内容・全容はこちら
http://www.kantei.go.jp/jp/asospeech/2009/06/10kaiken.html

麻生内閣総理大臣会見内容・全容

     
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国民の御負担


 しかし、この目標を実現するためには、国民の皆様にも御負担をお願いしなければなりません。

国民生活や産業活動に対する負担の大きさを示すことなく、削減量が大きければ大きいほどいいといったような精神論。そういったものを繰り返すことは、国民の皆さんに対して無責任であると私は考えております。

そのため、私はこの場で国民の御負担についても率直に申し上げたいと存じます。

 国民の皆様の御負担については、ご覧をいただいております試算があります。

今回の中期目標は、国民の皆様に相応の負担をお願いせざるを得ません。

勿論、皆さんの御負担を下げるために、政府はあらゆる努力を払わなければなりませんし、払う覚悟であります。

経済界にもさらなる開発のための負担と努力をお願いしなければなりません。

しかし、これは我々の地球というものを守るためのコストです。

日本はその覚悟を持って地球温暖化問題に取り組んでいかなければならない、私はそう思います。

 ご覧いただいておりますとおり、先般の世論調査では、そうした負担を承知の上で半数近い方々から、私が申し上げた目標に近い2005年比14%削減を支持するという声をいただきました。

私は、日本国民の良識に深く敬意を表するものであります。

私は皆さんの努力、協力を無駄にすることがないよう、実効性のある国際的枠組みづくりに不退転の決意で臨んでまいる覚悟です。




質疑応答部分

(問)
 現状ですと、京都議定書の削減目標もなかなか達成が難しい状況だと思うんです。

 そうした中で、今回の中期目標の2005年比で15%という削減目標を達成するための具体的な道筋というものをもう少し詳しく、現状、総理がお考えになっていることを教えていただきたいんですが。


(麻生総理)
 まず、京都議定書の分について、なかなか達成できない数字になっている大きな理由は、やはり地震が大きかったです。

そして、原発が止まったというものは、御存じのように、原発はCO2というものからいきますと、火力発電とは全く違いますので、この原発、東京電力の刈羽の発電所やら、こういうのが止まったのが一番大きく数字を変えたと思っておりますので、この数字の分を我々は補っていかなければならないというのが1つ。

それは、間違いなく、今、その分は海外の森林、海外からのクレジットを買うなどなど、いろんな方法を考えて、今、これを達成すべく最大限の努力を産業界でしておられるというのは、特に電力業界等々は確かな、現実だと思います。

 もう一つは、今、申し上げました太陽光発電というものを例に引きましたけれども、太陽光発電というものを、現状の10倍にするといって、今回の数値は、今回のというのは、この間の14%削減のときには考えたんですが、今回、補正予算などなどで、太陽光発電は20倍にしようという目標を立てており、これでいきますと、20倍になりますと、大体0.7%ぐらい削減量が増えます。

それが1つの目安です。その他、水力発電というのも、これは大きいんですが、いろいろな小さな水力発電というものは、大きなダムと違います。今、そこにある川というのは、日本の場合は急流が多いせいもあり、急流に限らない、とにかく流れが早い川が多いので、水力発電というものを小さく水力発電というものに向いている地理的条件にあります。

この水力発電の活用というものは、これはいわゆる水によりますエネルギーの再生ですから、そういう意味では、極めて大きな意味を持つものだと思っているので、経産省または国土交通省の河川局などなどで、この問題について、今、いろいろやらせていただいているというところで、もっと細かいのはいろいろありますけれども、そういった小さなものを積み重ねていきますと、0.1、0.05といった数で積み重ねていって、私どもとしては最終的に14%プラスの1%というものを達成すべく、これは、今、二階先生の下でいろいろ経産省にやってもらっているところでありますけれども、細目につきましては、経産省、国交省、こういったところに聞いていただき、全体としては環境省に聞いてもらった方がより正確な情報が得られると思います。




太陽光発電普及で大停電?!・・経産省が実証実験


産経ニュース2009・04・11
http://sankei.jp.msn.com/life/environment/090411/env0904112126000-n1.htm



  
産経ニュース2009・04・11



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太陽光発電普及で大停電?! 経産省が実証実験


 「太陽光発電が普及すると大停電のリスクが高まる?!」。

政府が10日に決めた追加経済対策の目玉の一つである太陽光発電をめぐり、こんな問題点が指摘されていることを受け、経済産業省は今夏から実証実験に乗り出す。

太陽光などの自然エネルギーによる電気が大量に電力網に組み込まれると、突然の天候の変化などで供給量が激減し需給バランスが崩れ、通常の発電所がダウンしてしまう恐れがあるためだ。

経産省では、全国各地に200基の太陽光パネルを設置してデータを収集し、影響と対策を検討する。

 政府は、地球温暖化対策として太陽光発電容量を平成42(2030)年度に現在の約40倍の5321万キロワットに拡大する目標を掲げている。

現在運転中の原子力発電所53基分の計4793万キロワットを上回る規模で、住宅や学校、工場への発電パネルの設置に加え、大規模な「メガソーラー」発電所の整備を進める計画だ。

