「福島 フクシマ FUKUSHIMA」からの転載⇒http://fukushima20110311.blog.fc2.com/
「住民が東電を追及 川俣町
事故から7カ月以上経つ10月20日夜、川俣町で、東京電力が賠償問題について住民に説明する場が、住民の側の要求で、ようやく設定された。
川俣町は、福島第一原発の北西に位置し、東西を飯舘村と福島市に挟まれている。南東は浪江町に接している。浪江に接する山木屋地区は計画的避難区域に指定されている。
この日の会場は、役場などがある中心街のバイクショップの倉庫だった。ここに住民約30人が集まった。
東電の側は、5人でやってきた。2人が作業着、3人が黒のスーツ。
「事故の収束」? 住民にとっては何も「収束」していない
東電は、どこの説明会でもやっているように、頭を下げて見せるところから始めた。しかし、その後の説明は、「『原発事故の収束』に向けて進捗している。もう危険はありません」。これを延々とやった。
住民らは、これをいらいらしながら聞かされた。
そして、説明が終わると、次々と住民が発言した。静かな口調だが、厳しい糾弾だった。
「事故で出た放射能がある。20ミリシーベルト/年を超える被ばくをしている。それなのに、『収束している』では話が違う」
「福島がフクシマにされてしまった。ヒロシマの180倍の放射能が吐き出された。福島に爆弾が落とされたみたいなもの。その残骸は全部、東電が持って帰れ」
放射能がまき散らされ、その被害が継続している。住民にとっては、何も「収束」などしていない。それなのに、「事故の収束」を宣伝する姿勢に怒りの声があがった。
加害者ということを忘れてないか
「除染」にたいする東電の姿勢にも批判が出た。
「『除染は、東電の責任です』と言っているけど、実際は、国が県に、県が自治体に、自治体が住民にぶん投げて、誰も責任をとらない。
除染の話に、東電は全然出てこない」
これにたいする東電の応答は、「東電としては、除染についての蓄積があるので、ノウハウを提供し、アドバイスさせていただいている」と。
これには住民の怒りが。「なんで迷惑をかけた人が、やらないのか。なぜ加害者が自分のところの人間を組織して、やんないの? 家族総出でやんなよ。なんで被害者がやって、加害者がそれにノウハウを提供するという話になんの?」
「おまえら、加害者だろ。加害者ということを忘れてないか。東電の職員が身を削っているように見えない」。
なぜ東電の方から書類を持ってこない
損害賠償請求についての東電の説明にも、住民は苛立ちを隠せなかった。
「損害賠償請求の書類は、なんでこちらから要求しないと来ないのか?」と住民が質問。
これにたいして東電は「誰がどこに住んでいるかわからないので、来てもらわないと」と答弁。
加害者が大きな態度で被害者を呼びつけ、被害者は頭を下げて書類をもらいに行くという姿になっている。
これにたいして「そんなもん、一軒一軒、訪ねて歩けよ」と住民の怒り。
さらに、東電の損害賠償請求についてのコールセンターの対応にも住民の怒りが。
実は、コールセンターの業務を東電は下請けに投げていて、電話で直接応対するのは東電の人間とは限らない。それをやらされる下請けの労働者もたまらないが、何より被害を受けて住民にとっては、実に不誠実な対応だ。
「30キロ圏外の自主避難についても全部補償してほしい」という住民の発言がいくつも出された。
これにたいする東電の答弁は、「検討しているが、まだ国の指針が決まっていないので・・・」と逃げる。
「もし子どもの将来に・・」と悲痛な訴え
若い男性は、思い詰めたような言葉で、「もし子どもに将来、健康被害が出たら、補償してくれるのか?」と問う。
東電は、「それについては、今の段階では答えられない」。
若い男性は、「納得できないまま、墓に入れということですね。・・・残念です」。
隣の飯野町から小さい子どもを連れた若い女性は、ずっと不安に苛まれている辛さを吐き出した。
「7カ月間、ずっと不安。子どもの将来を考えると辛い。この気持ちは、福島にいないとわからない。東電の人は、ここにいない。ここにいないと、この苦しさはわからない。
私の家の庭は、まだ10~20マイクロシーベルト/時ある。でも動けない。自主避難しろということか。避難できる人とできない人がいる。支援がなければできない。
東電は何もしてくれていない。民間のボランティアが支援の手を差し伸べてくれている」。
この悲痛な訴えにたいして、東電が答えた言葉は、「そういう切実な話をきかせていただき、ありがとうございました・・・」。
殴ってやりたい気持ちだ
この会場を提供するなど、この場の設定に尽力したSさん。何度も発言したが、最後に怒りを爆発させた。
