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白夜の炎

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仮想現実化が進む世界経済 2014年10月8日   田中 宇

2014-10-11 19:45:51 | 経済
「 マスコミ報道によると、米国が対露制裁を強めて以来、ロシアからの資金流出が続き、ロシア経済が危険な状態になっている。今年の上半期、ロシアから740億ドルの資金が流出した。ドルやユーロに対するルーブルの為替下落に歯止めがかからず、ロシアの中央銀行は為替市場への介入によって2日間で17億ドルも使ってしまった。 (Russia Spends Up to $1.75 Billion in Two Days to Buoy Ruble)

 ロシアだけでなく欧州も危ないと報じられている。IMFは、ユーロ圏の経済が不況に陥りそうだと警告を発した。ドイツ銀行は、ユーロの再弱体化とドルの強さの維持によってユーロが下がり、今の1ユーロ=1・27ドルの為替が、2017年に1ユーロ=0・95ドルまで下がると予測している。 (IMF sees risk of new eurozone recession) (Euro to fall below parity with dollar by 2017: Deutsche)

 ロシアやEUの経済悪化が報じられるのと対照的に、米国に関しては、ドルや米国債が持つリスクを示す金利やインフレ率が、今後もずっと低いままだという予測が流布している。 (Inflation's Not The Only Way Easy Money Destroys Wealth) (Bond King Bill Gross' Next Act)

 こうした、露欧が悪化するが米国は悪化しないという方向を示す報道を集めると、前回の記事で書いた、米国の経済覇権が崩壊してユーラシアがEU(ドイツ)・ロシア・中国の主導になるという予測が間違ったものに見えてくる。「田中宇は、世界が多極化すると思い込んでいるので、世界に対する見方が間違うのだ」といった、以前からある私に対する批判がちらつく。 (◆ユーラシアは独露中の主導になる?)

 しかし事態をよく観察すると、別の状況が見えてくる。たとえば昨日FTが出した「資金調達難の危機に瀕するロシア企業」と題する記事は、題名こそロシアの危機を語っているが、中身を読むと、ロシアの大企業は再来年まで資金難になりそうもないと書かれている。ロシア経済を支えるのは石油ガスだが、ロスネフチやガスプロムといった大手の石油ガスの国有企業は、中国と長期の輸出契約を結んでおり、米国から経済制裁を受けても、ずっと先まで資金の獲得に困らない。露政府は、石油ガス国有企業の儲けを使って、石油ガス以外の分野で米欧に経済制裁される企業の損失を補填する計画だ。露企業の多くは、今年と来年の分の運転資金をすでに調達しており、困るとしたら再来年からだという。 (Russian companies face credit crunch danger)

 昨今のように世界経済の先行きが不透明な時に、再来年にどうなるかという予測は、的確さに疑いがある。米国こそ、今年QEをやめた後の金利動向が不確定で、再来年まで金融が持つかどうかわからない。債券の神様と言われた米投資家のビル・グロスは「米国の金利はこの先もずっと低いままだ」と断言しているが、正確には「米連銀と金融界の延命策が成功している限り金利はずっと低いままだが、失敗すると金利高騰、金融破綻だ。どちらに転ぶかわからない」である。 (Gross PIMCO Exit Sparks Record Liquidations In Short-End Of Yield Curve)

 プーチンのロシアは、エネルギーの長期安定確保を望む中国に対し、比較的安価に石油ガスを長期供給することで、同時に自国の長期的な収入源の確保を実現する戦略を確立している。米国がロシアを経済制裁してもこの枠組みは壊れず、米国がロシアを経済破綻させることはできない。プーチンは、ロシアにとって一番大事な国は中国だと言っている。中国は余裕資金を多く持っている。米国自身、巨額の米国債を中国に買ってもらい、覇権維持を中国の余裕資金に依存している。米国が中国の資金を攻撃して枯渇させれば、ロシアに入るはずの資金もなくなり、ロシアを破綻させられるが、中国の資金で米国債を買ってもらっている以上、それができない。 (Europe still a key partner for Russia, but China a priority - Putin)

 中国の資金は、ロシアだけでなく欧州にも流入し続けている。2011年に米英投機筋が南欧の国債先物市場を攻撃してユーロ危機を起こした後、米国の資本が大量に南欧諸国から逃避したが、その穴を埋めたのは中国資本だった。イタリアやギリシャなどでは、中国資本が国家経済の維持に不可欠な存在になっている。 (China swoops in on Italy's power grids and luxury brands)

 中国からEUへの直接投資は、2010年に61億ユーロだったが、12年には270億ユーロに急増した。米国勢が金融破綻させて資金を引き上げて価値が急落し、安値感が出た南欧諸国の企業や不動産などの資産を、中国の国有企業や民間投資家がこぞって買った。米国は、EU統合を阻止する策として、今後またユーロ危機を再燃させるかもしれないが、それは中国がEUの資産を安値で買いあさり、EUがロシアと同様に中国との関係を強化して生き残る多極化の道に入ることにしかつながらない。多極化は空想でない。マスコミが系統的に報じないので人々が気づかないだけで、粛々と進んでいる。 (Chinese investors surged into EU at height of debt crisis)

 最近「ロシアがもうすぐ経済破綻しそうだ」「ユーロはもうダメだ」「中国もいずれ経済破綻する」「ドルだけは永久に安泰だ」といった、国際マスコミによる経済分野の仮想現実の創造が拡大している。日本では昨年から「アベノミクスは日本経済を良くする」という歪曲報道が席巻した。従来、仮想現実の創造(善悪の歪曲)は「サダム・フセインがいかに極悪か」「中国やロシアは独裁で悪い」「米英は常に正しい」といった政治面が中心だったが、米国の金融システムの潜在危機が増した最近は、経済記事の仮想現実化が強くなっている。 (逆説のアベノミクス)

 仮想現実を見せられた人々は、それが現実と思い、露中や欧州から投資を逃避させ、その結果、仮想現実が本物の現実になるかもしれない。しかし、ユーロは11年以来もうダメだとずっと言われてきたが破綻していないし、中国もいずれ破綻すると言われながら破綻していない。今回書いたように、ロシアもたぶん破綻しない。仮想現実は本物の現実にならず、ずっと仮想の存在だが、人々の多くは延々と騙され続けている。

 国際マスコミが仮想現実化の傾向を強めていることは、国際マスコミの報道を重要な情報源としている私にとって、分析作業を難しくしている。それぞれの報道がどの程度の歪曲誇張を含んでいるか判断が難しい。全体として近年の報道は、米国の覇権維持のため、米経済の健全性を過大評価し、中露など新興市場やEU経済の危険性を過大評価する傾向がある。しかしその一方で、中露など新興市場が脆弱さを持っているのも事実で、どこまでが歪曲でどこからが事実か、判断が難しい。

 たとえば、アルゼンチンの国債デフォルトの問題について私は、新興市場諸国がドルのシステムから追放され、非ドルのBRICSシステムの傘下で再生するシナリオでないかと推測した。今夏、デフォルトしたアルゼンチンを中露の首脳が相次いで訪れ、未開発の石油ガス田の利権を中露が開発するのでないかという話がながれた。これは、多極化や非ドル化の動きになるが、そのような流れになるのか、それとも単にアルゼンチン経済が破綻して終わるのか、まだ見分けがつかない。そうこうするうちに、南米ではベネズエラも国債破綻に瀕している。 (◆米国自身を危うくする経済制裁策) (Argentina Goes Full-Venezuela - Plans To Regulate Prices, Profits, & Production)