 追加経済対策でも、麻生太郎首相が「日本は太陽光発電や電気自動車の分野で世界をリードすべきだ」と指示したのを受け、普及促進を打ち出した。
 
ただ、自然エネルギーには大きな弱点がある。

そもそも電力は、今現在使われている量とちょうど同じ量を発電して供給することが求められている。

例えば、広い範囲が雲に覆われ、太陽光発電が突然、ストップすると、それを補う火力など他の発電所に過度の負荷がかかり停止し、停電につながる恐れがある。

 このため、経産省では電力会社と協力し3年間かけて、自然エネルギーの電気が電力網に与える影響を検証することにした。

 全国各地に設置した太陽光パネルで、天候による発電量の変化のデータを収集。

さらに離島などで火力発電と太陽光、風力発電を組み合わせた小規模な電力網を構築し、自然エネルギーの供給量の変化が電力網に及ぼす影響を調べることも検討している。

 大量の自然エネルギーのを使用するには、通信・制御システムを組み込んだ送電網と蓄電施設を整備。発電量だけではなく、家庭やビル、工場の使用量を増減させ、最適な供給体制を構築できる「スマートグリッド」(賢い電力網)と呼ばれる高度なシステムが必要になる。

経産省では実証実験で得たデータを、欧米が先行しているスマートグリッドの整備にも役立てたい考えだ。

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太陽の活動弱まる。黒点の数200年ぶり低水準、小氷河期の前兆か?・・朝日新聞より

2009-06-03 | 環境(ガイア)

1日付の朝日新聞に、「太陽の活動が低下している」という記事がありました。

一面記事から生活欄まで、省エネとエコの話題が満載の新聞の中に、ポツンとこんな記事が。。
研究者は深刻な事態だという考えのようです。

はてさて、温暖化なのか、氷河期なのか、、未来の地球の行く手はどうなるのでしょうか?
以下新聞より転載します。

追記
先ほどネットにも配信されましたので、URL記載しておきます。
Asahi.com「弱る太陽、活動200年ぶりの低水準」
http://www.asahi.com/science/update/0601/TKY200906010159.html


Asahi.com「弱る太陽、活動200年ぶりの低水準」


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「太陽 弱まる。黒点の数、200年ぶり低水準・・研究者『ミニ氷河期前兆?』」
      
          2009年6月1日 朝日新聞


太陽の活動が200年ぶりの低水準にまで落ち込んでいる。

これまでのパターンだと再来年には活動の極大期を迎えるはずなのに、活発さの指標となる黒点がほとんど現れない。

研究者も、「このままだと地球はミニ氷河期に入る可能性がある」と慌て始めた。

国立天文台は今月下旬に研究者を集めた検討会を開く。

太陽の活動は約11年周期で活発になったり、静穏になったりというパターンを繰り返している。
活動ぶりの指標が表面にシミのように見える黒点。

黒点の周辺では爆発現象が多く起こり、黒点が多いほど、太陽の活動が活発だ。

ところが、デンマークの「太陽黒点データセンター」によると、黒点の多さを表す「相対数」は、08年が2.9で、過去100年で、1913年の1.4に次ぐ2番目の少なさだった。

今年はさらに減り、4月までの暫定値が1.2と、1810年の0・0以来の低水準に落ち込んだ。

太陽から放出される陽子などの流れ(太陽風)も、07、08年は過去数10年と全く違う。

静穏期の太陽風は遅い風が赤道に、速い風が北極と南極に集まるが、名古屋大太陽地球環境研究所の観測では、07,08年は赤道付近にも速い風が多く現れた。

徳丸教授は「太陽の磁場が弱まっている影響だろう」と言う。

この磁場の弱まりも、黒点の減少と関係があると見られる。

太陽活動には、数百年周期の変動も知られる。

17~18世紀には約70年間、黒点がほぼ消え、欧州では英国のテームズ川が凍るなど、「ミニ氷河期」に陥った。

国立天文台の常田教授は
「エックス線や光も弱まっている。
 今後再び黒点が増えても、従来のような活発さになると考える太陽研究者は少ない」と話す。
   
            

       *****



wiki「小氷期・北半球」より

小氷期の間、世界の多くの場所で厳冬がもたらされたが最も詳細な記録が残っているのはヨーロッパと北アメリカである。

17世紀半ば、スイス・アルプスの氷河は徐々にその版図を低地へと広げ谷筋に広がる農場を飲み込み村全体を押し潰していった。

氷河が河川を塞き止め、決壊による洪水に襲われた村も多い。

テムズ川やオランダの運河・河川では一冬の間完全に凍結する光景が頻繁に見られ、人々はスケートや氷上縁日(フロスト・フェアー)に興じている。

1780年の冬にはニューヨーク湾が凍結し、マンハッタンからスタッテン島へ歩いて渡ることが可能であった。

アイスランドでは海氷が何マイルにもわたって島を取り囲んで長期間に渡って港湾を封鎖し、漁業や交易に打撃を与えた。

この厳冬の到来は、大なり小なり人々の生活に影響を与えている。

飢饉が頻繁に発生するようになり(1315年には150万人もの餓死者を記録)、疾病による死者も増加した。

アイスランドの人口は半分に減少し、グリーンランドのバイキング植民地は全滅の憂き目を見た。

小氷期の影響は、この時代の芸術にも見ることができる。例えば、フランドルの画家ピーター・ブリューゲルは往時の村落を多岐に描いているがその多くは雪に覆われた風景を呈している。

日本においても東日本を中心にたびたび飢饉が発生し、これを原因とする農村での一揆の頻発は幕藩体制の崩壊の一因となった。

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「エコ替え」、どうなのかなぁ?

