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屋台でプーチン模様のトイレットペーパーが売ってました
ウクライナのリヴィヴ第3日目は、23度くらいで曇り。涼しくて歩き回るのに最適でした。
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薬局博物館
夫がオンラインで見つけて仕事をお願いしたことがある方がたまたまリヴィヴ在住のウクライナ人だったので、連絡して初めてお会いすることになりました。
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30歳くらいでしょうか、ハイキングや登山が好きという好青年のY君は、私たちがろくに観光していないと知ると、
親切にもあちこち案内してくれたのでした。
まずは薬局博物館へ。今でも少しだけお薬を売っていますが、メインは昔の薬局の様子の展示です。
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ルボミルスキー宮殿、でも貴族の邸宅といった趣き。
次に旧市街の市庁舎近くにあるルボミルスキー・パレス博物館に連れて行ってもらいました。パレス、宮殿という名前ですが、
貴族の邸宅といった趣の建物です。
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同じ邸宅博物館内で。
ソ連時代には、素晴らしい天井や壁の装飾は全て安い素材で隠されて、何の装飾もない一般人の質素な住宅として使われおり、
ウクライナとして独立してから、元の状態に戻し、博物館として復活させた、という話でした。
「え、ママ、どういうこと?」と娘が、Y君の英語の説明が理解できずに、私に説明を求めてきました。
「ええとね、この街のあるウクライナっていう国はね、ソビエト連邦っていう違う国に入れられちゃったことがあって、その時に、お金持ちや貧乏は人がいるのはいけない、違うのはいけない、みんな同じように暮らさなくちゃいけないっていう考え方だったから、お金持ちや王様の贅沢なお家を普通の人が住むようなものに変えちゃって・・・」
小学2年生にわかるように説明するのに四苦八苦・・・。
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この素敵なお部屋は、一体どんな安っぽい住宅になっていたんでしょうか?
自分なりに理解しようと、娘は色々質問してきます。その度に「いや、そうじゃなくてね・・」とうまく説明できない自分がまどろっこしくなる(笑)
娘が生まれたオーストラリアは、元々はアボリジニの人たちの国にイギリス人がやってきて植民して、独立してオーストラリアになってから200年ちょっとの歴史しかない国だし、今住んでいる日本は、他の国になったことがないので、ヨーロッパ、特に東欧のように国境がなんども変わり、その国がなくなってしまったり、また戻ったり、というコンセプトがなかなか理解できない。まあ、私だってろくにわかってないんですけどね・・・。
なんとなくモヤモヤしたまま、次に近くの教会に連れて行ってもらったら、中は絶賛修復中。今は煤けて、欠けたりしているものの、
元の装飾の素晴らしさは、足組が組まれた隙間からも見て取れます。
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名前は忘れましたが、レノック広場の近くにある教会。
この教会、ソ連時代には、記録文書の倉庫として使われ、荒れ放題のままだったそうです。修復が終わったら、さぞかし素晴らしい教会に
戻ることでしょう。
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さらにこの教会には、戦死したウクライナ軍人の方々の顔写真と、その子供たちの写真が折り鶴と共に飾られていました。
クリミア紛争で亡くなった軍人さんたち、まだ数年前のなんとも生々しく痛ましい現実です。
これも娘に説明すると「え!お父さんたちが戦争で死んじゃったの?やだなあ、パパが死んだら、困る」とこれは実感できたようです。
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旧市街から数キロ離れた、東欧一美しいと言われる「リチャキフ墓地」にも連れて行ってもらいました。
大きな彫刻があちこちにあり、樹木が鬱蒼としていて公園のようです。
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ネットより借用。ポーランド軍隊の墓。実はここまでたどり着きませんでした・・・!
ワルシャワにあるポヴィオンスキー墓地をもっとう〜んと広く、立派にした感じ、同じように著名人の墓やポーランド軍隊記念碑などが
あります。
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ネットより借用した写真。同じリチャキフ墓地です。
Y君が、いくつかのお墓を指し「あの人は有名な作曲家、この人も有名なアーチスト、みんなKGBに暗殺されたと言われてるんだ」。
あからさまに反ロシアでなくても、ウクライナ支持を表明するだけで、知名度がある人は影響力があるということで危険に晒された。
没年が2000年あたり、「冷戦後」であるはずの今世紀。
Y君がいろいろと英語で話してくれる内容が理解できない娘は、私に説明を求めましたが、これも難しい・・・3分の1くらい見たところで「もうやだ〜、疲れた、お腹すいた!」と娘が喚くので、旧市街に戻ることにしました。
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Y君イチオシのEpic Cheese Burger Cafeにて。
ハンバーガーが食べたいという娘に「僕が思うにリヴィヴで最高のチーズバーガーを出すお店」に連れて行ってくれました。
英語のメニューがあって、わかりやすいです。
バンズもお店で焼いていて、ブリオッシュのようにちょっと甘みのあるものだそう。でもね、Y君はバンズ抜きの、お肉とサラダ
だけの注文。ジムで鍛えてるらしい体つきの彼は、お酒も飲まない健康志向の青年のようです。
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メニューをみていたら・・・
バーガーを頬張りながら、今度はY君自身の話を色々聞きました。ガールフレンドのことを聞いたら、嬉しそうに二人で
トレッキングした時の写真を見せてくれました。
小学校に入る頃にはソ連ではなく、ウクライナになっていたそうです。でもソ連時代をちょっと経験したんだろうな・・・詳しく聞くのは
なんとなく憚られ、たまたま墓地の後に医科大学の前を通ったので、大学について質問してみました。
大学はたくさんあって、いい大学なら卒業すれば仕事はあるけれど、レベルの低い大学は卒業しても仕事はない。特にIT関係なら
レベルの低い大学に行くくらいなら、独学で通信講座でも取った方が仕事に就けるよ、とあっさり言い切るY君。
学費は学部によるけれど、年間数百ドルから数千ドル。西欧やアメリカの大学よりはずっと安いので、中近東やアフリカから
留学生がたくさんくる、とのこと。
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あれ、私のために用意してくれた!?
