たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

アマモの力とその増殖 <アマモ増殖へ新技術 最優秀賞 楠部准教授>などを読みながら

2018-10-11 | 海・魚介類・漁業

181011 アマモの力とその増殖 <アマモ増殖へ新技術 最優秀賞 楠部准教授>などを読みながら

 

ウェブニュースでは、NY株急落を受けて、東証も一時1000円超の大幅下落と、下落率は前者に負けていませんでしたので、世界的連鎖とか話題沸騰の状況でしょうか。日経の報道番組では少し前、多少の変動があっても3万円くらいまで上昇する見込みなんて解説する人もいましたが、私には実体経済と乖離しすぎではないかと思っていました。だいたいNY株の異常な上昇に加えて失業率の低下という実体経済を反映しているのか?という不思議な状況を上塗りする東京株式市場ではないかと思いますので、今回の下落は不思議ではないです。とはいえ、上昇期待が高まるばかりのアメリカ市場ですので、今後も破裂するまで風船が上昇するのかもしれませんし、日本も右向け右のような感じなので、無事着地するまではわかりませんね。

 

と余分な話をしました。本題はアマモのことです。

 

今日の毎日記事は<マリンテックグランプリ アマモ増殖へ新技術 最優秀賞に和歌山高専・楠部准教授 /和歌山>では、<「海のゆりかご」と呼ばれる海草のアマモを増やす新技術を考案した和歌山高専(御坊市名田町野島)生物応用化学科の楠部真崇准教授(41)が、優れた海洋技術を表彰する今年の「マリンテックグランプリ」(日本財団など主催)で最優秀賞に輝いた。>という喜ばしいニュースです。

 

アマモの驚異的な力は記事でも簡潔に紹介していますが、三重県農水商工部水産基盤室作成の<アマモ場再生ガイドブック>によると、沿岸海域の水質保全、生態系の維持回復には欠かせない生物ですね。

 

ここではアマモ場の機能として、<物質循環、生物の共存、環境保全の3つの機能に大別される。>として、それぞれ詳しい解説されています。

 

物質循環機能といってもわかりにくいのですが、それは次のように説明されています。

<アマモ及びその葉上に生育する付着藻類は、光合成により有機物を生産する「一次生産」を行う。また、枯死したアマモは海底や砂浜で分解されてデトリタスとなり、底質中に有機物を供給し、動物プランクトン、ゴカイ類、貝類等の餌として利用され、食物連鎖により高次消費者を支えている。また、可溶性のものは再びアマモの葉や根から吸収される。>まるで物質循環を稼働させる血液のように、生きているときも、死んでしまっても、有機物を生産・供給して、多様な高次消費者のエサになって支えているのですね。

 

生物の共存機能もわかりにくい表現ですが、<アマモ場の複雑な空間構造は、多様な生物の生息場所となっている。>ことや<幼稚魚育成>の場であったり、<産卵場>になったりしているとのことです。

 

環境保全機能についても、さらに3つの種類が指摘されています。

まず、水質浄化機能については<アマモは、生育に伴い海中や土壌中から窒素やリンなどの栄養塩を吸収し、富栄養化を防ぐ役割を果たしている。また、アマモ場の繁茂により流れが弱められ、海中の懸濁物質の沈降を促し、水質浄化に貢献している。>このことも以前から指摘されていますね。

 

次の<底質安定化>というのは、はじめて知りました。

<アマモ場は沖からの波浪を弱くし、また、地下茎と根束の伸長により海底基盤を安定化させる。また、漂砂などを抑制することで、砂浜や干潟の縮小を防止する。>言われてみれば納得です。

 

最後の<環境形成・維持>というのもわかったようなわからないような名称ですが、次のように解説されると、納得です。

<アマモ場内の静穏な空間は、 地上部が波浪を弱めることによって形成される。また、光合成 によりを吸収し、酸素を供 CO2 給することによって、アマモ場内の環境形成や維持に貢献している。>結局は、物質循環機能や生物の共存機能と同一の基盤でしょうか。

 

さてこのように沿岸域の生態系や地形保全にとって欠かせないアマモですが、わが国の多くの自然海岸は埋立により大幅に減少し、また、さまさま汚濁物質の海洋への流入により、さらに気候変動に伴う温暖化の影響もあって、アマモが減少している状況は長く続いているのではないかと思います。

 

その増殖に向けた研究は以前からされてきていますが(上記ガイドブックも再生計画がメインです)、それほど実効性のある成果はあまりない状況にあるように思うのですが、私のような狭い認識でわかっていないだけならいいのですが。

 

毎日記事では<人工増殖に向けては、これまでアマモの種子を分解性の容器や麻のシートに植え付けて海底に設置する手法などが取られてきた。しかし、容器や麻がごみとして海に残ることや、ダイバーが潜って設置しなければならないなど手間がかかるのがネックだった。>人工増殖に有効策が十分ではなかったことが指摘されています。

 

今回最優秀賞に輝いた<楠部准教授らは、微生物を利用して海中の砂を固めた「バイオセメント」を開発。>ということが評価されたようです。

 

楠部氏は<実際にアマモの種子を植え付けた高さ10センチの円柱状のバイオセメント約20個を、日高町沖の水深数メートルの海底に沈める実験も行った。>

 

記事には写真が掲載されていて、<海底に沈められたアマモの種子を植え付けたバイオセメント>とキャプションがついています。

 

で、不思議に思ったのは、そのバイオセメントにはアマモの種子が植え付けられているようですが、そこからアマモが成長している様子は画面からはちょっとよく分かりませんでした。

 

他方で、そのブロックの背後にはアマモが群生した様子が映っていて、その下部に劣化したバイオセメントが映っているのかと思いつつ、はっきりしません。キャプションでそのような指摘があるとそうかと思うのですが、どうもまだ種子を植え付けたばかりのバイオセメントの段階で、成長したアマモの成長は写真では撮影されていない?ということでしょうか。

 

たしかに<今後は種子の発芽条件の検討など、事業化も視野にさらに研究を進めるという。>とか、<「アマモで成功したら、次は黒アワビなど高級な貝のエサになるクロメなどの海藻にも応用したい」と話している。>ということは、まだアマモで成功したわけではないということでしょうか。

 

う、と少しうなりつつ、でも最優秀賞を受賞するくらいですから、アマモ増殖の成功可能性が高いと評価されたのだと、期待したいと思います。

 

バイオセメント自体、その構造や材質などよくわかりませんが、これまた将来性のある技術として期待したいと思うのです。

 

そろそろ一時間になりそうです。このへんでおしまい。また明日。


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