「バイクショップをやっていた。ここは、銀行に借金して、去年やっとつくった倉庫。でもいまは、放射能汚染でバイクに乗る人なんかいない。いまは借金を返すのが大変。どうしてくれるんだ」。
「眼のガンで、放射線治療を受けている。3月18日に眼が腫れた。福島医大で診てもらったら、最初は『被ばくの影響』と言われた。しかし山下(長崎大教授から福島医大副学長)が来てから、対応がコロッと変わった」。
「東電の住民をなめた態度が許せない。ほんとに殴ってやりたい気持ちだ」。
被害住民を切り捨てる
東電は、これだけの重大事故を起こし、住民をこれだけ苦しめている。
しかし、東電には、加害者としての自覚はほとんどない。住民にたいしてまもとに応対しようという気持ちさえ見えない。何を言われても、法律をタテに「できない」といい、「国が決めるので」と国の下に逃げ込む。マニュアル通りの答弁をくり返す。
住民の前に出てくる東電の社員が、こういう対応に何の疑問も感じてないように見える。こういう場に出されて辛いだろうという気持ちに最初はなったが、全く同情する必要もなかった。
賠償にしても、避難にしても、除染にしても、この間の国や東電の姿勢から見えることは、被害を受けて苦しむ住民を切り捨てて、国と東電と原子力政策を守るという方向に突き進もうとしていることだ。
住民は、このような東電に冷静に怒りをぶつけ、国や法律によって守られている所から、東電を、何とか捕まえて、引きずり出そうとしていた。
福島の叫びを孤立させてはならない
「通販生活」というカタログ雑誌に以下のような文章が載っているということを、知人に教えていただいた。
ー原発を語るときー
廃止論であろうと
再開論であろうと
原発を語るときは
心を福島に置いて語る習慣を身につけよう
福島でつくられた原発電力は
東京で消費されたから
つまるところ
福島の子たちは
東京の子たちの身代りになった
福島の親たちは
東京の親たちの身代りになった
大阪で消費される原発電力は
どの県でつくられているのだろう
五年後の甲状腺ガン
十年後の白血病が
春夏秋冬気にかかる
福島の子たち親たちを棚に上げて
原発を語ることの
恥ずかしさよ
福島の人びとの叫びを孤立させてならない。
「避難を求める住民に避難を。補償を求める住民に補償を」という声を、全国からあげてほしい。」
「住民が東電を追及 川俣町
事故から7カ月以上経つ10月20日夜、川俣町で、東京電力が賠償問題について住民に説明する場が、住民の側の要求で、ようやく設定された。
川俣町は、福島第一原発の北西に位置し、東西を飯舘村と福島市に挟まれている。南東は浪江町に接している。浪江に接する山木屋地区は計画的避難区域に指定されている。
この日の会場は、役場などがある中心街のバイクショップの倉庫だった。ここに住民約30人が集まった。
東電の側は、5人でやってきた。2人が作業着、3人が黒のスーツ。
「事故の収束」? 住民にとっては何も「収束」していない
東電は、どこの説明会でもやっているように、頭を下げて見せるところから始めた。しかし、その後の説明は、「『原発事故の収束』に向けて進捗している。もう危険はありません」。これを延々とやった。
住民らは、これをいらいらしながら聞かされた。
そして、説明が終わると、次々と住民が発言した。静かな口調だが、厳しい糾弾だった。
「事故で出た放射能がある。20ミリシーベルト/年を超える被ばくをしている。それなのに、『収束している』では話が違う」
「福島がフクシマにされてしまった。ヒロシマの180倍の放射能が吐き出された。福島に爆弾が落とされたみたいなもの。その残骸は全部、東電が持って帰れ」
放射能がまき散らされ、その被害が継続している。住民にとっては、何も「収束」などしていない。それなのに、「事故の収束」を宣伝する姿勢に怒りの声があがった。
加害者ということを忘れてないか
「除染」にたいする東電の姿勢にも批判が出た。
「『除染は、東電の責任です』と言っているけど、実際は、国が県に、県が自治体に、自治体が住民にぶん投げて、誰も責任をとらない。
除染の話に、東電は全然出てこない」
これにたいする東電の応答は、「東電としては、除染についての蓄積があるので、ノウハウを提供し、アドバイスさせていただいている」と。
これには住民の怒りが。「なんで迷惑をかけた人が、やらないのか。なぜ加害者が自分のところの人間を組織して、やんないの? 家族総出でやんなよ。なんで被害者がやって、加害者がそれにノウハウを提供するという話になんの?」
「おまえら、加害者だろ。加害者ということを忘れてないか。東電の職員が身を削っているように見えない」。
なぜ東電の方から書類を持ってこない