2009-04-16 | 環境(ガイア)




政府の予算案が新聞に載っていました。

いわゆる“エコ替え”を促進する政策ですが、 でも、“エコ替え”するより、今あるものをあと10年使おうという方が、やっぱり“エコ”でしょ、という声も多いのではないでしょうか。。



        *****

200万人雇用創出へ「低炭素」など集中投資…政府戦略
 政府が策定を進めている成長戦略の全容が27日、明らかになった。

 
 温室効果ガス排出量の少ない「低炭素社会」の実現に向け、家庭の新「三種の神器」として〈1〉電気自動車などのエコカー〈2〉省エネ機能の高いグリーン家電〈3〉太陽光発電システム――を挙げた。

 エコカーへの買い替えに補助金を創設する。
初年度の2009年度は計100万台を上限に、普通乗用車で1台あたり20万~30万円、軽乗用車で同10万~15万円を支給。

グリーン家電では、カード会社と連携して「エコポイント」制度を導入する計画だ。省エネ効果のあるエアコン、冷蔵庫、テレビを購入する際に購入額の一定割合にエコポイントを与え、省エネ製品の購入に使えるようにする。
 
 ◆政府成長戦略の骨子 

【低炭素革命】
▽低公害車への買い替えに補助金。普通乗用車は1台あたり20万~30万円、軽乗用車は同10万~15万円
▽省エネ家電(テレビ、エアコン、冷蔵庫)への買い替え費用を補助
▽公立小中高校の約3万7000校に3年間で太陽光発電を完備

   (2009年3月28日 Yomiuri Onlineより抜粋)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20090327-OYT1T01363.htm

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前回の記事に少し紹介した田中宇さんのブログに、“温暖化はイデオロギーだ”、という趣旨の記事がありましたので、こんどは少し長く紹介してみたいと思います。

この方の意見はあくまでも一つの意見であり、これが正しくて他が間違っているというつもりはありません。

科学ですから、いろいろなデータがあり、その扱いも、分析も、様々なのだと思います。

その上、田中氏は科学者ではなく彼の考えはえせ科学だという意見もあることでしょう。

ですが、地球温暖化についての一つの考えとして、あくまでも素人目で見てこのような意見もあっていいのではないかと思い、転載させていただきます。
        
  
            *****


ブログ「田中宇の国際ニュース解説」
http://tanakanews.com/080422warming.htm


「地球温暖化問題の裏側」
2008年4月22日  田中 宇


 日本では最近、政府が国民に地球温暖化対策の実施をさかんに呼びかけている。

役所やマスコミは、二酸化炭素などの温室効果ガスをなるべく出さない生活を心がけましょうという宣伝を繰り返している。

企業活動や生活の中で人間が排出する二酸化炭素が温室効果を激化させ、地球の温度を過剰に上昇させてしまうという、国連の専門家機関(IPCC)で主張される地球温暖化の理論(仮説)は、完全に「事実」として定着した観がある。

 しかし私が見るところ、世界の専門家の中には、温暖化対策が必要だとする政策の根拠になっている「地球温暖化は人類排出の二酸化炭素が主因」という考え方に対し「間違いだ」と思っている人がかなりいる。

「IPCCは、温暖化対策が必要だという結論を先に持ち、それに沿った議論だけを束ね、懐疑的な指摘や質問を拒否して、温暖化の報告書を作ってきた」という見方も強い。

IPCCや、イギリスを主導役とする先進各国が、温暖化対策を世界に義務づけようと急ぐほど、専門家の中からの疑問視や反発が強くなっている。

昨年あたりから、IPCCのやり方に反対する専門家らが集まる会合や組織も多くなってきた。(関連記事その1、その2)

 テロ戦争や、中国ロシアに関する報道に見られるように、英米を中心とする世界のマスコミは、イギリスが立案する「英米中心主義」の戦略に沿って政治的な誇張が入った国際報道を展開する傾向がある。

テロ戦争は「第2冷戦」として企図されているし、中露への敵視報道は、米英中心主義を崩壊させかねない中露台頭を阻止する意味で、冷戦型戦略の一環である。
 
地球温暖化問題でも、イギリスのBBCなどは一貫して「地球の温暖化は激化しつつある」「懐疑派の理論は間違っている」といった、極端な主張を含む報道を繰り返している。

米英のマスコミは、IPCCと同様、実際の気候変動について分析することよりも、温暖化対策を支持する方向に世界の世論を持っていくことの方を重視し、懐疑的な学者たちの見方をほとんど紹介しない(日本の報道は米英の翻訳なので、同じ傾向を持つ)。(関連記事)

 たとえば米調査機関(Business & Media Institute)によると、アメリカの地上波テレビ3局は昨年後半、地球温暖化や気候変動について205回報じたが、その80%は、通説に懐疑的な人の主張に全く言及せずに報じられた。

昨年カリフォルニア州で大きな山火事があり、これについて地元の大学の専門家は、地球温暖化とは関係ないと分析しているのに、こうした分析は無視され、温暖化のせいで山火事が増えたという報道が目立ったと指摘されている。(関連記事)

 
日本でも、何でもかんでも温暖化のせいにする報道の風潮は強い。

こんな状態なので、世の中の人々の多くは「人類が出す二酸化炭素のせいで地球が温暖化していることは、もはや確定した事実なのだ」と思ってしまっている。

 かつてイラク侵攻前、米英政府が、無数の諜報情報の中から「イラクは大量破壊兵器を開発している」という結論につながる情報だけを集めて理論を組み立て、マスコミを通じて「だからイラクの政権を転覆せねばならない」という国際世論を掻き立て、イラク侵攻を挙行した。

