180518 スマホ考 <くらしナビ・ライフスタイル スマホで心も視野も狭く?>を読んで
スマートフォン、スマホはいつの間にかどこでもそれを見ている人を見かけることが普通の風景になったように思います。
私自身は長く縁のない生活をしてきましたので、いまもってなくてはならないものにはなっていません。ただ、携帯からスマホに昨年暮れようやく変えたのは、打算的理由で、電話がかけ放題で低料金というプランにのっただけです。これはやはり便利です。経済的にもメリットが大きいですね。それにかけた時間や相手先、逆にかけられた相手先・時間が記録されているので、とても重宝します。
以前の携帯は家族内の発信目的だけに使っていましたので、逆にほとんど携帯しないのが普通となり、ときにどこにいったかわからない状態が多かったように思います。
スマホは買ってみて、アプリなど結構おもしろいものがあり、IPadのときのようにほんの1ヶ月くらいは多少使ってみましたが、すぐに飽きてしまい、ほとんど電話以外では使わない状態です。IPadのときは囲碁ゲームにはまって、待ち時間などではよく使っていましたが、囲碁ゲームの最近の出来具合は知りませんが、当時はあまり賢くなかったと思います(たぶん実質初段未満レベルではなかったでしょうか)。
むろんSNSとか、ツイッターとかにも関心がないのと、私には親指で動かすのがどうも趣味に合わないのと、ブランドタッチでタイピングしていないと、どうせさえ働かない頭脳がストップしてしまいそうですから、スマホのタッチパネルは滅多に触りません。
と私の偏見的視点を持ちだしたのは、いまなおスマホ利用者の意識がわかっていない立場で、毎日記事<くらしナビ・ライフスタイルスマホで心も視野も狭く?>について、考えるわけですから、その見解の狭量さを事前に承知いただきたいためです。
ここでは<電車や駅の構内で迷惑な行為>のひとつとして、<「歩きスマホ」をとりあげ、マナーの問題として言及していこうという意図のようです。
まず、電車内でスマホ利用者とのトラブル例を取り上げています。
<今年4月、東京都杉並区の男性会社員(29)は通勤中、JR中央線の電車内でスマホゲームに熱中していた男性に手荷物を当ててしまった。次の瞬間、男性はスマホから目を上げ「いってえな! お前、何ぶつかってんだよ」と激高。胸ぐらをつかまれ、戸惑いながらも「すみません、すみません」と謝って、場をやり過ごした。>
梅田啓祐記者は、このトラブルの背景を電車内空間の特殊性と、スマホ利用者の心理から専門家の発言を引用してアプローチしています。
<人間の行動心理に詳しい公立鳥取環境大の小林朋道教授(動物行動学)は「一般的に電車内は逃げ場のない閉鎖空間。乗客は不安、警戒、攻撃意識などの心理が働くので不機嫌になりがちだ」と説明する。特に、他人からの危害を避けるために本能的に確保する1メートル程度の空間を「ボディースペース」と呼び、この空間に侵入されると、防御意識や警戒心は高まる。>
とまず、ボディースペース内では心理的バリアが働いていることを指摘しています。
そのうえで、スマホの利用時はいいが、離れると、特殊な心理状態が警戒心・不安感を増大するといった見方をされています。
<小林教授は「スマホは、のめり込んでいる間はいいが、一旦離れると不安や警戒といった意識を増幅させる。その意味では迷惑行為の要因といえるのかもしれない」と見る。>
でも上記の事例では、スマホ利用者にとっては、のめり込んでいる恍惚?状態を妨害されたことに激高しているように思います。むろん、ボディースペースでの警戒心が増幅した面もあるでしょうが、それ以上に、利用妨害への怒りではないでしょうか。
その意味では、ボディースペース論はいいですが、ボディースペース領域は電車内、とくに混んでいる場合にはバリア機能が働きにくい、換言すれば、スマホ利用で熱中するに適した環境ではないのですから、みずからリスクをまねていると意識することこそ重要ではないでしょうか。
