白夜の炎

原発の問題・世界の出来事・本・映画

アベノミクスの日本をどう見るか/エコノミスト

2013-05-13 17:42:11 | 政治
「中国とツナミで気力を取り戻した日本


(2013年5月9日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)


アベノミクスに沸く日本だが、一体何が急激な変化をもたらしたのか――〔AFPBB News〕

日本が長く失われていた力の源泉を再発見したことで興奮が渦巻く中、1つ、ほとんど問われないままになっている疑問がある。日本の支配者層にこれほど急激に針路を変えさせたのは何なのか、という疑問だ。

 時の権力者たちは、ある瞬間には、デフレについて打つ手はほとんどないと思っていた。ところが次の瞬間には、すべての人が新首相の安倍晋三氏と、15年に及ぶ物価下落を反転させるという同氏の使命の下に結集していた。

 政策の転換が非常に劇的で、市場があまりに素早く反応したため、誰もがお金を儲けるのに忙し過ぎ、何がその変化をもたらしたのか気にする暇がない。

アベノミクスに沸く日本、投資家の挨拶は「安倍万歳」?

 円相場は対ドルで77円から100円近くまで下落し、輸出業者に恩恵をもたらしている。幅広い銘柄を網羅する東証株価指数(TOPIX)は6カ月間で65%上昇し、過去数十年間なかった大幅な伸びを示している。

 アーカス・リサーチのアナリスト、ピーター・タスカ氏によれば、株式市場の上昇によって日本企業の株式時価総額は150兆円、ドル換算で1兆5000億ドル近く増えた。投資家は思いがけない儲けに大喜びしており、今では、電子メールを「安倍万歳」という言葉で締めくくるのが習慣的になっている、とタスカ氏は冗談を言う。

 市場の興奮は実体経済に伝わり始めている。この動きは、デフレの罠から抜け出せば、利益、賃金、個人消費、税収が増加する自己増殖的なサイクルを生み出すことができると主張する人たちの見方を裏付けている。

 2013年3月期に純利益が前期比約3倍の100億ドル近くに達したトヨタ自動車は8日、今期は利益がさらに40%増加する見通しだと述べた。証券会社は国内投資家の新たなリスク選好から恩恵を受けるため、野村証券と大和証券でも利益が急増している。

 3月には、大手小売業者の売上高が20年ぶりの伸びを記録した。労働市場が需給逼迫の兆しを見せる中、一部企業では賃金も徐々に上昇し始めている。中央銀行は今、今年の経済成長率をそれほど悪くない2.9%と予想している。

 つまり、政策は誰も予想できなかったほどうまく機能しているということだ。少なくとも、これまでのところは。

突然のギアチェンジのきっかけ

 だが、そもそも何が日本にアベノミクスを受け入れさせたのだろうか? 因果関係を証明するのは決して簡単ではない。だが、突然のギアチェンジには2つの強力な要因があったように思える。2011年のツナミと中国だ。

 2011年3月のツナミの活性化効果はすぐには表れなかった。日本人は当初、協力してエネルギー消費を減らすことによって、国内のすべての原子力発電所の運転停止を受けた潜在的なエネルギー危機を回避した。だが、値段が高く、不安定なエネルギー供給に対する産業界の懸念から、大量の国外脱出が起きるのではないかという不安が高まった。

 企業はただでさえ、円高、極めて高い法人税、貿易協定の不足、厳しい排出削減目標について不満を漏らしていた。この20~30年で初めて、産業全体が逃げ出すのではないかという正真正銘の疑問が生じた。

 2つ目の要因は、経済規模で2010年に日本を追い越した中国だ。中国政府は、日本の施政下にある尖閣諸島(中国名・釣魚島)に対する領有権の主張を一段と強めている。安倍氏が自民党総裁――首相への前段階――に選出される直前には、中国全土の50余りの都市で激しい反日デモが起きた。日本が目的意識を持った指導者を見つけたとすれば、中国に感謝すべきなのかもしれない。

 日本の安全保障に関する不安と経済の弱体化という意識の関係は、古くて根深い。「富国強兵」は、1868年の明治維新後の日本の近代化のスローガンだった。安倍氏にとって、このスローガンは大きく鳴り響いている。一言で言えば、それは、日本の経済が弱ければ、自国を守る力も弱いことを意味する。

「経済も国防も強くなければならない」


政府が都内で開催した「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」では、出席者から万歳の声が上がった〔AFPBB News〕