イラク現地を査察した経験を持つ専門家は「イラクは大量破壊兵器を開発していない可能性が高い」と主張したが、確定的でないとして米英政府に拒否され、代わりにもっと不確定な「イラクは大量破壊兵器を開発しているに違いない」という結論が採用された。

 地球温暖化問題をめぐるここ数年の流れは、このイラクの大量破壊兵器をめぐる世論操作と、やり方が似ている。

この類似性から、イラク戦争前からマスコミウォッチを続けている米英の反戦運動家の中には、地球温暖化問題を胡散臭いと思っている人がけっこういる。

 私はこれまでに、地球温暖化問題に対する懐疑的な見方の記事を5本(うち4本は上下2組)書いているが、私の分析の筋は、今回も同じである。

私の分析は2点ある。一つは、温暖化の主因が人類排出の二酸化炭素だとは考えにくいこと。

もう一つは、それなのに温室効果ガス排出削減策や排出権取引構想が世界的に推進されているのは、先進国(特にイギリス)が、自分たちが世界を主導する地位を途上国に奪われないよう、途上国の経済発展を、温室効果ガス排出規制、つまり石油利用規制によって縛り、途上国の政治的な国際台頭を防ごうとするためだろう、ということである。(関連記事その1、その2、その3、その4、その5)



▼太陽活動説の方が説得性がある

 すでに書いたように、マスコミは温暖化人為説だけを強調し、人為説への懐疑を表明する専門家の意見が報じられることは少ない。

しかし、懐疑派の主張を探して読んでいくと、なるほどと思うことが多い。

 ウィキペディア英語版に、温暖化に関するIPCCの結論(人為説)に反対している専門家(関連論文を発表したことがある人)がどのような主張をしているか、発言元の論文などをたどれるものを並べたページがある。

そもそも地球が現在温暖化しているとは思えないと言う人から、温暖化の主因は人為ではなく自然由来のものだと言う人、温暖化は寒冷地の気候が和らぐので良い、二酸化炭素の増加は植物を増やすので良いと言う人まで、約50人の主張が並んでいる。

 私なりに分析すると、この専門家たちの多くに共通している見方は「地球の気候は大昔から何度も大きく変動してきた。

多くの人がいろいろ調べてきたが、変動の理由は確定できず、まだわからない部分が大きい。

あえて言うなら、人類排出の二酸化炭素による温室効果より、太陽活動の変化など自然由来の原因の方が大きそうだ。

IPCCは、人類排出の二酸化炭素が主因だと断定しているが、これは間違った結論だ」というものである。


 温暖化の悪影響としてマスコミなどで語られているものの中には、氷山の溶解による世界的海水面の上昇、北極南極での動物の減少など、極地に由来するものが多いが、このページで紹介された専門家の一人であるオタワ大学の北極専門家、イアン・クラーク教授は、北極圏の温暖化は太陽活動が主因だと書いている。(関連記事)

 クラークの主張は、以下のようなものだ。北極圏では今から1万-5千年前に温暖期があり、その後19世紀末から現在まで、小氷河期の終わりに位置づけられる温暖化傾向が再び続いているが、いずれも太陽活動の活発化(黒点の増加)と連動していると考えられる。

二酸化炭素が原因だという人々の主張は、二酸化炭素が増えると水蒸気(雲など)が大気を暖める温室効果が強まるという仮説に基づいているが、この仮説は実地に検証できていない。

雲には(太陽光線を反射する)寒冷効果もあり、温室効果と寒冷効果の両方がもたらす複雑さは解明できていない。

それに比べると、太陽活動が温暖化につながることは多くのデータで実証されている。

 ウィキペディアの前出のページで紹介されたもう一人、ウェスタン・ワシントン大学の地質学者であるドン・イースターブルックによると、米カスケード山脈の過去の氷河の伸び縮みから推察される温度変化は、1890年代から1920年代の寒冷期の後、1925年から45年まで急速に温暖化、45年から77年まで寒冷化、77年から現在までは再び温暖化している。(関連記事)

 温暖化の原因が人類排出の二酸化炭素だとしたら、世界の工業化が進んだ1950-70年代に温暖化が進まねばならないが、実際には、この時期は逆に寒冷化している。

このようなジグザグは二酸化炭素ではなく、太陽活動で説明した方が辻褄が合う。

 専門家たちの間では、IPCCの運営方法に対する不満や反発も強い。

IPCCのメンバーで、ニュージーランドの気候専門家であるビンセント・グレイは「IPCCの議論では、突っ込んだ質問が無視され、コメントが理由なしに拒否されるときが何度もあった。

分析のやり方に問題があると何回も指摘したが、拒絶され続けたので、私は、IPCCは意識して不健全なやり方を採っていると結論づけざるを得なくなった。

この病的な状況は、IPCC結成当初からのものだ」と書いている。(関連記事)


▼海水温は下がっていた

 IPCCは、膨大な量の報告書を発表しており、そこでは気候変動に関するいろいろな仮説や主張が列挙され、それらを踏まえたうえで、最終結論である人為二酸化炭素説が出されたという形を取っている。

