たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

西日本豪雨その6 <船、漁網塞ぐ漂流ごみ 流木など3503立方メートル回収>を読みながら

2018-07-23 | 災害と事前・事後

180723 西日本豪雨その6 <船、漁網塞ぐ漂流ごみ 流木など3503立方メートル回収>を読みながら

 

NHKの<グレートネイチャーSP 地球事変ギガミステリー(4)「革命を生んだ小氷期」>という、以前録画してあった番組を昨夜見ました。小氷期は歴史的にも環境的にも大きな影響があったので、時折気になるテーマの一つでした。主にフランスの専門家の見解を基にした筋書きのように思えました。

 

12世紀から18世紀までを小氷期としてとらえつつ、1780年代頃、それまで干ばつと長雨などの異常気象が続いた後、アイスランドで100数十という火山噴火が長さ25km以上の断層で連続して発生し、数ヶ月にわたってヨーロッパ全体(画面上では西ヨーロッパ?)が雲と霧で覆われ、寒冷化が急速に進んだのです。

 

その結果、穀物がとれず、パンなどの値段が上昇し、庶民が飢えに苦しみ、主婦がパンよこせなどでたちあがったことを契機にフランス革命が起こったというのです。

 

たしかにわが国も平安期の11世紀頃?から18世紀まで地震津波はもちろん、干ばつ、火山噴火に台風・豪雨など自然災害が多かったと思われます。平穏だった江戸時代も、享保、天明、天保の飢饉で、百姓一揆や打ち壊しが各地で起こり不穏な状況もあったと思いますが、革命は起こらず、享保、寛政、天保の改革でなんとか乗り切ったのでしょうか。

 

小氷期だけで革命への道筋を説明するのは地域的には可能な側面もあるかもしれませんが、さまざまな条件を考慮する必要があるように思うのです。いずれにしても、わが国は災害がとても多いところではないでしょうか。明治維新までは海岸にも河川にも西洋風の堤防もなく、人は生活してきたのだと思います。その後各地で堤防が設置されてきました。

 

地震・津波・台風などで大規模な被災に遭うと、その都度、それがさらに進んだように思います。でも自然の驚異は人工物による対応を超えることはこれまでの歴史が示してきていないのでしょうか。東日本大震災・津波で被災のあった海岸線は、以前、湿地や潟湖といった低地であったところに堤防が敷設された地域が少なくなかったとの指摘もあります。

 

つい小氷期のTV番組を思い出し、前置きが長くなりましたが、今日の本題は毎日朝刊一面の<西日本豪雨船、漁網塞ぐ漂流ごみ 流木など3503立方メートル回収>を取り上げたいと思います。

 

西日本豪雨の被害は多様で、そのすべてを取り上げることはできませんが、漂流ゴミと船の航行妨害や漁業被害については触れてこなかったので、少し関連する問題と一緒に取り上げてみようかと思います。

 

記事によると<西日本豪雨により海に流れ込んだ大量の流木などの漂流ごみの影響で、旅客船や漁船が出港できないなどの被害が広範囲で続いている。国土交通省は8日以降、漂流ごみの回収を進めており、中国、四国、九州地方整備局によると、21日までに流木や木くずなど計3503立方メートルを回収した。年間回収量の7割を超える量だが、「現在も川からの流入は続いており、まだ先は見えない状況」という。>

 

流木や木くずゴミが3503m³といっても多いか少ないかわかりにくいですが、容積的にはとくに大きいとはいえないでしょうけど、海では漂流することによる被害が小さくなく、また、回収も容易でないため、実際は深刻とならざるをえないでしょう。

 

船の航行に影響を与えているようです。<船のスクリューが流木などを巻き込み、航行に影響するケースも出ている。広島湾で高速船を運航する「しまなみ海運」(広島県三原市)では、スクリューに漂流ごみを巻き込み1隻が故障。漂流ごみの多い航路で、夜間の往復1便を19日まで欠航した。津エアポートライン(津市)でも伊勢湾内に流木が漂流しているため、津と中部国際空港(愛知県常滑市)を結ぶ夜間便を18日まで運休した。>

 

漁業被害も各地で起こっているようです。<愛媛県大洲市では肱川(ひじかわ)上流が氾濫した影響で沿岸に大量の流木が流れ込み、底引き網が破れた。島根県では定置網に大量のごみが引っかかる被害が出ている。>など。

 

ところで、広島湾内で回収した流木が388本という数が多いか少ないかも簡単にはいえませんが、私見では、膨大な数の立木や倒木が流されたものの、途中の河川や決壊で町中に流れたりとどまったりしたため、海にまで運ばれた数はさほど多くなかったという印象です。

 

ここで言いたいのは、それでも海洋に流れ出された多様なゴミは漂流したり、海中に沈んだりして、多大の被害を与えると言うことです。その意味で、豪雨による土砂崩れ、ダムの貯水量を超える放流、堤防決壊による洪水など、多様な要因が被害を拡散、増大させていることを改めて感じます。

 

で、ここで付け加えたいのは、豪雨による海洋へ流れ出す多様なゴミも問題ですが、いま世界で注目されているプラスチックゴミについても、同時に、日常生活において意識を改める必要を感じています。

 

毎日の昨日の記事<プラスチック危機包装材規制、欧州が加速 海の環境、悪化の一途>が気になっていました。

 

<プラスチックごみによる海洋汚染の深刻化を受けて、使い捨てのプラ製品の規制に向けた動きが欧州を中心に急速に進んでいる。一部の業界では法規制に先行してストローなどの使用の禁止に踏み切る。自然に分解されにくいプラごみは、気候変動に並ぶ地球規模の環境問題として認知が広がっていることが背景にあり、国際社会の協調した取り組みが求められている。【ブリュッセル八田浩輔】>

 

この対策としてEUは本格的なプラスチック削減策を提示しています。

<欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は今年初め、2030年までに食品容器などを含む使い捨てのプラ包装材を全廃する方針を打ち出した。

 一連の対策として、5月末にはストローや食器類など一部のプラ製品の流通禁止を盛り込んだ法案を加盟国に提示。生活に関連した10種類の製品と釣り用品を対象に個別に規制を定め、スプーンやフォーク、皿などの食器類や、綿棒のうち軸がプラ製のものは流通を禁じ、代替素材への切り替えを求める。容器や飲料カップは禁止しないが、加盟国に削減目標の数値設定や有料化などの対策を課す。>

 

わが国は、なかなか前向きになりませんが、海に囲まれた島国として、そろそろ本気で取り組むべき時期にきているように思うのですが、国会も含め国全体として、そのような風が吹いてきそうもないですね。西日本豪雨災害を契機に、災害ゴミ対策から日常ゴミ対策に、拡大する旋風でも起きないかと期待しているこの頃です。

 

今日はこれにておしまい。少しいい話があったのですが、別の機会にします。また明日。


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