飛行中年

空を飛ぶことに薪ストーブ、そして、旅をこよなく愛する一人の中年のブログです。

ハンググライダーの進化の歴史 12

2012-06-24 18:32:00 | ハング(hangglider)

ハンググライダーがどんどん性能を上げていく中、その進化に一つの決まりが発生し始めました。

それは「とにかくセールを張る」ということでした。

ハンググライダーが、だいたい今の外形に落ち着いた当初は、とにかく性能をあげる為、どのメーカーもセールをガンガンに張っていたのです。

Sensor610cf5 これは、その当時の機体。アメリカのシードウイングというメーカーの「センサー610」になります。

セールを張るということは、前にVGの説明でもあったように、翼の効率が上がってきますから、当然良く飛ぶようになります。

しかし、このことは同時にハンドリングの悪化につながっていました。

この時代の機体は、どれもコントロールが重く、乗りこなすのが大変だったのです。

また、セールが張られた翼は「アドバースヨー」という現象が発生し、なかなか思う方向に曲がってくれなかったのです。

この「アドバースヨー」という現象は、曲がりたい方向に体重移動すると、ノーズが旋回の外側に向いてしまい、なかなかターンに入らない現象です。

今のグライダーではほとんど感じられませんね!

このように、とにかくコントロールが重い機体ばかりになっていたこの時代、一石を投じる機体が出てきました。

Magickiss エアーウェーブが作った「マジックキッス」です。

この機体の特徴は、VGオフの時は、今までの機体よりセールが弛んでいたことにありました。

当時は見慣れる翼に正直戸惑いましたが、VGを張るとバシッとし、良く飛びます。

セールのカットを進化させ、VGの可動範囲を広げたような機体でした。

弛められたセールはコントロールも楽で、今までのコンペグライダーにはつきものだった「アドバースヨー」もほとんど感じられませんでした。

そして、このマジックキッスから、コンペ機でもコントロールが楽に出来る機体の時代へと入っていったのです。

マジックキッスは他にも、強めの下反角、今までよりも厚い翼などの特徴もあり、当時はとてもセンセーショナルなグライダーでした。

時をほぼ同じくして、アメリカのウイルスウイングは「スポーツ」を発表します。

このグライダーもコントロール性重視で、飛ぶのが楽なグライダーでしたが、この特性が功をなし、世界中で「スポーツ」が売れたのです。

そして、現在のウイルスウイングの基盤を作り上げたのです。

性能ばかり追い求めて、「楽しさ」を忘れてしまったハング界に変革をもたらせてくれた名機だと思います。

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