 今回紹介したFTの記事のように、題名と中身が食い違っていると、マスコミが歪曲したい方向性と、歪曲しきれない現実の両方をかいま見れるので参考になる。その意味でFTは比較的良心的だ。半面、NYタイムスなど米国のマスコミは、最初から最後まで仮想現実で貫く傾向が強く、参考にならないことが多い。なるべく多くの分析を読むことで、多くの報道文の中の「ぶれ」を見分け、報道の中の歪曲を見つけていくしかない。」

http://www.tanakanews.com/141008image.htm

中国、イノベーション時代の幕開けか/WSJ

2014-08-25 18:07:14 | 経済
「【北京】健康上のアドバイスを提供する体重計を作ることを夢見る人もいれば、大リーグ(MLB)の選手向けにバットのスイングを記録・分析する機器を販売したいと考える人もいる。行方不明の子供を追跡するためのブレスレットを作ろうと思っている人もいる。

 中国各地の研究所や新興企業で、大きな夢を抱く機械いじり好きの人たちが動き出しており、これが中国にイノベーションの波を起こす可能性があると考える業界関係者が増えている。彼らはスマートガジェット(インターネットに接続したり、ユーザーと交流したりするウエアラブル機器などのデバイス)が、中国企業がデザインした製品を世界に広げるチャンスを作るとみている。

 夢の実現のため、発明家たちは中国にある電子機器業界の巨大なサプライチェーンを活用する。そこではアップルの「iPad(アイパッド)」からマイクロソフトの「Xbox(エックスボックス)」に至るまで高機能な製品が生産されている。サプライチェーンから近いため、彼らは実際に工場に行って長年温めてきた計画を微調整できるほか、完成品をより自由にコントロールできる。

 独メディア大手ベルテルスマン・グループのベンチャー投資部門の責任者アナベル・ロング氏は「中国は世界の工場であるだけに、ハードウエアとソフトウエアの新たなコンバージェンス(収れん)という点で最先端の研究開発拠点の1つになるだろう」とみている。

 ロング氏はゼップ・ラブス社(Zepp Labs)という企業に投資している。この企業は野球のバットの先に取り付けられるモーションセンサーを製造する。

 創業者のロビン・ハン氏は、マイクロソフトが提供する中国の工学博士プログラムの学生だ。ビデオゲームに使うセンサーの開発に取り組んでいたが、実際のスポーツにも使えるのではないかと考えた。センサーはゴムの取り付け具を使ってバットの先に取り付けることができ、スイングの速さや形などのデータを記録してコーチや選手のフォームの微調整に役立てる。センサーはテニスやゴルフにも使うことができる。

 中国とシリコンバレーにオフィスを持つ同社には、約15万人のアクティブユーザーがおり、米国でのブランド構築を目指している。同社は2013年に2000万ドル(約20億8000万円)を調達したことを明らかにしており、現在は米中両国でそれぞれ20人以上の従業員を抱えている。

 同社の最高経営責任者(CEO)で、アップルの元商品開発マネジャーのジェーソン・ファス氏によると、同社は中国に「現場で製品の開発と製造ができるチーム」を擁しており、「それがあることで大いに助かっている」という。

 中国は長年、経済の質を向上させる方法の一つとして、イノベーションを押し進めようとしてきた。コピーすることで成功しただけだという悪評を拭い去る狙いもある。しかし、新興のガジェットメーカーは国内のみならず、海外の投資家をも引き付けつつある。彼らは多数のモバイルアプリメーカーやスマートフォンメーカーなどの中国の新興企業の成功に引き寄せられているのだ。


野球のバットの先に付けスイングをチェックできるセンサー(上)、電子ペーパーを文字盤に使ったスマートウオッチ(左下)、色を変えられる靴(右)など中国発のガジェット
 中国は従来の製造業、輸出、政府の公共事業への依存から脱却した経済発展を目指そうとイノベーションに力を入れている。政府の経済計画当局幹部は3月、最先端技術を重視する幅広い取り組みの一環として、新世代の小型ガジェットの開発を訴えた。この分野への投資にも積極的だ。例えば、1200億元(約2兆0800億円)を費やし、半導体産業を築く目標を今年打ち出した。

 既に一部の中国企業は、スマホなど比較的新しい分野で競争力を示し始めている。レノボ・グループや小米(シャオミ)は競争できる機能と価格を持つ携帯電話を製造して、海外市場に参入している。アナリストの中には、アップルやサムスン電子といった大手スマホメーカーが小米やレノボなどの中国企業に世界シェアを奪われ始めると予測する向きもある。

 これとは対照的なのがパソコン市場だ。レノボは1990年に最初のパソコンを売り出したものの、15年後に米IBMのパソコン事業を買収するまでは、この分野で国際的に競争力ある企業になれなかった。

 ベンチャーキャピタルのDCMの投資家で、スリング・メディアの共同創業者であるジェーソン・クリコリアン氏は、中国が持つ生産の専門知識と製造設備の質の向上がイノベーションをけん引していると話す。

 昨年ストラタシス社が4億0300万ドルで買収した3Dプリンターメーカーの共同創設者であるザック・スミス氏は、2012年に中国南部の深センに移った。アップルの生産を請け負う富士康科技集団(フォックスコン)などの主要メーカーに近いところに行きたかったからだ。同氏は「深センは自分のような機械おたくにとって天国に近い」と話す。

 しかし、必ずしも成功が約束されているわけではない。中国には依然として知的所有権の侵害がはびこっており、アイデアの盗用を心配する新興企業にとって大きな問題になり得る。

 起業家のWallen Mphepö氏は、長年温めてきた計画に着手する場所として当初北京を選び、スマホの画面にタッチすると、洋服や靴の色が変わるというアプリの開発に取り組んだ。しかし同氏は今年、研究開発の作業拠点をリトアニアに移した。減税が受けられるほか、アイデアの盗用に対する懸念があったからだ。

 中国では起業家が事業を育てていくのが難しい。大手銀行は巨大な国営企業への融資を優遇する。一方、企業文化も新しいアイデアに開かれているとはいえない。

 そうした傾向を変えようとする動きもある。アップルやソニーの製品を中国工場で製造している台湾のフォックスコンは「Kick2real(キックトゥーリアル)」と呼ぶプログラムをオンラインで立ち上げた。ウエアラブルなデバイスや携帯電話の付属部品を手がける起業家を支援するためだ。このサイトでは、プロジェクトを選り分けて支援するだけでなく、専門家の意見を提供している。

 北京北西部の中関村はスタートアップ企業が集まる場所として知られている。ここで地元自治体は「北京メーカースペース」という小型電子機器の開発を行う研究所に資金を提供している。そこには3Dプリンターやレーザー・カッターが置かれ、電子基板が山のように積まれて、多くの人々が靴にはめ込まれる画面やバーやクラブといった場所での人の動きを追いかけるセンサーなどさまざまな機器の開発に取り組んでいる。


メーカースペースの創設者のジャスティン・ワン氏 Mark Leong for the Wall Street Journal
 メーカースペースを創設したジャスティン・ワン氏によると、自治体幹部らが起業家の支援を熱心に考え始めたのは、米マサチューセッツ工科大学のMITメディアラボを視察し、専門の枠を越えた草の根的イノベーションが誕生するさまを目の当たりにしたのがきっかけだという。

 幾つかの会社は既に大きな成功を収めている。トムーン・テクノロジーという新興企業は、韓国のサムスン電子がギャラクシー・ギアのスマートウオッチを発表したあと、アルミのベルト付きでバッテリーを長持ちさせるため電子ペーパーを使用したウオッチを発売した。発表と同時に中国国内のソーシャル・メディアはこの製品の話題で持ちきりとなり、24時間以内に2万8000個の予約が入った。価格は499人民元(約8400円)で、サムスンの2499元よりも大幅に安かった。同社のワン・ウェイCEOによると、予約は最終的に7万個に膨らみ、同社の従業員約30人では注文に応じきれなくなってしまった。結局、多くがキャンセルされ実際に代金が支払われたのは10分の1だが、まだ1000個の受注が残っている。