Y君は大学でITを専攻している間に、プログラミングの仕事を請負い、卒業と同時に起業したそうです。「就職しないで企業するのは
普通なの?」と聞いたら「いや、珍しいですよ。でもそっちの道があるなって思ったから」。
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注文しました、I was born in Tokyo バーガー!鶏肉の照り焼きに焼いたトーフにスイートチリソース、結構いけます
最近、新卒をリクルートしようといろんな人を面接したけど、ウクライナでもトップの大学や数学専門の特別な高校に行った人たちはやっぱりすごく優秀で、使いたい人が多かった、とY君。「英語ができるし、技術もあるから、外国の企業でインターンをした人たちが多くて、彼らはそういった大企業に誘われるから僕のオフィスにはなかなか来てもらえない・・・」
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デザートはブルーベリーのストルーデル。
お別れの時に、お礼を言いながら、「ウクライナについて何も知らないままリヴィヴを訪れたけれど、とても素敵な街で人々も暖かく親切で、娘はまた来たいってなんども言ってるし、私も同じです」と言うと、
Y君は「そう、それが問題なんですよね・・・誰もウクライナのことを知らない。何がウクライナで起こっていようと、どの国も気にしない・・」とポツリとこぼしたのでした。
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リヴィヴでの最後の夜。
え、どうしてそんなこと言うんだろう?とちょっと不思議に思ったのですが、そのままにして、「次はガールフレンドにも会わせてね」とお別れしました。
あとで夫が「1994年にアメリカ、イギリス、ロシアが、ウクライナの領域を保障する条件で、ウクライナは2千ほどあった核兵器を放棄することに同意したんだけど、結局ロシアは侵略してきて、アメリカやイギリスは結局何もせず、ウクライナはクリミアを取られてしまったんだよね」と話してくれ、なるほどそう言うことだったのか、と改めて自分の無知を思い知らされました。
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ハンモックでぶらぶら。
ちょっと調べてみたら、IMFの一人当たり名目GDPランキングによるとウクライナは131位で一人当たりのGDPは3000ドルに満たない。ウクライナの前130位にフィリピン、ウクライナの後、132位にラオスがあります。ちなみにポーランドは59位で1万5千ドル強、日本は26位で3万9千ドル強。
https://www.globalnote.jp/post-1339.html
フィィリピンには行ったことないですが、ラオスには10年以上前に訪れたことがあります。隣国のベトナムやタイに挟まれて、カンボジアよりさらにのんびりとして、まあ当時の正直な印象をいうと、貧しい東南アジアの国。もちろん10年以上経ってかなり変化したとは思いますし、また必ずしも一人当たりの名目GDPが全てではないけれど、ある指標になると考えると、ウクライナが、ラオスと同じくらいというのは驚きました。
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リヴィヴの空港にて。
ウクライナの首都キエフよりリヴィヴの物価は安いらしいですが、ポーランドと比べてびっくりするくらい安いわけではありません。というかポーランドより
う〜んと安いだろうと期待していた私たちは、ちょっとがっかりしたくらい(笑)。
街並みを見ても、私の目には、少なくともリヴィヴはそれほど貧しい感じはせず、物価と同じように、ポーランドよりやや遅れているくらいな感じ。
自国の通貨で見ると、独立してから一人当たりのGDPは右肩上がりなのですが、米ドル換算だと、ジグザクで大きな落ち込みが2度ほどあり、2009年と2015年。2015年はクリミア危機、ウクライナ東部紛争でしょう。2009年はガス紛争なのかな、よくわかりません。
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リヴィヴ空港で朝ごはん。
リヴィヴは安全で、娘が腕時計をレストランのトイレにおき忘れて、あとで取りに行くと誰かがウエイトレスさんに渡しておいてくれるくらいですが、
いまだに東部は危険です。経済成長しようとしても、ロシアがちょっかいを出して、その度に成長が止まると言うか落ち込んでしまう、ということなのかなあ。
ゆえにトイレットペーパーにプーチンの顔、か・・・。
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さよなら、リヴィヴ
わずか3泊で、事前に全く何も調べず、ろくに観光もせず、お店を冷やかしたり、飲んだり、食べたり、踊ったり、やっと最終日にY君に案内してもらっただけのリヴィヴ滞在でしたが、最後の夜はぐるぐる頭の中をいろんなことがよぎり、あまり眠れないまま、大雨の中、朝8時のフライトでリヴィヴを発ちました。
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リトアニアのヴィリニュス国際空港。
予定より20分ほど早く到着したヴィリニュス空港は、電車の駅みたいに簡素で、でも実用的で機能的でした。
飛行機からみたヴィリニュスは、濃い緑が多くて、北方にきた感じがします。
さてさて、これから3泊、どうなりますやら。