私はもちろんスマホなんてものをいじりませんし、長い間、電車、とくに混み合った電車に乗ったことがありませんが、首都圏にいる頃は、日々体験していましたので、そういうとき心も柔軟にして文庫本を半折りにしたり、新聞紙も細かく折りたたみ、体が接触していてもわずかな空間を利用して読んでいました。当然、電車の揺れで横に縦に体が振り回され、読むのを中断されるのはやむなしと思っていました。他方で、電車の揺れで新聞紙を他人に当てるような混み具合だと、読むのも断念していました。そういえばまだイヤホンで音楽などを聞くようなスタイルは少なかったように思いますね。だいたいすし詰めのときは足も宙に浮いていましたね。おそらく30年以上前の話ですが。
記者は次にあるアンケート結果を取り上げています。
<鉄道事業者でつくる日本民営鉄道協会が毎年実施している「駅と電車内のマナーに関するアンケート」によると、2017年度は迷惑に感じる行為の1位に「騒々しい会話・はしゃぎまわり等」、2位に「座席の座り方」、3位に「荷物の持ち方・置き方」、次いで4位に「歩きながらの携帯電話・スマホの操作」がランクインした。>
歩きスマホ、自転車や車に乗りながらのスマホなどなど、スマホの利用の仕方は以前から問題になっていますが、上記の電車内などでは当然の結果でしょうか。
この結果に対する識者の見解を披露しています。
<関西学院大の阿部潔教授(公共圏論)は「実際の被害よりも特定の振る舞いに対する不快感が主な要因となっている。歩きスマホも含め、『公共の場を皆で支える』という意識が薄まり、匿名の他者に対する共感が持たれにくくなっている」と指摘する。>
公共空間における自分の振るまいが他者にどうような影響を与えるか、それが不快感を与えるかどうかについて気づかない、あるいは心遣いができない人が増える一方、公共空間における所作やマナーに対する意識が高まっているという両面から問題がクローズアップしているのかなと思っています。
あるきスマホの問題は、単なるマナーの問題にとどまらないことはすでに多くの関連事故が発生していることからたいていの人は意識しているでしょう。しかし、視覚障害者の立場に立つと、とても危険であることがより理解できます。その意味では障害者に対する配慮を欠いた行動といってよいでしょう。
<全盲の人にとっては切迫した迷惑行為といえる。社会福祉法人日本盲人会連合(日盲連)の総合相談室長、工藤正一さん(69)は「私自身はすでに光を失ったが、通勤時に家族と歩いていても怖さを感じる」と訴える。視覚障害者は、白杖(はくじょう)や点字ブロックを頼りに進むため、歩きスマホの人と一度ぶつかってしまうと方向感覚が瞬時に失われる。立ち止まっているわけにもいかず、誤った方向に進めばホームから転落する危険性もある。日盲連の中には白杖を折られたという会員もいて、熱中気味の歩きスマホに強い危機感を抱いている。>
私自身、当地に来る前まで、視覚障害者の後見人として対応していましたが、それはとても不便で、公共空間を利用しているとき、前方を確認せずスマホに夢中になっている人がいることを想定しただけで、身震いするでしょう。
記者は<阿部教授は「自ら被害者になるだけでなく、加害者になる可能性があることを十分認識してほしい。公共の場に身を置く際には『すみません』の一言でもいい。声をかけ合うなど他者との共生の作法を身につけることが単に物理的なものにとどまらない『バリアフリー』につながる」と話している。>というのです。声かけはたしかに一つの手段ですが、スマホ夢中者にそんな余裕があるでしょうかね。
スマホを・・・ながらで利用したいのであれば、音声入力とか、体に装着できるものを利用して、周囲に対する気配りができる状況で使ってもらいたいものです。
さらにいえば、スマホを利用することにより失っている時間、心がありませんかと、自分の心と向き合ってはどうでしょうかと言いたいように思うのです。
そんな高齢者の話は知らん、というスマホ愛用者の声が聞こえてきそうですが、ま、双方の考えの違いを理解しつつ、問題点を改善する努力をしたいなと思うのです。
今日はこのへんでおしまい。また明日。