 ワンCEOは、これに懲りた様子はない。同社は次のスマートウオッチの開発に取りかかっており、9月に発売予定であるという。これは着用する人の健康を管理することができ、長時間座りっぱなしだと立ち上がるようにといったアドバイスをする。

 同CEOは、「イノベーションでは大きな国際企業にも絶対負けない」と話した。 」

http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052970203403704580106992061937752?mod=WSJJP_hpp_MIDDLENexttoWhatsNewsThird

アベノミクス

2013-10-12 20:21:56 | 経済
 アベノミクス。日本を取り戻す政策。今までの実績に基づいて以下に列挙してみました。

 円安誘導、金融緩和、消費増税、法人税減税、憲法の全面改正-人権の抑圧、秘密保全法、憲法解釈変更-集団的自衛権、日雇い雇用の再開、ホワイトエグザンプション実施、解雇特区、フリーター・ニート対策なし、ブラック企業対策なし、社会保障見直しでレベルダウン、等。

 他にもありましたらお教えください。

経済回復に必要な政策は移民の受け入れ

2013-08-26 17:12:34 | 経済
 経済の低迷をアベノミクスが打破するという妄想が拡散している。

 誰も本気にはしていないが、この間の株価上昇でひと儲けしたい、ぐらいのことは考えている。

 そこで私も妄想をたくましくして日本経済の立て直しを建言したい。

 以下がそれである。

  *********************

 日本経済を本気で復活させたいなら、他の先進国が行ったのと同じ事を実行するほかはない。

 それは移民の大規模な受け入れである。

 実際1950年ごろにはイギリスでも人口の減少でイギリス人はいなくなる、と言っていたのである。

 それを打破したのが旧植民地県からの大量の移民の受け入れである。

 フランスも同じ。

 植民地がなかったドイツは歴史的関係を有するトルコに職安を出張させて労働者を募集。

 イタリアやスペインは移民を送り出す側だったが、やがて経済成長-あるいはスペインのようにフランコ政権打倒後に西欧に統合-が進むと移民の受け入れ国となった。イタリアには旧東欧圏や中東から移民が流れ込んだ。

 彼らこそ西欧の高度成長とその後の発展を支えたのである。

 EU拡大後は、旧東欧や旧ソ連の一部がその域内に入ることで、低廉な労働力は欧州域内でも調達可能となった。

 今のヨーロッパはもはや一国単位で論じられない状態であるが、そのような展開を支えたのが、第二次大戦後に人口減少に直面した時、西欧の主要三国-イギリス・フランス・西ドイツ-が採用した移民の導入策であった。

 そしてこのような移民を抱えつつ、様々な問題に対処できる社会づくりを主導する政治が、その後のEUという複合的な政治・経済機構成立につなかったともいえるだろう。


 さてここで日本について考えてみると、人口が減ることはとうに分かっていながら移民を拒否し、実際に減り始めてからも拒否している。

 その結果少子高齢化を深刻化し、国内市場の縮小に輪をかけている。社会保障も脅かされ、消費税を上げなければならなくなっているが、それは直ちに国内市場にマイナスの影響をもたらすだろう。

 さらに人口減少に伴う若年層の縮小は、労働力の減少だけでなく質の低下も招いている。

 以下はやや細かい話だがお付き合いいただければ幸いです。


 今学卒の就職市場では、貴重な数が減りつつあるが学卒若年労働者が厳しく選抜されている。数が少なくなったのだから売り手市場でもよさそうなのだがそうはならない。決して景気だけが理由ではない。

 その理由の一つは学卒者の質の低下にある。

 学力低下は目を覆うばかりで、数(大学数)の上で大半を占める中小の私学では、分数も分からず一次方程式も解けないような学生、英語はおろか、普通の日本語が書けない学生がそのまま大学生として卒業しつつある。

 実際試験の答案も日本語として何を言っているのか分からないものが少なくない。

 それだけではなく、一流と言われる大学も含めて問題になっているのは、発達障害やコミュニケーション能力が病的に欠如した学生の大量の存在である。

 企業が彼らを採用しないのは当然である。

 かくして就職先はあり、採用意欲もあるにもかかわらず、貴重なはずの学卒者が次々とはねられるという結果になっている。

 もし日本の将来を支えていくことを本気で考えるならば移民を大量に受け入れるほかはない。20年後に人口の10から15パーセントが移民で占められる、といった水準がとりあえず考えられるのではなかろうか。

 そして政治も社会も、私たち一人一人の完成も、移民とともに多民族国家を形成する方向に切り替えないといけない。

 今日の停滞は、1970年代初頭と、1990年前後に存在したこの転換に失敗したためである。

 -以上

若い学生に過疎地の商店街でシャッターにペンキ絵をかかせている場合ではない

2013-06-07 18:17:28 | 経済
 今日本中で地域活性化が大流行である。

 しかしその実態を見てみるとお寒いものであることが多い。

 中でも地方の寂れた商店街や、高齢化が進んでやがて人がいなくなるであろう農村に若者を送り込むイベントが多い。

 地方の大学では、それが大学の地域貢献、学生立ちのボランティア活動として推奨されている。

 その結果シャッター街のさびの浮き出たシャッターに絵を描いたりすることになるのだ。


 しかしはっきり言えば、そんなことで地域の商店街は活性化しないし、過疎地に人があつまることもない。

 そこには大きなウソがある。

 地域から出ている議員、地域諸団体の声を無視できない自治体が、先行き無駄になると知りつつ行っているのだ。

 断言する。

 これはお金と、エネルギーと、何より若者の未来の可能性を奪う大愚策である。

 こんなことに若い世代はエネルギーを使ってはいけない。


 若い世代は、ネット時代に対応できる能力・技術を身につけ、それで生きていくことを真剣に考えなければならない。

 国境なき時代には、若い人たちは日本以外で学んだり、生活したり、仕事をして、自分を鍛えなければならない。

 昔職人が修行のために各地・先進地に出かけ、働きつつ学んだのと同じである。

 それをやらせなければならない。

 年寄りの展望のない郷愁のために若い世代の未来を奪うことは犯罪である。

アベノミクス批判/内田樹氏より

2013-06-06 18:41:30 | 経済
「安倍政権の経済政策「アベノミクス」と多国籍企業やナショナリズムについて、神戸女学院大学名誉教授の内田樹さんに聞きました。

私は経済の専門家ではありませんが、「アベノミクス」の先行きは暗いと思います。

国民に「景気が良くなった」と思わせて株を買わせ、消費行動に走らせる。

「景気がよくなる」と国民が信じれば景気がよくなるという人間心理に頼った政策です。

実体経済は少しもよくなったわけではありません。賃金も上がらないし、企業は設備投資を手控えたままです。

「アベノミクス」に限らず、世界経済は今あまりに変数が増えすぎている。
ヘッジファンド(投機的基金)などによる投機的なふるまいで、株が乱高下し、為替が変動し、通貨危機が起きることもある。

市場における投資家の行動は予測不能です。彼らは市場が荒れ、大きな値動きをするときに利益を上げる。だから、経済活動の安定より、急成長や急落を好ましいと思っている。そして、そうなるように仕掛けてきます。

「アベノミクス」はそういう投資家の射幸心に乗って、意図的にバブルを引き起こそうとしているハイリスクな政策です。

自分たちでコントロールできないプレイヤーに一国の経済を委ねてしまうことに私は強い不安を感じます。
それに「アベノミクス」は国際競争力のあるセクターに資源を集中して、グローバル化した企業が世界市場でトップシェアを獲得することに全国民が貢献すべきだという考え方をしてます。