太陽活動説など、他の説が主張されても「その件はすでに検討され、大して重要ではないという結論が出てまいす」「その要件は、すでにわれわれのコンピューターモデルの中に組み込まれており、それを包含した上で、今の結論になりました」と言い返して終われるメカニズムが作られている。

 しかし反論の中には「説」ではなく「データ」もある。

たとえば、米NASAなどが参加して、世界で3千個の海中探査装置を2000メートルの海中に沈ませ、10日に一回浮上させて海中の水温や塩分濃度、潮流などを調べる国際的な海洋温度探査事業アルゴ・モニターが2003年から始まっている。

最近、過去5年間のデータが発表され、この5年間、世界の海水温度の平均値は、少し下がる傾向にあったことが明らかになった。(関連記事)

 IPCCが人為温暖化説の根拠として採用したコンピューターモデルのほとんどは、海洋温度の上昇が大気圏の気温上昇につながるという原理だが、海水温が下がっているのに大気温が上がっているとなると、このモデルの妥当性が失われる。

5年間は、気候変動を計るには短すぎる期間だが、大気温の方は、ここ数年の上昇を理由に「このままだと温暖化が進んで大変なことになる」とマスコミなどが大騒ぎしているので「5年は短すぎる」と言えない。

本来、IPCCは従来のモデルの放棄を検討せねばならないところだが、実際には、IPCCやマスコミは、アルゴ・モニターのデータを無視して事なきを得ている。(関連記事)

 そもそも、雲が及ぼす影響など、まだわかっていない部分が大きい気候変動のメカニズムを、わかったことにして数式モデル化し、コンピューターのシミュレーションにして、それを回して未来の気候状況を的確に予測できると考えるIPCCの結論の出し方は、全くの頓珍漢だ。そこに根本的な問題がある。(関連記事その1、その2)


▼世界は昨年から寒冷化している?

 昨年から今年にかけての冬は、地上の気温の方も世界的に低下している。

アメリカの気候データセンターによると、今年1月から2月にかけて、全米の多くの地域で、史上最も寒い温度が記録された。

イラクの砂漠では100年ぶりの雪が降り、サウジアラビアでも20年ぶりの大雪となった。

中国では大寒波で交通が何日も麻痺し、中央アジア諸国では凍死者が大勢出た。

昨年の気温の下降は、過去100年間の気温上昇傾向を逆行させるものだという指摘もある。(関連記事その1、その2、その3)

 同時に、昨年から太陽活動が縮小期に入っており、寒冷化はそのために起きていると主張する学者がロシアやカナダで出てきた。

先に、1925年から45年まで急速に温暖化、45年から77年まで寒冷化、77年から現在までは再び温暖化しているとする指摘を紹介したが、それを加味すると、77年から2006年まで温暖化し、07年から再び寒冷化が始まったのではないかと考えることもできる。

再び小氷河期が来るという「地球寒冷化」を予測する学者も現れた。(70年代にも、地球寒冷化の恐怖が喧伝されていた)(関連記事その1、その2)

 IPCC擁護派の側は、昨年からの寒さは、太平洋上の状態が、これまでのエルニーニョ(南米沖の海面温度が高めになる状態)から、ラニーニャ(その逆)に代わったからだと説明している。(関連記事)

 今後も寒冷化が続くのか、それとも温暖化に戻るのか、寒冷化の主因は太陽活動なのかラニーニャなのか、まだ確定した説明がつかないのは当然だが、少なくとも明確に言えるのは、地球が一気に温暖化していると断言できなくなったということだ。

 気候に関してメカニズムがよくわかっていないものはたくさんある。

たとえば最近、アメリカの著名なハリケーン(カリブ海からアメリカに上陸する大嵐)の研究者が新しいハリケーン分析モデルを作り、コンピューターを回してみたところ、海水に急速な温暖化が起きたとしても、ハリケーンの増加にはほとんど影響がないことがわかったと発表した。

新モデルに基づくと、ハリケーンは今後、減少傾向になるという。(関連記事)

 従来は、温暖化が進むとハリケーンも大型化・増加し、アメリカに上陸して大変な被害をもたらすことになる、と説明されてきた。

米マスコミは「温暖化を放置するとハリケーンで家を壊されますよ」と米国民を脅してきた。

だが、今後はそれができなくなる。(これも無視されて、従前通りの脅しが繰り返されるのかもしれないが)


▼IPCC支持派だけでなく反対派も市民運動化

 最近、アル・ゴア前副大統領が作った映画「不都合な真実」など、地球温暖化について誇張しすぎる案件が目立つようになった。

その結果、IPCCのやり方など、地球温暖化問題をめぐるあり方に疑問を持つ人々が、世界的に多くなっている。

温暖化対策に反対したり、ゴアを敵視するキャンペーンも行われている。(関連記事その1、その2)

 アメリカでは、たとえば、シアトルで珍しく4月に雪が降り、これについて地元のメディアが「この寒さは短期的な例外であり、地球温暖化の傾向は変わらない」と説明するIPCC的な記事を出したところ、その記事の下の掲示板に「地球温暖化はウソだ。地球は温暖化してない」「いや、地球は温暖化している。君は間違っている」という感じの議論が延々と展開されている。(関連記事)

 こうした激論は、以前には見られなかったことだ。

私が1997年に最初に温暖化懐疑論を書いたころには「田中さんは、石油業界から金をもらっている一部の研究者の歪曲分析を真に受けてしまっていますよ」と、左翼の人からやんわり注意される程度だった。

2005-07年に書いたときには、IPCC支持派が血気盛んに「市民運動化」しており、中傷的・攻撃的に批判を受けた。

 しかし今、シアトルの新聞記事の掲示板に象徴される状況は、IPCC支持派だけでなく、反対派も市民運動化し、互いに敵対し、攻撃し合っている。

この1-2年で、IPCCを批判的に見る人が増加したことになる。


     *****

YouTubeに「地球温暖化詐欺」シリーズという科学者の証言シリーズものもあります。
http://www.youtube.com/watch?v=khYk4y2Zj0A&feature=PlayList&p=AACD3020603470F0&index=7
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地球は温暖化しているのか、それとも氷河期に向かうのか?

