べそかきアルルカンの詩的日常“手のひらの物語”

過ぎゆく日々の中で、ふと心に浮かんだよしなしごとを、
詩や小さな物語にかえて残したいと思います。

こぼれ落ちてく微粒子

2007年06月20日 21時13分48秒 | 叙情

誰かが砂時計を
コトリ・・・
と置いた
きらきらひかる微粒子が
硝子のくびれをすり抜けてゆく

ひとは
この世に生まれでたその瞬間(とき)から
死にむかって生きはじめる

まだ未熟な心は
真理と理想を追いもとめ
悦びと哀しみに酔いしれる

やがて
信じていたもののすべてが
幻想だったと思い知るとき
肉体は時の力に屈し
目に見えぬほど緩慢に
感じられぬほどゆるやかに
徐々に 徐々にくずれてゆく

硝子のくびれをすり抜ける微粒子は
あるときを境に速度をます
確固たる現実の前に
夢と理想がうち砕かれ
悦びと絶望
情熱と惰性
それら対極をなすものの狭間で
進むべき道を見失う

そうして
儚い希望と
耐えがたい現実のあわいに
ひとは自らの居場所を
さだめようと妥協する

誰かが
コトリ・・・
と砂時計を置いた

ぼくは
この世に生まれでたその瞬間(とき)から
死にむかって生きはじめた







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コメント (4)
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