損害賠償請求についての東電の説明にも、住民は苛立ちを隠せなかった。
「損害賠償請求の書類は、なんでこちらから要求しないと来ないのか?」と住民が質問。
これにたいして東電は「誰がどこに住んでいるかわからないので、来てもらわないと」と答弁。
加害者が大きな態度で被害者を呼びつけ、被害者は頭を下げて書類をもらいに行くという姿になっている。
これにたいして「そんなもん、一軒一軒、訪ねて歩けよ」と住民の怒り。
さらに、東電の損害賠償請求についてのコールセンターの対応にも住民の怒りが。
実は、コールセンターの業務を東電は下請けに投げていて、電話で直接応対するのは東電の人間とは限らない。それをやらされる下請けの労働者もたまらないが、何より被害を受けて住民にとっては、実に不誠実な対応だ。
「30キロ圏外の自主避難についても全部補償してほしい」という住民の発言がいくつも出された。
これにたいする東電の答弁は、「検討しているが、まだ国の指針が決まっていないので・・・」と逃げる。
「もし子どもの将来に・・」と悲痛な訴え
若い男性は、思い詰めたような言葉で、「もし子どもに将来、健康被害が出たら、補償してくれるのか?」と問う。
東電は、「それについては、今の段階では答えられない」。
若い男性は、「納得できないまま、墓に入れということですね。・・・残念です」。
隣の飯野町から小さい子どもを連れた若い女性は、ずっと不安に苛まれている辛さを吐き出した。
「7カ月間、ずっと不安。子どもの将来を考えると辛い。この気持ちは、福島にいないとわからない。東電の人は、ここにいない。ここにいないと、この苦しさはわからない。
私の家の庭は、まだ10~20マイクロシーベルト/時ある。でも動けない。自主避難しろということか。避難できる人とできない人がいる。支援がなければできない。
東電は何もしてくれていない。民間のボランティアが支援の手を差し伸べてくれている」。
この悲痛な訴えにたいして、東電が答えた言葉は、「そういう切実な話をきかせていただき、ありがとうございました・・・」。
殴ってやりたい気持ちだ
この会場を提供するなど、この場の設定に尽力したSさん。何度も発言したが、最後に怒りを爆発させた。
「バイクショップをやっていた。ここは、銀行に借金して、去年やっとつくった倉庫。でもいまは、放射能汚染でバイクに乗る人なんかいない。いまは借金を返すのが大変。どうしてくれるんだ」。
「眼のガンで、放射線治療を受けている。3月18日に眼が腫れた。福島医大で診てもらったら、最初は『被ばくの影響』と言われた。しかし山下(長崎大教授から福島医大副学長)が来てから、対応がコロッと変わった」。
「東電の住民をなめた態度が許せない。ほんとに殴ってやりたい気持ちだ」。
被害住民を切り捨てる
東電は、これだけの重大事故を起こし、住民をこれだけ苦しめている。
しかし、東電には、加害者としての自覚はほとんどない。住民にたいしてまもとに応対しようという気持ちさえ見えない。何を言われても、法律をタテに「できない」といい、「国が決めるので」と国の下に逃げ込む。マニュアル通りの答弁をくり返す。
住民の前に出てくる東電の社員が、こういう対応に何の疑問も感じてないように見える。こういう場に出されて辛いだろうという気持ちに最初はなったが、全く同情する必要もなかった。
賠償にしても、避難にしても、除染にしても、この間の国や東電の姿勢から見えることは、被害を受けて苦しむ住民を切り捨てて、国と東電と原子力政策を守るという方向に突き進もうとしていることだ。
住民は、このような東電に冷静に怒りをぶつけ、国や法律によって守られている所から、東電を、何とか捕まえて、引きずり出そうとしていた。
福島の叫びを孤立させてはならない
「通販生活」というカタログ雑誌に以下のような文章が載っているということを、知人に教えていただいた。
ー原発を語るときー
廃止論であろうと
再開論であろうと
原発を語るときは
心を福島に置いて語る習慣を身につけよう
福島でつくられた原発電力は
東京で消費されたから
つまるところ
福島の子たちは
東京の子たちの身代りになった
福島の親たちは
東京の親たちの身代りになった
大阪で消費される原発電力は
どの県でつくられているのだろう
五年後の甲状腺ガン
十年後の白血病が
春夏秋冬気にかかる
福島の子たち親たちを棚に上げて
原発を語ることの
恥ずかしさよ
福島の人びとの叫びを孤立させてならない。
「避難を求める住民に避難を。補償を求める住民に補償を」という声を、全国からあげてほしい。」
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