2009-04-12 | 環境(ガイア)
地球温暖化はなぜおこり、なぜ食い止めなければならないのか、よくわからないように思うことがあります。

元来あまのじゃくなせいか、あまり声高に言われると、少々嫌気がさすわけです。

胸に浮かぶのは、大洪水、大干ばつ、大地震、大飢饉、大噴火、、。
地球滅亡の図が浮かびます。

ですが、こういったことは地球の常なのではないかという思いもまた消すことができません。


縄文時代である今から6000年ほど前、世界は今より暖かく、海面は3~5メートル高かったそうです。

縄文時代の貝塚などが海岸からは発見されず内陸から発見されることから、当時は今よりも海面が内陸まで来ていたと考えられているようです。

これを「縄文海進(かいしん)」と呼ぶそうですが、このような気候の変化は現在の「地球温暖化」の天然版と言えるかもしれません。

縄文時代の気候を年表にしたものをwikiから抜粋します。


     *****

縄文時代草創期・13000年~10000年前

日本列島が大陸から離れる直前であったと推測される。
短期間に寒暖がおこり厳しい環境変化があった。
温暖化が進行し、氷河が溶けて海面が上昇し、海が陸地に侵入してきた。

10000年~6000年前

日本列島が完全に大陸から離れて島国となった。
初めのころは現在より気温が2度ほど低く、海水面は30メートルほど低かった。
その後海水面の高さが戻る。

6000年~5000年前

縄文前期 気候が温暖で海水面、気温上昇する。
縄文海進。海水面4~5メートル上昇。現在の内陸部に貝塚が作られる。

3000年~2300年前

縄文晩期 気温2度ほど低下。海面も低下した。
漁労活動が壊滅的な被害を受ける。人口減少。


      *****


10000年以上前に氷河期が終わり、気候が温暖になり始め、氷河が溶けて海水面が上昇し始め、、

そしてその後6000年前まで気温が低下し、海水面は30メートル低くなりました。

6000年前から再び気候は温暖になり、海水面が3~5メートル上昇しました。

3000年前から気温が低下しはじめ、現在に至るということのようです。


そのようであるならば、地球は温度の上下を繰り返してきたということではないでしょうか?

現在は氷河期と氷河期の間の時であり、長期的に見れば、次の氷河期に向かっており、気温は低下していく時期であると思っていいのではないでしょうか?


地球温暖化と縄文海進の関係を調べていたら、いろいろな意見をみつけました。

下記のサイトはとても柔らかい論調でわかりやすく書いてありましたので一部転載させていただきます。


         *****


九州バイオマスフォーラムHP「地球温暖化に疑問?」   

・地球は本当に温暖化しているのか?
・温暖化しているとして、その原因は人為的なものなのか?
・温暖化は人類の手で本当に防止できるのか?
・温暖化の被害はどれくらいのものなのか?

実は、地球温暖化が叫ばれる前は、地球寒冷化が危惧されていた。

地球物理学者の中には、地球寒冷化よりも地球温暖化のほうがよいじゃないか、という人もいる。

地球の歴史を長期的に見ると、現在の地球は氷河期と氷河期の間の間氷期を過ぎて、徐々に氷河期に突入しようという時期に来ている。

およそ6000年前の縄文時代は、地球全体が非常に温暖な気候で、海水面も1-2m高く、海が現在の100km近く内陸部まで侵入していた所もあり、日本では縄文海進として知られている。

それから徐々に地球の平均気温が低下し、現在にいたっている。

数十年前までは、このまま気温が下がれば、氷河期に突入し、人類が絶滅するかもしれないという心配をしていたのだ。


また、最近の温暖化は太陽活動によるものだという説もある。

去年から今年にかけて太陽活動はピークにあり、黒点の数が増えたり、フレアや磁気嵐の回数も増えている。

こうした太陽活動の活発化によって日射量が増え、気温が上昇しているのだという説があるのだ。

しかし、この説に対しては、太陽活動は気候に対してほとんど影響は無いという反論も出ている。


さらに一番決定的な問題として、過去100年の2酸化炭素濃度と気温の変化を見てみると、2酸化炭素濃度は1940-50頃から急速に増加しているのに対して、気温は1940年~1970年ごろまで低下傾向にある。

つまり2酸化炭素濃度が上昇しても、温室効果とは全く逆の現象が起こっていたことになる。

これらの事実から考えても、単純に2酸化炭素が増加したからといって、すぐに温暖化が生じるとは言いにくいことが理解できるだろう。

 
    