企業の収益を上げるために国民はどこまで犠牲を払えるのかを問いつめてきている。
しかし、国民は企業の収益増のためにそれほどの負担に耐える必要があるのか。
そもそもグローバル化した企業はもはや「無国籍企業」であって「日本の企業」ではありません。
アップルの租税回避が問題になりました。

740億ドルという海外の売り上げをアイルランドの子会社に移して、アメリカへの納税を回避したことを咎められて、米上院の公聴会にCEOが召還されました。

多国籍企業は、最も人件費が安いところで人を雇い、最も製造コストの安いところ、公害規制のゆるいところで操業して、もっとも法人税率が低いところで納税する。企業の論理からすれば、きわめて合理的で当然のことです。 
しかし、そのグローバル企業の経営者たちが、国民国家に対し、て企業に都合のいいように制度を改変せよと要求するのは筋違いです。

金もうけするのは、彼らの自由です。勝手にやってくださって構わない。けれども、自分たちは「日本の企業」であるから、国民国家の成員たちは企業活動を支援しなければならないという言い分は通らない。教育政策やエネルギー政策や果ては外交や財政や憲法にまで「無国籍」の集団が口出しするのはことの筋目が違う。

国民に向かっては「あなたがたはグローバル企業のためにどれほどの犠牲を払う覚悟があるのか」と詰め寄るくせに、自分たちの企業利益を国民国家に還流することについては、何も約束しない。

こんな不条理がまかり通るのは、そういう企業体が「日本の企業」だと名乗り、あたかも日本を代表して、中国や韓国と経済戦争を戦っているかのような外見を作り出して、それを国民に信じ込ませているからです。

実際には、大飯原発再稼働のときに明らかになったように、グローバル企業は、人件費が高い、電力料金が高い、法人税率が高いと文句をつけて、要求が通らなければ「海外に生産拠点を移す」と脅しました。その理由が「経済戦争に勝つために」です。でも、実際に戦っているのは国同士ではなく、民間企業です。経営者も株主も従業員も日本人ではなく、生産拠点も日本ではなく、納税先も日本ではない企業を国民が支援する理由はありません。その事実を糊塗するためにも、グローバル企業は「日本の企業」という偽りの名乗りを手放さないのです。

先の総選挙では維新の会は「最低賃金制度の廃止」を公約に掲げました(批判を受けてすぐに引っ込めましたが)。大阪の最低賃金は時給800円です。橋下代表はこれを廃止すれば雇用が増える。3人で分ければ雇用が3倍になると述べました。

800円を3人で割れば時給270円です。たしかにそこまで賃金を下げれば、人件費コスト競争で中国やインドネシアにも勝てるかも知れない。

グローバル企業が「雇用の創出」と言っているのは、要するに日本人労働者の賃金を東アジアの途上国並みに下げろということです。日本の労働者が貧困化することは、長期的には内需の崩壊を招くわけですけれど、短期的には企業の収益を高める。

多国籍企業と国民国家は今や利益相反の段階に至っています。この論理矛盾を糊塗するためにナショナリズムが道具的に利用されている。

安倍自民党がことさらに中国・韓国との対立感情を煽っているのは、無国籍産業がそれを要請しているからです。国同士の経済戦争で命がけで戦っているのだという「ストーリー」を信じ込ませれば、国民は低賃金に耐え、消費増税に耐え、TPPによる第一次産業の崩壊に耐え、原発のリスクに耐えるからです。

共産党に期待することは、マルクスの教えのもっとも本質的なところ、すなわち「ものごとを根底的にとらえる」という意味でラディカルな政党であって欲しいということです。

私たちが前にしている歴史的変化は前代未聞のものであり、教条で処理できる範囲を超えています。真にラディカルな知性しかこの状況に対応することはできないでしょう。」

http://blog.tatsuru.com/

アベノミクスは終わり/FTの結論

2013-06-03 19:18:46 | 経済
ファイナンシャルタイムズが結論を出したようだ。

アベノミクスの命脈は尽きたらしい。

おそらく欧米のファンドと金融機関がたっぷり儲けられたからだろう。

「5月第4週までは、アベノミクスの中核を成す浮揚策が完璧に機能しているように見えた。バブル期の典型的な尺度であるゴルフ会員権は値上がりした。株式市場も上昇し、半年間の上げ幅が70%に上った。家庭向けの電気料金も値上がりした。言い換えると、資産価格のインフレと現実世界のインフレがついに定着するかに見えた。

 だが、今の日本は奇妙だ。日銀の一部関係者は、2%のインフレ目標は野心的過ぎて達成できないのではないかと心配している。市場は、今も昔も日本にとって唯一の成長エンジンである輸出の本格回復をもたらすほどには円安が進まないかもしれないと懸念している。


5月下旬の日本株急落のきっかけは、FRBの量的緩和縮小観測だった〔AFPBB News〕

 しかし、量的緩和の「修正」に関する米連邦準備理事会(FRB)のベン・バーナンキ議長の最近の発言を受け、日本の株式市場と国債市場が大揺れしたことは、正反対の方向に不安が向けられるべきだということを示唆している。

 アベノミクスの本当のリスクは、インフレと円安が十分に進まないことではなく、行き過ぎることなのだ。

 多くのアナリストは、政策変更に関する議論は早計だと思っているが、FRBの資産購入の段階的縮小について考えただけでも、市場は急落した。米国の量的緩和の縮小は、日本とアジア新興国の金融市場と実体経済に影響を与える。

デフレとゼロ金利以上に悪いものがある

 FRBが実際に緩和策を縮小し、米国経済が強くなれば、ドルは急騰する可能性が高い。つまり、円は急落するということだ。

 大幅な円安になれば、輸入コストが2%の目標以上に高騰するようなインフレ昂進の公算が強まる。そうなれば、金利が大幅に上昇し、アベノミクスの中心に存在する矛盾を浮き彫りにする。すなわち、インフレ率の上昇と超低金利を両立させるのは不可能だ、ということだ。

 日本は間もなく、デフレとゼロ金利以上に悪いものが存在することに気付くかもしれない。悪いインフレと高金利である。脆弱性の最大の原因は、もちろん、輸入エネルギーに対する依存だ。すべての輸入財の価格はドル建てになっているため、コストが大幅に上昇し、円安によって輸出業者が得る競争上の恩恵を少なくとも部分的に帳消しにする。

 だが、非正規労働者の割合が高まっている労働市場の構造を考えると、賃金が物価と比例して上昇することはないだろう。このことは、多くの人の生活水準が下がり、消費が拡大したとしても一時的な動きで終わることを示唆している。不動産価格と株価の上昇による資産効果は、大半の労働者、特に年配の労働者には何の影響も及ぼさない。

 今のところ、日本の経営者のアニマルスピリッツは、年間給与ではなく一時金を多少引き上げる程度にしか目覚めていない。一方、設備投資は今年1~3月期に減少し、これで5四半期連続の減少となった。

 また、構造改革を求める圧力は弱まっている。それはまさに、円安が偽りの安心感と競争力を日本に与え、イノベーションに代わって通貨切り下げが成長不足の解決策になってしまうからだ。

 JPモルガン証券の菅野雅明氏をはじめとしたエコノミストは既に、構造改革の内容に対する期待を後退させている。再生可能エネルギーへのコミットメントは、原子力エネルギーへの緩やかな回帰に道を譲る。環太平洋経済連携協定(TPP)参加に向けた条件交渉は、保護主義の農業政策に劇的な変化をもたらすことはない。移民は政策議題にも入っていない。

 同時に、近隣諸国の中国と韓国の関係者は円安に対する不満を募らせており、ドイツも近く、円安反対論の合唱に加わるかもしれない。経済問題はアジアの政治的緊張を悪化させている(日本が11年ぶりに国防費を増額させていることも助けにならない)。