 安倍氏は国家主義を放棄したわけではない。経済を復活させるという同氏の使命も全く同じ衝動から生まれている。

 2月にワシントンで行った「Japan is Back(日本は戻ってきた)」と題した講演で、安倍氏はこの関係を明確にした。「日本は常に強くなければならない。まず経済面で強くなければならず、国防でも強くなければならない」

 日本の大胆な経済実験の背景にあるのは、高まる愛国心だ。米軍の占領が終了した1952年に日本が主権を回復したことを祝う式典で、安倍氏や他の参加者が「天皇陛下万歳」と叫んだ時は、天皇陛下でさえ面喰った様子だった。

 70%を超える支持率を得て世論調査で好調を維持する安倍首相は、日本が経済力と地政学的な影響力を同時に取り戻すことができるという考えに燃えている。

 首相は2月に米国側のホストに向かい、「日米両国が協力し、この地域と世界にさらなる法の支配と民主主義、安全保障をもたらし、貧困を減らすためには、日本は強い国であり続けなければならない」と語った。

日本は想定以上の前進を遂げる

 こうした意欲は重要だ。何年も漂流した末に、日本はついに行動に移った。歴史が何らかの指針になるとすれば、コンセンサスが得られた今、日本は20年間ためらってきた後で、想定されるよりも早く、そしてより大きな決意を持って前進するだろう。

 安倍氏は既に、日本経済をより厳しい競争にさらすことになるハイレベルの貿易協定「環太平洋経済連携協定(TPP)」の交渉にコミットし、多くの人を驚かせた。TPPに調印すれば、甘やかされてきた日本の農家と自民党の社会契約を反故にすることになる。

 表面的には、その可能性は低いように見えるかもしれない。エネルギーと医療の自由化や労働力への女性の参加拡大など、その他の長く議論されてきた必須事項も同様だ。最近までなら、人はこうしたことが何一つ起こらない方に賭けただろう。だが、日本には新たな切迫感がある。懐疑的な向きは驚かされるかもしれない。


By David Pilling
© The Financial Times Limited 2013. All Rights Reserved. Please do not cut and
paste FT articles and redistribute by email or post to the web.」

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/37757

『女性手帳』は捨てて、こっちで行こう

2013-05-13 17:33:33 | 社会
 内閣府の『女性手帳』はどうにもならんが、こちらの方は「見かけ」だけでなく、話の中身も地に足がついていそう。

「女性手帳だけじゃない少子化危機突破の「切り札」

投稿日: 2013年05月13日 17時06分 JST | 更新: 2013年05月13日 17時06分 JST


■少子化危機突破タスクフォース委員、ミスインターナショナル2012 吉松育美さん
 
 「シングルマザーをもっと社会的に受け入れる」「フレキシブルな働き方を積極的に認める」――。日本の少子化に歯止めをかけるため、政府に大胆な提案をしている25歳の女性がいる。少子化対策を議論する内閣府の「少子化危機突破タスクフォース」(主宰:森雅子少子化担当相)の最年少委員で、「ミスインターナショナル2012」である吉松育美さんだ。若い女性への啓蒙を目的にした「女性手帳」の配布を検討しているタスクフォースに対する批判が高まる中、これから子供を産み育てる若い世代である吉松さんの“等身大の声”に今、ネット上で熱い支持が集まっている。
 
 半世紀の歴史がある「ミスインターナショナル」で昨年、日本人として初めて優勝した吉松さん。その華やかな経歴は、大学教授や県知事など重鎮が居並ぶ委員15人の中で、少し異質にみえる。なぜ、吉松さんはタスクフォースに抜擢されたのだろうか。
 「ミスインターナショナルで世界一になってから、仕事で海外を訪れ、女性リーダーたちに会って、世界の女性たちの状況を聞く機会が増えました。それをたまたま、ご存知になった森大臣から、『ぜひ20代の意見とともに、いち女性の意見をタスクフォースに反映してほしい』と言われ、委員になりました。私も女性として日本の女性がもっと輝ける未来を一緒に作っていきたいと思っていたので、とても光栄です」
 
 ミスインターナショナルは、単に美を競うコンテストではなく、国際的な社会貢献を目指す女性に与えられる栄冠という。その活動は多岐にわたり、吉松さんは今年1月、ワーキグマザーでもあるナンシー・ペローシ米下院議長に招待を受けて、バラク・オバマ大統領の就任式に出席。4月には米カルフォルニア大学でフェミニズムの運動家やサクラメント市初の女性市長とともに、女性リーダーを集めたフォーラムを開催している。実際に世界で活躍しながら子供を産んで育てている女性たちに会って感じたのは、日本との違いだった。