       *****


ブログ「田中宇の国際ニュース解説2007.2.20」も興味深く読みました。
少しだけ転載します。
ブログ「田中宇の国際ニュース解説2007.2.20


       *****

 二酸化炭素が温室効果をもたらすことは、多分事実だが、温暖化には他の要因もあるというのも、多分事実である。

今の世界の温暖化問題の議論は、多数の要因の中の一つしか見ず、他の要因を政治的に排除して成り立っている。

このまま世界各国で温室効果ガスの排出規制が採られることは、温暖化防止にならず、逆に温暖化促進や、寒冷化促進につながる懸念さえある。

       *****


この方の意見には、また反証するブログもありますが、ひとつの考え方かと思います。

科学者の意見、素人の意見、政治家の意見、いろいろな考えがあるものだと思いました。



wiki縄文海進
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B8%84%E6%96%87%E6%B5%B7%E9%80%B2

wiki縄文時代
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B8%84%E6%96%87%E6%99%82%E4%BB%A3
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山尾三省の遺言…清らかな水と安らかな大地

2008-10-27 | 環境(ガイア)



子供達への遺言・妻への遺言

      

山尾 三省


 僕は父母から遺言状らしいものをもらったことがないので、こ
こにこういう形で、子供達と妻に向けてそれ書けるということが、
大変うれしいのです。
 というのは、ぼくの現状は末期ガンで、何かの奇跡が起こらな
い限りは、2、3ヶ月の内に確実にこの世を去って行くことにな
っているからです。
 そのような立場から、子供達および妻、つまり自分の最も愛す
る者達へ最後のメッセージを送るということになると、それは同
時に自分の人生を締めくくることでもありますから、大変身が引
き締まります。

 
まず第一の遺言は、僕の生まれ故郷の、東京・神田川の水を、も
う一度飲める水に再生したい、ということです。
神田川といえば、JRお茶の水駅下を流れるあのどぶ川ですが、
あの川の水がもう一度飲める川の水に再生された時には、劫初に
未来が戻り、文明が再生の希望をつかんだ時であると思います。

 これはむろんぼくの個人的な願いですが、やがて東京に出て行
くやもしれぬ子供達には、父の遺言としてしっかり覚えていてほ
しいと思います。


 第二の遺言は、とても平凡なことですが、やはりこの世界から
原発および同様のエネルギー出力装置をすっかり取り外してほし
いということです。
自分達の手で作った手に負える発電装置で、すべての電力がまか
なえることが、これからの現実的な幸福の第一条件であると、
ぼくは考えるからです。


 遺言の第三は、この頃のぼくが、一種の呪文のようにして、心
の中で唱えているものです。
その呪文は次のようなものです。
 南無浄瑠璃光・われらの人の内なる薬師如来。
 われらの日本国憲法の第9条をして、世界の全ての国々の憲法
第9条に組み込まさせ給え。武力と戦争の永久放棄をして、すべて
の国々のすべての人々の暮らしの基礎となさしめ給え。

 
以上三つの遺言は、特別に妻にあてられたものなくても、子供
達にあてられたものでなくてもよいと思われるかもしれませんが、
そんなことはけっしてありません。

ぼくが世界を愛すれば愛するほど、それは直接的には妻を愛し、
子供達を愛することなのですから、その願い(遺言)は、どこま
でも深く、強く彼女達・彼ら達に伝えられずにはおれないのです。
 つまり自分の本当の願いを伝えるということは、自分は本当に
あなたたちを愛しているよ、と伝えることでもあるのですね。

 死が近づくに従って、どんどんはっきりしてきてることですが、
ぼくは本当にあなた達を愛し、世界を愛しています。
けれども、だからといって、この三つの遺言にあなたがたが責任
を感じることも、負担を感じる必要もありません。

あなた達はあなた達のやり方で世界を愛すればよいのです。
市民運動も悪くないけど、もっともっと豊かな”個人運動”があるこ
とを、ぼくたちは知ってるよね。
その個人運動のひとつの形としてぼくは死んでいくわけですから。



---------------------------------------------
やまお さんせい
詩人。1938年東京神田生まれ。早稲田大学文学部西洋哲学科中退。
77年鹿児島県屋久島に移住。執筆と農耕の日々を過ごす。
エッセイ集も数多い。        
============================================================

 上記「遺言」、『MORGEN』2001年7月7日号より転載



wiki「山尾三省」より
 
早稲田大学西洋哲学科を中退し、1960年代の後半にナナオサカキ長沢哲夫らとともに、社会変革を志すコミューン活動「部族」をはじめる。1973年、家族と、インド、ネパールへ1年間の巡礼の旅に出る。1977年、屋久島の廃村に一家で移住。以降、白川山の里づくりをはじめ、田畑を耕し、詩の創作を中心とする執筆活動の日々を屋久島で送る。2001年8月28日、屋久島にて亡くなる。
                         
          ***

息子が鼻水がでるというので、今日は学校を休ませて、耳鼻科に連れて行った。
耳鼻科に行くのは何年ぶりだろう、数年前まで二人の子どもたちとかわるがわるこの耳鼻科に通っていたことを思い出した。
小さい子は鼻がつまることが多いので、いつも同い年くらいの小さい子どもたちがいっぱい来ていた。

お医者さんは久しぶりに伺った息子に目を見張って、「うわぁー、おっきくなったもんだねー!外で会ったら分からないねー、あっはっは。」と豪快に笑って懐かしんでくださった。