 一方、米国の金融緩和が永遠には続かないことを思い出させるバーナンキ議長の発言が招いた最初の結果は、日本の株式市場と国債市場のボラティリティー上昇だった。このボラティリティーは、市場心理、特に日本の投資家の心理が依然脆いことを裏付けている。

アジアの新興国にも波及する恐れ

 さらに、ボラティリティーは日本に限定されていない。今後もドル高・円安が続くようなら、アジアの新興国市場に流れ込んだ莫大な資金が再び流出する可能性がある。こうした新興国の通貨に対してドルが上昇すれば、これらの国もコスト上昇と企業収益の圧迫に見舞われることになる。

 前回、円相場が急落した時には、15年前のアジア金融危機の一因となった。確かに今回は、大半の新興国は債務、特に外貨建て債務を減らしたため、そうした危機が生じる可能性はずっと低くなっている。

 だが、日本の実験はやはり日本と世界各国に悪影響をもたらす可能性が高い。もし日銀がこれほど高いコストをかけて日本株式会社のために稼いでいる時間が無駄になったとしたら、実に残念なことだ。

By Henny Sender」

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/37909

東京株価暴落の背景・追加

2013-05-26 17:32:16 | 経済
 東京の株価棒枠の背景についてです。要は国際的な投機資金にとって都合よく利用できる環境に東京がなった、ということではないでしょうか。

 (以前の関連記事はここ→http://blog.goo.ne.jp/admin/editentry?eid=40080c39c29d69de9575d227c2518d84)

「[東京 23日 ロイター] - 日本株急落の背景には、デリバティブ市場でのテクニカルな売り需要があったと指摘されている。米金融緩和策の早期解除観測の強まりや中国経済への不安感などでリスクオフが強まった格好だが、その背景には膨らんでいたオプション引受業者による順張りヘッジの加速があったという。

これまでの上昇ピッチが速かっただけに調整幅も大きくなる可能性もあるが、日本経済の回復やデフレ脱却期待がはく落したわけではなく、市場心理が落ち着きを取り戻せば金融相場による株高が再開するとの見方も依然根強い。

「プチバブル崩壊」──松井証券シニアマーケットアナリストの窪田朋一郎氏は、きょうの株価急落に対してこう表現した。日経平均.N225は大型連休明け後から23日の高値1万5942円まで約3週間で1948円(16%)上昇。昨年11月半ばからはほとんど調整がないまま84%上昇した。日経平均全体のPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)に割高感があったわけではないが、原発再稼働が依然不透明な電力株の急騰など「ファンダメンタルズをきちんと判断したわけではないギャンブル的な買いが目立っていた」(準大手証券ストラテジスト)という。

23日の市場では、そうした過熱感が一気に解消されるかのように株価は急落。下げ幅は前日比1143円28銭安と、下げ幅としては2000年4月17日の同1426円04銭安以来となる歴代11位を記録。終値は1万4483円98銭で安値引けし、朝方に更新した年初来高値1万5942円60銭から1500円近く水準を切り下げた。通常、7%が過熱といわれる25日移動平均線とのかい離率は22日時点で10.06%にまで拡大していたが、23日終値では1.66%まで縮小した。

相場急落の材料とされたのは、中国の5月製造業PMIのやバーナンキ連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言で、米資産買い入れ規模の縮小観測が強まったことだったが、あくまできっかけに過ぎないという。「ここ2週間ほどの異常な上げ相場の反動が出て、パニック売りが加速した」(松井証券の窪田氏)との見方が大勢だ。一部特定銘柄に投機的な買いが集中するなど「歪み」が出ていたことも下げ幅を広げる背景となった。

下げ幅を助長したのは先物への売りだ。日経平均先物の板の価格毎に数十枚程度の注文しか入らず、大口の成り行き売買が入れば一気に200─300円程度の値幅が出てしまう状況が続いた。日経平均先物は午後2時28分から同43分までサーキットブレーカーが発動し、一時売買停止となったが、パニック売りは止まらず、その後も下げ幅を拡大。日経平均オプション市場では相場急落を警戒したプット(売る権利)買いが強まり、日経平均ボラティリティ指数は前日比58.42%高の43.74と、終値で東日本大震災後の2011年3月18日以来の水準まで急騰した。

ゴールドマン・サックス証券・エクイティデリバティブトレーディング部長の宇根尚秀氏は、相場急落の背景にオプション引受業者による順張りヘッジの加速があったことを挙げる。相場下落局面では順張りヘッジは売りとなる。「今までグローバルマクロファンドがコール買いを進めてきた一方で、引受業者たちはコールの売りポジションを多く抱えていたため、引受業者による日経平均先物への順張りヘッジが膨らみやすい状況だった」という。宇根氏の試算によれば、日経平均先物が1%下げるごとに200─300億円の売り需要が発生。午後2時過ぎには3%近い下げとなっていたため、引けにかけて1000億円近い売り需要が出て、売りが売りを呼ぶ展開が起こりやすかったと指摘している。

日経平均は大幅な水準訂正が起こった後だけに目先はボラタイルな値動きとなりやすいが、中期的な株高期待は依然根強い。緩和縮小観測が出ている米国に対し、日銀は2%の物価目標という「縛り」があるため、緩和環境はしばらく続く可能性がある。米緩和縮小による流動性縮小は日本株にとってもネガティブだが、ドル高・円安は日本株の下支え要因だ。「日銀の緩和継続姿勢が崩れたわけではなく、株高の構造に変化はない。悪材料が重なったため一気に調整が出たが、落ち着けば再び上値を試す可能性はある」といちよしアセットマネジメント・執行役員運用部長の秋野充成氏は話している。

(ロイターニュース 杉山容俊;編集 伊賀大記)」

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE94M06X20130523/

危うさ覗かせたアベノミクス-東京株価暴落

2013-05-23 15:21:34 | 経済
 日本の株高と円安を演出しているのは海外の投資家だろう。

 上がったところで売りに出て彼らは稼いだ。

 又しばらくしたら株高を演出し、また売る。

 その挙句に国債の大暴落を演出して日本経済を丸ごと買いいれることにするつもりだろう。

 TPPが大体まとまるころがめどだろうか。

①株価暴落

 「  5月23日(ブルームバーグ):東京株式相場は暴落し、日経平均株価の下げ幅は1000円を超えた。国内金利の上昇警戒感に加え、中国経済統計の低調をきっかけに先物主導で売り圧力が強まり、金融や不動産など金利敏感株を中心に東証1部33業種は全面安。

大阪証券取引所では午後2時28分から15分間、日経平均先物で売買を一時停止するサーキット・ブレーカーが発動された。
日経平均終値は前日比1143円28銭(7.3%)安の1万4483円98銭、TOPIXは87.69ポイント(6.9%)安の1188.34。東証1部の売買高は概算で76億5514万株と史上初の70億株乗せ、売買代金は5兆8377億円と歴代1位。

この日の日経平均は朝方に一時315円高の1万5942円と1万6000円に迫ったが、その後調整色を強め、午後に急落。きょうの高安値幅は1458円に達し、ブルームバーグ・データによると、日経平均の大規模な銘柄入れ替えがあった2000年4月17日(1737円)以来となった。

記事についてのエディターへの問い合わせ先:院去信太郎 sinkyo@bloomberg.net

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MN821X0D9L3501.html


② 誰が買っているのか・だれが売っているのか

「 日経平均株価は2012年秋以降、順調すぎるぐらいの上昇を果たし、13年初めからの上昇率は45%を越えています。日本株が今後どこまで、あるいはいつまで上昇するかを決めるのは、外国人投資家の動向をおいてほかにありません。外国人については3月6日付「実はもうけ薄い外国人 日本株・国債を売り越す日」や5月1日付「日本株4週ぶり売り越し 外国人に2つの誤算」で分析してきましたが、改めてその実態に迫ってみます。