■男女平等の国は出生率も高い

 「タスクフォースでも、ある教授が言っていたのですが、『女性の就労参加率の向上は出生率を下げる』というのが一般的な認識です。でも、昨年、世界経済フォーラムが出した男女平等指数で上位を占めた北欧の国々の出生率をみると、日本をはるかに超えています。男女平等の社会は、出生率も高い。日本で認知されている常識が、世界では覆されるわけです」
 
 日本でも出生率を上げるべく、今年3月、森少子化担当相の肝入りでこのタスクフォースは立ち上がった。森少子化担当相は会見で、「結婚、妊娠、出産、育児の全てのステージにおける課題の解消を目指すとともに、家族を中心に置きつつ地域全体で子育てを支援していく取組の推進等について意見交換を行うもの」とその目的を明確にしている。タスクフォースは、5月中に具体策をとりまとめ、6月にも策定される政府の「骨太の方針」に反映させたい考えだ。



 ところが、議論が佳境を迎えた5月7日の会議。具体策のひとつとして、若い女性を対象に妊娠や出産の知識を啓蒙する目的の「女性手帳」を配布する方針が報道されると、ツイッターやフェイスブックでは「どうして女性にだけ配布するのか」「時代遅れ」といった批判が集中した。
 タスクフォースに対する失望感がつのる中、多くの女性から高い評価を受けたのが、4月16日の会議で提出された吉松さんの「意見書」だった。タイトルは「日本におけるWomenomicsソリューション」。4つの対策が主軸で、職場でバランスの取れた男女構成比を定めるクオータ制の導入や、育児ケアサービスの充実、在宅勤務やフレックスタイムなどの導入による育児と仕事の両立などが掲げられている。
 
 特に注目を集めたのが、離婚率と未婚率の上昇により近年、増加傾向にあるシングルマザーへの対策だ。
 「時代の変化とともに、女性のあり方も変わり、夫はいらないけど子供がほしい女性も増えています。しかし、厚生労働省の調べではシングルマザーの就業率は84.5%と高いものの、半数以上が非正規雇用で貧困に陥りやすい。私たちは意識を変え、シングルでの子育てを希望する女性にも、インセンティブが与えられる社会にしてゆかなければなりません」
 
 吉松さんの意見書は、未婚の男性と同じ税率であるシングルマザーに対する所得税の優遇や、シングルマザーを正社員として雇った企業に対する法人税の優遇を訴えている。
 「女性ばかりにインセンティブを与えても、社会は動かない。企業にもインセンティブを与えることで、良い循環が生まれると思っています。それから、シングルマザーに限らず、子供を生みたいというモチベーションを女性に上げてもらうためにも、お子さん1人につき所得税を何%下げるといった、具体的に目に見える対策を取ってゆく。そうすれば、女性が子供を産みやすくなるのではないでしょうか」
 
■ソーシャルメディアで支持された「意見書」

 この意見書がタスクフォースのサイトで公開されると、ソーシャルメディアで拡散され、「女性手帳よりこちらを重視してほしい」「どうしてこちらを記事にしてくれないのか」など、ツイッターやフェイスブックで女性を中心に賛同の声が広がっていった。
 多くの女性たちの心に響いたこの意見書。実は、吉松さん自身の生い立ちが深く影響している。「私は九州に生まれなのですが、両親が教師という共働き家庭にも関わらず、昔のままの習慣が残っていました。父は家で何もせず、家事や育児はすべて母がやっていて、幼いながらも『どうしてママも働いているのに、おうちで平等じゃないの?』って疑問を持って育ちました」
 
 進学した聖心女子大学でも、男女平等や女性の社会進出について勉強。常に女性が抱える問題を意識していたという。そんな吉松さんの意見書は、まさに“等身大”の声だったわけだが、追って公開された同日の議事録を見ると、委員による自由討議で「女性手帳について議論が活発に行われた」という記述があるものの、意見書で提案されたテーマについては深く話し合われた様子はなかった。
 実際、タスクフォースでこの意見書はどのように受け止められたのだろうか。