待合室で、持ってきた田口ランディさんの本「旅人の心得」を読んだ。
山尾三省の話がでてくるのだ。


三省さんは
「東京の水が飲めるようになったら、社会は変わります。
だけど、それはそんなに難しいことでしょうか。
まずは自分の住んでいる町の川をきれいにする。
そこから始めればいいわけです。
水は実は循環しながら世界を繋いでいます。私たちは水によってつながれたひとつの生態系に生きているんです。」と言っていた。


「水は自然界の魂なのではないでしょうか?」と言う田口さんに、三省さんは

「そうですね。わたしは魂を濃度変化だと思っています。
密度が薄くなれば幽霊のようになり、濃くなれば人間になり、もっと濃くなれば神になる。
だけど、それは濃度が変化しているだけで、おおもとは同じものなのだ、と。
水も水蒸気になったり、氷になったりする。でもおおもとは変わりません。とても、魂に似ていると思います。」と言っていた。


水は自然界の魂であろう、、そして魂もまた、自然界に、濃くなったり薄くなったりして立ち現われているものであろうと、ふたりは感じているのである。

濃度が濃ければ、神になります、というのである。
比喩でないところが、三省の真髄である。


東京の水と言えば、三省さんの遺言は、「ふるさと東京を流れる神田川を、もう一度飲める川に再生したい、」というものだった。

町のなかに川が流れるということは、町のなかに魂が立ち現われる、ということだ、、
そういうことが言いたいのではないかと思う。
川が澄み、清くなればなるほどに、町には魂の力が充ち溢れ、神々しさをとりもどす、と。

屋久島ではないこの町に暮らすわたしにも、もっと自分の魂に近づきたいという望みはある。
おだやかに過ぎてゆくこの町の日々もまた、魂の現れであり、止めることのできない急流そのものなのだと思う。

wiki山尾三省
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E5%B0%BE%E4%B8%89%E7%9C%81
田口ランディブログ
http://runday.exblog.jp/
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あしたは夏至・・あかりを消して見えるもの

2008-10-05 | 環境(ガイア)
(6月20日記す)

あしたは夏至
太陽が一番長く地上に留まる日。
太陽を思うと、自分の中の、太陽ほど古いなにかを思っていることに気づく。
泣きたいほどのなつかしさ。
どうしたら、戻ることができるのか、、
なぜ、わたしはここにいるんだろう、、。

街では、100万人のキャンドルナイトのイベントもあるようだ。
電気を消して、ろうそくのあかりで一夜をすごすという。

100万人のキャンドルナイト」HP
http://www.candle-night.org/jp/

いつもわたしたちは、明るすぎる世界に生きているから。
なにかを遠くに置いて来てから、ずいぶん長い時間がたつ。

電気を消すと、闇を照らして炎が立ち上がるのがわかる。
それが、人間の生活の自然なのだろうと思う。
それなのに、、わたしは、、ずいぶん自然から遠くはなれたところに来てしまったものだと思う。

山の背を黒く染めて傾き迫る夕刻の太陽と、闇のなかの炎をうたった山尾三省の詩を思い出す。

夏至の日を前に、静かな気持ちで火をたくことの大切さを忘れないでいたいと思う。


         ***

「火を焚きなさい」


山に夕闇がせまる
子供達よ
ほら もう夜が背中まできている
火を焚きなさい
お前達の心残りの遊びをやめて
大昔の心にかえり
火を焚きなさい
風呂場には 充分な薪が用意してある
よく乾いたもの 少しは湿り気のあるもの
太いもの 細いもの
よく選んで 上手に火を焚きなさい


少しくらい煙たくたって仕方ない
がまんして しっかり火を燃やしなさい
やがて調子が出てくると
ほら お前達の今の心のようなオレンジ色の炎が
いっしんに燃え立つだろう
そうしたら じっとその火を見詰めなさい
いつのまにか
背後から 夜がお前をすっぽりつつんでいる
夜がすっぽりとお前をつつんだ時こそ
不思議の時
火が 永遠の物語を始める時なのだ


それは
眠る前に母さんが読んでくれた本の中の物語じゃなく
父さんの自慢話のようじゃなく
テレビで見れるものでもない
お前達自身が お前達自身の裸の眼と耳と心で聴く
お前達自身の 不思議の物語なのだよ
注意深く ていねいに
火を焚きなさい
火がいっしんに燃え立つように
けれどもあまりぼうぼう燃えないように
静かな気持で 火を焚きなさい



人間は
火を焚く動物だった
だから 火を焚くことができれば それでもう人間なんだ
火を焚きなさい
人間の原初の火を焚きなさい
やがてお前達が大きくなって 虚栄の市へと出かけて行き
必要なものと 必要でないものの見分けがつかなくなり
自分の価値を見失ってしまった時
きっとお前達は 思い出すだろう
すっぽりと夜につつまれて
オレンジ色の神秘の炎を見詰めた日々のことを


山に夕闇がせまる
子供達よ
もう夜が背中まできている
この日はもう充分に遊んだ
遊びをやめて お前達の火にとりかかりなさい
小屋には薪が充分に用意してある
火を焚きなさい
よく乾いたもの 少し湿り気のあるもの
太いもの 細いもの
よく選んで 上手に組み立て
火を焚きなさい
火がいっしんに燃え立つようになったら
そのオレンジ色の炎の奥の
金色の神殿から聴こえてくる
お前達自身の 昔と今と未来の不思議の物語に 耳を傾けなさい


びろう葉帽子の下で/山尾三省詩集」(1993年、野草社刊)
「葉っぱの鉱夫」HPより
http://happano.org/index.html
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