 外国人とひとくくりにして呼ばれていますが、日本株を積極的に売買しているのは大きく分けて米国を中心とする「北米」、英国やスイスなどの「欧州」、香港やシンガポールなどの「アジア」の3地域に分類することができます。

 欧州系と北米系、アジア系では投資主体や手法にどんな違いがあるのでしょうか。まず3地域に共通しているのは、投資家の中心は法人だということです。個人の割合は法人の5分の1~6分の1程度にすぎません。これを踏まえたうえで、それぞれの特徴をみていきましょう。

■欧州 機関投資家やプライベートバンクが堅実運用

 欧州の投資家の中心はヘッジファンドや年金基金、プライベートバンク、投資信託などとみられています。

 欧州系の機関投資家は「国際分散投資のパイオニア」といわれ、長期投資を基本に堅実な投資をする傾向があります。また欧州のプライベートバンクは世界の王族や資産家、富裕層など特定の顧客に限定し資産運用だけを手掛ける「個人銀行家の銀行」の色彩が強く、個人向けに総合金融サービスを提供する日米のプライベートバンクとはかなり異なります。

 また、中東産油国のオイルマネーの多くも欧州(主にロンドン)を経由して海外に分散投資している、とみられています。オイルマネーは長期投資が基本で、世界各国の代表的な銘柄(大型株)に分散して投資する傾向があります。

 英国系はヘッジファンドの数で米国系に次ぐ世界第2位にランクされています。

■北米 投機仕掛けるヘッジファンド、年金も受託

 北米の投資家は、米国のヘッジファンドや投資ファンド、年金基金、投資信託などが中心のようです。

 ヘッジファンドは高利回りを狙った投機色が強い投資が特徴です。株式や債券、為替、商品など少しでも有利な投資対象を見つけると短期間で投機を仕掛け、逃げ足も早い傾向があります。買いでも売りでももうかる投資手法をとっているため、価格変動が大きければ大きいほどもうけのチャンスは広がります。

 これに対し、カリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)などに代表される年金基金は長期投資が基本です。ただし年金基金も最近ではヘッジファンドなどに運用委託する割合が高まっているようです。

■アジア 華僑マネーはより投機的

 アジアの投資資金は華僑マネーが中心とみられ、香港やシンガポールを経由してかなり投機的な動きをするといわれています。他の2地域と比較すれば、欧州の投資家が保守的(堅実)、北米は投機的なのに対しアジアはより投機的、と色分けできそうです。 では、日本株に投資する外国人の中で、最もウエートが大きい地域はどこでしょうか。おそらく米国と答える人が多いのではないかと思いますが、ここ数年間は売り買いともに欧州が最大勢力です。次いで北米、アジアの順になります。

 東京証券取引所の「海外投資家地域別株券売買状況」でみると、12年(1月4日~12月28日)の外国人による日本株の買いは計165兆円で、欧州が63.98%、北米が24.87%、アジアが10.95%を占めています。売りは計162兆円で、欧州が64.16%、北米が24.94%、アジアが10.68%です。全体の買越額は3兆364億円で、内訳は欧州が1兆6519億円、アジアが7617億円、北米が6386億円となっています。

 しかし、今年に入ってからはこうした外国人の勢力図に異変が起きています。欧州の買越額が大きく減少しているのです。表をみると、1月の買越額は北米がトップ。2月はアジアにも抜かれ、欧州は3位に後退しました。3~4月は欧州が再びトップに立っていますが、北米・アジア(特に北米)勢の急増ぶりが目立ちます。



 このように、日本株市場における外国人の中核を担ってきた欧州勢の買越額が今年に入ってから減り、北米・アジア勢が増える傾向にあるのは気になる兆候です。株価の動きとの関連でいえば、欧州勢のように長期投資を基本とする外国人の日本株投資は減少し、投機色の強いアジア・北米勢による買い越しが増える傾向にある、とみることもできます。

 外国人の投資動向をつぶさにウオッチしておけば、日本株の今後の動きを予測するうえで重要なヒントが得られるのです。

<筆者プロフィル> 1942年愛媛県生まれ。中央大学法学部を卒業後、株式専門誌などの編集・記者を経て、87年に経済ジャーナリスト・経済評論家として独立。証券、金融、不動産から経済一般まで幅広い分野で活躍中。的確な読みとわかりやすい解説に定評があり、著書は90冊を超えている。「もっともやさしい株式投資」「『相場に勝つ』株の格言」「世界で最も読まれている株の名著10選」(日本経済新聞出版社)などがある。」

http://www.nikkei.com/money/investment/stock.aspx?g=DGXNMSFK20012_20052013000000&df=1

破滅をもたらしかねないアベノミクス/ヘッジファンドの警告・FTより

2013-05-23 12:41:45 | 経済
 アベノミクスが日本の経済的破局を招きかねなという指摘。

 してきているのはヘッジ・ファンドの経営者。2007年の金融危機を予告し、今も25%のリターンをあげているという。

「自分の見方が間違っていればいいのだが、とカイル・バス氏は思っている。ほかの誰もがそう願っているかもしれない。米ダラスに本拠地を構えるヘッジファンド、ヘイマン・キャピタルの創業者である同氏が予想しているのは、世界第3位の経済大国である日本が本格的な金融危機に見舞われるという危険な事態にほかならないからだ。

 今年のヘッジファンドの戦略は、日本円を空売りする一方で輸出ブームに沸きそうな日本株を買うというものだが、いわゆる「アベノミクス」――安倍晋三新首相による景気刺激策――には、バス氏が3年前から予言しているストレスの兆候が垣間見えるという。

「日本売り」はずっと失敗してきたが・・・

 バス氏は長期にわたって予言し続けているため、陳腐な理屈を振り回す弱気筋にすぎないと見られているかもしれない。実際、日本国債の空売りは過去10年間、「ウィドウ・メーカー(未亡人製造器)」であり続けている。金利は低下する一方で、金利の上昇(債券価格の下落)に賭けた投資家は次々にやられてしまっている。

 しかしバス氏は、利回りの上昇では済まない事態を予想している。「2~3年のうちに日本は債券危機に見舞われるだろう。債券危機というのは、スプレッド(利回り格差)が拡大するだけの話ではない。金利や通貨がコントロールできなくなるという話だ」

 しかし、バス氏は変人でもなければ、永遠の弱気筋(投資の世界における止まった時計のようなもの)でもない。

 同氏は2007年の住宅価格急落を予測し、それに関連する取引で利益を得た数少ない市場関係者の1人だ。複数の投資家の話によれば、同氏が運用するヘッジファンド(運用資産15億ドル)は2006年以降、平均で年率25%のリターン(運用手数料控除後ベース)を計上しているという。

 また、バス氏は買い持ちのポジションを取るのが普通だ。投資対象は各種債権の証券化商品や、銀行の貸付債権(職業別電話帳のような小規模事業向け広告事業を展開する米スーパーメディアの銀行ローンなど)だ。

 自身が日本に関連してどんな取引を行っているか、バス氏は詳細を語らないが、オプション取引のポジションがあることを示唆している。世界金融危機前の不動産担保証券(MBS)絡みのオプションのように、適正でない価格がついているオプションだ。

 バス氏は言う。「おかしいのは、無リスク金利のオプションのオプショナリティ(時間的価値)を、無リスク金利を入力して計算していることだ。だから基本的に、相場の大きな転換点では、この公式で得られる結果は間違いでしかない」

巨大ねずみ講との共通点

 日本ではこの転換点が近づきつつあるという。バス氏はその理由を、米国の巨大金融詐欺事件の首謀者バーナード・マドフを引き合いに出してこう説明する。「新たに入ってくる人の方が出ていく人よりも多い限り、どんな種類の詐欺やウソ、支払い義務の不履行も続けられる」