 「意見書に対する反応はさまざまでしたが、森大臣は感銘を受けてくださいました」と手応えは感じている。また、委員の一人である日本マクドナルドの原田泳幸会長兼社長も「吉松委員に賛同できる」と話したという。「シングルマザーの響きがネガティブに聞こえてしまうので、文化を変えるためにもシングルマザーではなく、ワーキングマザーと呼んだらどうかという提案もしたのですが、ある女性委員の方からは、『あなたの意見は愛がある』と言っていただきました」と笑う。

■「女性手帳はオンライン管理を」
 
 また、吉松さんは批判されている「女性手帳」についても、アイデアを持っている。
 「森大臣の『女性の体に対して適切な情報の啓発が必要』という思いで検討されている女性手帳ですが、一部メディアの報道による誤解もあります。決してこれは女性の結婚、出産を強制するようなものではありません」と前置きした上で、こう提案する。

 「ただ、女性手帳を印刷物にしてしまうと、例え1冊50円だったとしても、全女性に配布となると非常にコストがかかってしまいます。また、10代や20代の女性は、ファッション雑誌が売れなくなったことでもわかるように、紙媒体に目を通さなくなってきています。スマートフォンが普及し、ネットが自由に使えるようになったため、情報はすべてオンラインで取得しているからです。女性手帳も、オンラインで管理をするとよりスムーズ、かつ利便性も高いのではないでしょうか」
 
 女性手帳のオンライン管理には、メリットも多いと指摘する。「まず、日々進化している医療情報のアップロードが簡単。また、登録されている女性へ、直接色々なサービスの提供もできます。例えば、マイレージカードが個人のポイント状況やその月のサービスなどを頻繁にダイレクトメールで通知するように、政府の新しい女性サポートや政策など、日本の女性に知ってほしい情報を通知することが可能です。紙媒体ではこのようなリアルタイムのコミュニケーションは不可能ですが、オンライン管理なら、その使い道は無限大に広がります」
 
 吉松さんはこの女性手帳についてのアイデアも含めて、再度「意見書」のプレゼンテーションを行うつもりだ。「少子化危機突破タスクフォースは、文字通り、本当に今すぐ突破しなければいけない問題を抱えています。かつてないような即効性のある、アグレッシブな対策をとっていかなければいけないと思っています。そのためにも、この『Womenomics』を実現させたいです」
 果たして、吉松さんの「意見書」とそれを支持する女性たちの声はどこまで政策に反映されるのか。最後のタスクフォースは、5月下旬に開かれる予定だ。」

http://www.huffingtonpost.jp/2013/05/13/story_n_3264583.html?utm_hp_ref=japan

イスラム社会も様々

2013-05-13 17:07:16 | 文化
 イスラム社会でもその解釈と現実での運用はさまざまなようだ。


「 モロッコでは回答者の78%が「国内にいる非イスラム教徒には自らの信仰を実践する自由がある」と考えており、そのうちの79%がそれを「良いこと」だと認識している。その一方でシャリーア(イスラム法)が法律中に明記されることを願う人が83%いる。

 タイとパキスタンでもイスラム法を求める人は多い(タイ77%、パキスタン84%)。だがその大半は「他の宗教を信じる自由」についても認めており(タイ79%、パキスタン75%)、それを「良いこと」だとする割合も圧倒的に高い。

 しかし「宗教の自由」というのは捉えにくい言葉だ。個々人に対する意味合い、そして集合的な信仰慣習に対する意味合いの両方が含まれる。一部の国では宗教の自由を評価する割合が高い一方で、背教者に対する死刑を支持している。パキスタンではイスラム法を支持する人の4分の3が背教者の死刑に賛成している。

 イスラム法がいかに適用されるべきかについても見解はまちまちだ。チュニジアではイスラム法に賛同する人の多くが宗教裁判官を支持しているが(62%)、背教者の死刑に対する支持率は低い(29%)。

 また、イスラム法への支持率が高い国が同法の教えに厳密に従うとは限らない。例えばインドネシアとエジプトは、イスラム法を支持する人の割合がどちらも全体の約3分の2に達する。だが姦淫罪に対する「石打ちの刑」について、インドネシアでの支持率は半分にも満たない。一方、エジプトでは81%が「石打ちの刑」を支持している。また、イスラム法を支持するエジプト人の74%は非イスラム教徒に対しても同法を適用すべきと考えている。これは調査対象とした国の中で最も高い数字だ。

©2013 The Economist Newspaper Limited.
May. 4th, 2013 All rights reserved.」

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130509/247770/?bv_ru