VGの技術が確立した後、なおもハングは進化し続けます。
ちなみにこのころのグライダーをあげてみると、UPのコメット、コメット2、シードウイングのセンサー、エアーウェーブのマジック、ウイルスウイングのダック、アタックダックそしてHP、モイスはGTやGTRなどがあったと思います。
日本ではファルフォークがキュムラスやチャレンギャーなどが出てきたくらいですね。
最近の若い人は知らないと思いますが、このころ、ちょうど第一次のキングポストレスグライダーが現れています。
キングポストレスといっても、今のクロスバーがカーボンでできたものとは違います。
この当時は、サイドワイヤーをアルミ製のストラット(支柱)にするというもので、イメージ的にアップライトの長いものが横についた。という感じでした。
当時はストラットグライダーなんて言い方をしていたように思います。
一見、アルミのストラットなんてワイヤーに比べ空気抵抗が大きそうなのですが、実は、ワイヤーのような形状のものは、その10倍の幅を持つ流線型のものと同じ空気抵抗になると言われています。
つまり、サイドワイヤーがアルミのストラットになっても、その部分の空気抵抗はそれほど変わらず、上の部分のキングポストやトップのワイヤー類がなくなった分、空気抵抗が少なくなると考えて良く、結果的に今のキングポストレスと同じことになっていたそうです。
ストラットグライダーはそのような理由で、性能の向上が確認でき、それなりの効果はあったそうです。
しかしながら、まだ全体的にハングの性能が良くなかったので、競技の中でも有利に立てるというほどでもなく、その割には機体重量やコントロールが重く、組み立ても大変‥。更に、ラフラインがなかったので、ピッチの安定も正直不安の残るものだったそうです。
そのような理由から、このストラットグライダーはいつの間にか姿を消してしまいました。
このストラットグライダーの写真を探してみましたが、とうとう見つかりませんでした。申し訳ない‥。
この後のハングの進化は、形状的にも構造的にも落ち着いてしまい、機体の方は空気抵抗を減らすよりも、安全性を優先させて、わざと長いキングポストをつけたり、ラフラインの数を増やしたりと、安全性重視のグライダーが多く現れてきたように記憶しています。
そんな中で、このころ、唯一日本のグライダーが世界の頂点に立ったことがありました。
ファルフォークのエクセルです。
次回はこのエクセル伝説についてお話ししたいと思います。