 バス氏によれば、以前の日本弱気筋は日本の資金繰りを支えるメカニズムを見落としていた。かつては、経常黒字の対国内総生産(GDP)比は3~6%で、財政赤字のそれは3%でしかなかった。一方で、日本の貯蓄超過主体は安心して日本国債を買っていた。

 ところが、人口は減少基調に転じており、貯蓄不足主体が貯蓄超過主体を凌ぐようになっている。経常黒字はほとんどなくなり、財政赤字はGDP比11%に膨らんでしまっている。

 「国内で資金繰りをつけるメカニズムが、文字通り一夜にして変わってしまった」とバス氏は言う。

 この見方に対する標準的な反論は2つある。1つは、純債務は政府の保有資産により4兆円相殺されるというもの。もう1つは、日本国債を買っている国内勢はどんな危機においても政府を支援するというものだ。

 「総債務か純債務かという話は、まったく馬鹿げている」とバス氏はこれを切り捨てる。「どの資産であれ政府が売却しようとすれば、それをきっかけにパニックが起こるだろう」

投資家の「愛国心」は当てにならない

 バス氏は日本の貯蓄家の愛国心についても同様に懐疑的で、「彼らの愛国心と政府に対する愛情を混同してはならない」と言う。

 同氏は、1009人の日本人投資家を対象とした調査を委託し、「仮にあなたの国で債券危機が生じ、政府が日本国債をもっと買うよう訴えかけてきたら、あなたは国債の購入を増やしますか、増やしませんか」と尋ねた。すると、8%が買うと答える一方、83%は「ただ手を引くだけでなく、走って逃げる」と回答したという。

 バス氏は、その選択は2年以内にやって来る可能性が高いと言いながら、「70年間に及ぶ債券のスーパーサイクルの終わりを多少なりとも正確に予想できると言うのは、考えが甘い」と付け加える。

読みが間違っていることを祈るばかり

 バス氏はさらに、自分が間違っていることを心から願っていると話している。また、同氏は国債に関しては政府が失敗する方に賭けているが、円に関しては成功する方に賭けている。円安が進み、日本の競争力が高まり、金利が安定した状態が続けば、「世界は今よりずっと良い場所になる」とバス氏は言う。

 だが、バス氏の読みが正しかった場合、「1000兆円規模の資金が債券を買い持ちにしているのだとすれば、全員が間違った側にいる」ことになり、さらに数兆ドル規模の金利スワップが存在している可能性もあると指摘する。

 「だから、誰がどこにいて、誰が間違った側にいるのか考えたら、すべての人が間違った側にいる、というのがその答えになる」

By Dan McCrum
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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/37842

フラッシュ・クラッシュ

2013-05-14 19:25:16 | 経済
 2011年のフラッシュ・クラッシュを引き起こした市場の高速化に関する記事。

 Nanexのハンセダーが提供した画像を中心に構成されているが、彼はNHKでも放映されたこの件に関する専門家。


 →http://www.huffingtonpost.jp/2013/05/13/story_n_3269965.html?utm_hp_ref=japan

円安の進行に関するブルームバーグの記事

2013-05-10 11:23:49 | 経済
「 5月10日(ブルームバーグ):午前の東京外国為替市場では円が続落し、対ドルで1ドル=101円台と約4年ぶり安値を更新している。朝方発表された対外・対内証券投資統計で対外債券投資が7週間ぶりに買い越しとなったことを手掛かりに円売りが加速している。

ドル・円相場は一時101円20銭までドル買い・円売りが進み、2009年4月6日以来の円安値を更新。前日の海外市場では米国の新規失業保険申請件数の予想外の低下などを手掛かりにドル買い・円売りが加速し、心理的節目の100円を突破していた。午前10時47分現在は101円12銭前後で取引されている。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジストは、通常、週間の証券投資データはスルーされることが多いが、それをも使ってしまうところ自体に海外市場の「余韻を引きずっているのがありあり」と指摘。市場は「円安材料探しモードに入っている」と話す。

ユーロ・円相場も一時、1ユーロ=131円前半から一時131円91銭と海外時間に付けた10年1月以来の円安値を更新。同時刻現在は131円78銭前後となっている。


対外債券投資が買い越し

財務省が発表した対外・対内証券投資統計によると、4月27日までと5月4日までの週の対外中長期債投資はそれぞれ2044億円と3099億円の買い越しとなった。4月20日の週までは6週連続で売り越しとなっていた。

また、同時に発表された3月の国際収支状況(速報)では、海外とのモノやサービスの取引状況を示す経常収支 が1兆2512円の黒字となった。黒字幅は前年同月から4.3%縮小。うち貿易収支 は2199円の赤字となった。

植野氏は、貿易収支も赤字で、五十日(ごとおび)ということでドル不足になりやすいという思惑が出やすく、対外証券投資も絡めて午前10時の仲値にかけてはドル・円の上値を試す動きになったと指摘。「問題はそこからで、金曜なのでどこかでポジション整理の動きの出てくるだろうが、それでも100円超えを固めて週末引けをするのか、それとも達成感が出て利食いがでて100円を割れてニューヨーククローズになるのかによって今後の発射台のイメージが100円で固まるのか、まだそこまで固めていないという感じになる」と話す。

甘利明経済再生相は閣議後会見で、ドル・円が100円台へ上昇したことについて、米国の回復兆しでドル買いが進んいるとの認識を示し、日本政府として為替操作をしているつもりは全くないと述べた。

円安が一段と進む中、きょうから11日まで主要7カ国(G7)財務相・中銀総裁会議が英国で開かれる。カナダ財務相当局者によると、今回のG7では景気回復の現段階では弱過ぎる世界経済の成長を支える方法について協議され、為替レートも恐らく議題の一つになるという。また、米財務省当局者はG7が日本の需要と成長を検討することを明らかにしている。


ドル高

米労働省が9日発表した先週の新規失業保険申請件数 (季節調整済み)は前週比4000件減の32万3000件と、前回の景気後退突入から2カ月目に当たる08年1月以来の低い水準となった。

米フィラデルフィア連銀のプロッサー総裁はニューヨークで講演後に記者団に対し、失業率が13年末に7%に低下するだろうと述べ、来月の連邦公開市場委員会(FOMC)で月間850億ドル(約8兆5500億円)の債券購入プログラムが縮小されることを望んでいると語った。

ノムラ・セキュリティーズのFXストラテジスト、後藤祐二朗氏(ニューヨーク在勤)は、先週末発表の米雇用統計が強く、米景気に対する見方が若干ポジティブになっていたところに、新規失業保険申請件数も予想より良かったというところで、ドル買いの動きが加速したと海外市場の動きを説明。さらに、米金融当局者の発言が若干タカ派で、最近利下げに動いた豪中銀や欧州中央銀行(ECB)や緩和傾向の日本銀行など「主要中銀と比較したときにやはり米国は景気の強さと金融政策で方向感のちょっとした違いが意識されやすい」と話した。

ユーロ・ドル相場は海外時間に1ユーロ=1.3100台を割り込み、一時4月26日以来の水準となる1.3011ドルまでユーロ安・ドル高が進行。10日の東京市場では1.30ドル前半でもみ合う展開となっている。

記事についての記者への問い合わせ先:東京 小宮弘子 hkomiya1@bloomberg.net

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MMK0L96KLVRN01.html

「2%の上昇率実現は可能だ」  ジョセフ・スティグリッツ コロンビア大学教授に聞く

2013-04-02 18:09:38 | 経済
「「2%の上昇率実現は可能だ」

ジョセフ・スティグリッツ コロンビア大学教授に聞く

石黒 千賀子  【プロフィール】 バックナンバー2013年4月2日(火)

ノーベル経済学賞受賞の経済学者、スティグリッツ氏が来日。日本の成長には3本の矢すべてが機能することが必要と説く。TPP交渉には強い姿勢で臨むべきだと助言した。

 米コロンビア大学ビジネススクール日本経済経営研究所主催のカンファレンスで講演するために来日した同大学のジョセフ・スティグリッツ教授に、安倍晋三政権が推進する経済政策、アベノミクスに対する評価及び日本経済の課題を聞いた。


スティグリッツ教授は、物価上昇率2%を金融政策だけで実現できると思ってはならないと強調した(写真:星野 秀夫)
問:安倍政権と日銀が掲げた物価上昇率2%の目標を実現できると思うか。

答:可能だと思う。一部に日本は深刻なインフレに悩むことになるのではと懸念する向きがあるが、そうなるとは限らない。どんな政策もやり方を間違える可能性はあるが、何もしなければ事態は解決せず苦しい状況が続く。

 今回の安倍政権の成長を志向した一連の政策は、欧州が緊縮財政で、米国が政治面で行き詰まっているだけに世界で非常に歓迎されている。

インフレ、金融政策だけでは無理

 ただ、インフレ率2%を金融政策だけで実現できると考えてはならない。むしろ1つの政策だけに依存することが想定以上のインフレを招くことになりかねない。財政政策、成長戦略の3本の矢が互いにうまく影響し合ってこそ実現できると考えるべきだ。そうすることが経済成長、より持続力のある成長、ひいては皆で分かち合える公正な成長へとつながっていく。

問:具体的にはどんな成長戦略、構造改革が必要と見ているか。

答:高齢化が進む中、労働力人口を拡大すべく女性の労働参加率を高めるのが1つ。生産性の低いサービス産業の生産性を高めて余剰労働力を捻出することも経済成長にプラスに働く。同時に教育、再教育に力を入れることが重要だ。より生産性の高い労働力を生むことが持続的成長への道となる。

問:今回の滞在では安倍首相とも甘利明・経済財政・再生大臣とも会った。彼らはどう考えていたか。

答:私と同様の考えだった。ただ、これまで金融政策と幅広い財政政策に焦点を当てていたが、もっと成長戦略が必要だとの認識があるように感じた。だから成長戦略について多く議論した。中でも常に長期的な視点を持ち、短期的政策においても、将来必要となるような経済構造につながる政策を打っていく重要性を強調した。

問:円安が進行している。さらなる円安は日米問題に発展するか。

答:米連邦準備理事会(FRB)は決して口にはしないが、金融危機以降やってきた量的緩和(QE)は輸出振興のためのドル安政策だ。通貨安競争を仕掛けられれば対抗せざるを得ないわけで、日本が今やっていることは正しい。

問:FRBではQE3の規模を縮小すべきだとの議論が出ている。そうなればドル高円安がさらに進む。バーナンキFRB議長はQE3を継続するとの姿勢を崩していないが、どう見ているか。

答:今後の米国の経済次第だ。FRBは今、雇用に焦点を当てている。正しいことだ。私は今年1月の給与減税打ち切りと3月の歳出強制削減によって、米景気が減速するリスクは極めて大きいと見ている。2月の失業率が7.7%に下がるという朗報はあったが、経済成長鈍化のリスクがある以上、よほどのインフレにならない限り、QE3の規模縮小は起きないと見ている。

問:講演でTPP(環太平洋経済連携協定)の交渉では日本は注意した方がいいと発言した。どういう意味か。

答:自由貿易協定はどれも「自由」な貿易協定などではない。すべて管理された貿易協定だ。米通商代表部(USTR)は米国の特定の業界、企業の利害を代弁して動く。私は米大統領経済諮問委員会のメンバーで、ウルグアイラウンドの議論にも関わっていたのでよく知っている。よって日本は自らの主張をしっかり行い、タフな交渉をすべきということだ。

日経ビジネス2013年4月1日号123ページ -「2%の上昇率実現は可能だ」- より」

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20130328/245809/?P=1

メリッサ・マイヤーの試み/ヤフーの在宅勤務禁止通達

2013-03-01 15:29:08 | 経済
 グーグルから鳴り物入りでヤフーに入ったメリッサ・マイヤーがヤフー従業員に在宅勤務禁止令を出した。

 オフィスに縛り付けるだけの人事管理は古いとよく言われる。

 メリッサの今回の措置はそれに反するようにみえる。

 しかし従業員の自主性を尊重するやり方が成立するのは、本当に従業員にやる気と能力があり、なおかつ自立している場合である。

 それは本当に優秀な人材であり、なおかつ、人に働かされているのではなく、何事か自分で意味があってそこで働いている人にもっともよく当てはまる働き方である。

 おそらく現状のヤフーはそれに当てはまらないのであろう。

 それから、以上のようなことはよく日本の職場の古さを指摘するため言われることだが、がちがちに縛られないと働かない職場が少なくないのも実態ではないだろうか。


「ヤフーが従業員に在宅勤務を禁止すると通達したことが、大きな波紋を呼んでいる。大方の予想通りとなった格好だが、同社に対する反応のなかには「会社の体質が古い」という批判もあれば、「最近の従業員は甘やかされ過ぎだ」というような反論もあった。

ここで、一度こういった反響から距離を置いてみることにする。そこですぐに思いつくのは次のようなことだ。つまりヤフーの数々の失策には顔をしかめる人も多いが、誰よりも慎重に選ばれたマリッサ・メイヤーCEOが、たいした考えもなしにこのような方針を採用したとは考えづらい。

「これがヤフーが直面する問題に対する究極の回答だというなら、マリッサ・メイヤーはたいしたもんだよ」と皮肉るのは、エナジープロジェクト社のCEOであるトニー・シュワルツ。同社はフォーチュン100企業を対象に、より柔軟な就業環境を推奨するコンサルティングを行っている。

シュワルツは、従業員の労働時間の長さと彼らの生産性や生み出される価値が比例するとは言えず、給与を支払う代わりに一定時間、彼らを職場に拘束するという企業のやり方は「時代遅れ」だという。その代案として同氏が提唱しているのは、従業員に明確な目標を示し、彼らがいちばんいい方法で自由に目標を達成できるようにする、という自律と責任に基づいたやり方だ。

目標達成を最優先するこうしたアプローチでは、在宅勤務の是非をめぐる議論は意味を失う。問題は、目標が異なればそれに応じた就業形態が必要とされる時代にあって、画一的なシステムを強制しようとする非合理さにあり、在宅勤務とオフィス勤務のどちらが生産性が高いかといった点は、それに比べればたいして重要ではない。実際、こうした考えを支持する人はシュワルツ氏以外にも存在する。

「全社員に固定的な就業場所や就業時間を守るように求めることは、組織の硬直化を進める可能性があります。また、チームの協調性が高まったり、高度なイノヴェイションを生み出せる保証もありません」ハーヴァードビジネススクールの教授で、企業文化やイノヴェイションに詳しいロザベス・モス・キャンターは、WIRED宛のメールにそう記している。

しかし、グーグル出身のメイヤーなら、そんなことはあらためて言われなくても知っているだろう。グーグルが古臭い就業環境とは無縁の企業であることはよく知られているし、オフィス環境への型破りなアプローチが大きな成功や収入につながることを、彼女が実体験として知っているのは間違いない。

一部のヤフー社員は新たな方針について、本当に生産的の高い従業員と、会社の規則を悪用して自宅でサボっている従業員とを分別するためのフィルターなのではないかと言っている。おそらく、メイヤーは今回打ち出した在宅勤務禁止令を使って、会社に対する従業員のコミットメントを試すつもりなのだろう。そして、これは就業場所や就業体系にかかわらず、本当に信頼できる社員を見分ける手助けになるだろう。また、結果的に精鋭揃いとなったヤフーは、いまよりも優れた企業になるかもしれない。」

http://wired.jp/2013/03/01/yahoo-no-work-from-home/